●2007.02.26 天気:晴れ
 朝5:30に自家用車で自宅を出発、今日は茨城県の真壁に向かいます。ここも城下町で古い
町並みが残ります。静かで落ち着いた色合いの写真がたくさん撮れるかなあ、と思っていたん
ですが・・・、現地に行ってみると、あれあれ日曜の朝なのにいやに車が多いな? どうやら今
日から「ひな祭り」のようで、町内の各家庭が持っているひな人形を玄関先に飾るという催しが
行われているとのこと。全然知りませんでしたが、真壁の「ひな祭り」は結構有名だそうで、お
昼頃には通りには人が溢れるほどに・・・。
 右のように写真は他の観光客同様たくさん撮りましたが、静かな町並みの散歩という、当初
の目的は果たせませんでした。まあこんなこともありますか。気づいたこととしては、現在のも
のに比べ、明治初期以前のひな人形は緻密で小顔だということ。西洋からビスクドールなど、
抱ける人形が入ってきて、容姿が変わってきたのでは・・・などと考えました。

 午後には帰宅し、人形作り開始です。早起きすると休日が2倍楽しめます。
 今回は胴・頭・手足の基本的な部分を作成します。
       

3-1 胴・頭・手足の基本工作
 今回は前回完成させた内型に軽量石粉粘土をかぶせ、胴・頭・手足の基
本的な構造を作成します。
 今回の主役はプルミエ(軽量石粉粘土・パジコ社)です。この粘土はその
名のとおり非常に軽量で強度も高いという特徴があります。これはとても大
切なことで、人形全体を軽くすることができ、ゴムも細いもので済み、関節
部分に負担がかからず、破損の危険が少なくなるのです。欠点としてはや
はり乾燥すると収縮するということです。
 型抜きしたあとの接着剤にはGPクリアーというゴム系接着剤を使いま
す。別にこれにこだわっているわけではないのですが、人形製作に関係す
る素材は何でもよく接着するので疑問なく使っています。

 今回の作業ポイントは型抜きのタイミングかと思います。できるだけ余裕も
って作業にあたれる日を選びましょう。


1 プルミエです。びっくりするほど軽いです。
2 これを3mmの厚さに伸ばします。
3 腕に合わせて切ります。

4 下のパーツの分割を参考にプルミエを被せます。
5 凸の部分は粘土をつまみながらまとめ・・・
6 ・・・切ります。

7 凹の部分は・・・
8 ・・・凹みを指でつくりながら・・・
9 ・・・あまりを切ります。

10 予定した曲面をつくるため、球を軽く押しつけます。
11 足首は形状はデッサンを見て確認します。
12 本当は粘土をつなぎ合わせるのは避けたいです。

13 プルミエに分割ラインをいれてゆきます。
  下のパーツの分割参照
14 すべての作業が終わったら、ざるなどに入れて風通
 しの良いところにおきます。(ときどきひっくりかえす)




補足)パーツの分割
 基本的には凹の部分を避けて分割ラインをいれてゆきます。きれいに仕上げるため、このラインと粘土のつなぎ目(上の作業の4)を一致させましょう。
1 顔の分割
2 腕の分割

3 胴の分割




さてこれからがタイミングの難しいところです。
プルミエが半乾きのときに内型を取り外して組み立てます。目安としては
1 表面が乾いているけど、さわると微かに柔らかい。
2 分割したラインに幅2mm程度の隙間ができている(下の写真15参照)
3 冬などの乾燥した時期ならば風通しの良いところで数時間、夏などでは1日以上。
あまり長く乾燥させると割れる場合や、型からはずせなくなりますので要注意。
15 隙間ができました。
16 これで接着します。
17 慎重に内型から外します。

18 断面に軽くヤスリがけしたあと、接着剤を塗ります。
19 しばらく圧力をかけつづけます。
20 凹部分に直径5mm程度の穴を開けます。

21 凸部分も同様に。
22 頭にも開けます。
最後の穴あけは乾燥を促すためのものです。これをやらないと乾燥時間が2倍に延びてしまいます。
このあと再びざるに戻して乾燥させます。冬なら最低3日、夏なら1週間かけたほうがいいかもしれません。



今回使用したもの:プルミエ(粘土)、カッター、GPクリアー、紙ヤスリ(80番)
今回の作業のために購入したもの:プルミエ(368円×2) GPクリアー(158円) 
累計  3,583円
今回の作業時間=4.5時間 累計 17.5時間








●2007.03.13 天気:晴れ
 春です。土手を散歩すると菜の花が満開、その影でオオイヌノフグリやツ
クシやらががんばっています。
 春こそ撮影シーズンということで、区切りがついたところで人形製作はちょ
っと休憩、撮影に専念しようかと思ってます。
       

3-2 胴・頭・手足の造形
 プルミエが完全に乾いたら、まずはヒビやつなぎ目を消し、次に予定した
形へと造形してゆきます。今回の主役はラドール(石塑粘土・パジコ社)で
す。この粘土は造形という意味ではとても扱いやすい粘土です。一方、欠点
としては単独で使った場合には、他の粘土に比べて柔らかくもろい、また水
分に弱いなどの点があります。
 まずはプルミエでできた外形とデッサンを比較して下さい。最初の発泡ス
チロールはデッサンより6mm小さめに削り、そこに内型でマイネッタを3mm、
前回の作業でプルミエを3mm盛りました。ということで計算上は予定された
サイズになっているはずですが、実際には粘土の収縮により1mmから2mm
ほど小さくなっているはずです。従ってヒビやつなぎ目を消した後、更に理
想のフォルムを目指して、全体にラドールの層を積み重ねてゆくことが必要
になります。

 今回の作業過程は非常に時間のかかるパートです。何より「根気」と「集
中力」が必要です。
 右の画像をご覧下さい、時間をかければつるつるぴかぴかになります。


1 ラドールを全体の1/4程度取り、水を加えて練りなお
 します。柔らかさは筆で塗ることができる程度です。
2 頭の凹部分にこれを塗ります。(今回、型抜きのタイ
 ミングがまずく、ヒビが入ってしまいました )
3 水を加えていないラドールを薄く伸ばします。スプレ
 ー缶を使うと厚さ1mmぐらいになります。

4 伸ばしたラドールを凹部分に乗せ、その上から球を
 押しつけます。
5 球をぐりぐりすればこのとおり凹部分ができます。そ
 してしばらく乾燥させます。・
6 凹部分が乾燥したら次は凸部分です。膝の部分を
 例にとって説明します。

7 凸部分に先ほどの柔らかくしたラドールを塗ります。
8 薄く伸ばしたラドールを被せます。
9 その上から凹部分を押しつけます。

10 ぐりぐりして、余分な部分をいカットします。段差が 
 あるのでこれを何とかしなくてはなりません。
11 膝下の部分に柔らかくしたラドールを塗り、更に形を
合わせたラドールを貼り付けなじませます。
12 このような段差の修正は肘の部分についても行わ
 なくてはなりません。

13 次にヒビやつなぎ目を柔らかくしたラドールで消して
 ゆきます。ペインティングナイフが使いやすいです。
14 すべての作業が終わったら、ざるなどに入れて風通
 しの良いところにおきます。(ときどきひっくりかえす)

15 乾いたら、デッサンや参考画像に基づいて修正しま
 す。まずは余分なところがあれば削ります。
16 足りないところは柔らかくしたラドールを盛ってゆき
 ます。なかなか乾かないので厚塗りは禁物です。
17 ときどきパーツあわせもする必要があります。1パ 
 ーツにつき1つずつつ修正し、乾燥させます。

18 乾燥したら再び余分な部分を削り・・・
19 足りないところは盛り・・・
20 乾かしたら削り・・・。これを満足するまで続けます。

造形が完了したら、表面の凹凸や傷をならしてゆきます。
21 まずは紙ヤスリ(80番)で全体を研きます。
22 細部についてはシャープさを失わないようにします。
23 もちろん足りないところがあれば、粘土を盛ります。

24 すべての作業が完了した、水で湿らせ、かたく絞っ
 たティッシュで全体を拭いてゆきます。
25 耐水ペーパー(240番)を水で濡らし、研いてゆきま 
 す。一気につるつる状態になります。
26 ただ耐水ペーパーはすぐに目詰まりしますので、こ
 まめに水洗いする必要があります。
これでとりあえず、この項の最初の画像のように完成しました。

今回使用したもの:ラドール(粘土)、カッター、紙ヤスリ(80番)、耐水ペーパー(240番)
今回の作業のために購入したもの:ラドール(305円)、耐水ペーパー(240番、80円) 
累計  3,968円
今回の作業時間=16時間 累計 33.5時間