レジンパーツへの置き換え
saoriのリメイク




粘土製のDOLLにレジンのパーツを組み合わせる

 
 7年前につくった球体関節人形 saori のリメイクをしました。リメイク
といっても7年前の作品だと、現在のものとは技術的にもかなりの差
があって、完成までには新作をつくるのと同じぐらいの手間がかかり
ます。
 もともとはラドールプレミックスをベースにしたDOLLなのですが、
今回はその一部、具体的には手と足、肘の関節をレジンにおきかえ
ることにしました。

 
  



 今回、一部のパーツをレジンに置き換えた理由ですが、粘土だと、
特に手や足の指先などの部分は転倒などのトラブルで破損しやすく
実用性を重視するなら、少しでも強度のある方が良いだろうと考えた
訳です。
 但しレジンには黄変の問題があるので、このあたりはきっちりと対応
しなくてはいけません。

   

 こちらがシリコンの型から抜き出したレジンパーツです。もともと自分の
場合、粘土の型としてシリコンを用いていたので、ここまでは簡単にでき
ます。

1 ホワイトサーフェーサーをしっかりと吹き付けます。
 紫外線による黄変対策です。
2 このままでは絵の具はすぐにはがれてしまうので、
 下塗り塗料のジェッソを用意します。
3 ホワイトジェッソに絵の具(リキテックス)を混ぜ込
 んで、下塗り塗料とします。

4 乾いたら240番ぐらい紙やすりで磨きます。爪の
 部分のモールドが消えないように注意します。
5 今度は水でやや薄く溶いたリキテックスで陰影や
 赤みを表現します。
6 全体にウレタンクリアーにつや消し剤を混ぜたもの
 を吹きつけ基本塗装が完了します。

 下の画像のように、ほぼここまでの過程で粘土の部分との色合いの
差はなくなりました。

   

 問題は塗膜の強さかと思いますが、ここから色合いとつやの調整を
繰り返しながらウレタンクリアーで保護層をつくってゆくことで解決しよ
うと思います。
 レジン特有の透明感はすでに失われてしまっていますが、この行程
である程度復活するはずです。

7 微調整はMr.カラーのキャラクターフレッシュを
 中心にクリアーカラーを混ぜて行います。
8 爪の先の表現です。きっちりと輪郭を書き込んで、
 ウレタンクリアーで処理します。

 完成したのが下の画像。最終的にウレタンクリアーは5回ほど吹きつけ
ました。見た目は粘土部分との区別はつきません。

     



 下の画像は7年前の saori 。このころの人形はグラマラスなボディで、
またリキテックスのビビッドな絵の具を好んで使っていました。
 せっかくなので他の部分もリメイクしましょう。

   

 ヘッド部分はドールヘアーをウイッグに変更、アイホールの拡大、
鼻のラインをやや低めに、頬はふっくらと。
 ボディはウエストの関節を追加、背中のラインを修正。
 足はやや短く切りつめてバランスを調整。
 腕はすべて取り替えました。
 あとは首裏にネオジム、耳に鉄のピンでマグネット仕様に。

 ということで、ほぼ手を加えていない部分はないくらいのリメイクに
なりました。

   
    
              

              

              

   



 どうしてここまでして昔のDOLLに手を加えるのか? それは結局、そのときの
自己満足になってしまうかもしれないけど、いつまでもかわいい娘でいてほしいか
ら。
 それから昔の作品て、荒い部分はあっても、勢いがあって、見失いそうなものを
思い出させてくれるからってこともあると思う。