オリジナルドール youki の製作 4
メイクと表面保護




製作開始から1ヶ月、いよいよ人形作りの最終段階です。
塗料や道具選びも大切なポイントになります。





●2015.01.21 天気:雨

 
 ワンダーフェスティバルのディーラー証が主催者から送られて
きました。こちらのイベントへは、見に行くことはあっても、ディー
ラーとしての参加は今回が初めてです。
 フィギュア、ガレージキット中心のイベントなので、レジンの1/6
オリジナルヘッドもキットとつぃて出品しようと準備を始めました。
ただ基本的に会場内には創作人形系のディーラーはきわめて
少数のはずなので(もしかしたら自分だけかも)、ものすごく浮い
た存在になってしまうかも。
 けど今更心配していても仕方ないので、開催日までの2週間、
とりあえずがんばってみることにします。
 




8 ボディの塗装

 ボディが完成したらいったんテンションゴムを外して、いったんばらばら
の状態に戻します。
 通常は塗装に入る前に粘土の毛羽立ちをおさえ、表面を平坦化するた
めに固く絞った布で表面を磨くのですが、自分の場合にはここで前出の
イージースルップの塗布を行います。
 ただ磨くのと違って、表面が固くなり、キズがつきにくくなるからです。




1 イージースリップを3倍ぐらいに水で薄め、これを
 スポンジでたたくように全身に塗布します。
2 乾いたら400番の布ペーパーで全体を磨いてゆき
 ます。
3 ゴム穴は摩擦が大きいので、特に念入りに塗布す
 る必要があります。


 この工程を3回繰り返します。ちゃんと磨き上げるとつるつるに仕上が
ります。もし凹凸が気になるようなら、元に戻って粘土による修正 を加え、
表面処理をやりなおします。





 次はレジンパーツの表面処理です。レジンは親水性がないので、前処理が
必要になります。

4 まずはパーティングラインをカッターの刃などで
 消してゆきます。
5 全体を400番ぐらいの耐水ペ ーパーで磨きます。
  (水とぎ)
6 ホワイトサーフェーサーをスプレーします。指の間は
 手塗りすることになります。


 ホワイトサーフェーサーは黄変対策のためと、次のジェッソの塗膜が剥がれ
にくくする働きがあります。





 次は基本塗装です。使用するのはリキテックスのジェッソ、ライトポートレート
ピンク、アンブリーチドチタニウムです。ジェッソに2色を混ぜ込んで下地塗料と
します。
 創作人形の世界では胡粉で処理することが多いようですが、自分の場合に
は簡便なこちらの方法を選択しています。



 ライトポートレートピンク1、アンブリーチドチタニウム3の割合で混合したものを
基本色とします。これを更に30倍量のジェッソに混ぜ込んで下地塗料とします。
 参考までにこれは後述のMr.カラーno.111のキャラクターフレッシュ(1)に非常
に近い色になります。
 基本色についてはその配合、分量を変化させることも可能です。ブラウン系の
絵の具を混ぜて日焼けした肌にしたり、ジェッソを更に加えて美白系にしたりする
こともあります。
(実は今回もジェッソをやや多めにして、美白系に仕上げています)


7 筆で全体に薄く塗って乾かす。この作業を3回繰り
 返します。


 とりあえずこの工程の完成画像です。むらなく仕上げるにはスプレーの方が
良いのですが、とても部屋の汚れるので今回は筆塗りにしました。



 

 実は後述するウレタン塗料と下地のサーフェーサーの相性が余りよくなく、
塗膜を浸かすことがあります。そのため特にレジンパーツについては、すき
間なくきっちりと下地塗料を塗っておく必要があります。




8 基本色にライトポートレートピンクを加えた色を
 吹きつけ、赤みのある部分を強調します。


 赤みを強調した場所は頬、バストトップ、肘、膝などです。このあたりはアイドル
や人形の写真集が参考になります。


   
 





9 表面処理

 おそらくこの工程は独自のものです。表面処理についてはパジコ社のドール
フィニッシャーやMr.スーパークリアーなどを用いるのが一般的かと思います。
自分の場合にはこれを工業用の2液混合タイプのウレタンで行っています。
 メリットは表面強度が増すこと、水や油、汚れに強くなること、塗膜が厚みを
持ち肌の透明感が表現できることなどです。逆にやや高価で扱いが難しいこ
とがデメリットです。
 部屋の汚れや安全性のこともあるので、できるだけ筆塗りで作業をすすめ
ます。




9 上胆塗料につや消し剤を混ぜ、半つや消し状態
 のものを筆で塗ってゆきます。
10 そのあと400番の耐水ペーパーで水とぎします。
 (水をつけて磨く)


 この工程はとても埃が混入しやすいので、、発見したらすぐに針などで取り
除きましょう。そしてそれ以前に身の回りをふき掃除したり、毛羽立ちのある
ものを着て作業しないなどの準備や心がけが必要です。




A 途中、磨きすぎて粘土層が現れてしまいました。
B 落ち着いて工程を戻してやりなおします。




11 3回目の筆塗りが終わったら、800番の耐水ペー
 パーで水とぎします。

12 つや消し剤を多めにしたウレタン塗料を関節部分
 に吹き付けます。
13 小さなパーツは画像のように串に刺して吹き付け
 ます。

 関節部分の塗装はこれで終わりにします。あまり繰り返して吹き付けると
ぴったりだった関節がはまらなくなってしまいますから。
(逆に関節が緩いなってときには繰り返します)




14 ゴムと針金を結びつけたものを用意します。これ
 で各パーツを結びつけます。

   15 こちらがつながった状態です。ここから先はこの状態で
    ウレタン塗装を続けます。(おおむね3回〜6回)

   


16 ウレタンの吹きつけ作業の最中、必要があればボディ
 メイクを追加します。図は耳穴の表現です。


 細かな吹きつけ作業に向いているので、塗料はMrカラーを使います。no.111
のキャラクターフレッシュ(1)と下塗り塗料が同じ色だと、補修などの際には何か
と助かります。




 ウレタン層は1回の塗布(しっとりと濡れるぐらい)で0.1mmぐらいの厚みになり
ます。全体として0.5mmぐらいの厚さになってくると、肌の透明感のようなものが
出てくると思います。
 手間のかかる作業ですが、それなりの価値はあると思います。





10 メイクアップ

 最後の最後になります。
 手足の指先については、個々に手作業で爪の表現を行います。またフェイスに
ついては唇や眉、アイホールの輪郭を補ってゆきます。
 とても繊細な作業なので、まずは精神統一から・・・。

 最初の説明は爪の表現なのですが、とても淡い表現なので、画像にするとよく
分からなくなってしまいました、ごめんなさい。

17 Mr.カラー111に半量のホワイトを加えたもので、
 爪そのもの描いて表現します。
18 少量のホワイトを爪の根本に、そして先端部分に
 はMr.カラー112で赤みを加えます。
19 輪郭をMr.カラー51で強調します。そのうえで全体
 クリアーを塗ります。

20 まずは唇にMr.カラー112で赤みを加えます。 21 頬と目の周囲にも赤みを加えました。 22 Mr.カラー51で目尻に影を追加します。

23 Mr.カラー131で眉毛と二重まぶたを描きます。画像
 では分かりにくいですが、下睫毛は書いてます。
24 上の睫毛を追加、更にパテでグラスアイを取り付
 けて、とりあえずの完成です。

 メイクはナチュラルな感じが好きなのですが、今回は特に淡い色合いに仕上げま
した。
 下の睫毛や眉毛は手で描いているのですが、馴れないうちは失敗の連続でした。
でもウレタンでコーティングしてあるので、簡単にふき取ってやりなおすことが可能
です。
 あと筆はとっても大切。0.2mmぐらいの安定した線を描ける筆は値段の問題でなく、
5本買って1本ぐらいしかありません。良い筆に出会えると、ちょっと嬉しくなります。

   25 グラスアイを水道補修用のパテで取り付けます。また
    選んだウイッグを被せます。そして組み立て直して完成!
   


 ウイッグはブロンドヘアーを選びました。アイは淡いメイクに合わせてイエロー系のもの
に変更。とりあえず一定レベルの仕上がりに一安心といったところです。
 最後の作業はグラスアイとウイッグのとりつけになるのですが、可愛く仕上がったかどう
か、いつもドキドキです。




今回使用したもの : サーフェーサー、ジェッソ、Mr.カラー、ウレタン塗料、水道補修用パテ
今回の作業のために購入したもの : 買い置きばかりで特にないですが、塗料関係は
                        概算で2000円分ぐらいかかっていると思います。
  累計  7,110円
今回の作業時間=9.5時間   累計  31時間



 では最後に完成画像をご覧下さい。カメラの設定ミスでちょっと画像が
荒れています、ご容赦を。