UVレジンを使ったドールアイ
1/3 オリジナルヘッド用





 1/6ドール用に引き続き、今回は1/3ドール用のアイをつくります。素材は粘土とUVレジンです。

オリジナル球体関節人形のリメイク

 
 ここのところ過去につくったオリジナル球体関節人形をリメイクしてい
ます。右の人形は4年ほど前につくったものですが、当時はけっこう
仕上がりに満足していたものの、今ではちょっと「荒い部分」が目に付
きます。
 今回はこの人形のバランス調整、全身塗装、メイクのやりなおしと、
あらゆる部分に手をつけます。
 ここで問題なのがドールアイ。ビスクドールの場合にはある程度規格
化されているのですが、こちらはオリジナルドールですから市販のアイ
がぴったりというわけにはゆきません。何千円もするグラスアイなど、
もし合わなかったらと考えるとなかかな買えません。
 右の人形の場合、光彩部分が奥すぎて、正面から以外は何か不自
然に見えてしまう欠点がありました。
 

 まずは手持ちの格安グラスアイ(500円ぐらい)から、こちらの人形にサイズ的にはぴったり
なんだけど、雰囲気に合わない、あまり上質でないというものを2種類選びます。

   

 こちらのグラスアイを原型としてシリコーンで型どりをします。

1 型どりの土台になるブロックを組みます。こちらは
 型どり用として市販されています。
2 まずは油粘土をブロックに盛ります。平坦にする
 ことがポイントです。
3 ドールアイの瞳の部分を下にして、粘土に埋めま
 す。ずれないよう適当に穴もあけます。


 今回はシリコーンを2分割してドールアイを組み立てようと思っています。最初に粘土でつくる
ベース部分、次に透明なUVレジンでつくる瞳部分を型どりします。

  

4 シリコーンを用意。いろんな種類がありますが、
 この程度のものは何でも良いと思います。
5 きちんと計量して型に流し込みます。このまま約
 半日待ちます。
6 固まったら油粘土を外し、離形剤を塗ったあとで
 反対側にもシリコーンを流します。

7 更に半日ほど固まるのを待ちます。固まったら
 型をとったグラスアイを外します。

 これで型が取れました。次に瞳部分とベース部分を別々につくり、組み立てます。

8 型にUVレジンを流し込みます。ぴったりと入れる
 のが難しい。
9 紫外線を当てて固めます。これで瞳のレンズ部分
 ができあがりました。

10 彫刻刀でベース部分の型の底を抜いてしまいま
 す。これは粘土を乾燥しやすくするためです。
11 この穴から粘土(プルミエ)を押し込んでゆきます。
12 まる1日ぐらいで乾燥します。これでやっと材料
 がそろいました。

 次に虹彩を描きます。手書きで仕上げるつもりです。

13 リューターでベースの中央部分に窪みをつけま
 す。ここに黒目部分をつくるつもりです。
14 ベース部分を型から外します。傷や凹凸はこの
 段階で修正します。
15 作業をやりやすくするため、ボンドで厚い紙に
 ベース部分を貼り付けます。

16 リキテックスで光彩を部分を描いてゆきます。
 微妙なグラデーションも筆で再現。
17 中央の窪みには黒、輪郭も黒で強調します。
 これでベース部分の作業も完了。

 失敗!
 このあとUVレジンでベース部分とレンズ部分を張り合わせる予定でしたが、気泡が入ったり
上下のずれを生じたりしてどうしてもうまくゆきません。
 ここで作業を断念しました。



 1/6のアイをつくるときにはもっと単純でした。まずは釣り鐘状の形をつくり、上を削って、UV
レジンの表面張力でレンズ部分のドームをつくるというものでした。
 参考:
page 293



 1/3 でもこれをやろうとしたのですが、サイズが大きい分、ドーム部分が平坦になってしまって、
きれいに仕上がらないんです。
 ところがその後、古くなったUVレジンを使い切ろうと思ったら、このレジンの粘性があがっている
ことが分かりました。(紫外線がなくとも少しずつ硬化しているらしい) これなら表面張力できれい
なドームができるかも・・・。

18 1/6のときにつくった虹彩のデザインをプリントアウト
 し、切り抜きます。そしてベースに貼り付けました。
19 古くなったUVレジンをこの上に盛ってゆきます。
 量を調整しながら表面張力でドームをつくります。
20 紫外線でUVレジンを硬化させます。見た目古いUV
 レジンでもちゃんと固まります。

20 ベースとレンズの間に段差ができています。そこ
 で、全体に新しいUVレジンをコーティングします。
21 再度紫外線で硬化させます。段差はなくなり、
 全体に透明感のある仕上がりです。


 結局のところ、古くなって粘性の増したUVレジンを使えば1/6のときと同じようにアイが作れることが分かりました。別に
わざとUVレジンを古くする必要もないので、粘性の高いUVレジンを探せば良いということです。
 下の画像は、左が以前の人形、右がリメイクした後の人形です、もちろん今回制作したアイを使っています。

  

 専門家のつくるグラスアイに比べれば出来はそれほど良くはありませんが、見た目は十分に実用性があります。
また何よりオリジナルドールに合わせて作ることができるというのが嬉しいです。