きれいに撮影するために 2


 ● 肌の色とホワイトバランス



 右の画像は J−Doll の ST Sauveur です。J−Doll は大好きな
Dollで、知らないうちに(知っているけど)40体以上もコレクションして
いました。
 一般的な描き目でなく、ドールアイを使っているのが特徴です。でも
残念ながら近年は発売のペースが落ちてきて、新作の発売がなくな
ることをちょっと心配しています。
 自分が1/6ドールを作り始めた理由は簡単で、大好きなJ−Dollが
発売されないなら、自分で作ってしまえ・・・、という勢いから始まった
ものなんです。

 さてJ−Doll はジュンプランニング時代から始まって10年近い歴史
があります。この間、様々なボディカラーの個体が発売されていまし
た。今回はそのなかでも特徴的なものを3つ選んでみました。


1 肌の色による写り方の違い

 最近のカメラでは、コンパクトカメラでもデジタル一眼でも「顔認識」機能がついています。下の画像は、
 下の画像は背景に同じグレーの紙を置いて、それぞれCanonのs90で撮影したものです。すべてモードは<オート+顔認識>です。



 左がいちばん忠実な色を表現しています。真ん中は背景がやや暗めに写っています。右は全体にピンク色がのってしまいました。
  顔認識機能は、顔を関知すると肌部分を適当な露出や色合いに調整してくれるので、左は人形としてはやや日焼け肌ですが、
実際には人にいちばん近いので、ほぼ適正な明るさ色合いが保たれています。真ん中は肌が白いのでカメラが暗めに調整し、背景
が見た目よりやや暗めになっています。右は黄色がかかったライトグレーがもともとの色なのですが、人肌でそのような色はありえ
ないので、カメラが勝手にピンク系に調整してくれました。(本来の色は下の写真からご判断下さい)

 <オート+顔認識>は日常的な撮影には便利ですが、あうまでも人間用に調整されているので、人形撮影に使用すると思いが
けない色合いになってしまうことがあります。



 次は3体並べてみました。基本的には真ん中のDOLLにピントが合うようにしてあります。カメラは色調整も真ん中の人形に合わせ
ることになります。



 どのDOLLを真ん中にするかで、結果にものすごい差が出てきます。
 この場合、褐色系(人の肌に近い人形)を基準にしないといけませんね。



2 美白系は難しい

 美白系のDOLLは人気が高いですけど、撮影のときには注意が必要です。
 まずは明るい正面からの光だと、コントラストが低くなってカメラの<顔認識>が機能しなくなる。下の人形の場合も
そうでした。まあこれだけ肌の白い人は世の中にいませんから、カメラメーカーとしても想定外だと思います。
 下の画像はプログラムモードでの撮影です。



 左は接近して撮影したもの、右は遠方から撮影したものですが、明るすぎて肌の立体感がなくなってしまいました。(白トビ)
プログラムモードだと、画像全体を適正な明るさに調整しようとします。右の画像は黒い部分が多いのでカメラはこれを明るく
しようと調整し、その結果として肌が白くなりすぎてしまったのです。
 このような現象は屋外の日なたで撮影するときもよく起こります。
 美白系を直射日光下で撮影するのはものすごく難しいです。人形を外で撮影するなら通常肌、もしくは褐色肌をおすすめし
ます。



 ついでに白トビの原因としてはドール本体からの反射もあります。
左は新品未使用のもの、右はつや消し処理をしたものです。



 美白系に限らず、つや消し処理は必ずやっておくべきです。屋内撮影でもお人形の肌がテカテカしてたら恥ずかしいですから。
ちなみにUVカットつや消しクリアーの処理が普通ですが、自分の場合には塗装したDOLLにはウレタンつや消し処理をしています。
 これはウレタンの方が塗装膜が強く、油や水、汚れの定着を妨げてくれるからです。
 表面塗装やボディメイクをしていないDOLLなら、メラミンスポンジでこするのが簡単です。上の画像はこのメラミンスポンジで
つや消し処理をしました。



 メラミンスポンジはものすごく細かなスポンジヤスリと考えて良いです。つや消し処理だけでなく、ちょっとした汚れも数回こすれば
きれいになります。ものすごく便利なアイテムです。



 今回の結論ですが、顔認識はあくまでも人を撮影するためのもの、ですから人肌と違う色合いの素材や、極端なメイクをすると
機能しなくなります。
 標準肌のDOLLを室内撮影するなら<オート+顔認識>で良いですが、これにあてはまらない場合には多少面倒でも、ホワイト
バランスを変えましょう。

 まずは<ホワイトバランス・オート>から<
ホワイトバランス・マニュアル>に変更します。そして白いものを用意して、これが白く
なるように調整します。(やり方はメーカーによって違う)
 あとは
露出補正をします、下の画像は露出補正を+1.7にしました。





 この2つの手順さえふめば、基本的にどんなDOLLでもOKです。念のため露出は何種類か変えて撮影するのが
ベストです。



3 ホワイトバランスの工夫

 ちなみにホワイトバランスについては、別な工夫ができるのでご紹介します。
 カメラは基本的に昼光色を色表現の基本としています。下の画像は窓際で撮影したものです。ごく普通です。





 次は室内撮影です。ホワイトバランスにはオートとマニュアルのほかに、太陽光、蛍光灯1、蛍光灯2、白熱電球など
事前にプリセットされたものがあります。



 左は照明のLED電球に合わせてホワイトバランスを調整したもの、右はわざと「蛍光灯」を選択して撮影したものです。肌の
色がピンク色になりました。この画像も優しい感じでいいと思います。
(フォトレタッチでもある程度できます)

 下の画像はもっと極端に「白熱電球」を選択したものです。ちょっとプロっぽくて、たまにはこんな画像もいいでしょ?