1/12オリジナルドールヘッドの制作 1
ピコニーモボディとの組み合わせ





1/12ドールから目が離せない

 
 ここのところ、可動フィギュアではfigma 、DOLLの世界ではピコニーモ
と1/12スケールの分野に活気があります。
 これまで規模の大きな商品展開のなかった分野でしたが、注目度は
大きいです。もともとドールハウスのスタンダードスケールなので、背景
まで考えると、いろいろな遊びができそうなスケールでもあります。
 問題はお値段かも。
 小さいから安いわけではなく、むしろ小さくて手間がかかる分、お高い
です。ピコニーモの素体で1800円、figmaにいたっては5000円です。
 またドール服の制作も簡単でないと思います。実際にこのスケール
のドール服を作られている方も本当に少ないです。

 右の画像はアゾンのリアンです。研究用に入手しました。
 今回はこのピコニーモディに合うオリジナルヘッドを作ろうと思います。
 

 制作の構想ですが、基本的にはこれまでつくってきた1/6オリジナルヘッドと同様に、
入れ目、ドールヘアー貼り付けを基本にしてゆこうと思っています。でもあまりにリアル
系に振ってしまうと、目が小さくなりすぎてしまうので、それなりのデフォルメは必要に
なります。

1 ピコニーモボディと、ヘッドの芯になるパジコのプル
 ミエです。
2 とりあえず、ぐさっと差し込んでホールのサイズを
 うつしとります。
3 乾いたところで、簡単に輪郭と鼻、口などの形状を
 整えてゆきます。

 今回は粘土にプルミエを選びましたが、それはたまたまそれしか手元になかったから
で、本来はファンドに代表される、もっときめ細かな造形用粘土を使った方が良いです。

     



4 おおまかな原型ができあがったところで、ヘッドを
 分割します。
5 切断面をサンドペーパーで磨き、平坦にします。
 その後サーフェーサーを吹きます。
6 ヘッド後方部分は、カッターナイフで下のように削り
 込みます。

7 エポキシパテを用意します。こちらは粘性も高く
 どんな素材にも張り付いてくれます。
8 ヘッド前方部分にこのパテを貼り付け、下のように
 整形します。
9 これでヘッドパーツのかみ合わせ部分ができあがり
 ました。

10 サーフェーサーを全体に吹きます。白を使ってま
 すが、グレーの方が傷は見つけやすいです。
11 中目のスポンジやすりをかけます。必要に応じて
 パテで修正し、平坦化します。
12 再びサーフェーサー、そして今度は細目のスポ
 ンジやすりをかけます

13 ヘッド後方部分に切れ込みを入れます。この切れ
 込み部分はヘアーを差し込む場所です。
14 ヘッド前方部分に鉛筆で目や眉毛の輪郭を書き
 入れます。
15 裏側から粘土をくり抜いてゆき、アイホールをあけ
 ます。

 おおざっぱですが、これで基本造形は完了です。
 1/12はさすがに小さいです。小さくて手間がかかります。ここで気づいてのですが、
作品の出来を確認するには写真に撮るのが良いです。画像にすればモニター上で
10倍以上に拡大して問題点を探すことができるからです。

   

 モニターで問題点を確認したので修正に入ります。
 道具はカッター、ルーター、スポンジ&スティックやすり、パテなどです。ごくありふれた作業用具です。

  

16 厚みの欲しいところにパテを盛ります。薄め液で
 柔らかくすると作業しやすいです。
17 次に削り、磨いて平坦にする。この課程を延々と
 何回も何回も繰り返します。



 原型ができあがったところで今度は型どりをします。
 今回もレジンによる複製で何体かのDOLLを作ろうと思っています。

18 型どりブロックを並べ、粘土を盛ります。できるだけ
 平坦になるよう整えます。
19 原型を埋め込みます。棒はレジンを流し込む経路、
 穴は方ずれ防止の工夫です。
20 流し込むシリコンを調合、量が少ないのできちんと
 計量したほうが良いです。

21 シリコンを流し込みます。最初は泡の入らぬように
 少しずつ原型周辺からが基本です。
22 1日たって固まったら粘土を取り外します。細かな
 モールドには粘土が残りやすいのでよく見ます。
23 反対側にもシリコンを流し込むのですが、その前に
 シリコンバリアーを吹き付けておきます。

24 シリコンバリアーが乾燥したら、シリコーンを流し
 込みます。
25 1日後、シリコンが固まったら、原型と経路になる
 棒を外します。
26 レジンの流れる経路に注目して、流れを妨げるよ
 うな箇所があればデザインナイフで修正します。

 1/12は1/6より手間がかかります。
 手軽さなら1/6ですね、これより小さくなると制作に関しては万人向けとはいえなくなる、
この分野で活躍できる創作系の人ってすごいと思う。



 次はレジンによる複製です。こちらも道具さえそろっていれば難しくはないです。

27 レジンを流し込む前に、離型剤を全体に吹き付け
 ます。
28 流し込む方を上にして板で挟み込み、ベルトできっ
 ちりと固定します。
29 電子天秤でレジンの調合をします。今回は汎用性
 を考えて色はアイボリーを使います。

30 気泡の入らないように静かに流し込みます。3分
 たったら取り出せます。

 それで、型を開いたのが下の画像。
 まだ最終的な作品の善し悪しは分かりません。あくまでもこれはテストショット。
組み立てて塗装して問題点があれば修正します。
 次回はこちらに塗装を施し、ピコニーモボディに組み合わせるところまでご紹介
します。