オリジナルドールヘッド ikumi の製作 2
ポリウレタンの流し込みから完成まで




                                 ボディとヘッドの相性って結構あるもので、どんなに可愛いヘッドでもボディが変
                                わると全く似合わないなんてこともしばしば。今回はそのあたりのことも含めて解説
                                をしてゆきたいと考えています。


3 ポリウレタンの流し込み

 前回、シリコンの型をつくったので、今回はこの型にポリウレタンを流し
込む段階から説明します。市販されているものには、いろいろなタイプ、
色がありますが、もっとも一般的なものでぜんぜんかまいません。いろ
いろ調べていちばん安いものを購入します。

1 シリコンの型にまずは離型剤を吹きつけます。
 型を保護するために必要な手順です。
2 今回は手間をはぶくため、3つのシリコン型に同時
 にウレタンを流し込むつもりです。
3 今回はウエーブのポリウレタン(アイボリー)を
 使用します。入手しやすいです。

4 電子天秤を使用して、A剤とB剤を等量混合し
 ます。
5 手早くかくはんし、型に流し込みます。ここまでの
 作業は手早く確実に。
6 おおむね2〜3分で固まります。固まったら型
 から外します。

7 満足のゆくパーツがとれたら、まずは枝のついた
 状態で1つずつ保存します。
8 続いて必要数を型に流し込みます。今回は全部
 で5回繰り返しました。

 7の過程で1つずつパーツを保存するのには理由があります。シリコンの
型には寿命があって、30回ほど離型を繰り返すと型が破れてしまうのです。
そのときこのパーツがあると型の再生のときに、いろいろ役に立つのです。


9 パーツを切り離したら中性洗剤を溶かしたバケツ
 に入れて洗います。
10 洗ったら水ですすいで乾燥させます。離型剤
 を落とす薬剤も売られていますが、これで充分。

11 パーツを見ると問題がある場合があります。凸部
 は削り、凹部はパテなどで埋めます。
12 パテが乾燥したら、耐水ペーパーで磨いて仕上
 げます。

13 こちらは大きなレジンの気泡が出てしまった場
 合です。
14 この穴に合わせてパーツの枝部分を削り、穴
 にぴったりのものをつくります。
15 穴に瞬間接着剤を流し、ここにつくった補充材を
 埋め込みます。

16 乾燥したらカッターで削り、そのあと耐水ペー
 パーで磨いて仕上げます。
17 最後に全体に400番ぐらいのペーパーで磨いて
 下地を完成させます。

 このあたりまではとても地味な作業なのですが、できあがりに大きな
影響があるのできちんと作業します。


4 メイクから完成まで

 自分のつくるドールヘッドの特徴は、機能的には入れ目で睫毛つき、
ウイッグ交換が可能というものです。ですからヘッドは2つに分割して
つくってあり、それぞれのパーツは
ネオジムマグネットで結びつける
ようにしてあります。

18 ネオジムマグネットについている油分を中性洗
 剤で落とします。
19 上下のパーツのホール部分にエポキシ接着剤
 を塗り込めます。
20 それぞれのホールにネオジムマグネットを接着
 します。

21 磁力を利用してヘッドのフェイスパーツを金属
 板に貼り付けます。
22 この状態でまずはフェイスパーツにホワイト
 サーフェーサーを吹き付けます。


 これまではオビツSBHのホワイティボディのカラーを基準にして、
ヘッドパーツを塗装していましたが、今回のヘッドはPhicenもしくは
クールガール用ということで、色の調合を変える必要があります。

23 基本色として、Mr.カラーのNo 111、 112、51
 の3色を使います。

24 こちらはPhicenのペールボディ、この色に近く
 なるように混色します。

25 エアブラシでフェイスパーツに吹き付けたとこ
 ろです。

26 次に全体にメイクしてゆくわけですが、今回は
 発色がよいというガイアカラーを使いました。
27 赤い部分を、No.053ノーツフレッシュ ピンクで
 強調します。
28 影になるとことはNo.54ノーツフレッシュ オレンジ
 で、またハイライトはNo.52でメリハリをつけます。

29 基本メイクが終わったらウレタンのつや消し塗装
 を行います。
30 この塗装は下地の保護を目的としているため
 全体に3回程度繰り返します。
31 乾燥したらブラウン系の塗料で眉毛、睫毛を
 描き、アイラインを強調します。


 これまでつくっていたヘッドよりも、目はずっと小さいです。ですから
自作アイもそれに合わせて小型のものを用意しなければなりません。

32 アイホールの大きさに合わせてUVレジンを利用
 してアイをつくります。(作り方は別のページ参照)
33 フェイスパーツに睫毛を取り付け、更にパテで
 アイを固定しました。

 こちらがヘッドパーツのとりあえずの完成画像となりますが、まだまだ
手を入れる必要がありそうです。このフェイスに合ったメイクの方法も考
えなくてはなりません。
 しかしながら目や鼻、口といった顔のパーツが小さくなると、その分ペ
イントに手間取ります、面倒です。ちょっと小さくなっただけなのになあ。

  


 とりあえず、このヘッドとPhicen ボディの相性を見てみようと思います。
下がPhicen ボディと付属の標準ヘッドです。

  

35 ヘッドに切れ込みを入れてジョイントパーツを
 取り出します。
36 ジョイントパーツを本体に戻します。この形状
 なら、いろいろなヘッドと交換できそうです。


 下のヘッドは左から、オビツ植毛ヘッド、これまでのオリジナルヘッド、新作ヘッドです。
思った通り、新作ヘッドとリアル系ボディとの相性は良さそうです。
(標準ヘッドよりずっと可愛い!)

  


 ちなみに今度は逆にオビツSBHボディに新作ヘッドと、Phicen 標準ヘッドを組み合わせてみました。
新作ヘッドは今ひとつしっくりきません。Phicen に至ってはコメントするまでもないでしょう。
(思わず笑っちゃいました)

  


 ということで新作ヘッドにもう少し手を加え、あらためて組みなおしてみました。このヘッドに
似合うメイクはこれから研究するとして、とりあえず現時点では満足できる仕上がりです。









 このヘッドが仕上がってから、Phicen の最高級ボディ、スーパーフレキシブルの購入を決めました。
人によってはオリエント工業の製品に匹敵するというので、ものすごく楽しみです。(2万円近くするけど)
 クールガールやPhicen、Hot stuff といった可動フィギュアはGIジョーの流れをくむもので、ヘッドはど
れもいかにもファイターって感じで、正直なところ可愛いと思ったことはあまりないです。
 ですがたとえばヤフオクなどで、別に可愛いペイント済みのヘッドを調達しても、たとえばそれがオビツ
の植毛ヘッドだったりすると、大きさや造形のバランスが悪すぎてしっくりきません。
 今回やっぱり専用のヘッドが必要なんだなってことが分かりました。
 それから、ボディとヘッドの様々な組み合わせについても、また場所を変えて議論したいと思います。

 あと問題なのはこのボディにあうOFがないこと。戦闘服やボディスーツなんかはたくさんあるけど、こ
れに似合った普通の洋服は皆無に等しいです。
 しばらくは大きめにできた、または伸縮性のあるバービー用のものを使おうと思っていますが、どこか
に適当なものはありませんかね? まあ、自分でつくるって方法はありますけど。