森・二俣



2016.08.14

 お盆のお休みの最中、静岡県西部の森町と二俣地区(浜松市)に行って
きました。今回は自家用車でなく列車利用です。

8.14
(日)
 
8:00
 天竜浜名湖線(通称、天浜線)掛川駅に着きました。
 天竜浜名湖線はもともと国鉄の静岡県の掛川-新所
原間を結ぶ東海道線の迂回路として昭和15年に全線
が開通、そして1987年には第三セクターの運営となり
ます。
 
       
 起点となる掛川駅でとても親切なガイドブックや時刻
表が入手できます。役立つ情報が満載で必携です。


        今回は掛川駅を出発し、天竜二俣間を往復します。そして途中、森町にも立ち
       寄ります。
       

        なおフリー切符は3種類用意されています。1つは天竜浜名湖線全線(掛川-西鹿島
       -新所原)1700円、2つ目は東ルート(遠州鉄道線を含む掛川-西鹿島-浜松)1450円、
       3つ目は西ルート(遠州鉄道を含む新所原-西鹿島-浜松)1450円。
        今回は時間的にも、暑くて体力的にも無理なので全線は無理。近場の東ルートを選択
       しました。
        ちなみに画像からは曇りでさほど暑くなさそうに見えますが、この日の最高気温は31℃、
       完全な無風で汗だらだらの一日でした。爽やかな顔をしているのはお人形だけです。

       8:19発の宮口行きが入線です。この車両でまずは森町まで行きます。
       

        休日の朝なので、乗客は自分たちを含めて3人だけ。
        おかげで座席移動もしながら、ほとんどフリーで撮影できます。
       でもこれじゃ会社としては利益が上がっていないかも。
         

        途中の桜木駅です。この駅舎は登録有形文化財に指定されてます。
       

        天竜浜名湖線の特徴は、何と言っても登録有形文化財に指定されている鉄道施設の
       多さでしょう。駅だけでも全部で11駅が指定を受けているそうです。

       

         昔の町並みや田んぼや畑のなかを通り抜けてゆきます。映画のロケに使われるのも
       分かります。SLの時代そのものの風景かな? 天竜浜名湖線にSLは今は走ってないけ
       れど、きっと似合うと思います。

        
                         
▲ 天浜線の風景
          こちらの画像をクリックすると動画が見られます。但し帰りに撮ったので
          逆方向です。また高画質なのでちょっと重いです。



        8:43
         遠州森駅に到着しました。あの森の石松で有名な森町です。ちなみにこの駅も
        国登録有形文化財に指定されています。
       

       
                                         ▲ 遠州森駅の風景
                                  こちらの画像をクリックすると動画が見られます。



 森町にやってきたのはこれで2回目、有名な場所に
はすでに行っているので、今回は街そのものを散策し
ます。
 森町は鎌倉時代から開けた場所で、信州に続くいわ
ゆる塩の道の宿場町として発展してきました。

 右は駅近くにある金森神社。町内には古い寺社がた
くさんあります。
       
 とても大きな藤棚、20m四方ぐらいありそう。
 咲いてる景色を想像。きっと壮観なんだろうな。

         駅から歩いて5分ぐらいの天宮と呼ばれる地域です。このあたりには古い町屋が
       並んでいます。
       

        

         麹屋さんとお味噌やさん。
        

        立派なお米やさん。
       

        歴史を感じさせる割烹旅館「新屋」。何でも森の石松の養家だったとか。
       

        町の外れの天宮神社、1500年ぐらい前の創建だそうです。
        伝承される舞楽は国の重要無形民俗文化財。
       

        

        樹齢1000年を越えるナギの木、真ん中に大きな穴が開いてます。
       

        街道に沿って流れる太田川。
       

        昔は町裏からは三味線や太鼓の音も聞こえていたそうです。そしてたくさんの寺社と
       川の流れ、そんなことから森の町は小京都と呼ばれていたそうです。
        実際、少し寂れている感は否めませんが、ゴミや放置されたものなど一切なく、全てが
       きちんと整っていて、町自体に凛とした格調のようなものを感じます。

        町内にはもう一つ、城下にあたる町並みもあるのですが、列車の時刻もあるので残念
       ながら今回はパス、また次回ということにしました。



10:10
 戸綿駅です。ちょうど掛川駅方面に戻る方向に1駅
歩いてしまいました。
 何もないのがかえって清々しいです。

       



       10:39
        天竜二俣駅に到着。こちらの駅も有形文化財です。天竜浜名湖鉄道の本社も
       この駅にあります。
       

        国鉄時代の車両、キハ20443、ナハネ20347が展示されています。
       

   駅の待合室に展示されているNゲージなどを見てい
たら、何やら人が集まり始めました。
 どうやらこの後、転車台+鉄道歴史館見学ツアー
が始まるようです。(天竜二俣駅構内、所要時間45分)
 200円で歴史的な建造物が拝見できるのならと思い、
自分たちも参加することにしました。
  

        見学ツアー開始です。こちらはSLの時代に使われていた貯水槽。
       

       今も事務所としている天竜二俣鉄道の社屋、こちらも有形文化財です。
        

         扇型車庫と転車台。
        
                           ▲ 転車台
         こちらの画像をクリックすると動画が見られます。ちょっと長いです。


         天竜二俣鉄道はあまりお金がないので、古いものをただでもらったり、あちこち
        から安く譲り受け、自分たちで整備しながら大事に使っているんだそうです。
         地方路線てみんなそうなんだよなあ・・・。

       

        ここから先が資料館、国鉄の時代のものがたくさんあります。
       

        

        

         天竜二俣駅の全景(Nゲージサイズ)。すごく正確に精密にできてます。
       

         天竜浜名湖鉄道には36もの国登録有形文化財があって、そのうち20ぐらいがここ
        天竜二俣駅にあるらしいです。鉄道に興味のある方には必見ですね。
         あと天竜浜名湖鉄道のように、全線が有形文化財に指定されているのは、わたらせ
        渓谷鉄道(群馬・栃木)、若桜鉄道(鳥取)があります。



11:30
 天竜二俣駅構内にあるラーメン屋さん「ホームラン軒」
で昼食にします。正統派の醤油ラーメンですね。
 自分は特性中華670円をオーダー、焦がしニンニクが
よくきいていてとても美味しかったです。
       
   



       11:50
        向かいの小さな公園にあったC58。実際にここを走ってました。
       

        



        二俣は城下町なのでそれなりに古い町並みがあるみたいです。ということで
       周辺を散策することにしました。

       下の酒屋さんの屋根と壁はウイスキーの樽でできてます。
        

        「ヤマタケの鞍」、元は内山家の座敷蔵

       

       



12:10
 ちょっとおしゃれな喫茶店で休憩。
     



        町の山懐にある清龍寺。圧倒的な存在感のあるお寺です。
        こちらは二俣城で自害した徳川家康の長男信康を弔うために、家康が建立した
       んだそうです。
       

        

       

       



 この清龍寺の上段に鐘楼があるのですが、以前は
この鐘が正午を伝えるのに使われていたとか。
 ホンダの創始者本田宗一郎はここ二俣の出身で、
こどもの頃、この鐘を早めに突き、お昼ご飯に30分早
くありついたという逸話が残っています。



 その本田宗一郎の人物と業績を解説する施設が
ものづくり伝承館で、清龍寺のすぐ横にあります。
(入場無料)

          ホンダの創業はバイクから、ということで1Fには大ヒットしたスーパーカブなど
         の展示があります。
  
      

          スーパーカブのエンジンは、基本的な部分は今もほとんど変わっていないという、
         とても優れた設計のエンジンです。
         

          2Fには本田宗一郎の残した書画の展示があります。
      

         ここにはミュージアムショップなどはありませんが、模型やイラスト、その他グッズ類
        が受付で販売されています。下手なおもちゃやさんより、ホンダのプラモの品揃えは
        ずっと良いです。



13:40
 最後に二俣城址にやってきました。
 1568年から7年間、徳川氏と武田氏の攻防の舞台と
なったところ。そして武田氏との内通を疑われた家康の
長男、信康が幽閉され、そして自害した歴史の舞台で
もあります。

        城山の中腹からの風景、こちらから町が一望できます。
        



 こちらの和菓子屋さんでお土産を買いました。
       



14:10
 今度も1駅分歩いて二俣本町駅に着きました。
 本町なので、何かあるかと思ったのですが、無人駅
で何もない・・・。
       
 駅のホームにあった木製の椅子。地元のチェンソー
アーティストのつくった天使の椅子だそうです。

       14:37
         掛川行きが到着です。やっとこれで涼しい車内に入ることができます。
         夏は休みが取れてあちこち出かけられるけど、やっぱり一日お散歩するには
        つらいです。
       

        昨日ニュースを検索していたら、天竜浜名湖鉄道と台湾鉄路管理局が姉妹鉄道協定を締結したみたいです。
        ちなみに台湾の鉄道施設は日本統治下の時代に建設されたものも多く、天竜二俣駅の転車台や扇型車庫と
       同じような設備が今も現役で働いているということです。
        ちなみに協定が結ばれたことで一般人に何かメリットがあるかというと、天竜浜名湖鉄道の使用済み1日乗車
       券を持参すると、台湾鉄路管理局の路線の1日乗車券が無償でもらえるということです。(逆もアリ)
        ということで今回使った1日乗車券は、いつか台湾に行くときまで大切にとっておくことにします。
        まさにローカル線も国際化の時代だね。でもそうしないと生き残っていけないという厳しい状況もあるんだろう
       けど。



2016.8
camera:Canon Power shot G7X / graphic tool: Digtal Photo Pro. + Ichikawa Daisy Collage 10




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