eye4工房番外編

電停のある風景をつくりました。



2016.10.25
 Nゲージは線路幅9mmの鉄道模型全般のことで、スケールはおおむね1/150となります。
 鉄道模型の世界ではもっと小さなZゲージ(1/220)があったり、艦船模型などでは1/350や
1/700など、更に小スケールのもののあったりしますが、おそらくはフィギュアが表現されて
いるスケールとしては最小のものになると思います。
 1/150だと、たとえば人間はほぼ1cmの大きさに縮小されてしまい、細かな表現は難しくな
ってしまうのですが、それでもいかにそれらしい世界をリアルに表現できるかが勝負ですね。





1 基本レイアウトの制作
 今回は「けいおん!」 とか「鉄道娘」といった可愛いキャラでラッピングされた路面電車に
似合う、電停のある風景を再現しようと思います。
 材料としては18mm×6mmの角材、5mm厚のスチレンボードからベースをつくり、市販され
ているストラクチュアのキットなどを組み合わせて完成させてゆきます。

1 角材でつくったフレームにスチレンボードを貼り
 付け、49.6cm×20cmのベースをつくります。
2 スチレンボードに穴を開けて、動力線を通す穴を
 開けます。
  3 KATO製の路面電車用のレールを万能ボンドで接着
 します。


 まず最初に建物を組み立てて、全体のレイアウトを確定させたいと思います。今回は市販され
ているストラクチュアを利用します。組み立てたのは下の3種類です。

4 KATO製の郵便局。こちらは細かなパーツ以外は
 組上がっていて塗装も済んでます。
5 green max の木造商店。こちらはプラモと同様に
 組み立てと塗装が必要です。
  6 fujimi の雪ミク電車についていた時計台。組み立
 ててみたら、1/150スケールとしては小さすぎ。


     7 構想を練ります。KATO製の電停も置いてみました。
    

8 路面電車の軌道に6mmの厚さがあるので、スチレ
 ンボードと厚紙を張り、フラットににます。
 
 



     9 詳細なレイアウトを決めてゆきます。薄くて見にくいですが、道路や駐車場、並木の位置
      などの位置を鉛筆で書き込みます。
    

 まず最初に道路や歩道、地面といったベースとなる部分を表現してゆきます。ペイントは
リキテックスを基本として、ジェッソやタミヤの情景テクスチュアペイントなどを併用します。

10 厚紙を重ね、道路より1段高くなる部分を表現
 します。歩道や建物の敷地になります。
11 細かいですが、駐車場の入り口はエポキシパテ
 でスロープにします。
  12 リキテックスのグレーとグリーンを混ぜて歩道を
 塗ります。

13 歩道の道路側をマスキングして、明るいグレー
 でコンクリート部分を表現します。
14 今度は内側をマスキングして、タンで地面となる
 ところを描いてゆきます。
  15 最後にコンクリート部分をマスキングして、テクス
 チュアペイントでアスファルトを表現します。

16 完全乾燥後、全体にMrカラーのつや消しをスプ
 レーして、全体のつやを整えます。
17 レールに塗料がかかってしまうと、電車が動かな
 くなってしまうので、塗料を削り落とします。
 



 ということでベースが仕上がりました。
 いちおうこの段階で電車が動くかどうかは確認して置いた方が良いと思います。
建物をつけちゃうと、レール磨きがしにくくなるので。



 次は建物類の塗装と内部照明の取り付けの作業に入ります。
 今回いちばんやっかいなのが、雪ミク電車のおまけについていた時計台。1/150のおまけなんだから、
こちらも1/150かと思ったら、ぜんぜん小さくて1/300ぐらい。少しぐらい小さくても無視しますが、入口
が高さ8mmでは人間が出入りできない! 違和感アリアリです。
 そこでプラ版を継ぎ足して、時計台をまねした時計台風のカフェに改造しようと思います。

18 時計台の下にプラ版を継ぎ足して、10mmほど
 高くしました。
19 LEDを仕込むため、中をいったん黒く塗り、更に
 シルバーを吹き付けました。光漏れ対策です。
  20 乾燥したら、本来の建物の内部色ライトグレー
 に仕上げます。

21 時計部分は丸く、くり貫かれているので紙の文字
 盤を張り、UVレジンを流し込んで仕上げます。
22 木造商店も同様に光り漏れ対策します。床がない
 ので、テーブルなどは直接地面に接着します。
 
 

 出来上がってからだとやりにくいので、電飾は早い段階で行うことにします。今回は3つの建物
のほかに、街灯を2本取り付ける予定です。

23 厚さ5mmの丸いコルク片を切り、四隅に貼り付け
 ます。
24 ベースに穴を開け、2本の街灯とプラ棒にとり
 つけた3本のLEDを差し込みます。
  25 こちらが裏側の状態。LEDコードと導線はハンダ
 づけの後、収縮チューブで接合部分を保護します。

26 ごちゃごちゃしているところを整理して束ね、まと
 めて外に引き出します。
27 ちゃんと点くかどうかを確認します。光の漏れも
 なくこれでOK。
 
 

28 配線がむき出しだとトラブルのもと、そこで半
 透明のシートで裏側を覆います。
29 ついでにフレームの端にクリップを木ねじで留め
 ました。壁に掛けられるようにする工夫です。
 

    30 あとは3つの建物をふつうにペイントして基本工作は完了です。
    

    

 さて、これじゃまだまだ情景としては寂しい限りです。この先このレイアウトをどう発展させてゆくか、
しばらく遊んでみてから考えてみたいと思います。
 現在の完成度は40%ぐらいかな? 次回の更新ではフィギュアや小物類の取り付け、植物の再現
などを行い、リアルな情景として完成させたいと思います。








2016.11.28

2 庭づくりとフィギュアの取り付け



 Nゲージのレイアウトに必要なのは、まずは列車、そして線路や建物類なんだろうけど、それら
をそろえただけでは、ぜんぜんリアルじゃないです。
 いくつかメインになるもののほかに、実際にはそれらの何倍ものパーツと、主人公たるフィギュア
があってこそリアルなレイアウトが成立するんだと思います。
 今回はこういったリアルさを追求して、電停レイアウトを完成させたいと思います。

31 道路の中央線と横断歩道を市販の転写シール
 で表現しました。
32 電停の黄色いラインを表現し、全体の調子を整え
 るため、その後つや消しクリアーを吹き付けます。
 

33 和風の建物は食堂にしました。のれんを下げ、
 看板をつけます。
34 裏側にはそれらしく給湯器やエアコンの室外機
 などを置いてみます。あとは意味なく段ボールも。
 

35 郵便局もそれらしく掲示物を貼ったり、看板を立
 てたりします。
36 裏側には小さな庭があるので、そこに小さな花壇
 をつくってみました。
 

 さて、こういった庭や野原を表現するためにいろいろな素材が市販されています。
 下は背丈の低い草花などを表現するのに使われるもので、ターフやフォーリッジ、または
ライケンと呼ばれるものなどです。



 ミニチュアの樹木には様々な種類があります。



 地面を表現するターフやパウダー、バラストなどです。



 自分の場合、このほかに前回登場したタミヤのテクスチュアペイントを併用して、地面や庭など
を表現しています。知らないうちにこれだけ素材が増えてしまったのですが、リアルに表現する
ためにはどれも欠かせないものです。
 次にこのレイアウトの見所となる、カフェレストランの庭をつくります。

37 芝生の表現をするところを残して、マスキングして
 ゆきます。
38 グリーンのテクスチュアペイントを塗り、乾く前に
 芝生っぽいパウダーをまきます。
  39 乾燥後、白く塗ったフェンスで庭を囲ってみました。
 思ったより良い感じだね。

 8cm四方の庭の真ん中に池を置きたいと思います。今回はUVレジンを使って水を表現するつもり
ですが、ちょっと工夫して立体感を出そうと思っています。

40 白のスチレンボードを枠にして、中央に白塗りした
 フィギュアを配置します。
41 池の底にそれらしい表現を加え、UVレジンを半分
 ぐらい注ぎます。
  42 紫外線で固めたら、また魚や水草を描いて、UV
 レジンを注ぎます。

43 更に紫外線で固め、浮いている水草を描き、花
 の表現をします。立体的な池になりました。
44 樹木には薄めたスーパーフィックスを吹き付け、
 ターフを振りかけると、ちょっとリアルになります。
  45 この樹木とフォーリッジを丸めたものを、適当に
 配置してゆきます。

    46 最後に mini natur で花を表現し、池、ベンチなどを配置
      します。
    

 これで8cm四方の庭が完成です。自分でも満足な仕上がりです。
 このカフェレストランにも「時計台」という名前をつけて、看板やメニューなど
を整えてみました。

47 この建物に勝手口がなかったので、付け加えて
 みました。
48 電柱を通りにそって配置します。広告を貼り付け
 るとまたちょっとリアルになります。
 

49 歩道を並木道にしてみようかと思います。まずは
 穴を開けて周囲をマスキングします。
50 アースカラーのテクスチャペイントを塗ってゆき
 ます。
  51 乾いてしまう前に、オレンジ系のパウダーをまい
 て土を表現します。

    52 ターフを振りかけた樹木を接着して並木道が完成です。
     けっこうそれらしくできあがりました。

    

53 このあと雰囲気を出してくれる小物類を追加して
 ゆきます。まずは道路標識です。
54 横断歩道の前に「一旦停止」を配置。この食堂の
 横にはこのあと自動販売機も設置しました。
 

 さて、カフェレストランの庭が素敵なので、お向かいの食堂ももう少しがんばって
みます。庭がないので店先にプランターや鉢植えなどを置いてみましょう。

55 プラモのランナーを引き延ばして支柱をつくりま
 す。下のプランターはKATOのもの。
56 プランターにターフを詰め込み、スーパーフィック
 スを流し込みます。
  57 支柱を立てて乾燥させます。
 (なかなか乾かない、他の接着剤を使えば良かった)

58 支柱をグリーンに塗り、フォーリッジをほぐした
 ものを貼り付けます。
59 さらにここにスーパーフィックスを吹き付け、白の
 パウダーを蒔いて花を表現します。
 

    60 お店の前にこのプランターを配置します。入口の反対側には鉢植えも
      置きます。店の裏側には雑草などを生やして完成です。
    

61 使用するフィギュアはそのままでなく、ちょっと手
 を加えると見違えるように良くなります。
 

    62 フィギュアを配置し、細かなところを調整して完成です。いちばんの
      見どころは、やっぱりこのお庭かな。
    



 こちらが全体完成画像です。レイアウトのサイズはおおむね50cm×20cmです。雪ミク電車
乗っけると、さながら札幌周辺の雰囲気かな? 見たことないけど。
(北海道には4回行ったのですが、札幌にはなぜか行ったことないです)





 で、このシチュエーションには一応の設定があります。
 とある郊外の住宅地、時期はまだちょっと暑さの残る10月初めの朝です。
(造り始めたのがこの時期だった)
 季節的に電車と合いませんがご勘弁を。



10月8日(金) 6:40
 通勤、通学の始まるさわやかな朝。
 犬とランニングしている人がいるね。



 電停に並ぶサラリーマンはまだ多くありません。



 7:20
 駅前食堂のご主人は仕入れを終えて戻ってきました。
 街全体が動き始めた感じです。



 店の前のお掃除をしていた奥様は、ご近所さんと立ち話。



 電停に向かう幼馴染の二人、今も同じ高校に仲良く通ってまます。



とまあ、こんなところです。

 今回使用したフィギュアには、基本的にすべて手を加えています。1cmぐらいのフィギュア
ですが少し手を加えだけで、がぜん存在感やリアル感が増します。さすがに眼を入れたり、
メイクしたりはできませんが、髪の輪郭を整えたり、影を入れたりしてシャープな感じに仕上
げます。
 KATOのフィギュアは少々お高いですが、素材としては抜群で、上の女の子が笑っている
の分かりますよね?



 この制作に並行して、以前造ったレイアウトも全体的に見直してみました。
 こちらの作品はおおむね75cm×20cm、シチュエーションとしては地方の小さな駅、春の
平日、中高生が帰宅する時間帯といったところです。





 変えたところは、主に細部の表現、枕木とバラストの微妙な色合いの違いだったり、
生えている雑草の表現だったりします。



 駅横の花壇や祠周辺にも手を加えました。脇役に手を加えるって、とても大切なんだと
思います。



 このほか、バス停や自動販売機、消火栓、標識、フィギュア・・・、いろんなとことに手を
加えてみました。



2016.04.07(水) 16:40
 とある郊外の小さな駅、一両編成の電車が到着しました。



 帰宅する高校生。二人の女の子は何を話しているのかな?



 買い物を終えてバスを待ってます。今晩のおかずは焼肉だと思う。



 サッカーボールを買ってもらった少年とおじいちゃん。
 それを迎えに来た犬。



 17;50
 駅横の小さな公園、ふだん遊ぶ子どもが少ないのか、公園には少し雑草が生えて
きてしまいました。
 誰が忘れていったのか分からないけど、青いビニールの傘がちょっと寂しそう。



 その公園の傍らで語らう二人。もうすぐ暗くなるから、そろそろ帰りましょうね。



 実はこの2つのレイアウト、組み合わせて使うことが可能です。まとめるとちょっとした
駅前の風景が出来上がります。





 DOLLの粘土や塗料が乾くのを待つ間に、ちょこちょこっと作業できる趣味としてNゲージを
始めたけど、奥が深いです。
 あとサイズこそ違うけどDOLLの世界に通じるものはあります。確かに列車やDOLLがそれ
ぞれの世界の主役かもしれないけど、それを取り囲む状況や背景って、やっぱりとても大切
ですね。
 旅のコーナーでご紹介した茨城県の県北芸術祭でも感じたことだけど、やっぱりアートも
ミニチュアもそれを鑑賞する、あるいは体験する状況によっては、狭い世界にとどまらない、
まったく違った価値を持つようになると思います。



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