常陸太田



2016.10.15

 今回は茨城県北部の街、常陸太田です。ここは佐竹氏の居城、舞鶴城の
あったところ、また棚倉街道の宿場町としても栄えていたそうです。
 聞けばのその中心地の鯨ケ丘という地区は、今もなお歴史的建造物が多く
残っているということで、決して観光地じゃないけど期待は大きいです。

10.15
(月・祝)
5:30
 首都高速の混雑する7時以降を避け、早朝行動で
常陸太田に向かいます。
 夜が長くなりました。まだまだ空は暗いです。
       
6:50
 常磐道の守谷SAで休憩するのは、これが初めて
かもしれません。
 せやがやのラーメンありました。こんなところで食
べられるなんて知りませんでした。
       
     



       8:20
        常磐道を東海スマートICで降りて北上、途中眺められるのはすべて
       田園風景です。

      

 久々に見ました!
 これって子供の頃、毛糸のセーターなんかを着て
いる友達に投げつけて遊んだやつだ。

        大きな門を構えたお屋敷のような農家がたくさんあります。
       きっとものすごーく豊かな地域なんでしょうね。

        

      

       *) 今回のモデルはオリジナルドールの sayaka です。



 情報収集のため、まずは常陸太田駅へ。
 JR水郡線の終点の一つだね。沿線には紅葉の名所
もあるので、できれば一度は乗ってみたいです。



8:50
 駅周辺は意外とあっさりしてる。
 たまたま無料駐車場に空きがあったので、ここに車
を止めて散策開始です。




 下は駅で仕入れた案内パンフなどです。
 地域で観光に力を入れているのかな? けっこう豊
富に資料がありました。あと県北芸術祭なるイベント
が行われているようで、こちらのパンフも手に入れま
した。ちょっと楽しみかも。
       
   

        駅から坂を上ってゆきます。旧市街は丘の上にあるらしいです。

       



 坂の途中にある、その名も八坂神社。それほど大
きくないけれど、熊野神社と京都八坂神社から分霊
し建てられたもので、とっても古いみたい。

        北に向かって歩いてます。こちらは西側の風景、下ってます。

       

        こちらは東側の風景、やっぱり下ってます。

       

        ようするにこんな感じです。これから向かう鯨ケ丘は、南北に続く細長い丘陵で、
       断層活動によってつくられたものです。平坦地は入口部分で幅50mぐらい、いちばん
       幅のあるところでも200mぐらいしかないです。
        確かにお城をつくるには良い地形かもしれない。

       



 ここは「鯨ケ丘ふれあい広場」です。
 鯨ケ丘の名の由来は4世紀ごろ 日本武尊が東夷
征伐でこの地を訪れた際に、この丘陵の起伏が鯨に
似ているというところから、そう名づけたと伝えられて
います。


 もともとここには消防署があったらしいのですが、移
転したあと公園として整備されたみたいです。
 トイレに「ここは元消防署」と書いてありました。
       
   



        公園のまわりの民家を眺めると、何かピンク色のパネルが貼ってあります。
       何なんだろう? これ。

       

                  お読みいただけるように、ちょっと大きめの画像にしましたが、何せピンクの地に
                 青の文字なので見にくくてすみません。

                 

                  駅でいただいたパンプレットによれば、ここにあるパネルは県北芸術祭に出品
                 された原孝史氏作の「Sight of Memory」という作品だそうです。
                  一連の作品に書かれている言葉は、すべてそこに住む方々への取材から得た
                 ものだということです。

                 

                 

                 

                 

                 

                読んでいて分かったのですが、この鯨ケ丘という地区は急激に衰退している
               地区らしいですね。華やかだった昔の面影はすでになく、今は子供たちにいっ
               たい何が残せるかと・・・。そんな言葉が多く残ってました。
                でもどうしてこうなっちゃったんでしょ?


       公園のすぐそばにある別雷神社。こちらもけっこう古くからある神社のようですが、
      ものすごくコンパクト・・・。といっても、大きくつくろうと思っても背後は急斜面なので、
      無理かな。

      

       

      



       この鯨ケ丘という地区は、何かこれまで感じたことのない、何か独特の雰囲気のような
      ものがあります。

      

                   

          

         

                     

                     

      

                   

      

       書かれている言葉をずっと読んでいたら、だんだん切なくなってきました。
       廃業してしまったお店や、放棄された民家もたくさんあります。ここを出ていった
      人はいったいどこに行ってしまったのでしょう?

      

      

      

      



       マンゴク醤油というお店です。建物に風格があります。きっと有名店なんでしょうね。
      こちらにはお客様がたくさんいらっしゃいました。

      


 ちなみにこちらで買ったおせんべいがおいしい!
 最近食べたもののなかでは間違いなくベスト。また
買いにきますよ。



       

                    

       

                   


                     コメント一つ一つがとても重いです。
                     これからどうするか、積極的な方向性のようなものは見いだせずに、時だけが
                    流れていってしまっているということでしょうか・・・。


 こちらは登録有形文化財「梅津会館」、1936年に
太田町役場として建てられ、1978年までは太田市
役所として使用されていたということです。
 ちなみに海産物問屋として成功した梅津福次郎と
いう人物が建設費を寄付したとか。ちなみにこの方
は他にも高校やお寺、神社の建設費も援助したと
いう偉い人です。
 ちなみに市役所が移転した後は警察署や消防署
として利用され、最終的に12年前からは郷土資料館
として活用されるようになったみたいです。

       
 2Fでは県北芸術祭の企画「ニパン・オラニウエー
氏によるベビーパウダーでできた地図」がありました。
(撮影不可)

 せっかくなんで、おみやげに常陸太田市章のピン
バッジを買いました。佐竹氏の家紋をモチーフにし
ているんですね。

       



         この鯨ケ丘地区の中心部まで駅から1kmだけど、上り坂のなのでお年寄り
        にはやっぱりバスが必要なんだろうなあ。ちなみにこの一帯に駐車場はある
        けど大きくはないです。基本的には徒歩かバスの選択です。

       

        こうやってみると前の震災の影響も大きかったようです。
        未だ修復されていない建物は多いです。

       

       

                   

       この一角がちょっとおしゃれ。もともとは小民家を活用したフレンチレストランだった
      みたいです。

       

       ここも県北芸術祭の会場です。
       睡眠、食事、くつろぎ、仕事といった1日の行動を21色におきかえ、その生活を模様に
      して表現してます。Life Stripe (Spread)。

      

       下にその解説があります。赤ちゃんだと、まだ平穏な緑一色というこかな。

      

      

      

       なお、この芸術祭は一部を除き、基本的に撮影OK、サイトへの紹介もOKという
      ことになっているようです。
       きっとこれも町おこしの一つなんだろうなあと思いました。これをきっかけに少し
      でも多くの方々に足を運んでいただきたいということでしょう。

      

      

                   

                   

                   

       街の中心部に設けられた休憩施設です。土曜日ということもあって、けっこう
      訪れた方は多かったです。

       



 時々、おしゃれなお店なんかもあります。こちらは
雑貨屋さんです。
 ムーミンのキャンドルスタンド買いました。

 

               



 旧稲田屋赤煉瓦蔵です。
 こちらは明治43年の建築され、国の重要文化財に
指定されています。
 当時の名工、宮大工斎藤辰吉氏の作品だそうです
が、100年を経て震災も乗り越えて、びくともしていな
いというのはさすがです。




       ここからお城のあったところまで行ってみようと思います。

       

        

       

       箒のワークショップがありました。

      

       昔は箒づくりも盛んだったようですが、今つくっているのはおばあさんただ一人だそうで、
      後継者もいないそうです。ということでご近所の方々がその技術を継承すべく、頑張って
      いるんだそうです。

       下は麹やさん。

       

                 

       お店に張られたパネルがものすごく多く、内容もよく考えられたものだったので、
      お尋ねしたら、こちらの商店会の会長さんのお宅でした。この芸術祭にかなり期待
      されているようです。

       下はお醤油やさん。

      



      11:00
       舞鶴城址です。今は太田小学校の正門あたりに石碑が残るだけです。
       佐竹氏は20代440年間こちらを本拠としていましたが、関ヶ原の合戦では
      東西どちらにもつかず、そのため合戦後は秋田に国替えとなってこちらの
      城は廃城となりました。

      

       ただ廃城になってからも、ここには幕府のお役所が置かれ、行政の中心
      として、あるいは交易の中心地、宿場町として発展を遂げたということです。
       がしかし、やはり城やお役所を築くには良いとしても、この鯨ケ丘は現代的
      な建物を造るには狭すぎるわけで、更には駐車場のスペースもない。
       ということで特にバブル以降は大きく新しいお店はみんな丘の下、広い道も
      駅も丘の下、そして人々の住む場所も丘の下ということになっちゃったみたい
      です。

       若宮神社。佐竹現時の氏神で太田16町の鎮守だそうです。

      

       こちらの大ケヤキは樹齢500年。

      

               近くの提灯やさんのパネル。

               

       こちらの建物も震災でかなり傷んでいる様子。

      

       近年、東京への一極集中がすすんでいるなかで、あえてこの鯨ケ丘を選んで住もうという
      人は少ないのでしょうね。そして住み続ける人も利便性の良い丘の下を選び、最後は商店
      だけでなく、市役所ほかの施設も下へ。確かに断層の上に市役所や消防署じゃ、ちょっと
      不安が残ります。
       そして地域の活性化のため、観光というところに活路を求めたけど、そんなときに前の震災
      が起こってしまったということなんでしょうか。

       下は七つある坂のなかの一つ十王坂。

      



      

      



 ここの鯨焼きが名物というので、ここくじら屋さんで
休憩です。
 くじら焼き≒たい焼きですね。あっさりしていて、ちょ
っとクレープに近いかも。




       街角のギャラリー。

       

       法然寺、山門がすごく立派。

       

        これまでもいくつかの古い町並みを見てきたけど、そのなかでも特にここ鯨ケ丘はドラマ
      ティックなところでした。
       急激に過疎化がすすんではいるけれど、皆さんが活性化の方策を探りつつあるのは確か
      なので、誤解のないように。
       芸術祭自体も11/20まで開催されているので、お散歩好きの方はぜひ訪れてみて下さい、
      おすすめします。



12:00
 お昼になりました。このあたりは常陸秋そばが名物
ということで、西山の里・桃源にやってきました。
 やっぱりこの季節の蕎麦は香りが違うね。
       
   

       この西山の里には水戸黄門が晩年を過ごしたという隠居所、西山荘があります。
      「大日本史」はここで編纂されたそうです。
       来てみてちょっと失敗したなと思ったのは時期的なもの、やっぱり紅葉のシーズン
      がベストでしょう。

      

      

      

      

      

       ちなみに今だとこの西山荘のほかに、竜神吊橋、袋田の滝の3施設入場券
      が1000円で販売されていて、かなりお得です。



14:05
 那須に向かう途中、たまたま芸術祭の案内表示に
気づいて、こちら旧上岡小学校に立ち寄ることになり
ました。

       

       

        とても保存状態が良く、NHKの朝の連続ドラマなどのロケにも使われるようです。

       

        ここも県北芸術祭の会場になってます。
        この教室には40人のクリエイターによる40枚のポスターが展示されてます。多くは
       この地域の昔の写真がそのべースになってます。

       

       

       

       

        下の絵は芸術祭とは関係なく、前から展示されていた絵のようですが、
       この小学校で美術を教えていた先生の絵の腕前はたいしたものです。

       

        こちらは芸術祭の出品作品、田中伸太郎氏によるものです。
       床の黒い液面は墨汁。そしてステージ正面に黒漆?の楕円体。風景と一体化
       した作品で素敵。

       

       



 Composit という作品。
 この小学校で使われていた楽器等の影絵です。
       
 Pius Sigit KUNCORO
「嘘つきだった子ども、大子町で真実に出会う。」
 という作品。家出した少年と大子町の老人達のお
話がこの図書室にまとめられています。



        開校して100年以上の歴史があり、この建物自体も昭和初期のものだそうです。
        そして廃校になってからすでに15年が過ぎているというのに、まるで昨日まで使
       われていたかのように感じます。いろんなものが詰まってます。

       

       

       いろんな旅をしてきたけど、今日ぐらい驚きがあって充実した旅はなかなかないです。
       その存在すら知らなかった芸術祭ですが、このコンセプトはいいね。芸術は決して美術館や
      ギャラリーだけで見るものじゃなく、現実世界の中でこそ一体化し、その価値を発揮するものが
      確かにあります。他にもいくつか開催地があるようなので、ちょっと行ってみたくなりました。



2016.10
camera:Canon PowerShot G7X / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + Ichikawa Daisy Collage 10



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