磯子



2017.06.04

 横浜のお散歩旅は前回、三渓園と根岸周辺を回ったので、今回はその先の磯子周辺を
散策しようと思っています。ここでの最大の見どころは「横浜市電保存館」です。今はもう
廃止されてしまったけど、70年にわたって横浜市民の足となって活躍を続けてきた歴史が
あります。



06.04(日)
9:00
 市電保存館の開館時刻までは、まだ時間があるので、
まずは根岸駅近くの駐車場に車を止め、一駅先の磯子
までJRで移動することにします。

 このあたりの海岸は埋め立てられて、今は新日本石油
の広大な精油所になっています。ということでこの根岸駅
にはいつも石油輸送のための貨車が延々と連なっていて
なかなかに壮観です。



9:20
 磯子駅に着きました。今日はここから歩いて根岸方面に向かいます。駅周辺は近年に埋め
立てられた地域で、整然と集合住宅が並んでいるという、ある意味普通の風景です。
 もともとの海岸線は少し北側にあって、それを崖として確認することができます。いわゆる
海食崖というやつですね。

 

 下の方は国道16号線沿いの街並みなので、それなりに新しいお店なんかもあるんでしょうが、
我々は迷いなく崖上の旧道を歩くことにします。

  

 「磯子旧道」は横須賀に続く歴史ある道で、昔はここから東京湾を見ながら旅をしていたんだ
ろうと思います。街道に沿って大きな古い家もあったりします。

 ちょっと緑溢れる小山が見えたので行ってみたら、そこはロッテの社員寮でした。近くに「韓国
教育院」という建物もあったので、このあたりは韓国人の居留地だったのかもしれません。

 

 高台の方に迂回すると、そこにはちょっとおしゃれな洋館が建ち並ぶ地域があります。
横浜は開港以降、たくさんの外国人が移り住んだ場所ですが、その大小の居留地の一
つがこのあたりにあったってことでしょうか。

 



 再び旧道に戻ってくると、こちらは純日本風です。



 
 日枝大神。創立年代は不詳、但しすでに鎌倉時代の古文書にその記載あり。



 
 高野山金蔵院。薬師像を安置するために北条泰時が創建したのが始まりで1328年に当地に再興。



10:30
 平地に下ってきました。ここは旧道が国道16号線に合流するちょっと手前あたりです。(久木町)
 旧道沿いの町並みなので、ここは埋め立て地でなく、それなりに歴史あるところなんだろうね。



 川沿いに漁船が係留されているので、ここは漁業やちょっとした交易の中継地として開けて
きた場所なんだと思う。





 国道16号線を歩いていたら、何やらタイムスリップしそうな
一角がありました。表通りに面して八百屋さんが元気良く営
業中です。
 ここは浜マーケットという地域の商店街です。


 奥に進んでゆくと、これがまたわくわくする空間、久々に見つけたミステリーゾーン
です。
 

 すべてのお店が営業しているっていうことでもないけれど、実に個性的なお店が
立ち並んでいます。アーケードの屋根や看板から、その歴史をうかがい知ること
ができます。

  

 

 感じからすると戦後間もない頃から、いやもしかしたらこのあたりがまだ漁村だった頃
から営業しているお店もあるかもしれません。近隣には大きなスーパーがあったりして
たいへんだろうけど、がんばって欲しいな。


 おやつにコロッケを買って食べました。揚げたてでおいしい。味がちゃんとついていてそのまま
でもいけます。



 ここで連れがお買い物を始めようとしたので止めました。だって買い物袋を持って市電保存館に
行きたくはありませんから。連れ曰く、
「市電見にゆくの忘れてた。」
 ここから保存館方面に向かいます。




 真照寺、高野山真言宗の寺院。開山は1184年とされるが、詳細は不詳。





11:20
 横浜市電保存館です。(入館料300円)
 最寄り駅はJRの根岸駅で、歩くと20分ぐらいかかるか
もりれません。市営バスのターミナルの裏側にあって、
ちょっと入口は分かりづらいです。
 で、おもしろいのはこの保存館は市営のアパートの1F
につくられているってことです。珍しいね。




 入ってみると、いきなり市電がどーんと並んでいます。





 現在展示されているのは全部で7両、乗り込んでみることもできます。保存状態が
とても良く、すぐに走らせることもできるんじゃないかな。

 



 横浜市電は明治37年に最初の路線が開通し、それ以降の横浜市街地の拡大と
ともに路線を充実させてゆきました。震災や戦争を経て戦後に最盛期を迎えます。
 ただその後は多くの都市の市電がそうであったように、次第に輸送の役割はバス
に移ってゆき、昭和47年には全廃。70年の歴史を閉じます。コスト面の問題や慢性
的な渋滞解消のためということなんだろうな。

 



 実際に使われていた路線案内や広告看板なんかが昭和の雰囲気を出していて
いいね。

 



 左は無蓋貨車、補修・点検作業に使われていたんだろうね。
 





 奥の展示スペースにはOゲージ(だいたい1/45)のレイアウトがあって、1日に数回
運転されています。Oゲージというのは戦前戦後に鉄道模型の主軸だった規格で、
これだけのレイアウトはなかなか見られないかも。レイアウト自体も昭和30年代の横
浜の風景だそうです。



 吉村さんという方が収集していたOゲージの車両コレクションも展示されています。
全部で100両以上あります。1両1万円じゃとても買えないから、ものすごい価値のある
コレクションです。なかでも43両ある蒸気機関車は必見かな。

 

 今いちばん普及しているNゲージのレイアウトもあるよ。(運転は有料100円)



 市電と横浜の歴史を解説する展示コーナーです。小学生の社会見学には
良いですね。でも大人でもちゃんとお勉強できるよ。

 

 右は車掌さんの制服だそうです。とても洗練されていて、今
見てもとても素敵です。この時代、市電の車掌は女性あこが
れの職業だったに違いありません。
 考えたらバスやローカル線なんかもワンマン運転があたり
まえになってしまっていますね。自動発券機やカード読みと
り機が普及する前にはこういった職業があったんだって、こ
こで初めて知る子どもも多いかもしれないです。





12:15
 浜マーケットに戻ってきてお食事とお買い物です。
 ちっちゃな洋食屋さんでオムレツ食べました。丁寧な仕事ぶりでおいしい。

 

 あとは園芸やさんでバジルなどのハーブ類を少々、そして八百屋さんで野菜をたくさん
買いました。小ぶりなキュウリが20本ぐらいで150円、350円の空豆は普通にスーパーで
売っている量の3倍ぐらい入ってました。

 

 横浜の中心街や観光スポットからはちょっと離れているけれど、お散歩するには磯子は
良いところです。むしろ横浜の歴史みたいなものは、こちらの方がずっと多く感じられるか
もしれません。



2017.05
camera:Panasonic LUMIX GX8 + OLYMPUS M..ZUIKO DIGITAL12-50mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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