最後のEXILIM



2018.05.27


 「N」という鉄道模型の雑誌が主催した鉄道模型フォトコンテストで最優秀賞をいただいたことは、以前ご報告したとおりですが、先日その賞品となるカシオのEXILIMが
自宅に届きました。

 

 EXILIM ZR4100は最近マクロ撮影用に購入したEX-ZR70の上位機種になるのですが、さてどんなものなのかな。
 外観はちょっと高級感のある仕上げで、ストラップは首にかけるタイプになっています。画素数は1200万と下位機種のZR70より控え目で、一方でセンサーは
1/1.7型CMOS(裏面照射型)とやや大型、そして5倍光学ズームということでスペック的にはむしろ標準的な感じです。
 でもカメラって実際に撮ってみるまでは分からないところもあるので早速試してみることにします。



 ちなみにほぼ新品だったZR70は当たり前のように連れのものになりました。



1 カメラの特徴
 なんといってもこのカメラの特徴はズームの広角側が19mmということでしょうか。

 

 自分の部屋を撮影してみました。左が19mm、右側は一般的な24mm。19mmだと4.5帖の部屋の半分が撮影できます。この部屋に10人入っても記念撮影できるね。



 次に部屋の照明を消してみます。窓際以外はほぼ真っ暗です。

 

 右側はISO6400、F2.7、0.5sで撮影。センサーがちょっとだけ大型で裏面照射だからと期待したけどさすがに厳しい。ISOは1600ぐらいが良いところかな。





 ついでに絞り開放でのぼけ具合もテストしましたが、やっぱ背景はぼけない。接近して望遠側に振ろうとしたのですが、望遠端の95mmだと最短撮影距離が50cmに
なってしまって、やっぱりこんな感じでぼけない。

 カメラの基本性能はこんなところです。やっぱりデジタル一眼や高級コンデジにはかなわないかな? でもカシオのカメラらしく、いろいろな機能が小さなボディに
てんこ盛りになっているので、今度はそちらを試してみます。



2 多彩な撮影モード
 まずはEXILIMに興味を持つきっかけになった全焦点マクロモードからです。
 デスク上に1:12のレイカのフィギュアを置きました。

 

 左側はこのカメラの標準ともいえるプレミアムオートによるマクロ撮影です。焦点距離が19mm、最短撮影距離3cmというこのレンズ、割合にきっちり写りますね。
右側がカシオ独自の全焦点マクロモードです。手前5cmぐらいから2m先までピントがきっちりと合ってます。



 ということで次にN-ゲージのレイアウトを撮影します。
 全焦点マクロ機能というのは、ピントの異なる画像を何枚か撮影し、カメラ内部でピントの合っている部分だけを取り出して1枚の写真に合成する機能です。ZR70のときより
破綻なくスムースに画像が連続していて、結果はずっと良いです。

 全焦点マクロはZR4100の持つ撮影モードの一つで、実際にはこのほかにも多彩な機能を搭載しています。
 基本的な撮影モードは動画を含めて7種、RAW撮影ができたりマニュアルモードがあるのは最上位機種らしいです。そのほかにアートショット11種、メイクアップアート7種、
ベストショット33種・・・。

  

  

 カシオのカメラらしく、いろいろな機能が小さなボディに詰め込まれているのですが、一方でそれを使いこなすための取扱説明書はデジタル一眼以上に分厚く、それを全部読んで
理解してから撮影する人は多分いないでしょう。

 基本的にはプレミアムオートで撮影しておけば、まず間違いないと思います。



 再度組み立てなおした1:6のジオラマの上に、nano ちゃんをおいて撮影してみました。
 明日はこの娘を連れてお散歩に出かける予定です。
 (いつもと違うnanoちゃんだよ!)



3 実際の撮影
 前回の相模線沿線の旅は神奈川県の座間市で終わったので、今日はその続きで海老名市まで歩きます。
 調べたり読んだりした結果、とりあえずDOLL撮影に使えそうな3つのモードを試してみようと思います。



 小田急線の座間駅から南下し丘陵地帯を歩きます。

 

 周辺はいちめんの住宅地なのですが、秋葉台自然緑地と呼ばれるのこの一角は古墳が何基か保存されており、また古寺も点々と残っていて
お散歩するには良いところです。



A プレミアムズーム

 

 こちらはプレミアムズームというモードで撮影したものです。一見普通に見えますが緻密で解像感が高く感じます。実際にこの画像を拡大したのが右側です。
 解像感を高める方法としては、シャープネスやアンシャープマスクで処理することが多いのですが、拡大しても不自然な黒い輪郭などなく、ごぐごく自然です。
スマホレベルの1200万画素ですが、1600万画素以上で撮影したような感じです。



 このモードで撮影すると、1ショットにつき何枚か撮影しているようなので、おそらくはズーム位置やピントなどを若干ずらしながら撮影し、合成して1枚の画像に
しているのだと思います。オリンパスなどのハイレゾショットでは画素数を4倍ぐらいに増やして保存していますが、こちらは画素数でなく、解像度の増加につなげる
技術ということなのかもしれません。
 地味ではありますが日常的に使えるモードです。



B HDRモード

 

 こちらはHDRモードです。日なたで帽子をかぶったお人形を撮影すると、影が顔に落ちて使えない写真になるのですが、こちらは陰影を抑えてちゃんと表情を再現してくれます。
美白系のお人形だと白とびも抑えてくれます。また木漏れ日なども適切な明るさに調整してくれます。ただ場面によっては不自然になることもあります。便利だけど効き方をコント
ロールできるといいな。



C 全焦点マクロ

 

 こちらは全焦点マクロ。目の前10cmのお人形からほぼ無限遠方までピントを合わせてくれます。この機能はピントの異なる複数の画像を撮影してカメラ内部で合成するもので、
うまくゆけば効果抜群なのですが、きっちりと合成できないシーンがあることは知っておくべきでしょう。
 具体的には、撮影物が連続している場合は良いのですが、背景とDOLLの距離が離れているとDOLLの画の輪郭がぼやけてしまうということです。
 スマホのアプリでも同様の効果を持つものもあるみたいなので、参考にしてください。





 国道246のバイパス上を通過、海老名市の国分寺というところにやってきました。

 

 こちらはその名の通り、741年に建てられた相模国分寺のあったところです。(国指定史跡)
 今は広い敷地が残っているだけですが、昔はここに七重塔、講堂、金堂、僧房など、巨大な仏教施設群があったらしいです。
(近くの資料館に模型があり、史跡の解説をしていただくこともできます)





 全焦点マクロで撮影。このように背景とお人形が連続していると全体が無理なく自然につながる。
 一般的なカメラだと、ピントをマニュアルにしてピントの異なる画像を複数撮影し、GIMPなどのソフトを使って画像合成をすることになります。





 海老名というのは、今おそらく関東でいちばん急激な発展を遂げているところです。もともと小田急線、相模、JR相模線が交差するところではあったのですが、相鉄の
東京乗り入れ、圏央道の開通で一気に利便性が高まり、今ばんばんと高層マンションが立ち、同時に巨大な商業施設の進出が相次いでいるようなところです。10年ぐらい
前までは駅のホームから田んぼが見えていたのにな・・・。





 こちらも全焦点マクロで撮影しました。こちらはお人形と背景の距離が離れていたので、もともとはお人形のまわりには変なぼけが入っていました。ただ背景を肌と同じ
ベージュ系に選んだので、このボケがあまり気にならないし、修正も割合簡単にできました。
(スマホのレタッチアプリだとここまでやるのは難しいかもしれません)





 こちらはプレミアムズームによるマクロ撮影です。焦点距離が19mm、最短撮影距離3cmというレンズがやっぱりこのカメラのいちばんの特徴、そのうえで
この解像感の高い画像が得られるのは嬉しい。こういう写真て意外に撮れないです。

 さてさて、このカメラが賞品として届くまでの1月半の間にカシオがカメラ事業から撤退するというニュースが入ってきました。
(ちゃんと賞品が届くのか、あと故障したときのサポートとかもちょこっと不安になったりしたが、とりあえずは大丈夫みたい)
 カシオというとデジカメのメーカーとしては老舗です。デジカメを発明したのはコダック(1975)ということですが、液晶ですぐに撮影画像を確認できるようにした
のはカシオのQV-10が最初(1996)。それ以降、爆発的にデジカメが世界にひろまっていったことを考えれば、ネット社会でカシオの果たした役割ってものすごく
大きかったような気がします。
 確かにこれだけスマホの機能が上がってくるとという感じもしますが、それでもカメラでなければできないこともいっぱいあります。ということでこのカシオ最後の
最上位機種ZR4100は壊れるまで使ってあげようと思います。
(自分は高いスマホより、ちゃんとしたカメラと格安スマホの組み合わせを選びます。その方が安いし。)



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