情景のなかの人形たち

2018年に開催した個展のまとめ



2018.10.30



1 現状
 創作人形の発表の場ってそれほど多くはないです。芸術性が高ければ様々なコンテストに出品するという方法もありますが、自分のように、
ごくごくスタンダードなお人形の場合には芸術品というより、むしろ実用品に近いのでドールワールドのような創作人形系のイベントか、または
人形を販売するお店に置いてもらうといったところが、まずは選択枝として思い浮かぶところになります。
 がしかし、今現在の状況からすると創作人形をとりまく環境は厳しい。スーパードルフィーが発売開始になった頃には(もう20年近く前)、
それなりに創作人形(球体関節人形)のブームがあったみたいですが、今ではイベントに出ても売れないし、そもそもマーケット自体が収縮
しきっていて、ヤフオクなんかでもちゃんとしたものが出品されても入札がなかったりする状況です。
 きっとお人形だけつくって生活できている人って、本当に有名な方だけになっちゃってるんじゃないかな?

 これまで、ちゃんとしたお人形が造れるようになったから、ヤフオクとかイベントで売ってみる、コンテストにも参加してみるみたいな流れが
当たり前のように思い込んでいたけれど、それってちょっと違ってたね。もうこれ以上この流れですすんでゆくと、自分のつくりたいものでなく、
売れるお人形、賞を取れるお人形をつくらなきゃいけなくなる。
「もうお人形を売るのはいいかな・・・。」
 でもそう思ったら気持ちが急に楽になった。そんなことよりまずは自分の思っている世界を表現し、知っていただくことの方が大切じゃないかな。
自分が欲しいものをつくり、そして楽しむ、自己表現をするというのが本来の目的だったはずで、だったら時間をかけてつくったお人形を手放す
必要はないなと。もともと(今でも)DOLLが売れて行く瞬間は寂しいし、何か後ろめたい気持ちもありました。
 お人形を売らないって思った瞬間、自分の意識のなかでは、お人形は商品から一緒に戦う同志になりました。うん、これですっきりした。





 こちらは最新作の akane という1/3スケールの球体関節人形です。ヘッドの大きさは7cmほどなのですが、ここまで拡大しても破綻のない
完成度は、おそらくこれまでつくってきた作品のなかでもベストなもの。
 ところが比較の問題ではあるのだけども、自分のつくる作品は標準的な頭身、スタンダードな肌表現、表情はあくまでもニュートラル。それが
ゆえに、そのままではイベントやコンテストの会場内で目立たない。しかも仕上げをきっちりと行っているので、手作りの人形というより、メーカー
の大量生産品に見えてしまったりすることすらあるようです。
 実のところ、作品としての主張が感じらない、存在感が薄い、芸術性に薄いというコメントをいただいたこともあるのですが、でもあえてそういった
お人形を作り続けているのは、オーナーが感情移入しやすく、様々なシーンに違和感なく入り込んでゆけるというメリットがあると考えているからです。
(だからこそ自分のつくるお人形は実用品だと思う。)
 自分のつくる人形はそれにふさわしい状況や背景があって初めて真価を発揮する人形だと思っています。だとすれば自分の思う世界を表現する
にはそれなりの空間が必要になる。それが個展を開催しようと思った最大の理由です。



2 会場
 そう思って昨年の10月に平塚市美術館の市民ギャラリーの利用申し込みをしたら、運よく通ってしまいました。
 なぜ平塚なのかというと、自宅に近く通いやすいから。なぜ公共機関なのかというと、それはもちろん安いから(今回は1日4000円×5日)。そして
美術館内のスペースなので、開催中の展覧会を見に来られた方が立ち寄ってゆかれることが多いのは最大のメリットです。他人のふんどしって
ことなんだけど、知ってもらうにはこれが一番だと思います。



 公共機関のスペースを利用する場合には、おおむね半年から1年前に申し込みを行い、希望が重複した場合には抽選というのが一般的なパターン
です。今回は競合しなかったのでそのまま決定に至りました。



 

 決定後はもちろん会場の下見にも行ってきました。
 以前にも入ったことのある会場ではあるのですが、あらためてそのつもりで眺めてみると148.5uというのは広いね。ドールイベントの90cm×90cm
だなんて、その比じゃない。
 どうやってこの面積を埋めてゆくか、すでにそれなりの構想はあったのだけど、あらためて考え直す必要性を感じました。あと壁の色や照明、その他
備品等のチェックは重要なポイント。作品だけでなく、その他必要な備品、消耗品もあるので、きちんと行程表みたいなものをつくって計画的に準備を
すすめることにしました。



3 展示品
 展示するのは1:3のオリジナル球体関節人形、1:6や1:12のオリジナルドールを用いたジオラマ、1:150のNゲージレイアウトとジオラマ、これに加えて
DOLL写真という4種類が当初の予定。これに最後1:1が加わりました。



作品 1 旅立ち
 個展ではいろいろなスケールの情景を再現しようと思ったのですが、さすがに1:3になると大きい。こちらは壁の部分だけで120cm×80cmあります。
ということで1:3のジオラマはこれ1点のみ。
 こちらは以前参加したドールイベントの時に制作したものを手直ししたもので、背景の素材はスチレンボード、歩道は市販の床材です。キャスターバックは
リモコンのおもちゃを塗りなおしたもの。道標には実際に存在するアイルランド西部の地名をちりばめて、スリーブリーグという景勝地(海から切り立つ600mの
標高差を持つ断崖絶壁)に近い街角の雰囲気を出してみました。





作品2 森の神社
 こちらは新規に制作した1:3のジオラマ。森の中にある小さな神社に続く参道を表現したつもりです。

 

 90cm×60cmのスチレンボードをベースにして発泡スチロールで凹凸をつけ、テクスチュアペイントと乾燥させたコケ、100均などで売っている小さな造花を
組み合わせて制作しています。





作品3 賽の河原
 下北半島の恐山で見た風景を再現しようと思ってつくりました。

 

 スチレンボードをベースにスタイロフォームや発泡スチロールで風景をつくり、砂などで質感を高めたうえで着色しています。岩は大まかな形状を
作り上げたところでヒートガンで成形しています。





作品4 イレーヌ・カーン・ダンヴェール
 100cmほどの小さなラブドールをモデルにしてルノワールの絵画を3D表現してみました。また左下にあるのは自分で描いた模写になります。
 昔からこの絵は大好きで、このようなものをいつか再現したいと思っていたのですが、こちらの小さなラブドールがそれを可能にしてくれました。
最近ではラブドールが密かなブームになっているようで、アマゾンでも3万円台から売られていたりします。その一つの gillian というドールを入手し、
アイホールの縮小と唇の着色といったプチリメイクを施し、あとは市販のメイク道具を使って仕上げています。

 

 ヘアアクセサリーはコサージュ、リボン、ヘアクリップなどを組み合わせて制作。但し元の絵にははっきり描かれていないので、かなり想像が入っています。
実際はもっと地味だと思います。ウイッグはアマゾンで注文したもの。ソバージュ、ライトブラウンで注文したのに商品説明より暗い色で、ほとんどウエーブも
かかっていない・・・。1260円だからこんなもんか。
 ドレスは Aliexpress で入手した子供用のドレスで、お値段は1860円でした。少し色合いやデザインがが違うので、薄い青の生地でインナーをつくり、胸元には
白い大きなコサージュを追加です。靴の方は元の描かれていないので適当なものを履かせます。



 白いラダーフレームの下に造花を吊り下げてゆきます。こちらが背景になります。再現するシーンに見られる植物の種類は良く分かりませんが、白い花が
咲いているようにも見えます。けっこうここは適当かもしれません。
 結果的にはベースになったラブドールが東洋系なので、やっぱりそっくりというわけにはゆきませんでしたが、とりあえずその雰囲気だけは表現できたかな。
そういうわけで自己採点は完成度80%、リアル度60%のトータル70点ぐらい。 でも試みとしては面白かったので満足度は90%ぐらい。

 ちなみに準備段階で心配だった点は、いくら名画の再現とは言え、ラブドールを公共施設で展示して良いかということ。この点については事前に美術館側に
問い合わせてOKもらいました。
 あとそのまま荷台に放り込むと、道路交通法の関係でまずいことが起こるかな? ちゃんとシートベルトさせないといけないかな? とも思ったのですが、
特大のバッグを購入することでこちらも解決しました。



 

作品5 私の部屋
 こちらは10年以上前に完成させたもののリメイク版。床や壁、窓、ベッドや飾り棚あたりは自分でつくっています。枕もとの時計は腕時計を
埋め込んだもので実際に動きます。気合の入った作品で、今改めて見ても完成度高いな。



 

作品6 街角のコンサート
 こっちはイベントの背景を再利用して組み立てました。床や壁は色付きスチレンボードの組み合わせ、スツールも自作しています。



 

作品7 待ち合わせ
 こちらも過去に制作した1:6スケールの歩道です。ゴミとか空き缶とか、こういった小物類が作品の深みみたいなものになるんだろうね。



 

作品8 熊さんのいる部屋 / 作品9 モトコンポ
 以前つくっていた1:12スケールのDOLL 2体です。 1:12というのはドールハウスのスタンダードサイズなので、けっこう市販品が出回っていて、
新しくつくるっていうより、あるものを組み合わせるって感じですね。





作品10 mirai
 昨年つくった球体関節人形 mirai です。けっこう和服が似合うDOLLです。
 搬入は軽自動車1台という制限があるので、4体の球体関節人形については、3D表現のジオラマはあきらめ、こういったコラージュで
仕上げた背景パネルを使うことにしました。

 

 この背景パネルは5mm厚のスチレンボードをベースにしており、に古本屋で入手した1950年代のLIFE誌や新聞を貼り付け、あとはマスキングテープ
とか、折り紙とか、敷いてあるフエルトとか、100均で買ったものをアクセントに用いて完成させています。この制作作業はけっこう楽しい!





 同様の方法で会場入り口の看板も仕上げました。ここまでたどりつくといよいよだなって感じです。



  

作品11 nanami / 作品12 kanako / 作品13 akane
 これまでにつくったお人形のなかでも、自信作を選んで展示しました。



 

 開催まで2か月を切ったところで、衣装合わせも本格的に開始しました。
 普段、こんな感じで人形服や靴などはamazon箱に保管しています(同じサイズなので収納には便利)。けっこうDOLL趣味は長いので、
1:12から1:1まで各種サイズのOFが大量にそろっています。その数は100や200じゃないです。だからいったん広げ始めると、部屋のなかは
大変なことに!



 着付けたら、それに合わせて人間用の化粧品でちょっとメイクを修正します。化粧品は安いけど信頼性のある国産品を使っています。
 以前は最終段階まで模型用の塗料を使っていたけど、メイク落ちもそれほど気にならないので、最近は多用しています。何より発色が
良いのと、少しずつ修正できる点が良いですね。



 衣装合わせとメイクのあとは必ず撮影テストをします。カメラで撮影した画像を見ると、より客観的に物事を判断できるようになって、
細かなミスや更なる改良点が見つけることができたりするのがその理由です。





作品14 最後の冬
 これまでにつくった1:150のジオラマやNゲージレイアウトなども展示しました。上の作品は雑誌「N」の鉄道模型フォトコンテストで最優秀賞を
いただいた作品です。



 

作品15 もう少しで夏休み / 作品16 卒業式の朝



 

作品17 朝の風景 / 作品18 宮川第10橋梁





作品19 新学期
 一つ一つの作品についてコメントしてゆくときりがないのだけれど、一つだけ言えるとすれば、鉄道模型とはいえ、主人公はあくまでも
身長1cmほどのフィギュアではないかと思っています。何というのかな、そこに生活感のようなものがあって初めて作品として成立する
ような気がします。「情景のなかの人形たち」という個展のタイトルも、これらのジオラマをながめていて思いつきました。





作品20 由利高原鉄道「曲沢駅」
 こんな感じで実際に訪れたことのある場所については写真の解説付きで展示しました。





 メインの展示がある程度固まってきたところで、会場の配置図をつくりました。(開催の2か月前) 展示品や消耗品の一覧表とともに
こちらは必需品です。
 配置図によればこの時点で壁にまだ余白があり、おおむね60枚程度のA4サイズの写真が展示できそうだということが分かりました。

 

 せっかく制作しても、壊さずにちゃんと会場まで運べなきゃ意味がありません。制作物専用の箱を半年前から少しずつつくり始めました。
これってとっても大切な作業です。



 そしてリビングの一角にスペースをつくり、自家用車の収納スペースに合わせて積み重ねてゆく。当日はこの配置のまま自家用車に詰め込んで
ゆけばよいわけです。一か月前の時点でほぼ90%の容積が埋まりました。もうそろそろ限界だね。







作品21 写真
 A4サイズの写真を中心に最終的には80枚ほどの写真を展示しました。写真撮影はDOLLやジオラマの楽しみ方の一つだと思っています。



 

 

 こちらは自分のつくったDOLLたち。
 写真選びをしていたら、懐かしいものがいっぱい出てきた。ちょっとタイムスリップしたみたいで楽しい。



 

 

 市販品のお人形。
 撮影に最も大切なものとして、光のコントロールがあります。高いカメラ買うよりも照明器具をちゃんと使いこなせるようになることの
方がずっと意味がある。



 

 

 春夏秋冬。
 季節感大好きです。お散歩大好きです。お人形もきっとそうです。



 

 

 旅にも連れて行く。
 いろんなところに行ったなあ。秘境駅で有名な飯田線の小和田駅、那須岳の山頂、雪の会津田島・・・。電車はもちろんフェリーや観覧車にも
乗った。飲み屋さんにも行く。いつも一緒。



 

 

 画像加工と合成。
 DOLLやジオラマっていうのは、基本ミニチュアの世界なので、そこにはすでに非現実の空間が生まれていることになります。そしてそこを
一歩すすめるとさらに面白い世界が生まれます。これらの画像は実際の風景を 背景にして、別に撮影したDOLL画像を合成しています。
これってDOLL趣味の一つの発展形だと思っています。
(ソフトウエアとしてはフリーソフトのGIMPを使っています)





 今回の個展ではたくさんの写真を展示しましたが、きれいにプリントアウトするのには大苦戦しました。
 まずは最高画質のA4フォト専用紙(1枚60円ぐらい)と純正インク(1本850円×6色、これを2セット)を用意しました。色の再現性や保存性を
考えたら純正品が良いかと。プリンターはEPSONのEP705Aという普及機です。
 WEBやSNSに画像をUPするなら基本無料ですが、これを本気でプリントアウトしようとするとお金がものすごーくかかります。計算上A4一枚で
100円以上かかる計算です。
 そしてそのままプリントアウトしてもベストなプリントにはならないのでプリンターの調整を行います。年賀状印刷の時もこの作業はしているので、
これは想定内。
 しかしながら調整を何度か重ねていっても満足なプリントにはならない。どういうことかというと、モニターでベストな画像は必ずしもプリントした
ときにベストなものではないということなのです。そういえば「透過光と反射光では感じ方が違う。」みたいなことをどこかで聞いたことがあります。
 ということで、今度は元画像の方をプリント用に再修正してゆきます。基本的に彩度を上げる一方で完全に黒ツブレしない程度に暗部の明度を
落とすという作業です。ものすごーく勉強になりました。





 プリントが全部A4の同じサイズだと変化がないので、分割して大きなポスター印刷をしてみることにしました。そういう機能がプリンターにあることは
知っていたけどやってきるのはこれが初めてです。

 

 分割プリントした用紙の余白を切り、スチレンボードに貼り付ける。できてしまった隙間にはパステルを削って溶剤で溶いて埋めてゆきます。一連の
作業に慣れは必要で最初の2回は失敗しました。
 ちなみにA1で印刷できるプリンターもありますが、本体のお値段はともかくとして、インク1色が1万5千円じゃ手が出ません。





 入場記念のポストカードもつくりました。こちらのカードをお持ち帰りいただいて、後で自分のサイトにおいでいただく、PRが目的の個展なので、これは
とっても大切なことです。
 実はメインのプリンターのほかにもう1台EPSONのEP-M750Tというプリンターを持っていて、こちらで500枚ほど印刷しました。このプリンターは純正インク
でもA4カラー1枚0.6円というインクコスト。詳細な画像印刷は今一つだけど、従来の1/20のインクコストなら、もうこれしかないでしょって感じです。



4 搬入
 すべての準備が整ったのは開催の1週間ほど前、少なくともこれぐらいの余裕は欲しいね。



 ということでたまたま、群馬県の玉村町に行ってみたら、その玉村八幡宮の境内に日本で唯一という人形神社(淡嶋神社)がありました。こちらを訪ねた
のは偶然のことでしたが、個展を前に幸運だったかもしれません。ちゃんとお参りして お守りもいただいて帰りました。





 前日に荷物の積み込み。chico ちゃんは幅90cmの巨大なトートバッグに入れました。
「でもこの娘、シートベルトさせて助手席に座らせるってのもアリだな・・・。」
と言ったら、連れが 「じゃあ私はどこに座るの?」 って聞くので、このトートバッグを指さしたら怒られてしまいました。

 

 心配していた台風は関東地方を見事に直撃する予報になってしまったので、まだ雨の降っていなかった午前中にすべての積み込みを完了。
 積み込む車が軽自動車なので全く余裕がありません。とりあえず計算どおりに荷物が110×120×70cmのスペースに収まって一安心です。バック
ミラーの視界もかろうじて確保できています。



 暴風雨で搬入に困ることがないよう、100均に出かけて行ってこんなものも準備しておきました。荷物を濡らさないで移動するのに、この洗濯機
カバーは役立ちそうです。とりあえずやれることはやった、みたいな現状です。



5 開催
*) こちらはブログにUPした内容を再編集したものです。

1日目



 台風13号の影響で暴風の吹き荒れるなか搬入を決行! といっても車を止めた場所から搬入口まではすぐ、しかも屋根付きだったので思ったより
苦労はしませんでした。
 問題はむしろ展示の方、事前に緻密な計画は立てていたのですが、展示面積の広さに予定の12:00になってもこのありさま。画像はやっとメインの
作品を並べ終えたところです。





 11:00ぐらいから入場を受け入れていたので、不十分な展示をご覧いただいた方は多数。大変申し訳なかったです。
 このあと入場された方への応対をしつつ準備をすすめ、最後に写真や説明文を壁に貼り終えたのが14:00過ぎでした。



 時間のかかった最大の原因が1:6スケールのジオラマ。現地で組み立てるという作品が多すぎた! 反省。



 今回の当方のイチオシはこちらの新作ドール2体です。でもいつものことながら説明しないと手作りの人形であることに気づいていただけません。
やっぱりどうしても市販品に見えてしまうみたいです。



 思ったより注目を集めていたのが鉄道模型や1:150のジオラマスペースでした。考えてみれば定期的に刊行されているドール雑誌は皆無だけど
鉄道関係は何誌もある。やっぱり趣味としての幅広さは全然違うんだろうね。



2日目



 展示内容を微修正しました。
 ここが入り口付近、こちらの展示は見学者が時計回りに移動する流れでつくっていたのですが、逆回りの方も多い。そこで順路案内を表示しました。
ちなみに今回はすべての作品の撮影はOK、サイト上への画像のUPもOKということで、その旨の表示もしてあります。PR目的なので、ともかく作品
画像の拡散は大歓迎です。



 ドール制作の過程を展示しました。これで手作りであることがお分かりいただけるという連れのアイディアです。驚かれる方も多数おられて、これは
効果あり。
  ただなかには「え、あなたがつくられたのですか? 嘘でしょ?」みたいな感じで、説明しても最後までそれを信じていただけない方もおられました。



 3番目に窓を完全開放という修正。
 こうすれば表から chico ちゃんが見える。何やってるんだろうって思って入って来る人がいるかもしれません。
それにこの開放感はいいな。正直なところ狭いところに5日間いるのはストレスたまりそうな気がしてました。今日は台風一過、お天気も朝から上々です。
 で、振り返ったら人形やジオラマの見え方も変わっていました。カメラ流に言えば、絞り値が上がってピントの合う範囲がひろまり、コントラストと彩度が
上昇してくっきりと鮮やかになるということでしょうかね。
 自然な光が入ることで人形が生き生きとして見える。きっとお人形も明るいところが好きなんです。



3日目

 

 今日もたくさんの来場者で賑わっています。もちろん自分の個展が目当てでなく、ほとんどの方は美術館の特別展 深堀隆介「平成しんちう屋」が目的
だとは思いますが。夏休みということもあって、お子様連れでいらっしゃる方がとても多いです。で、やっぱり子供たちに大人気なのが1:150の鉄道模型の
レイアウトとジオラマです。



 こちらは由利高原鉄道の曲沢駅ですが、このレイアウトの前にいた男性に
「これ作ったのあなたですか? なんでこんなもの作ったんですか、ここに行ったんですか?」 と、問いただされました。
 うーん喧嘩でも売るつもりなのかなと思いつつ、曲沢に行ったことを伝えると
「なんでこんなとこ行ったんですか? なんにもないでしょ。」
 そこまで言ったら、ここにお住いの方に失礼ではないか。
「一面360° 見渡す限り田んぼという景色が良かったんですよ。」 ・・・・。
 実はこちらの方、曲沢出身の方だそうで、このレイアウトが展示されているのを見てをびっくりしたんだそうです。高校の3年間はこの駅から通学されていたそうで、
「本当、こんな感じです。」とお墨付きをいただきました。 へー、こういうこともあるんだ。



4日目

 

 今日から大人たちも本格的に夏休みに入ると予想される日です。
 2Fで開催中の深堀隆介展「平成しんちう屋」も大盛況の様子で、ロビーは長蛇の列、大変なことになっている模様。会期中、最多の入場者になるんじゃないかな。
今日は本人による作品解説ツアーやサイン会なども予定されています。
 1Fの自分の個展会場にも流れてくる方もやはり多く、この日は入場者がゆうに500人を超えました。
 実のところ、会期前には暇かもしれないと思って雑誌を控室に持ち込んだのですが、結局出番はなさそう。
 あんまりにも疲れるので、試しに持ち込んだ歩数計はこの日1万歩以上(8kmぐらい)を記録しました。もうゆっくりとお昼ご飯を食べる暇もないぐらいです。



 人形やジオラマ以外にも80枚ほどの写真を持ち込んだのですが、そのなかに必ず足を止めてゆかれるものがあります。上の写真はそのうちの1枚で、茨城県の石岡で
撮影したもの。別に可愛い人形が写っているわけでも、特別に画像加工をしているわけでもないのですが、画面から伝わってくる強い存在感のようなものが目を引くので
しょうね。写真の持つ潜在的な力は大きいなって思います。



 今回の展示の中心はオリジナル球体関節人形6体、その最新作がこの akane です。こちらをご覧いただいた方に、
「あなたご自身によく似てらっしゃる。」 とのコメントをいただきました。
 えー、こんなおやじに似ているわけないじゃん、とその時は聞き流したのですが、今日また同じようなことを言われ、本当かなー? 家に帰ったら鏡でも見てみようかなー、
と思うようになりました。



5日目



 初の個展「情景のなかの人形たち」無事終了しました。期間中はたくさんの方々にお越しいただきありがとうございます。合計で1700人近い入場者というのは、本当に予想外
の数字で嬉しい限りです。会場の原状復帰は16:50までということで最終日は早めの閉場となりました。
 実は撤収の加減が分からず、撤収作業は16:00ぐらいで終わってしまいました。せめてあと30分開場していても問題はなかった。お帰りいただいた方々には申し訳ない思いです。
撤収が順調にすすんだので、お礼もかねて2Fの「平成しんちう屋」も見てきました。
(2Fが大盛況だったから、自分の個展にもたくさんの人が流れてきたんだと、ここは素直に思います)







 すごかった。小規模の作品はこれまでに見たことはあったけど、これほどの展示になるとは思ってもいなかった。最後のスペースは撮影可ということ
でしたが、ここの迫力は特にすごかった。日に日に来場者も増えている感じで、5時になっても会場内は人でいっぱいです。深堀氏にとっても一大転機
になるような個展になったんだろうと思います。



6 展望



 帰ってきて近くの居酒屋で反省会です。受付嬢の nano ちゃんも連れて行きました。
 いろいろあったけど、まずは面白かった。ドールイベントに10回出るよりも意味があったように感じます。不安だった148uという展示面積も、自分の
思っている世界を再現するにはむしろ狭いぐらいだった。人形を主人公にして、自分のイメージした空間をジオラマや写真で表現するというコンセプトも
正解でした。やりたいことがここにある。なんか見方ががらっと変わった感じです。



 来年の個展は再び平塚市美術館で開催します。抽選の結果、今度はお盆のどまんなか、8月14日(水)〜18日(日)という期間になりました。
 イメージとしては展示品の1/3は新規、あるいは従来のものもリメイクして完成度を高め、再度お越し下さる方の期待を裏切らないようにしたいと思っています。
良いものをつくっているつもりだけど、自分の作品を発表する機会などなかなかないって思っている人は多いと思いますが(自分もそうだった)、意外と決意さえ
すればハードルは低かったです。まずは行動ってことだね。



2018.09
camera:Panasonic LUMIX GX8 + G VARIO 12mm-32mm & Canon PowerShot G7X / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10

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