eye4工房番外編

森の神社



 前回に引き続き、1/6という大きなスケールのジオラマ制作記録です。こちらも1年前の個展の時にも発表したものですが、
今回少し手を加え、あらためて制作方法などをご紹介します。



 何年か前に下北半島にいった際、薄暗い林の中にあるとても古い神社を訪れたことがありました。うっそうとして薄暗く、
その場に何が出てきてもおかしくないような雰囲気でした。今回はそんなちょっとミステリアスなジオラマを再現したいと
思います。ただ全体の再現は難しいので、鳥居とその周辺部分だけを表現することにします。

1 5mm厚のスチレンボードの縁に5mm角の角材を
 補強として取り付け、ベースボードとします。
2 発泡スチロールで起伏をつくり、取り外し可能な
 鳥居を立てます。
 

   3 発泡スチロールはヒートガンで表面を荒らし、適当な凹凸を
    つけてゆきます。
   

 補強を5mmの角材で行ったのは持ち運びしやすくするためでしたが、やっぱりこれはあまり良くなかった。
やはり3cm以上のしっかりとした角材でないと歪みが出ます。


4 細かな起伏は少量の木工ボンドを練り込んだ
 造形用粘土で行います。
5 起伏が完成したら、全体にジェッソを塗って、下地
 をつくります。

 ジェッソを塗ることで下地が均一化し、上塗りの塗料が塗りやすく、発色が良くなります。



 とりあえずベースボードの造形が終わったところです。



6 まずはリキテックスなどの水性絵具でひととおり
 色を置いてゆきます。
7 地面部分にはタミヤのテクスチュアペイントを
 塗り、石畳は造形用粘土で再現します。

 テクスチュアペイントは何種類か発売されていますが、今回はダークアースをまずは塗り、
その後、草カーキで変化をつけています。

   8 水苔を木工ボンドで接着。剥離することがないよう、
    上からつや消しクリアーをたっぷりと吹きつけます。
   





 着色については、その順番を考える必要があります。親水性のある素材なのでまずは水性
のもので着色し、次にラッカー系、、最後につやを統一するためにつや消しクリアーという順番が
ベストかな。



9 100均に置いてあるものから、雰囲気のあうものを
 チョイスし貼り付けます。
10 隙間部分とか地面にちょっと変化をつけたい場合
 にはN-ゲージで用いるターフ類が使えます。
 

 100均にはジオラマづくりに使えるアイテムがたくさんあります。ちなみに造花関係が最も豊富
なのは seria です。





 とりあえずの完成。昨年の個展はこの状態で展示しました。
 草の表現はまあまあかなとも思ったのですが、まだまだうっそうとしたミステリアスな雰囲気までは
いっていない感じです。
 そこで今回いくつか手を加えることにします。



11 ベースボードに歪みが出ていたので、4辺を18mm
 ×6mmの角材で補強しました。
12 ベースボード側面をダークグレーで塗ります。
 これだけでぐっと見栄えが良くなった。

13 発泡スチロールの塊に100均の観葉植物を取り
 付け、これをベースボードに取り付けます。
14 ベースボードに穴を開けて、ここに樹を差し込み
 ます。
15 鳥居に神社の表記を追加。ツタをはわせ、汚し
 塗装を行います。



 で組み上げた結果が次の画像です。








 少し森の奥に続く参道の雰囲気が出てきたかな。鹿に誘われた彼女はいったいどこに行ってしまうのでしょう?
 お人形を含め、まだ少しいじるかもしれませんが、こちらの作品も8月の個展に持ってゆくつもりです。



2019.05
camera: Canon PowerShot s100 / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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