福井



2020.01.11~01.12
 3連休ということで、急に思いついて旅行に出かけることにした。
 え、でもどこに行く? 今週末は全国的にあまりお天気が良くなさそうだけど、何か低気圧の狭間で日本海側の金沢より西側がちょっと良いみたい・・・。
 ということで福井市内のホテルに予約を入れ、翌日は自家用車で早朝4時に出発です。



01.11(土)
09:30
 途中、2回ほど休憩を入れる必要はありそうなので、計算上の所要時間は5時間半。そして予想通り福井県に入ったのは午前9時すぎ。



 北陸自動車道を鯖江ICで降りて東に向かいます。
 1月も半ばになるので、このあたりはいちめんの雪景色と思いきや、雪などまったくないです。スタッドレスはもちろん、ちゃんとチェーンも持ってきたのにな。



10:10
 今回最初の目的となる一乗谷朝倉氏遺跡に到着です。



 こちらは良く知られた戦国大名の朝倉氏の居城のあったところです。ブラタモリで紹介されたときから、ぜひ一度見たいと思っていました。
(国の特別史跡、特別名勝、需要文化財、資料館の共通観覧券が250円)
 朝倉氏滅亡の後、城郭とこの街並みは放棄されたままでしたが、近年その遺構が調査発掘され、その一部はご覧のように復元されて、いにしえの街並みを
散策できるようになっています。



  ある意味すごくリアル。ここに今、朝倉氏の人々や町人が歩いていてもぜんぜん不自然じゃない。ほんとタイムスリップした感じです。





 

 谷の中央には一乗谷川が流れ、これを挟んだ西岸には城下町、東岸には朝倉氏の館があります。お城自体は朝倉氏の館の背後の山の山頂に築かれていました。
 山間には何本もの沢が流れ、とっても水の豊かな場所です。だからなのか、どこを歩いていても地面がスギゴケに覆われ、まるで緑の絨毯みたい。



 こちらは朝倉氏の館のなかにある庭園、流れる水と苔が印象的。  ここにいると何か戦国時代につくられたことを忘れてしまいそう、それほどに優美です。
 福井に旅行するならここは外せない。



 

 一乗谷から少し北に行くと、建立一乗谷朝倉氏遺跡資料館があります。一乗谷で発掘された様々な遺品や、当時の情勢の解説資料が展示されています。
このあたりは越美北線の一乗谷駅が近いので、福井市内から可愛い電車でやってくるのもいいかもしれません。



11:45
 付近にはあまり食事のできるところはなさそうなので、近くにある道の駅で昼食にします。

 

 オーダーは名物の越前おろしそばとソースカツ丼のセットです。(一乗谷あさくら水の駅、お値段は1000円ぐらいだったと思う)
 そばはともかくとしてソースカツ丼は実は今回が初体験です。これが思ったよりというか、本当に美味しい。ソースが決め手だと思うのですが、もちろん
単なるウスターソースじゃない。何かここに秘密があるんだろうな。



12:25
 午後はそのまま北上して永平寺へ。



 永平寺は1244年に道元禅師によって開かれた座禅修行の道場です。(見学500円)
 とても雪深いところにあるので、あちこち雪囲いされています。ただ今年は例年にない暖冬で、日陰にさえ一掴みの雪もない・・・。もう真冬の1月半ばだというのに。



  山の斜面にたくさんの修行の場所があって、その建物の一つ一つが廊下や階段でつながれています。これも雪深い山中ゆえの工夫なんだろうと思います。





 

 この天井画はすごい・・・。

 

 一つ一つが妥協することなくつくられていることが分かります。



 荘厳で重厚、そして凛としているというか、何一つスキのない感じで背筋が思わず伸びます。





13:35
 ここから先はかの有名な恐竜博物館を目指して勝山方面に向かいます。

 

 このあたりは福井県でも少し奥まったところにあって雪も多い。スタッドレスタイヤは履いているけど、天候によってはチェーンが必要になるかも・・・、
なんて来る前は少し思ったけど、ここもぜんぜん雪がない。本当に記録的な暖冬だね。
 画像右側のちょっとかっこいい建物は酒屋さんです。(吉田酒造) こちらでは全国で最も若い女性杜氏ががんばっているそうです。(もちろんお酒も買ったよ)



14:00
 福井でいちばんの観光すスポットといえば、東尋坊と並んで福井県立恐竜博物館でしょう。(勝山市 入館730円)



 エントランスに降りて行くこのエスカレーターが絶好の撮影ポイントです。




 入館すると、まずは動く巨大なティラノサウルスがお出迎えです。これがまたけっこうな大迫力です。



 つい30年ぐらい前までは日本には恐竜がいなかったとされていたのですが、ここ福井県でその化石が発見され、今ではこのあたりを中心に多種多様な恐竜が
生息していたことが分かってきた。




 ついでに言うと、恐竜と言えば変温動物で、トカゲや蛇同様、タマゴを産んだら放置しておしまい・・・、そんな考えが昔はあたりまえだった。ところが今では
羽毛が生えていて恒温動物、タマゴを親が温め、種類によって集団で行動をして狩りや一族を守る行動をしていた、みたいなことまで分かってきた。
 これは人間の信じている常識って、新事実によってあっけなく否定されてしまうという一例です。


 

 このほかにも巨大な骨格模型や再現映像、当時の時代を再現したジオラマなど内容は盛りだくさんです。ここも福井に行ったら外せないところです。
 恐竜のいた時代は地球の平均気温が、一説には40℃近かったという話もあったわけで、そういう意味では今、恐竜のいた時代に戻りつつあるのかもしれません。
これまで長い時間かけて植物が取り込んできた大気中の二酸化炭素ですが、今盛んにその逆を人間が行っているということに話は尽きます。






16:50
 予約を入れておいた福井市内のホテルにチェックインします。



 そのあと晩御飯を食べるところを探してうろうろします。事前にチェックは入れたのですが、なかなかピンとくるお店がない。


 

 そんななか、つれはこの看板に惹かれて老舗の和菓子屋さんへ。自分もおすそ分けしてもらったけど、これいいね。上品な酸味と甘み、それから
ふわふわさっくりの食感が絶妙で、間違いなくヒット商品だと思います。(森八大名閣ふわふわもちご 季節限定)



 1時間ぐらいうろうろしてたけど、本当にこれでいいのかってぐらい暖かい。手袋持ってたのに、するのを忘れるぐらいでした。





迷った挙句に入ったのがこちら「いろは」という小さな居酒屋さんです。(料亭でカニっていうアイディアもないではなかったけど・・・。)

 

 生ビールと小鉢、1人前の小さな刺身盛り合わせ、天ぷらのお得なセットからスタート。これで1500円、更にHP見たよというと、ネット割5%というのが嬉しい。
いろいろ食べたけど、ご主人ちゃんとしたところで修行されたらしく、どれもおいしかった。
 通りの奥まったところにあって、少し入りにくいかもしれませんがおすすめします。




 天気が良いのは今日まで、ということでこのあと明日の計画を練り直します。いや練るつもりでした。
 でも練るつもりが、結局寝てしまいました。



01.12(SUN) 天気:くもり
5:50
 翌日はまだ暗いうちにホテルを出発です。遅くなればなるほど天気は悪くなるので。



 ちなみに宿泊したこちらのホテルは良かった。(ホテルフジタ福井 清潔で安い セミダブル5800円!)
 お天気は下り坂ですが、それでもまだ南の方に行くほど降水確率は低いみたい。ここは雨の中の東尋坊みたいな風邪をひきそうなプランはやめて、
まだ行ったことのない敦賀方面へと向かうことにします。



6:55
 山を一つ越えて日本海に出てきました。



 こちらは国道305号線沿いにある越前スイセンの里です。(駐車場あり)



 あいにくの曇り空だけど、山いちめんが水仙に覆われいる。これはすごい。



 この日は水仙祭りが行われる予定だったみたいだけど、こんな感じであいにくのお天気。でも早朝からその準備をしていたおじさんに、
連れは積んだばかりの摘んだばかりの水仙をいただけて、本当に喜んでました。





7:40
 こちらは越前海岸。

 

 天気は確かに良くないんだけど、冬の日本海じゃないな。冬本番となれば季節風がビュービューで大荒れ、それが本来の姿。(新潟に住んでいたことがある)


 

 このあたりの名物と言ったら、もちろん越前ガニ。海岸をすすむとやっぱりありましたカニ屋さん。
 ここは旅の思い出って意味で、小ぶりなものを買って帰りました。もちろん大きなものだと、現地でも2万円から3万円するんだけど、
キズものや小さなものだったら数千円で手に入ります。



9:00
 福井への旅は最後、敦賀で終わることにします。ここは通ったことはあったけと、まだちゃんと散策したことはなかったな。



 敦賀っていうとあまり観光のイメージはないのですが、明治時代以降につくられた港を中心とした街並みの残るところです。




 その敦賀港の一角にあるのがこちら「人道の港 敦賀ムゼウム」。
 杉原千畝の名前はもちろん聞いたことがありますが、彼が発給したビザをもったユダヤ人はシベリア鉄道を降りて、ここ敦賀港に渡ってきたんだそうです。
(その経路については知らなかった)
 ここには氏とユダヤ人難民に関する資料がたくさん展示されています。


 やはりここでの歴史舞台というと、金ヶ崎城がいちばんかな。
 南北朝、室町、戦国とその時代その時代で領主を変えながら、様々な場面で歴史舞台に登場するお城です。このあとNHKの大河ドラマの舞台にもなるので、
人がたくさん訪れているのかな・・・? と思ったけどそれほどじゃなかった。

 

 お城は入江を見下ろす山の上にあるのですが、画像はその城山の中腹にある金崎宮です。「難関突破と恋の宮」として知られているそうで、なんとなくロマンチックな感じです。
 参道の入口には「恋の階段駆け上がれ」という案内看板があって受けてしまいました。いいですね、とてもナイスなキャッチコピーです。
 神社を通り越して山を登り切ったところに金ヶ崎城の本丸があります。再現された建物こそありませんが、その遺構の保存状態は良好です。ここから敦賀湾を一望することができます。



 ここから見えるもので一番目立つのは、やはり北陸電力の敦賀火力発電所でしょうか。この近くには原発もあるので、このあたりは北陸地方の発電の一大拠点ということになります。
ちなみにこちらの火力発電所の方は世界的な批判を浴びつつある石炭火力発電所です。天然ガスや石油が燃料だと、燃えて水と二酸化炭素になるけれど、石炭だと二酸化炭素しか
出ないので、発電量に対して最も二酸化炭素の排出量が多い発電形式と言われています。
 ここでちょっと考え込んでしまいます。地球温暖化が問題になり、そして実際に真冬だというのにこのあたりでも一片の雪を見ることができない・・・。
 問題はとても大きいと思いますが、どこかしら無関心な今の情勢に、やはり何か釈然としないものを感じます。



 こちらは702年創建の気比神宮。鳥居は日本三大木造鳥居の一つで重要文化財に指定されています。
 成人式があったらしく、こちらは新成人でいっぱいでした。




 港町を歩きます。
 街としては、やっぱりりちょっと寂れた感じはするかな・・・。交通量も少ないし、閉まったままのお店もある。

 

 うろうろしていたら見つけました。こちらがソースカツ丼発祥の地と言われるのがヨーロッパ軒敦賀本店です。
 営業前だったので無理言ってお弁当にしていただきました。これまで地方のB級グルメだと思い込んでいたけど、ちゃんとした料理として高い人気があるんだね。
開店と同時にたくさんのお客で賑わっていた。
 こうなると自分でもソースカツ丼をつくってみたくなるなあ・・・。



 この建物は敦賀市立博物館。昭和2年に建てられた大和田銀行本店を活用したものです。



 このあたりは昭和レトロにひたれるとっても良いところです。お散歩するならこの周辺が一番。









 こちらは敦賀鉄道資料館、もともとは「欧亜国際連絡列車」の発着駅だった敦賀港駅舎です。(復元 入館無料)
 「欧亜国際連絡列車」は明治の終わりから新橋と金ヶ崎を往復していた列車で、ウラジオストク行きの船、そしてウラジオストクからはシベリア鉄道に
連絡してヨーロッパへと通じていました。
 そうか、ここは当時ヨーロッパに向かう最短ルートだったんだ。戦前のオリンピックに出る選手はみんなここから開催国に出て行った。
 敦賀って国際港湾都市だったんです。

 話は変わるけど、昨年末に終了した「いだてん」はとっても面白かった。でも大河ドラマのなかでは視聴率は低かったみたい。
 それをどう評価するかは人それぞれだけど、少なくとも斬新な切り口で、しかもこれまで語られてこなかった事実を情熱的に描いていたことはとっても
良かった。大河ドラマ=歴史ドラマという固定観念のある人には最初からつまらなかったかもしれないけど、これまで誰も切り込まなかった分野を作品に
したってことは素晴らしいし、少なくとも自分にはこれまでの歴史ドラマより数段おもしろかったな。



 ちなみに敦賀駅から港に続く路線は廃線になってしばらく経つけれど、その線路自体はそのまま残っているところが多いので、当時の街並みを思い
浮かべながらお散歩するのも良いと思います。



 観光スポットとして有名なのは「赤レンガ倉庫」。(国の登録有形文化財)



 数年前までは昆布貯蔵庫として使用されていましたが、今は改修されて観光施設になっています。レストランと物産館、そして奥には敦賀の明治後期から
昭和初期のまちなみを再現した鉄道と港のジオラマがあります。(走っているのはHO、入館400円)





 そして最後にお土産の紹介。



 敦賀で買ったお守り二種(金崎宮と気比神宮)




 そして思い切って買ってしまった越前ガニ。酢と梅と白だしでカニ酢をつくり (連れはそんなものいらないと、ばくばく食べてた。せっかくつくったのに・・・)、
これに合わせるのは吉田酒造の「白龍純米吟醸生原酒」。口に含んだ瞬間はやや濃い目の飲み口。でもキレがとっても良くってカニに合いました。
 あー、もっと買ってくれば良かった。



 急に行ってパックに入れてもらったヨーロッパ軒のソースカツ丼は翌日温めなおしていただきました。こちらも抜群に美味しいと言いたかったけど、やっぱり
揚げたて炊きたてが一番良かったに違いないです。美味しいんだけど、さっくり感とかふっくら感がなくなっていて少し悲しい。
 連れはすぐに車の中で食べれば良かったと、ずっと後悔してました。
 こうなったら、味の記憶を頼りにソースカツ丼つくるしかないか・・・。



2020.01
camera:Panasonic GX8 + G-VARIO 12mm-32mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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