2021



今年最後の紅葉



2021.12.11 SAT 天気:晴れ
8:35
 ほぼ一月半ぶりの那須です。山の紅葉は終わってしまったけど、まだまだ平地の紅葉だったら間に合うかもしれないと思って、
西那須野にやってきた。
 那須というと、乱暴な言い方をすれば、西側(山側)には那須高原と温泉地があって、様々な観光名所も集まっている。東側
(那珂川流域)は白河の関に続く奥州街道(江戸時代までのメインストリート)が通っていて、宿場町や城址その他、歴史散策の
できるような名所が集まっている。
 では中央はというと、国道4号線、東北自動車道、新幹線、東北本線は通っているけど、さていったい何があったかな? みたいな
感じです。実際、歴史的には明治以降の新しいところが多く、それまでは手付かずの原野だったところが大半でした。






 こちらはイロハモミジで有名な大山参道です。
 タイミングが良ければ樹齢90年ほどのイロハモミジが200mほどの続き、色鮮やかなアーケードになるのですが、今年は少し遅かった。
オレンジから赤の葉が少し残っているだけでした。それでも結構きれいだけど・・・。



 地面はモミジの絨毯でふかふか。


sae(TBLeagueS35 ヘッドリペイント 29cm 2020 )

 もそも大山参道というのは、陸軍元帥大山巌の墓所に続く参道として整備されたところから、そう呼ばれるようになった道です。
大山巌は戊辰戦争から日清日露戦争を指揮官として戦い抜いた人物で、この那須に別荘と農場を所有していました。


 

 大山参道を南に向かって歩いてゆくと県立の那須拓陽高校があります。
 正門は県立の高等学校とは思えないような門構え、そしてフェンスには全国大会出場の横断幕が延々と続く。一見して伝統校であり、また様々な
ところで注目を浴びるような存在であることが分かる。

 

 もともと農学校だったというけど、これがまたものすごく広い。ちょっとした大学なんかよりも、もしかしたら施設的には整っているかもしれません。(上は大山農場)
そして敷地内のビオトープがきれい。
 明治維新以降、政府の重鎮や貴族、軍人たちが那須に移り住んで那須野が原の開拓がはじまったのは有名な話ですが、そういうこともあって、こういう学校がつく
られたんだろうと思う。



こちらは高校の敷地内にある大山記念館です。(内部見学要予約)
この高校自体がもともとは大山元帥の所有する農場跡につくられたってことですね。





10:30
 今度は郊外を東に向かってすすみます。そしてまだ行ったことのない野木神社を目指します。

 

 野木神社です。その名の通り、こちらは日清日露戦争で活躍した乃木希典を祀った神社で、その一角には旧宅がある。(見学無料)
 この西那須野には明治時代の著名人の別邸が多くあり、乃木希典自身も暇を見てはここで農地を耕していたと伝えられます。
(その農地も今はまた那須拓陽高校の農場になっている)


 

 すぐ近くで見つけた鉄道の駅跡、「野木神社前」という名前がついている。
 このあたりには西那須野から黒羽、那須小川に続く東野鉄道が通っていたところで、1968年まで営業を続けていたということです。
(今現在は遊歩道として整備されている)
 すごいね、明治の半ばから昭和にかけて、一気にこの那須野が原が近代的な姿に開拓されていったわけだ。



 遊歩道を西那須野に向かって歩く。
 そしてここにもイロハモミジが植えられています。


 

 このあたりの開拓の歴史は「那須野が原博物館」あたりに行くと、よく理解できると思う。(入館300円)
 博物館周辺は「いだてん」で名の知られるようになった三島通庸ゆかりの地で、「つるべの家族に乾杯」にも出てきた三島神社があったりします。




 今は知名度も低く、少なからず寂れた感じもあるところ西那須野ではありますが、一昔前はこの周辺に日本を動かす人々が集まり、急激な勢いで一つの
理想郷を目指して発展していた時期があったことは間違いないです。
 近年になっても一時期、国会を那須野が原に誘致しようという動きがあったと記憶してますが、一体それはどうなっちゃたのかな?
 東京一極集中はこれからもすすむってことでしょうか。





13:20
 西那須野の散策のあとに向かったのは、いつものギャラリーバーンです。



 例年、この時期になると企画展などは行わず、オーナーの清野さんの作品中心の展示になります。
(那須を訪れる人が極端に少なくなるため)




 

 以前より作り続けている立体的なコラージュ作品は、またいくつか完成して展示されていました。
 その構成や表現など、以前にも増して進歩している感じだね。


 

 動きのある作品の中では、このロボットシリーズが可愛い。完璧でなく、あえて少しバランスを崩しているところが絶妙。
 こちらもヒットシリーズの予感がする。




 この恐竜はまだ完成はしてないけど、動きがユーモラスで的を得ている。さすが元アニメーターだな。




 今度は少しまとめて絵でも描いてみようかな、みたいなことを言ってました。
 リアルに仕上げられた着色したペン画が何枚か展示してありました。




 作品を鑑賞させていただいた後は、例によっていろいろなお話を聞かせていただく。
 基本、那須の観光シーズンは、紅葉の終わりとともに静かな冬の時を迎えるのですが、今年は少し違う感じだそうです。
いまだ週末ごとに那須にやってくる人は多いみたい。
 やっぱりこれまでの間、コロナの影響でどこにも行けなくて、やっと今になって解放された感じなのでしょうか?
 でもまた今度はオミクロンの関係で不透明な部分が出てきてしまった。観光地としては来春の観光シーズン以降、どういう
プランで臨むかが難しいところです。もしかしたらそのスケジュールが白紙のままってところも多いかもしれない。





17:00
 我家もここのところ少し解放されていて、那須では飲みに出かける。
 でも混雑は一応避けたいので出発は16:45。



 こちらはいつもの殻々工房です。この日は5時にやってきたのだけど、予約が結構入っていて、何とかカウンター席を確保することができました。
 お酒、料理、お値段、すべての面で満足できるところだから、リピーターは当然多いと思う。

 

 いっぱい頼んで、いっぱい飲んだ。
 フィッシュ&チップス、豚角煮と煮卵(画像 左)、カキとタコの燻製(画像 右)・・・、飲み物は、ギネス、ボンベイサファイアのサンセット、ブラックブッシュ・・・。
 最後に「適当なラムをタンサンで割ってください。」とお願いしたら、Selva Ray というラムのソーダ割り出てきた。チョコレートの風味がすごい、チョコレートケーキ
を飲んでいるような感じ。でもタンサンで割っているので甘すぎるってこともない。絶妙のバランスで一発で気に入ってしまった。
 ここに来たら1つぐらいはお任せでつくっていただくのが良いと思う。

 いっぱい頼んで、いっぱい飲んだ。
 だからとても良い気分で、寒い冬の夜を歩いて帰る。
 星もきれいだったので、撮影しようとカメラを出したら、手が滑ってカメラを落としてしまった・・・。そしてカメラは二度と起動しなかった。





2021.12.12 SUN 天気:うすぐもり
8:30
 翌日は宇都宮郊外の白沢宿に立ち寄ってから神奈川に帰ることにしました。



 昨夜、カメラを壊してしまったので、ここから先は1万円の格安スマホで撮影です。晴れていればまだしも、曇りの条件だと色の再現がけっこう怪しい。
やっぱりちゃんとしたカメラには敵わない。


 

 こちらには井上清吉商店という酒蔵があって「澤姫」というブランドのお酒を造っています。爽やかで上品な味わい好きで、ここのところ年末にはお正月用のお酒を
こちらで買っています。
 16種類のお酒が比較できる試飲コーナーもある、こういうのってありがたいよね。
 これから年末年始の計画が思った通りにすすむか、若干不安もあるけれど、帰省はできるものと信じて買っておきます。




 白沢の宿は奥州街道の宿場町としては宇都宮の次、今は当時の繁栄をうかがい知るものは少なくなっていますが、宿場町のあちこちを流れる清水を見れば、
ここでおいしいお酒ができることには納得がゆくはずです。



2021.12
camera: Canon powershot G7X & Oukitel C15 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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