情景のなかの人形たち

Dolls in the scene 2021




*) こちらの記録はブログ「瞳に四角い鰯雲」に記録してきた4回目の個展の記録に加筆、再編集したものです。


<9ヶ月前>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」を終えて1週間、ようやくその片付けを始めた。
 今年は新型コロナのおかげで、ちょっと寂しい思いをしたけど、いつまでもぼーっとしているわけにもゆかない。サッカー界に伝わる名言、
「試合終了のホイッスルは、次の試合の始まりでもある」というクラマーの言葉を思い出す。



 片付けというのは、作品一つ一つを整理しながら、来年も必ず使うものと、補修やリメイクの必要のあるもの、あるいは次回以降は展示しないもの
に分けてゆく作業です。この段階で人形の着ている服は、色移りする可能性があるので基本的には脱がします。そしてお洗濯する。
 前回は衝撃的に暇だったので、次回の構想を練る時間は十分にありました。



 chico ちゃんには、看板娘としてこれまでルノワールの描いたイレーヌ・カーン・ダンウェール譲に扮してもらっていましたが、彼女もいったんここで
お着換えです。色移りするようなドレスではありませんが、人間の汗が浸み込んでいるはずなので、ここで洗濯しないと黄ばんでしまうはず。
 同様に、他の展示品でも手を触れた場所はOAクリーナーで拭いておきます。脂分は塗料を変質させる可能性があるので。
 ちなみにこの chico ちゃんは「次回以降は展示しないもの」に分類しました。窓際に置くことで、通りかかった人にアピールすることはできるのですが、
現状ではもうこれ以上会場に運び込む作品は増やせません。だからここはいったん引退してもらって、かわりにジオラマ作品の数を増やすつもりです。



<8ヶ月前>
 ものつくりをしていたり、アートを趣味している人は多いと思いますが、それを個展という場で発表する人はそれほど多くないように思います。でも販売を
目的とせず、公的な会場を借りることができるならば、それもそれほどハードルは高くないです。少し調べてみれば、難しい制限などなく、多分1日数千円の
範囲内で、なんとかなっちゃうと思います。



 自分が住んでいるところに近い神奈川県の中西部で、最も理想的だなと思ったのが平塚市美術館の市民ギャラリーです。これまで3回の個展もここで開催
してきた。会期7日以内で面積148m^2が1日4000円からと、都心や横浜あたりに比べれば断然お安い。しかも美術館だから、展覧会そのものを見に訪れた方が
立ち寄る可能性も高い。自分自身の知名度が高くないので、これって大きなポイントです。
  会場の確保をするためには、もちろん事前の申し込みが必要です。(重複したときは抽選)
 それで来年前期の申し込み期間が10月初旬ということで、ここで時期的なものを考えなくちゃいけなくなった。これまで8月に開催していた理由って、自分も
含めてお仕事が休みになるので開催しやすいってことと、特に夏休み中なので、子供たちが見て喜んでくれるってことでした。
 でも問題はもちろん新型コロナです。 実際、副作用のないワクチンが完成し、それが世界中にゆきわたるまでに、あとどれだけ時間が必要なんだろう?
 ワクチン接種がすすまなければ、来年8月のオリンピックだって、無観客でもでもいいんじゃないかと自分は思っています。 基本的にオリンピックってスポーツの
お祭りなわけで、歓びを表現するなって言うのも難しい。無制限にウエルカムして、様々な国の人々で繁華街が賑わっている風景はちょっと怖いと思う。



「chico ちゃんはどう思う?」
「・・・。」
ということで現状、長い休みが取れてコロナの影響も少なくなるはずの、9月終わりの開催に傾きつつあります。



<5ヶ月前>
 平塚市美術館に行ってきました。来年度前期の市民ギャラリー利用者抽選会があったからです。以前お伝えしたように、9月終わりの連休で申し込んだら、
この期間の利用希望者が、なんと7団体もあった。みんな考えることは一緒、オリンピックが終わって落ち着いたころに、作品展を行いたいという気持ちは同じ
なんだろうと思う。



 とはっきりしているのは、まだまだこのコロナ渦は続くって、みんなが見ていることです。作品展の会場としての平塚市美術館の人気はけっこう高くって、
1年前までは、ほぼすべての期間が様々な作品展で埋め尽くされていました。
 ところが今回、人気が集中していた時期は9月の終わりだけで、あとはけっこう空きがあった。抽選に外れると、そのまま再申し込みができるんだけど、
4月から9月の全期間を通しての充足率は半分ぐらい、だから申し込みすること自体をためらっている人も多いってことです。



 結果、抽選は外れて第2希望だったゴールデンウイークの時期に確定、そもそもゴールデンウイークってどこも混んでいるから、もともと遠出するつもりはない、
だからむしろ都合としては良いかも。 もちろん問題は新型コロナの影響が残っている可能性は大だということです。



<3ヶ月前>
 今年持ち込む作品のうち、大きなものは現在までにだいたい製作が完了、もしくはその大きさがつかめてきたので、搬入のシミュレーションをしてみました。



 リビングの一角が作品置き場になっているのですが、あらためて114×90×122cmの大きさに積み直します。このサイズは何かというと、我が家の軽自動車
の荷室のサイズなわけで、ある意味このサイズが個展の規模を決めているというわけです。そして積み直してみたら、やっぱり入らない。
 大きな作品を1つ外して2つを追加、そして中小の作品を5~6追加すれば、当然こういう結果になる。もちろん大きな車やワンボックスに買い替える予定もない
ので、何か手立てを考えなければいけません。



 で見つけたのがルーフキャリアバッグなるもの。画像では得体のしれない黒い巨大なビニールバッグですが、広げて自動車の屋根にベルトで取り付けることが
できる。金属製のルーフキャリアだと何万円もかかっちゃうけど、こちらの黒い大きなバッグならAmazonで5699円、屋根がへこむような重量物はダメだけど、軽い
ものなら問題なし。112×86×43cmの容量なので、運び込める物が30%ぐらいは増える計算です。 これなら個展のときだけでなく、キャンプとか非常時にも使え
そうです。迷わず購入しました。


 

 あともう一つ使えそうなもを発見した。部屋を汚さないためのレジャーシートを買いに行ったら、100均で「布団干しシート」なるものが目にとまった。
  そもそもはベランダに布団を干すときに壁の汚れが布団につくのを防止するためのもののようですが、いろんな場面で活躍してくれそうな気がする。220×160cmもの
大きさがあって、しかもつや消しのグレーという色合いも良い。柔らかい合成紙ですが、強度も十分にありそう。たとえば個展のとき、作品の下に敷くシートが足りなければ、
自分でさらしや地味な色合いの布などを用意する必要があるのだけれど、布って結構重いし値段も高くつく。でもこれは110円なので費用は1/10ぐらいで済む、しかも
超軽量。 日常的には写真用の背景にも使える。
 早速、低温のアイロンでしわを伸ばした。



<2ヶ月前>
 もう直前ということで、お仕事以外はこの活動とお散歩が生活の中心になっちゃっている感じです。



 気持ちとしては準備期間9ヶ月のうちに新作とリメイクを含めて10作品ぐらい作りたかったのですが、現時点でここまでの8作品がぎりぎりかな、つくるとしても小作品を
追加するぐらいだと思う。
 残り2ヶ月ともなると、やらなきゃいけないことはまた別にたくさん出てくる。手持ちの作品がほぼ出そろったので、まずはそのなかから展示作品を選んで配置を考える。
まずはこれが一番大切。そしてリストアップした作品がちゃんと自分家の軽自動車の荷台に積み込めるかどうかもポイント。ただこの点は今年ルーフキャリアバッグなる
ものを購入したので大丈夫だとは思っている。
 このほかこまごまとしたものを用意したり写真をプリントしたりと、確認しなきゃいけないことはたくさんある。作品作りだけでなく、こういう計画や準備はちゃんとしておか
ないと、不十分な展示になったり、初日は設営だけで終わっちゃったみたいなことになりかねないから油断は禁物です。
 新型コロナの現実を考えないようにして、やるという前提でこれまで9ヶ月にわたって準備を積み重ねてきたわけだけど、ここにきて最終的な判断をいよいよしなくちゃ
いけない時期になってきた。ようするに、やるかやらないか、やるなら予定通りか延期か、ということです。
 今現在、自分のようなアマチュアが誰の手も借りずに作品展を開催するって、現実にはかなり厳しいと思う。同じようにダメかもしんないと思いつつも準備をすすめている
人も多いんじゃないかな。
  じゃあ自分はどうするかというと、現時点では「予定通りやる」ということで更に準備をすすめることにしました。見に来て下さる方は確かに少ないけれど、そこで生まれる
交流は少なからず価値のあることだし、ゴールデンウイークだから子供たちにも喜んでもらえるかもしれない。
 あとはこの1年で新型コロナとか社会情勢の変化もあったわけで、それに関連した旬の作品もある。そういったものをご覧いただくのならやっぱり今年でしょってこともある。



<1ヶ月前>
 現時点での展示作品数はドール&フィギュアとそれを主人公にしたジオラマ作品が35、写真180、その他小作品が10程度の予定、現在最終段階の作品の制作を急いでいます。



 追加で制作中のジオラマ2点、「浮島稲荷神社」と「渋田川」です。あともう少しで完成の見込み。



 ついでなので、自分の制作現場ってこんな感じです、みたいなご紹介をします。
 Aはテレビ前に置かれたガラステーブルで工作道具や塗料などの置き場所になっている。雑多な感じですが、作業が進むと1日の終わりにはどうしてもこうなっちゃう。
でもこまめに並べ直す。
 Bは制作しているジオラマ2点で、これらは100均で買った箱の上に置かれている。ジオラマを制作するときには、まずは関係しそうなパーツを片っぱしから探し出して
この箱の中に入れて置く。そうすると作業がスムースにすすみます。
  Cは作業台、というか踏み台を作業台にして使っている。以前はデスク上で作業をしていたのですが、物が飛んでどこかに行ってしまったり、手を滑らせて床に落として
壊すなんてトラブルが頻繁にあったので、床で作業をするようになった。飛んでも近くに落ちているし、手を滑らせても大破に至らない、安全重視です。
Dは作業用シート、切削や切断、磨きはこのシートの上で行う。そうしないと部屋が汚れる。部屋が汚いのは様々なトラブルの原因になるので、少なくともこの周辺だけは
きれいにしておく。このほか、窓際のデスクには換気扇のある吹き付けスペースもある。汚れちゃうのでエアブラシだけは部屋の真ん中に置けない。



 「浮島稲荷神社」の主人公になるフィギュアの塗装をしているところです。1/3スケールの球体関節人形から1/150スケールのジオラマまで、扱う作品はどれもこれもデリケート。
だから細心の注意を払います。
 上の画像で言えば、コーティングを終えていないフィギアの塗膜は弱いので手袋をつけてます。 手袋もしくは手洗いの励行。
 飲み物食べ物は近くに置かない。(倒して泣いたことあり)
 埃の立たない環境を整える。
 塗装作業を行うときには、毛羽立ちあるようなものは着ない。(クリアーなコーティングをするときなどは、体を清めたあと裸で作業するのが一番良いと思う。夏ならそうする)
 先を急ぎたいことがあっても完全乾燥を待つ。
 お酒を飲んでの作業など、もってもほか。(でもついつい手にして、大きなトラブルになることも過去にあった)
 形だけっていうのも困るけど、こと模型作りに関しては形から入ることも必要かと思います。トラブルが少なくなれば、その分作業効率もUPするわけで、このあたりの知識は長い
経験から身に付いたことだと思う。
  あと作品作りに資料画像はもちろん、客観的な判断を下すために自らの作品の写真撮影は欠かせないというのが、もはや自分の中では常識になりつつあります。
 そんなときに役に立つのが OneDrive。(もちろんgoogleでもよいのだけど)資料画像や撮影画像をupしておけば手元のスマホですぐに見られるし、通勤途中に制作プランを練る
こともできる。積極的に活用するようになったのが、最近の変化かな。



 まだすべてが出そろったわけではないけれど、配置図を会場の美術館に提出した。本来なら作品リスト → 会場レイアウトなんだけど、準備が遅れている以上は仕方ない。
おそらくはジオラマと写真の展示スペースを拡大しなくてはいけないという見込みで配置図はつくりました。
 問題はやはり新型コロナで、入場者は昨年並みどころかもっとひどく、壊滅的に少ないような気もする。特にここ2週間ぐらいの感染拡大の勢いはこれまでになくヤバイ感じです。
でも最近はやれるんなら、それだけでもいいやって思えるようになった。自分はそもそもそれで稼ごうっていうプロじゃないし、もしかしたらたとえ誰も来なくても、それはそれで楽しい
のかも。たとえて言うなら、5日間限定で148m^2 (会場の面積)という巨大なジオラマをつくらせていただいている感じと言ったら、分かっていただけるでしょうか。



<1週間前>
 さて個展まで1週間になってしまいました。ここ4年間毎年開催しているのだけど、準備期間がこれまでより短く、実質8ヶ月しかないので何かと苦しい。お人形の手を借りたいぐらいです。



  これまで使っていたプリンターの調子が悪いので、8年ぶりに買い替えた。エコタンク搭載、エプソンのA4プリンターです。 画質や展示のことを考えればA3高画質プリンターが
良いのに決まっているけど、コストのことを考えれば、これでまたしばらく我慢というところです。



 テストプリントとして来場者のお土産におなるポストカードを印刷してみた。画質はやっぱり高画質プリンターには劣りますが、通常使用ではその差はよく見ないと分からない
ぐらいです。とりあえず40枚ほど印刷(左側)。昨年のものの余りも加えれば(右側3種)、全部で80枚ぐらい。今年はいったい何枚必要なんだろ?
 状況としては昨年の8月より良くないから、もしかしたらこれだけで3日目ぐらいの分まであるかもしれません。いや、もしかしたら4日目・・・、ひょっとして最終日まで・・・?
 とりあえず、もうこれ以上印刷するのは止めとこ。




 現在制作中の作品は多分すべて完成しそうなのですが、10作品の新作またはリメイクという目標にはまだ達していない。ということで、短時間で制作できるものに切り替えて、
あと2作品つくることにした。こちらは1/12のオリジナルドールヘッドでピコニーモボディと組み合わせて遊ぶもの。以前イベントで販売していたものですが、これにちょっと手を
加えて簡単な作品の主人公に仕立てることを思いついた。



 無事に修正が終わった。けっこう可愛く仕上がった。ということで、この娘にも働いてもらうよ。



 現時点でドール&フィギュア、ジオラマなどの立体作品は、その数40でほぼ確定。このほかに写真や大型のパネル等は200余りになる予定。大まかに作品が出そろったので
会場のレイアウト設計に入ります。
 ここのところ1回目のレイアウトを基本にして追加や削除を行ってきたけど、だいぶバランスが悪くなってきたので、全面的に見直すことにした。 この配置作業自体がパズルの
ようなもので、なかなか難しい。でもできるだけ、すっきりと分かりやすいような配置にするつもりです。  



<2日前>
 自分自身の主催する個展「情景のなかの人形たち」までいよいよあと2日。だんだん追い詰められてきた感じです。準備期間8ヶ月はやっぱり短い。
 立体作品の展示数が明確になったところで、作品を図面上にレイアウトしてみたら、今年は少し余裕がありそうなことが分かって一安心。但しつながりの悪いところがあるので
ここを何とかしなくちゃいけない。



 それで何を作っているかというと、45cm×45cmのスペーサー6枚です。100均で薄板を買ってきてつなぎ合わせた。 このスペーサーはテーブル間の隙間を埋めるというもので、
この上にテーブルクロスをかぶせれば段差も目立たなくなる。会場にあるレンタル品をそのまま使えば簡単なんだけど、
 できるだけ自分のイメージした空間に近づけたい。今回の会場の広さは148㎡、イベントのときの180cm×90cmの展示スペースとは、もう比較にならないぐらいの想像力が必要
です。これもまた立派な創作活動だな。




 レイアウト上の問題がなくなったので、順番としては案内表示をつくります。順路をイメージしながら作ってゆくのがポイントです。今回購入したEPSON のプリンター EP-M533T の
調子はとても良い、3万円で買える普及機としての性能は十分です。用紙は案内表示なので厚手のスーパーファイン紙を使いたいところ。今回は比較的廉価なPLUSの用紙を使って
みましたが、白色度は純正のものよりやや劣るけど実用性は十分です。多分これからも常用することになると思う。



 びっくりしたのはカラープリントの質感、これまで使っていた8年前の最高画質の機種と実際にはほとんど差がない。進歩してるんだね。買い替えてよかったと思いました。用紙も純正
のクリスピアでなく、国外でつくられた安めのもの。でもこちらも侮れない。しっとりとしていて落ち着きがあり、表面光沢の感じはむしろこちらの方が好きかも。
 もしかしてこういった普及機のプリンターとの組み合わせはベストなのではと思わせる。この Uinkit の光沢紙ももう少し試してみたい気がする、あとは経年変化の問題だと思う。

 

 A4にプリントアウトしたら、これを少し大きめなB4のケント紙に貼り付ける。余白は必ずしも必要がないのだけれど、A4という小さめのプリントなのであった方が見栄えがするし、画鋲で壁
に固定しやすいのもメリット。外の空間との間に緩衝帯をつくるという意味では、絵画や版画を額縁に収めるのと同じことです。

 何十枚もB4の用紙の中央に両面テープで固定するのは結構大変。そこでスチレンボードで枠を作って、ここに落とし込むようにしてみたら効率がかなり上がった。こうやって1枚1枚プリント
を選んで完成させてゆく。
 でもときどき「そういえばこういうこともあったな・・・。」なんて思い出が蘇ってきたりして作業が中断する。 この1年半近く、新型コロナのおかげでこれまでとは違った生活を送ってきて、
ようやくそれに慣れてきた気がする。そして身近なところにも、今まで気づかなかった素敵なところがあるってことを発見した。そういうプラスの部分をできるだけピックアップしたい。
「おっといけない、やることやんないと。」
準備期間はあと2日、多分何とかなるでしょう。



<前日>
いよいよ明日から自分自身の個展「情景のなかの人形たち」が始まります。つい先ほど、やっとその準備が終わりました。



 この3日間、延々と続けていたのは、写真の整理とコメントの書き加えでした。実は「情景のなかの人形たち」はドールとジオラマだけがメインの作品展でなく、それと同等に写真の方にも力を
入れています。作品数としてはドール&ジオラマが40、写真などの画像作品が152と、むしろこちらの方が多いぐらい。 (それでも少し整理した)
 ある意味、自分のつくる作品は撮影したときに真価を発揮する部分があると思っているので、この二本立ては崩せないと考えています。そして今回はドール制作からドール撮影、画像加工、
あるいは写真そのものなど、自分がこれまでに活動してきたことのすべてがお分かりただけるよう、写真展示の内容を整理しました。



 先ほど終了した最後の作業がズームプリント(市川ソフトラボラトリー)による拡大プリントの作成です。ズームプリントとは、簡単に言うと分割と拡大を行い、そのプリントを貼り合わて大きな
ポスターをつくるアプリです。世の中には高価な大型プリンターも存在しますが、それを持てない人にとっては大変ありがたいアプリです。 プリンターには標準でそういう機能もついているけれど、
こちらの方が断然、高詳細で精度が高い)



<ayana>



<naomi >

 ドールイベントならこういものはいらないけど、ある程度の広さになると、こういった目を引くものが必要になります。もちろん元はA4のプリントなので、どうしても継ぎ目だ出てしまうという
欠点はあるけど、お値段のことを考えれば十分に許容範囲内です。今回はこれを全部で10枚ほど用意した。




 明日は朝から我家の軽自動車に荷物を積み込み、会場に向かう。その後の設営に約4時間、もしかしたら1年でいちばん忙しい日かもしれません。
 あとは上の chico ちゃんにはお留守番を頼んであるのでよろしくね。



<DAY1>
 8ヶ月かけて準備してきた自分自身の個展「情景のなかの人形たち」、いよいよ本日から開催です。新型コロナの感染状況を考えれば、最悪に近いようなタイミングかもしれませんが、
今さら何をってことでしょうか。



やっぱり早起きしたけど、準備はすでに終わっているから今朝は特にやることがない。 なので軽く2.5kmほどジョギングしてきた。



 開館の30分ほど前、9:00に会場の平塚市美術館に到着した。
 晴れていて良かった。別に気分が良いとかじゃなくって、雨だったりすると搬入時の作品の水濡れに気を使わなくちゃいけなくなるから。

 

 まずは荷物下しです。よくもまあこれだけのものが我家の軽自動車に入っていたなと。 一方でこの荷物が消えたリビングの方はすっきりさっぱりで、我家のリビングって
結構広かったんだと思ったりする。そしてキャリアバッグはやはり絶大な効果があった。




 手続きを済ませ、使用料を払って(4000円×5日間)設営を始めます。まずは展示台を並べクロスをかけて、作品をひととおり置いてゆく、ここまでで1時間45分経過です。
基本的に美術館本体はすでに開館しているので、入場者はちらっとこちらを覗いては、「こちらはまだ準備中なんだな」と思って通り過ぎてゆくということが、この間は続くわけです。
だから単純に焦る。



 多少あせりつつも、立体作品のセッティングが終わった13:00に部分的にオープンしました。
 ここまでは予定通りなんだけど、展示物が増えてきているなかで、少しずつ設営にかかる時間も伸びてきた。最初のころはほぼこの時間帯で完全にオープンできていたから、
もう完全に1日の設営日を設けた方が良いかもしれないと思った。基本、クロスをかけるまでは誰にお願いしてもいいけど、作品のセッティングだけは自分でやるしかない。




 でもというか、やっぱり来場者はとても少なくて、無理してスピードを上げる必要もなさそう。来場者のお相手をしながらゆっくりと写真など並べていたら、結局会場設営が終わったのは
16:00でした。だから1日目は気の利いた写真など撮れていません。本格的なレポートは明日以降ということで。



<DAY 2>

 情景のなかの人形たち」も2日目になりました。前日はほとんど設営に時間を費やした感じだったので、今日から本格的にスタートしたって感じです。



 とはいっても、まだまだ展示に不十分なところがあって、それらを手直ししながら案内をしてました。こちらがエントランスです。こういうところで最後にがんばったズームプリントが生きる。
外から見ても何をやっているのか分からないんじゃ入りようがない。知名度が高ければ別でしょうが、ここは最も力を入れなきゃいけないところです。



 さて今日は大型連休も最後、入場者多数を望みたいところですが、さすがに新型コロナの影響は大きい。
 入場者は午前中ぱらぱら、お昼時にはぱったり、最後の2時間ぐらいでまたちょっとという感じで合計50名に満たない。お隣の東京では美術館や博物館がすべて休館になっているから、
みなさんの休日の過ごし方から、美術館という選択肢がすでに外されてしまっているのかもしれません。まあその分、この展示会場は安全ということにもなるのですが。

 さて今回の「情景のなかの人形たち」のポイントを順にご紹介します。作品数はドールとジオラマの立体作品が40、写真とパネルが合計152。そのうち昨年からの比較で言うと新作や
リメイクなどは2割で、作品数は昨年よりまたちょっと増えた。



<ayana>
 粘土でつくったオリジナル球体関節人形 ayana です。11年前に制作したものを最近リメイクしたものですが、完成度としては自分の制作したものの中ではトップクラスです。
きれいなボディラインをお見せしようと、HPでご紹介した画像のシーンをそのままこの会場で再現しました。
 ただ、ちょっとこのままでは光の加減が良くないな。置き場所を含めて少し調整するつもりです。




<stratum>
 ドールという のは歳をとることがないわけで、時代を経て遠い将来に地層のなかから発掘されるという話があってもよいかもしれない。そういう発想をもとにつくりました。
今回の展示のため背景部分をリメイクして、ちょっとだけ重厚な感じにまとめてみた。




<誰もいなくなった>
 1/6スケ-ルのジオラマの新作です。つい先程までここにたくさんの人々がいた痕跡はあるのに、いつのまにか姿を消してしまった…。
 ド-ルやフィギュアの全くいないジオラマです。しかも何気なく落ちているビラの意味を知らないと、このジオラマの目的とするところも分からないという、そういう難しい作品を
つくっちゃいました。




<森の神社>
  こちらも以前につくった作品のリメイク版です。がしかし雰囲気はがらっと変わってコンセプトも明確になった。鳥居の表現についてはぜひ見ていただきたい。




<テレワーク>
 1/24のジオラマというよりはキャンピングトレーラーと名車スバル サンバーの組み合わせです。
 今の世の中、ネット環境さえ整っていれば、こういう生活もありかと思って作ってみました。




<浮島稲荷神社>
 水田に浮かぶような感じで建てられた小さな神社の秋の風景です。
 長く続いた雨も上がって、久しぶりに若い母親と娘がその神社にお参りにやってきた。




<山入口バス停>
 夏休みの登校日、とあるバス停で久しぶりにクラスメイトに出会った。そんな日常を表現しました。




<渋田川>
 芝桜で有名な渋田川の春の風景を再現してみました。
 最後の3つは最近つくったご近所をモデルにした1/72スケールのジオラマです。




 ということで無事に2日目も終了です。かろうじて個展が開催できているような状況なので、昨年に引き続いて入場者が少ないのは覚悟の上なのですが、それにしても
「こどもの日」なのに子供たちの姿が少なかった。社会貢献だなんて大げさなことは言うつもりもないけれど、子供たちにも喜んでもらうつもりで、この時期を選んでいるから
ちょっと寂しい。



<DAY 3>
 一日のお休みをいただいて「情景のなかの人形たち」再開です。今日は連休明けの平日で静かな始まり。(もっともここまで賑やかになったことなどないのだが) 
更に午後から雨の予報もあってずっと静かなままだろうな。



 会場の平塚市美術館の市民ギャラリーっていうのは道路に面した1Fにあって、ブラインドを開放すると外の風景が良く見える。誰もいないと、この全体を見渡せるポジションで
ぼーっとしていることも多い。
 気になったことは照明のことで、おそらくは最近になってすべてLEDに変更されたのだと思う。LEDは紫外線を出さないので美術品の展示には向いているのですが、以前に比べて
少し照度が低くなったような気もする。今日は更に天気も良くないのでブラインドは全開、それでもまだまだ光が足りないのでドールの位置や向き、ポーズを修正する。




 これは2日目に気付いた問題点でしたが、これでだいぶ状況は改善されました。
 入れ目タイプの人形って瞳がキャッチライトしているかどうかで、かなり見え方が変わってきます。これだとまだまだ弱いかな。本当は光が差し込んで、瞳がきらっとした瞬間を見て
ほしい。きゅんとなります。 あとは今後のお天気に期待です。<ayana>




 光の具合は肌の見え方にも影響します。自分のつくる人形は、何層ものコーティングを施して透明度のあるしっとりとした質感を再現しているのですが、これも光量不足では分かりづらい。
こちらは少し作品を移動して、斜め右から光が当たるようにしたら、血液の流れのようなものが感じられるようになった。
  こちらの人形、この角度からだと微かに微笑んでいるような感じに見えるのですが、お分かりいただけますか?<stratum>

 2日目は立体作品を中心にご紹介したので、今回は写真やパネルの作品をメインにピックアップしてゆきたいと思います。



 展示している写真とパネルはこんな感じです。前回は実物を持ってきていた1/1の chico ちゃんはお留守番、代わりに写真で参加しています。  



 こちらはその前回の様子です。
 今回は立体作品は立体作品で、写真は写真のコーナーでというふうに分けないで、できるだけリンクさせたいと考えていた。



 こちらは「梅雨明け」というタイトルの1/150のジオラマです。サイズは25cm×20cmしかないのですが、2ヶ月半つくり込んだおかげて見どころ満載の作品です。通りを歩く人はもちろん、
屋上で洗濯ものを干していたり、洋品店のウインドウには水着を着たマネキンがいたりと無茶苦茶密度が高いです。
 でも何せ主人公が1cmほどのフィギュアなので、人間が目の高さから見ても何もわからない。



 そこでこの作品の上にA4のプリントを展示した。裏通りには若い夫婦が二人いるでしょって訳です。この作品にはこういう画になるようなシーンが全部で10か所ぐらいはあるかな。
そして少しだけその解説文を載せました。

:17:30
 毎日暑い日が続くようになりました。でもこの時間帯になると少しだけ涼しくこともあって、通りはいちばんの賑わいをみせます。学校ももうすぐ夏休みですね。
この道沿いにある神社は、今でも安産や健康を祈願する人が多く訪れ、夏には小さなお祭りも開かれます



 こちらは1/24スケール、50cm×50cmの比較的大きなジオラマです。
 風の谷のナウシカってアニメの歴史を変えた名作だと思いますが、その原作になった作品はアニメージュという月刊誌に連載されていた作品でした。そのなかに腐海の深部には浄化された
新世界がつくられつつあるという下りがあったので、それを再現しようと考えた。
  腐海の樹々は自ら毒を取り込んで結晶化し、それが砕けた砂が新たな大地の基礎となる。そこには毒を吐くことのなくなった腐海の植物も育ち、そこには旧世界の植物もよみがえる。そういう
イメージで100均や鉄道模型のパウダー類、WAKOの植物キットなどを組み合わせて具体化してみた。組み合わせるナウシカはバンダイのプラモをリメイクしたものです。



 こちらは暗い部屋に上の作品を置いて、スポットライトを当てて撮影した画像をパネルにしたものです。そしてこれを作品の下に置きました。
 自分としては、ナウシカが長い旅の末に新世界に至り、夜明けとともに陽光が差し込む一瞬を再現したかった。明るい展示室内でこの瞬間をを再現するのは無理ということで、こういう展示方法を
とることにしました。
 ジオラマって作って終わりじゃなくって、さらにそれを自分の思うシチュエーションに高めていって撮影するってことも、かなりその価値ありだと思っています。

  あとは今回追加した写真から、何枚かピックアップします。新型コロナのおかげでご近所の写真が多いです。それからできるだけ1枚1枚の写真にコメントをつけるようにしました。



<ネスレジャパン 静岡県島田市>
 
見た瞬間に Pink Floyd の Piggsを思い出した




<あぜ道の春>




<2020 夏>
 
夕暮れ、焼き鳥屋さんの前 これもまた街中での夏の風景です。
  でも新型コロナの影響は大きい、店には入らずお持ち帰りにした。





<紅葉の那須連山>




<雪>
 雪が手のひらに
  そして消えてまた手のひらに
 とけてほんの少しだけ重くなったように思う





<sae>

 ということで、この会場に来ていただいて、ひととおり順にご覧いただくと、自分の表現したかった世界のようなものが理解できるような流れにしたつもりです。 でも皆さん「順路」どおりに
見ていただけないのでなかなか難しい。
 この日も入場者はとっても少なかったです。 でも一方で興味を持たれた方とはじっくりと話し込むこともできて、それはそれで良かったです。



<DAY 4>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」も4日目、久しぶりに天気も良くて、ブラインドを解放した窓から明るい外光が差し込む。とっても良い感じです。



 週末ということで、多少入場者は増えるかな? 少し期待したけどやっぱり少ない。
  でも何かこの日はじっくりと足を止めて作品を見て下さる方が多く、その点はありがたかった。そしてコミュニケーションが取れるというのは、自分のやってきたことの是非やこれからの
方向性を確認できるという意味でも大きいです。
 ここからまた展示内容のご紹介、ただ造形物を写真に撮るという、違った視点で解説したいと思います。




<akane>
  昨日の復習ですが、やっぱりドールアイがキャッチライトしてるというのが、まずは可愛く見せる最大のポイントです。窓から迷い込んだ蝶が指先にとまったという瞬間を切り取るわけ
なので、当然これが決めのアングルになります。蝶からフェイスまでピントが合うようにF9.0まで絞りました。 だからこういうときの撮影モードは絞り優先が絶対に良いです。




<asumi>
  鍵を忘れてしまって家に入れない、そういうシチュエーションを表現しているので、ちょっと悲しげな雰囲気を出すために、斜め上から見下ろすように撮影します。
  ちなみに自分の作るドールはすべてニュートラルな表情にしています。そして周囲の状況やポーズによって内面的な部分を表したいと考えている。この場合には力なく座り込んでいる
感じでドールを置いてみた。




<aimi & chie>
  旅行に出かけようと、バス停の前でそのバスを待つ二人です。旅立ちの雰囲気を出すのならこれでしょう。
  自分がジオラマをつくるとき、こういう決めのアングルやポーズをいくつかイメージしながら制作しています。それは多くの場合複数ある。そしてジオラマの制作は想定したアングルから
写真を撮ることで完結します。




<Cappuccino>
 もうこの作品の場合にはこれしかないでしょって感じです。 この作品を上から俯瞰的に撮影しようとする人がいたら、「下からスカートの中が見えるようにしないとだめですよ」とアドバイス
しちゃいます。多くの方はローアングルから覗き込んでいないので、気づかないまま撮影してる。




<Alice’s Dreamy Bedroom>
  夢見る少女の部屋というタイトルで、フィギュアはシルフィー ココシュニック、このフィギュアは雰囲気があって、特にお尻のあたりが良い。だから顔も一緒に撮影するならこれです。
ちなみに窓から彼女を覗き込んだアングルも好きです。




<最後の冬>
  1/150のN-ゲージレイアウトです。でも主人公は1cmのフィギュア。

とあるローカル線の小さな駅。しばらく降り続いていた雪も今日は一段落、午後からは晴れる予定です。
冬の間は自転車が使えないので、今日も母親の運転する軽トラックでこの駅まで送ってもらいました。
朝の乗降客は3年前から彼女一人。そしてあと少しで彼女も卒業し、春から駅は本当に静かな朝を迎えることになります。

 とても寒そうな景色、ピンク色のマフラーと待合室のつららはぜひ写したい。この作品は別アングルのものがNという鉄道模型雑誌のフォトコンテストで最優秀賞になりましたが、実はこちらの方が
自分は好きだったりする。




<由利高原鉄道 曲沢駅>
  駅の周囲は360°水田で、最も近い集落まで徒歩15分。 ここで降りた人はしばしプラットフォーム上であたりを眺める・・・。
  カメラのことで言うと、センサーサイズの大きなちゃんとしたカメラってミニチュア撮影には実は不向きです。どんなに絞り込んでも全体にピントが合わない。ではちっちゃいカメラや格安の
スマホはどうかというと、暗いところが苦手だったり細部の描写が荒くなる。だからベストなのは1型センサーの小型機かマイクロフォーサースあたりのカメラです。自分もここ10年近く、この
パターンから変化していません。




<浮島稲荷神社>
  最近完成した1/72スケールのジオラマです。フィギュアの後方から撮影するのが基本なのですが、こうやって真横から写して水面にその姿が写っているシーンもまた良しです。
  制作過程で作品を写真に撮るということは、客観的に判断をするという意味でとっても重要なのは言うまでもない。そして完成後に撮影するっていうことは、別の形での創作活動みたいなものだと
思います。

  あとは画像作品から皆さんの足がよく止まる画像作品をピックアップします。



<Marilyn Monroe>
  TBLeagueの初期ボディ(昔はPhicenと言っていた)に別売りのヘッドを組み合わせたもの。
  ヘッド自体はAliexpressで中国からのお取り寄せでしたが、これが全く似ていない。壊れているわけでもないので返品もできず。しょうがないから自分で削りとパテ盛りを行い、人間用の化粧品で
仕上げました。
 良い感じに仕上がったので、皆さん足を止めて下さるのだと思う。それでは実物も展示しようと思ったのですが、どこかに仕舞い込んで見つからない・・・。




<Emma Watson>
  画像合成のコーナーの最初の作品です。築地本願寺を背景にしてTBLeagueのフィギュアと組み合わせた。背景を少しぼかしただけでもリアルな作品にまとまります。




<momo>
  背景は浜松の「ぬくもりの森」というテーマパークが背景になっている。ここはとってもフォトジェニックなところなので、人形を持ちこんでも良い写真が撮れると思います。




<飯田市立追手町小学校>
 何かものすごく迫力のあるたたずまいなのだけど、これは飯田市にある小学校です。 (昭和4年に建てられた有形登録文化財)



<DAY 5>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」も今日がいよいよ最終日です。
 今日は朝から快晴に近いお天気、でもそうすると外に遊びに行っちゃう人が多くなるな。このコロナ渦で例年になくバーベキューを楽しむ人たちも多いという。そういう意味では絶好の日だから、
今日は日曜なんだけど入場者は少ないかもしれない。



 そんな予感が当たってしまったようで、最初のお客様がやってきたのはお昼ちょっと前でした。
  10時ぐらいには、あまりのぽかぽか陽気でつい居眠りしてしまうほど。先日は子供たちににもぜひ見てもらいたいなんて、このブログにも書いたけれど、考えたら「人の集まるようなところに行っては
いけません。」て学校でも言われているんだろうなあ。

  さて次はここまであまり取り上げてこなかった過去の作品を、まずはピックアップしたいと思います。



<私の部屋>
 これは「私の部屋」という1/6スケールのジオラマです。ベースになった作品はもう15年以上も前のものです。ベッドの上でくつろぐ女の子の部屋を覗き見しているような、見てはいけないもの
を見てしまったような、そういう作品にしたくて、ともかくリアルに仕上げようとした。
 片っぱしから使える小物を買ったり作ったりしたけど、これでもまだ全然足りないぐらい。
  ドールは入れ目タイプのオリジナルヘッドにオビツSBHボディを組み合わせたもので、以前はドールイベントで販売していたこともある。(この新型コロナの騒ぎが終わったら、久々に出てもいい
かなって思っているのですが、いつになるんでしょ?)




<街角>
  これも初期の作品がベースになっている。工事現場前のゴミ集積場の前、迷いネコに手を差し出す女性、そういうさりげないシチュエーションを表現した。
  もともと自分はタミヤのMM(ミリタリーミニチュア)のジオラマの経験があったから、ジオラマってリアルな空間またはリアルな事物を組み立てて作られるべきものという発想を持っていた。




<五能線「驫木駅」>
  そしてちょっとしたきっかけでN-ゲージの可愛いラッピング電車に出会い、なぜかいきなり1/150に入ってゆく。上の作品は現地取材をもとにして図面化し組み立てたものです。
 ここは夕日の名所として、もしくは告白の場所としても有名なので、夕日を眺めるカップルを主人公として置いてあります。実はホームの反対側には猫のカップルもいるのですが、小さすぎてそれに
気づく人はまずいない。
 あと1/150というと基本的には草花のようなものは正確な表現など無理なわけで、昔から鉄道模型の世界ではターフやパウダーなどが多用されてきた経緯がある。このあきらめの良さのようなものも
大切なのかなと、つくっていて思った。




<卒業式の朝>
 小さな小学校の最後の卒業式をイメージしてつくってみました。またこの日、ひとつの歴史が終わる。

5:20
 
今日はこちらの小さな小学校の卒業式です。前日は雷も鳴る大荒れの天気だったのですが、幸い夜半にはきれいに晴れてきました。
ただその悪天候のせいか、もう少しで満開だった桜も、その花を少々散らしてしまいました。

 
夜明け前、用務員さんが誰よりも早くやってきました。大雨で汚れた玄関をお掃除し、最後に卒業式の看板を校門に立てかける頃には夜が明けてきました。

 1/150でもジオラマとして成立するんだったら、別に鉄道模型である必要もないな、そう思ってこちらは試しにつくってみた。グランドの水たまりとか、そういったところにまで配慮する一方で、桜の樹や落ちた花などは、手を加えたけどお世辞にもよくできているとは言えない。それでも春らしい雰囲気を演出しているから許される。




<Kittyの部屋>
 格安の中国製ドールハウスのキットをベースに、いろいろと手を加えてお花いっぱいの部屋に仕上げたもの。植物の表現というのはなかなか難しくて、なかなかリアルな情景にならない
というのが現実、でもたまにはつくりたいという欲求優先で再現するのも良いと思った。
  何かこのあたりから、少しずつジオラマに対する考えが変わってきたように思う。ジオラマってリアルさの追求よりも自分の持つイメージを再現する方が大切なんだろうと思うし、その方が
ずっと楽しい。
 その昔、オリジナルの球体関節人形をイベントなどで販売していたこともあったけど、その結果、どうしても「売れる人形」を意識しなくちゃいけなくなった。そしていろいろあって、「もう売らない」
ってことを決めたら急に気持ちが軽くなった。
 何かそれに似ている、やりたいことをやるというのが趣味の世界ではいちばん大切です。当たり前のことなんだけど目が覚めた。




<小さな丘>
  1/150スケールで4部作のジオラマをつくってみました。これは第2話の「春」
  一連の作品のヒントになったのは、往年の名作「ひまわり」という映画です。ロシアの大平原を覆うひまわり、そして真冬の厳しい雪原の風景が実に印象的でした。
 場所と時代設定は1940年代から60年代のスコットランドあるいはイングランドの北部、ヨーロッパ戦線に向けて飛び立つ航空機のために数多くの空軍の飛行場がつくられていた時代の話です。
この第2話は雪が融けて小さな丘がいちめんの緑に覆われ頃、20数年の年月を経て一人の女性がここを訪れたシーンを再現しています。この丘には戦争で亡くなった彼女の両親が眠っている。
 別にこういう丘があったという事実は全くなく、完全に自分の想像した世界の話です。
 こういう話なのでともかく美しい草原をつくろうと頑張った。




<賽の河原>
 こちらは1/6スケール、初期のころは青森県の恐山の殺伐とした風景を再現したものでしたが、その後は現地には存在しない荒々しい感じにまとめ直した。
  もう最近はリアルというよりはイメージ優先、現地を再現するというよりはあらたな空間を創作している感じになってきた。だからもういわゆるMMの歴史的なリアルとは全然違う方向だね。




<誰もいなくなった>
  時は1940年代、第二次世界大戦中のヨーロッパのとある小都市の広場をイメージしています。散乱するビラ、放置された買い物かご。ここにいたはずの人々はどこに行ってしまったのか?
想定としては敵機の飛来を察知して人々は姿を消し、直後にその航空機からは大量のビラがまかれたというものです。
 但し撒かれたビラなどには統一性が全くない。
  ベンチに取り残された新聞は1941年12月、日本がパールハーバーを空爆し、太平洋戦争が始まった時のもの。
 その下に落ちているのは『白バラ』のモチーフ。『白バラ』って何かというと、ミュンヘン大学の学生たちによる反ナチス抵抗運動のことで、彼らは1942年から43年にかけて6枚のビラ作成し、
戦争を終結させようと国民に呼び掛けたというもの。(彼らは7枚目のビラを印刷する前にゲシュタポに捕えられ、国家反逆罪で処刑される)
 その他2枚のビラもスターリングラード攻防戦のときに、ソ連軍がまいたドイツ軍兵士に投降を呼びかけるビラだったり、1940年にドイツ軍がダンケルクで撒いたとされるビラだったりする。
  結局のところ、このジオラマはリアルなものでなく、メッセージそのものです。
 ミャンマーとか香港、そして世界中に扇動的な政治家や人々の声に耳を傾けない政治家が増えてきている現実、隔絶と差別のひろがり、戦争と過去の平和運動、子供のときに見た
ミステリーゾーンのイメージ、そういったものが急に結びついて、そこからは一気にできあがっちゃったって感じです。
  これってかなり自己満足的な作品だと自分でも思ってます。主人公がなくて、代わりに目を引くところもない。しかも横に添えられた長い解説文を読まないと、どういう作品なのかも分からない。
(5日間で説明文まで読んで下さったのは、ほんの数名) プロなら多分つくらないと思う。




<私の名は栞>
 本に挟まれているので栞。
 1/12スケールのドールも一時期作っていた。これも入れ目タイプのオリジナルヘッドでピコニーモボディと組み合わせる。ところが小さすぎてきれいなドールアイが作れないし、ドールヘアーの
貼り付けもうまくゆかない。満足のゆくものは3個に1個みたいな感じで、しばらくは箱の中にしまいっぱなしでした。
  ところがNHKの朝の連ドラ「ひよっこ」のオープニングに出てくる見事なミニチュアが、見立て作家の田中達也氏であることを知り、たまたま開催されていたMINIATURE LIFE展に行ってみること
にした。
 もちろんとても良かった、目からうろこです。

 



 「見立ていいね」というわけで、これまでとは違ったシンプルなものを作ってみようということで、何点かつくってみた。
 考えてみたら、こういうのってお人形遊びの原点でした。
 ついでに言うとジオラマって言うのも、小学生の頃にフィギュアつき戦車で遊んだ延長線上にあるわけだし、結局は子供の頃に遊んだことを、年を経てまたやっているだけのことってことかもしれ
ません。



<追伸>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」の追加レポートです。
 結局のところ、今回の入場者数はいちばん多かった回の1/8、でもこれは予想通りで、この情勢を考えれば当たり前でしょう。
 そしてもし以前のように人が集まることを予想していたら、逆に開催を躊躇していたと思う。今回は安全な移動手段が確保できる方に「疎」の状態でご覧いただくのがベストです。



<テレワーク>
 こちらの女性があちこち移動しながらテレワークをこなしてゆくというジオラマ。数々の遊び道具とともにテーブルにはノートパソコンと散在する書類。今やネット環境さえあれば、
どこでも仕事はできるという職種は多い。
 仕事って一ヶ所に皆が集まって、ある意味相互にコミュニケーションをとりつつ(監視という意味もあるが)するものというイメージが変わったね。いろいろ余分なものがそぎ落とされて、
仕事の本質が見えたという人もいるんじゃないかな。
 作品展も同じです、実物をご覧いただく方が良いには違いないけど、ネット上でもどんな活動をしているのか、その概要をお伝えすることはできる。事実、この数日はたくさんの方に
このブログをご覧いただいています。そしてもっと詳しいことを知りたい方はメインサイトの方に。そういう流れでいいんじゃないかな。




<渋田川>
 伊勢原市を流れる芝桜で有名な渋田川の春の風景です。



 この画像はジオラマで言うと、右側の土手道から上流方向を撮影したものです。ある方が奥多摩から持ち帰った芝桜を植えたのがきっかけで始まり、これまでたくさんの方々のボランティアによって、
このきれいな風景が維持されてきた。
 がしかし・・・、昨今の状況からこの2年間は芝桜も植えられず、恒例の芝桜祭りも開かれていません。  その寂しい状況を見て、じゃあジオラマのなかで花を咲かせてあげようと思ったわけ。




<山入口バス停>
 夏休みの登校日、バス停あたりで久しぶりにクラスメイトに出会った。  実在するバス停を背景にして、そういうありがちなシーンを再現してみた。



 この作品を展示していたら「知ってる!」って人がけっこう多かった。ここはマイナーな存在だと思っていたのですが、このあたりはハイキングコースにもなっていて、このバス停に目を留める人も
多いみたい。こういうのって「やったね!」という気分です。
 本来は旅行が大好きなんだけど、この1年半は出かけていない。もちろん go to だなんて感染拡大させる政策には乗らなかった。  そして何を始めたかというと、ご近所の散歩です。




<浮島稲荷神社>
 水田に浮かぶような感じで建てられた小さな神社の秋の風景です。長く続いた雨も上がって、久しぶりに若い母親と娘がその神社にお参りにやってきた。



 今現在はこんな感じです。まわりは畑になっちゃったけど、「浮島稲荷神社」というのだから、その昔は田んぼの中に浮かぶように立っていたに違いない。そう思ってイメージとしては大正から
昭和の初めの頃をイメージしてつくってみた。
 だからこれもリアルなジオラマというより、自分のイメージしたこの神社がいちばんきれいに見える時代と季節、シチュエーションを選んだ。こういうのがジオラマづくりの本質なんだろうと思う。
 ご近所をお散歩していて、いろんなきれいな景色を見つけました。




<遠藤原>
  いちめんの麦畑。この風景を見せて信州とか、北海道と言っても信じてもらえそう。近くには森や滝があって、ホタルはもちろんオオタカまでいるというのがすごい。
 付近に農産物の直売所がいくつかあって、とても素敵なお買い物散歩ができます。ここがなんと東京から車で1時間。




<妙圓寺>
 岩屋があって胎内くぐりができる。ご利益がありそう。何というか自分は鎌倉あたりにやってきた気分に浸れます。 このあたりは丘陵から伸びる沢筋に古い集落がいくつもあって、え、なんで
こんなところに? と驚くようなお屋敷があったりする。真田や土屋、岡崎など古くは鎌倉幕府を支えていた武将たちが居を構えていた場所だからなんだろうけど、おかげで本当に歩いていて
飽きません。
このほか眺望の良いところも多数。旅行には行けなくなったけど、その分、ご近所にも素敵な場所がたくさんあるということが分かって良かったなと思います。




<花菜ガーデン>
 背後の紅葉はメタセコイヤ、秋の花菜ガーデンで撮影しました。ここは県営のフラワーパークで、春のピークシーズンはもちろん良いのだけど、11月から1月までの時期もなかなか渋い!
 年間パスポートがともかくお得です。




<大根川>
 土手の散歩道に朝がきた。足元にはお花畑。




<紅葉の弘法山>




<伊勢原 桜台>
 
真冬のお散歩 空がいちだんと蒼く、まるで成層圏に駆け上がったみたい。




<上大井から秦野>
 丘陵を登り切ったところでようやく夜が明けてきた。

しんとした空間
下層を白く靄が覆い空は刻々とその色を変えてゆく
名前ない場所 でも何て素敵な場所なんだろう


 この画像がこの1年のベストショットだと思う。モデルは TBLeague s35 (27cm)でフェイスに手を加えています。




 5日間お疲れさまということで反省会です。
 いつもだったら居酒屋さんへということですが、今年はやっぱりお家でおとなしくしてました。


 

 「情景のなかの人形たち」は多分来年もやります。
  おそらくはさすがに新型コロナの影響もなくなっている頃だとは思うので、来て下さる方には喜んでいただけるようなものにしたいです。規模を拡大するなら、車の買い替えと準備期間の延長が
必要なのだけど、これは簡単にゆきそうにない。
  「情景のなかの人形たち」の根本は自らの作品を見ていただくことなのですが、ただ個々の制作物を1つ1つ展示するというのだけでなく、会場全体で何か伝えられることはないかと考え、試行して
みたのが今回でした。次回は更に明確なテーマみたいなものを示すことができたらいいなと思ってます。



2021.05
camera: canon Powershot G7X & CASIO EXLIM EX-ZR4100 &Panasonic GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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