eye4工房番外編

ビニールレザーの修復



<ビニールレザーには寿命がある>


人形遊びをしていて悲しくなってしまうことは少ないけど、そのなかでも経年変化による劣化だけはどうにも避けられない。自分自身は素材を選んで
10年、20年持つような人形を作っているつもりだけど、そもそも着せる服などは消耗品的なものなので、時期が来れば使えなくなるものもある。
その代表的なものがビニルレザーの製品です。




 こちらは1/6スケールのアクションフィギュア用のブーツです。ずいぶん前に購入したもので、表面のビニールコーティングがぼろぼろ剥がれ始めていて、
下地が見えてきた。 なんとかならないか、しばらく方法を考えていたのですが、結果として一番可能性の高いのが「液体ゴム」、これは乾けばその名の通り
乾いてしまえば透明なゴムの膜ができるというもの。そしてもう一つが表面保護と艶出しを目的にする「革・ビニール手入れ剤」です。


1 もともとの色に近いアクリル塗料を剥がれ落ちたと
 ころに塗ってゆきます。
2 液体ゴムを筆で塗る。劣化が進んでいたので、全体
 に2回ほど塗りました。
3 べたつきが気になるので、革・ビニール手入れ剤
 を塗って磨きます。

 液体ゴムはそのままだと塗りにくいので、塗料皿に液体ゴムをとって水を数滴加える。1回では剥がれ落ちた部分は平坦にはならないので、まずはしっかりと
塗ります。他の部分も劣化は進んでいるはずなので、その後、全体に2回ほど塗りました。
 この液体ゴムはけっこうべたべたしていて汚れやほこりも付きやすいので、革・ビニール手入れ剤を塗って、このべたつきを軽減します。


   4 ベビーパウダーでつやを調節します。


 そのままだと、 仕上がりはけっこう光沢があって、もともと革の持つマットな感じはなくなってしまう。
 それで革・ビニール手入れ剤に少量のベビーパウダーを混ぜて塗ってみたら、少しだけ光沢が抑えられた。但し加えすぎると全体が城っぽくなってしまうので注意。

 この結果に対する満足度は70%ぐらいで、まあ何とか使えるかなといったレベルです。液体ゴムを均一に塗るのが難しく凹凸が残るい、そして光沢が完全に抑えられない
というあたりが不満です。



 こちらは1/3ドール用のブーツです。こちらもかなり劣化がすすんでいる。こちらも同じようにMr.カラーのシルバーと液体ゴム、革・ビニール手入れ剤の順番で処理した。
 完璧とは言えませんが結構良い感じに仕上がった。この処理方法は光沢仕上げには向いていると思う。



 さてこの状態で何時まで持つのかは不明です。何かあればまたレポートします。
 ビニールレザーの修復について書いたけど、そもそも劣化させなければ良いことです。劣化の原因としては、紫外線の影響が最も大きいと考えられるので、直射日光の
当たるようなところに持ち出さないというのはとても大切です。
 それから酸化させないためには前出の革・ビニール手入れ剤というのも効果的でしょう。シリコンオイルなどを浸み込ませるというのも良いかもしれません。ただやはり
最終的には劣化は避けられない。

 以前、クールガールシリーズにはまったことがあって、結構なお値段したのに何体も買ったことがあった。問題を生じたのは3年後ぐらいからです。
 コスチュームの多くはビニールレザーを使っていて、しかもストレッチ素材だったから、触るたびにボロボロと表面のコーティングが落ちて悲惨な状態になってしまった。
それ以来、ビニールレザーのOFは買わなくなったし、クールガールも放置したままになってしまった。 メーカーには、ユーザーを悲しませることが無いように、少しでも長く
遊べるような製品をつくってほしいと思う。





2022.01
camera: CASIO EXLIM EX-ZR4100  / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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