eye4工房番外編

天空の城ラピュタ ロボット兵



<またまたジブリ作品です>


 「くつろぎの時」という1/3スケールのジオラマの制作に目途がついたので、次の作品作りの準備に入ることにしました。



 押し入れとか、棚の上にはプラモやドールハウスキット、レジンキャストのキットなどが積みあがっているので、まずはそれに目を通す。
 人間というものは「とりあえず買っておく」という所有欲があるようで、作るかもしれない、いずれ役に立つかもしれない、そのうちなくなってしまうかもしれない、
などなどでどんどんモノが増えてゆく。  断捨離という発想もあるのだが、踏み切れない人も多いと思う。
 そして不思議なことに、本来は使うもののはずなのに、そのうち所有していること自体が目的となってしまったりする。特に自分を含めて「モデラ―」と呼ばれる
人間にはその傾向が強いようです。自分はそれほどでもないが、なかには一部屋まるまる模型のストックで埋まっているなんて話も聞いたりする。

 でもここ10年ぐらいの間に自分自身は変わってきたと思う。
 一つには断捨離という発想がある。できるだけ物事をシンプルにして必要なものだけを残すという発想は確かに素晴らしい。見えないものが見えてくるというのは
事実です。不要なものに囲まれていると物事の本質が見えなくなる。だから時期を見て不要なものはどんどん整理してゆく。
 二つ目には所有するという意味が変わってきているということもある。以前なら1つのものを所有するために、時間とお金をかけて出かけてゆく必要があったけど、
今はnetで注文すればよい。世界中に自分の倉庫があるようなもので、手元に置いておく必要がない。
 三つ目には最終的な整理先がPCになったというのも大きい。画像や映像を含めたあらゆる情報、そしてここ10年ぐらいの自分の行動の記録は1TBのHDDとonedrive
上にある。

 だから今最も大切なものと言われたら、迷うことなくそこに収納されているデータと、これまでに自分の造ってきた作品群と言い切ることができると思う。あとは自分の
様々な経験や知識、様々なものに対する思い、将来へ夢や希望といったもの。こればっかりはなかなか形にするのは難しいことなのだけど、価値があると思われるも
のは、できるだけ具象化して伝えてゆく努力はしたいと考えています。




 そして選んだのはこちらです。
 選んだ理由はそのパッケージ、「これをつくってみたい」と思わせる存在感がある。そしてそこから様々なイメージがわいてくるような素材だと思う。



<製作開始です>

1  まずはごく普通にプラモとして組み立ててみる
 ことにします。
2 パーツの合いも良くて、1時間もあれば簡単に完成
 させる子tができます。
3 ベースボードは100均で買った角材とスチレンボードで組み
 ます。これも最早定番です。

 天空の城ラピュタは1986年にジブリが制作したアニメーションで、「風の谷のナウシカ」に続く、架空の世界を描いた長編物としては、2つ目の作品に
あたります。
 作品の中ではインパクトのある様々なキャラクターが出てくるのですが、とくにそのなかでもこのロボット兵は存在感が大きかった。苔生した状態で
庭園のなかにたたずむ姿は最も印象的なシーンの一つです。
 まずはキットの制作にとりかかります。まずはランナーごとパーツを中性洗剤に半日ほど漬けて離型剤を洗い流す。
 そして乾燥後は説明書をもとに組み立ててゆく、特に難しいところはない。最近のキットはよくできていて、パーツがきっちり合うし、接着剤なしでもそれ
なりに形状を保ってくれる。

 キットに入っているのはロボット兵のほかにシータとキツネリスの2体。このあたりを眺めていじってどういうシーンを演出しようか考える。
 思いのほかロボット兵のポージングに難があるので演出面で制限が加わりそう。(可動範囲が狭い) また安定性も欠けるので、いずれポーズは固定する
ことになると思います。
 1/20というスケールはプラモの中ではけっこうな大スケールで、フィギュアの表情までつけられるのでやりがいはある。一方でごまかしがきかないので、
あまり手を広げて大きなサイズのジオラマにしてしまうと、時間がかかりすぎて手に負えなくなる。
 今回は劇中の天空の城でなく、街中のシーンを再現しようと思っているので30cm×30cmの範囲が限界かな?
 いろんなことを考えながらどういうシーンを再現するのか考えるのですが、過去に存在した一瞬を表現したいのであれば、目標は明確です。
 そうでない場合はすべてを頭の中で構築してゆく、ここは想像力がすべてになるのですが、条件にかなったシーンが思い浮かばないことは多々ある。

 としうことで取材を兼ねたお散歩に出かけます。
 いろいろと歩いて眺めるうちに、これはと思うような景色に出会うことはよくあります。



 今回はこれ。
 格子の入った扉の向こうに何があるのかが気になる。




 帰ってきて早速、PCに取り込みGIMPで画像を編集し始めた。
 イメージを具体的な表現に置き換えるには、こういう作業をどこかでやっておいた方が良い。プラモの画像と合成して、とりあえず第1弾のイメージが
完成です。
 まだまだこれでは不十分なのだけど、あとはここに何かのメッセージであるとか、状況を補足するようなアイテム、ないしはインパクトのある演出などを
加えてゆくと作品として化ける。

 このCGをしばらく眺めていたのだけど、このままでは少し背景の圧迫感がありすぎるので、壁は円形のエントランスの半分ぐらいの高さに収めて制作
してゆくことにしました。


   4 スチレンボードやプラ材などからジオラマ中央のエントランスを制作します。

    

 壁と円形のエントランス自体は7mm厚のスチレンボードから概形をつくり、厚紙やスチレンペーパーで表面に起伏をつける。格子は2mm径のプラ棒を
組んでそれらしく作りあげてゆく。
 円形エントランスの直径は20cm、ちょうどロボット兵がこのなかに収まるサイズです。背景として円形のものを置くというレイアウトは主役を強調する
効果もある。あとは仏像の光背に似た感じを持ってもらえたら、何かしら作品としての意味合いも深まるのではないかと思った。
 エントランスの大きさが決まったので、おのずとベースボードの大きさも決まってくる、今回は26cm四方という大きさになりました。
 もう一つのポイントはこのベースボードにどのようにこの円形エントランスを配置するかですが、ここはあえて正面に置かずに、角度として10°ほど傾けて
配置することにしました。
 正方形のベースの正面に向けて配置してしまうと、あまりにも構図として安定化しすぎて面白くない。前にも書いたけど、少し傾けることで空間に広がりが
生まれる。


   5 エントランスの位置が決まったら、手前の歩道をつくります。
    

 画像はすべて白なの見にくいですが、スチレンペーパーで段差や細かな傾斜をつくり、その上に正方形に切った厚紙を張り付けて1枚1枚の敷石を表現
してゆきます。
 塗装前に下地をつくります。
 基本はモデリングペーストでスチレンボードやスチレンペーパーの隙間を埋め、磨きを入れた後にジェッソを塗って下地を整える。
 これがプラスチックやレジンのパーツだと、モデリングペーストがパテに、ジェッソがサーフェーサーに置き換わるといった感じです。更に金属であればパテと
プラ―マーを使います。
 なお画像のパンチパネルは排水溝の蓋をイメージして配置したものです。




 まだ真っ白いままですが、基本工作が終わったのでロボット兵とシータを配置してみました。
 いろいろ考えたのですが、今回はポーズの変更とかはなしにして、このまま作業をすすめようかと思います。



   6 歩道や壁の塗装を行います。その際、は砂を使ってざらっとした質感を出します。
     

 ベースボードに壁とエントランス、歩道などを表現して、ジオラマのだいたいの配置が出来上がった。
 次にこのジオラマベースにアスファルトはアスファルトらしく、塀は塀なりの質感を整えて塗装を行ってゆきたいと考えています。
 敷石やレンガの隙間にダークグレーを流し込んで、その境界線を明確にした後、それぞれの材質に応じて質感を出しつつ、塗装をすすめてゆきます。

 塗装は大雑把に分類すれば、通常の塗装のほか、クリアー系塗料を使ったつやあり塗装、艶消し添加剤を混ぜた艶なし塗装の3種類だけど、質感を
考慮するともっと多種多様な塗装を行うことができます。
 自分が創作人形をつくるときに、ウレタンクリアーでコーティングを行い透明層をつくるというのも質感を高める方法だし、今回行うような塗料に砂を混ぜる
というのも、よりリアルな仕上げを行うためには有効です。


 今、砂を使って質感を高める方法として自分がやっている方法は3種類ほど。
A 着色したモデリングペーストに水と砂を加えた下地塗料をつくって塗る。ざらっとした感じで全体が一様に仕上がる。
B 水で5倍ぐらいに薄めた木工ボンドを塗り、その上に砂をぱらぱらと撒いてゆく。そして乾いたところで着色する。この方法は砂のまき方や着色によって
 変化をつけることができる。
 上のアスファルト部分はこの方法を使って質感を高めています。
C 着色したモデリングペーストに水と木工ボンドを加えて塗り、その直後に上から砂をまく、上から塗装はしない。砂の粒子がそのまま残るので、この方法が
 最もざらっとして荒れた感じに仕上がる。

 アスファルトはBの方法で行います。砂のまき方を均一にせず、色も少しずつ変えて着色してゆくと、変化のあるアスファルトが表現できます。
 煉瓦はCの方法で仕上げます。ドロッとした塗料が乾く前に砂を撒く。砂が一番上の層になるので、仕上がりは一番荒い。風化した感じが表現できます。
ただ砂の色を計算して下地塗料の色合いを調整するのは必須です。
 歩道部分はつや消しアースを塗った後、大量の艶消し材を混ぜた肌色でドライブラシしてます。


   7 エントランスは金属色で仕上げ、最後に汚し塗装を加えます。


 エントランスの円形枠はMr.カラーの黒鉄色をベースに少量の茶色を加えて塗装しています。
 エントランスの後方はむき出しの地面なのでCの方法で仕上げています。Cの方法は混ぜる砂の種類を変えることで更に変化をつけることができます。
私の場合には100均で売っていて扱いやすいペット用の砂を基本に、細かな鉄道模型用のバラストなども使ったりしています。




 これが一通りの作業を終えたところです。
 今回、着色についてもう一つポイントを加えるなら、色合いこそ違うけど明度はどこも同じにしたってことかな。この画像をアプリでモノクロにしたら、
バックの白い壁以外は明暗のないグレーになると思う。
 たとえば円形のエントランスは最初は黒で仕上げる予定でしたが、そうすると全体の中でエントランスだけが間違いなくくっきりと目立ってしまいそうで
やめました。

 手前の四角いものはアルミのパンチパネルで、排水溝の蓋を表現したつもりです。実際にこういうものがあるかどうかは知らないけれど、こうやって
置いてみたらしっくりくる。  





<登場人物をつくる>
 パッケージに入っているのはロボット兵のほかに、シータという女の子とキツネリスなのですが、キツネリスはいつの間にか紛失してしまい、何回か
探したのですが見つからない。4.5畳しかない部屋なので、探せばきっとどこかにあると思うのですが諦めました。

8 シータを組み立てたところです。けっこう決まった
 ポーズなので、今回はこのまま使います。
9 全体の塗装を終えて、最後にキットに付属した目の
 デカールを貼った。
10 可愛くないので、筆で塗り直します。ポイントは
 上の瞼をきちんと描くこと。

 とりあえずシータをつくり始めた。画像はパテ埋めを終えたところですが、このポーズが女の子らしくて可愛いので、今回はポーズ変更なしで仕上げる
ことにしました。基本、サーフェーサーがけをして普通にMr.カラーで仕上げてゆきます。
 服の色は何にしようか考えたのですが、とりあえずシンプルに全身白。派手な色使いより、このほうが濃い色の背景の中では映える。
 キットには眉毛と瞳のシールが同梱されていたので、とりあえず張り付けてみた。(上の画像)
 身長は6.8cm、タミヤの1/35のフィギュアより一回り大きいぐらいの大きさしかないので、使えるものなら使った方がきれいに仕上がると思ったのですが・・・、
これじゃ使えない。似ていないし可愛くもない。
 やむなく自分で描くことにした。多少、手先は器用な方だとは思っていますが、このサイズの目を描くのは得意とは言えません。
 それでも何とか恰好をつけるには秘訣があります。それはまずは上瞼とその影を描くことです。
 まずは目の輪郭のうち、上瞼の部分を濃いめのグレー(黒は強すぎてダメ)で描き、少しずつ薄くしながら真ん中までグラデーションをつけてゆくという
感じです。
(逆に下半分は白、真ん中からグレーを少しずつ濃くしていって上の瞼はダークグレーできっちりと描くでも良い。)
 この後、ダークグレーで瞳を入れれば、多少のはみ出しがあっても、丸くならなくても、それほどおかしくはならない。
 そして最後にクリアーを虹彩の上にぽちっと盛ってやれば出来上がりです。(上の図)

 記念写真などを見ると、人物の目まできちんと写っていることはほとんどないです。下手にきっちりと塗り分けるより、この方が自然に見えたりする。
 メイクですが、これも一般的な水彩アクリルによる塗り分けより、手間はかかりますが人間用のチークやシャドウを使った方が失敗はないです。子供用
の小さな綿棒にチークやシャドウをとって塗る。そしてその後につや消しクリアーを吹き付けてメイクを固定します。通常1回だと十分な濃さにはならないので、
必要に応じてこれを繰り返します。


   11 飛行石のブローチをUVレジンで作り直します
   

 胸についていた飛行石のモールドは削り落とし、透明感のあるものに置き換えることにしました。
 まずは厚さ0.2mmの透明プラ板を3mm×2mmほどの楕円に切り抜き、その上にUVレジンをぽちっと載せて紫外線で硬化させる。
 あとはクリアーブルーで塗装して飛行石の完成です。紐はベージュの糸からつくります。


 

 自分では良い感じに仕上がったと思うのですが、いかがでしょう?



   12 ロボット兵の着色を行います。
   

 パーツはオリーブドラブで着色されて成形されているので、この色を生かして簡単に済ませるという方法もないわけではない。けれどそれではあまりにも
薄っぺらな仕上がりになってしまいます。




 以前にも触れたことですが、本来の色合いの補色(赤に対する緑、青に対するオレンジなど)を下塗りすると重厚感や深みのようなものが出てくる。
そこで今回は上塗りのグリーン系に対して、茶色系の下塗りを行うことにしました。
 全体が可動式になってはいますが、安定感がないのでポーズを決めた後に、接着剤を流し込んで固定してしまいます。そのうえで吹き付け塗装のやり
にくいパーツのつなぎ目には艶消し剤を混ぜた艦艇色を筆で塗ってゆきます。
 つなぎ目のほか、陰になるようなところは艶消しの鑑定色で(A)、そのほかの部分は少しだけ黄色を混ぜて明るくした職鑑色を吹きつけて立体感を出します。(B)
 実際に屋外で使われる多くの機械は茶系の錆止め塗料を塗っているので、上塗り塗装が剥がれ落ちるとこの色が表に出てくる。




 続いてグリーン系の塗装を行います。  つなぎ目や陰の部分などはダークグリーンを吹き付けます。(A 上の画像)
 このあと光の当たる部分にはダークグリーンにロシアングリーンを半分ほど混ぜたものを吹き付けて変化を出します。光の当たっている部分は塗料の劣化が
すすんで、少し明るく見えるというのが一般的です。
 そのうえでこすれやすいところほど、このグリーン系塗料の吹き付け量は少なくして、剥がれ落ちた感じを再現する。(C)
 仕上がりはこんな感じになります。
 ようするに「何年も何年も、ずーっとここにいたんだよ。」ということを再現したいわけです。






 シータの目線から見上げるとこんな感じです。
 位置関係もこれが一番良さそう。ここから更に一歩、物語性を追加してゆきたいと思います。





<その他>

 ジオラマを現実を縮小するものと、架空世界を表現するものの二つに分けて考えるのなら、前者はいかに正確な表現を保ちつつシーンを再現できるかが
ポイントだろうし、後者の方はいかにリアルな表現を持ち込んで現実にあり得ると思わせるかが、自分ではポイントだと思う。
 さて、いったい上のシーンはどこのどういう状況を再現しようとしているのか、ここからその状況を説明するためのアイテムをつくることにします。


   13 コンビニの看板や道路標識をつくります。
    

 まずはコンビニの看板を1/20スケールに縮小して再現します。
 材料は実際の看板をプリントアウトしたものと1cm厚のスチレンボードです。何枚かプリントアウトしているのは表面の段差を再現するためです。
 この作業のポイントになるのはプリントアウトの方法で、実際の写真をただプリントアウトしただけでは全然リアルにならない。ここはちゃんとアプリできっちりと
彩度をあげ、トーンカーブで明度調整を行わないと、イメージの違うものになってしまう。
 次に道路標識。こちらも写真のプリントアウトをプラモのランナーを加工したものに貼り付けて表現します。

 

 最後に塗装と汚しを加えて完成させました。あとジャンクパーツの中に水筒型のパーツがあったので、これを消火栓に見立てて加工しました。



 これらを追加することで、ここが現実世界の街角、しかもコンビニや横断歩道のあるごくありふれた歩道だということが分かると思います。
 但し、普通の見慣れた風景ではありません。看板が土台から外され斜めになっているのは、廃墟となった街を表現したいからです。ここから更にその状況を
演出するためのアイテムを追加してゆきます。





<植物の表現>

 天空の城ラピュタというアニメーションはジブリ最初の劇場公開作品として有名なだけでなく、宮崎アニメのなかではあの「ナウシカ」や「カリオストロの城」を
凌いで人気No.1なんだそうです。
 確かにスケールが大きく、何より一つの軍事科学国家が空中に浮かんでいるというアイディアがすごいと思う。
 ストーリーのなかで「大地を離れて生き続けることはできない」とムスカが語るシーンがあり、多くのラピュタ人は地上に降りて住むこととなったと解説されている。
 ここまででお分かりのように、今回のジオラマでは地上に降りてきたラピュタ人の居住する地区を、あえて日本に設定し、永遠に衛兵の役割を果たし続けるロボット
兵を描くという、けっこう乱暴な演出をしようと考えているわけです。
 このエントランスの向こうには空中都市同様の、緑あふれる広い庭があるはず。次にこの庭づくりを行います。
 再現するスペースは狭いのですが、更に奥に続いているように密度高くつくりたいと思います。

   14 エントランスの背後に植物を植えてゆきます。
    

 地面に生えた苔などは、鉄道模型用のパウダーを3種類ほど混ぜ、水で薄めた木工ボンドを塗ったところにパラパラと撒いて表現をします。少し変化をつけたい
ので、100均で売っている苔シートをちぎって所々に貼り付けてみました。




 植える植物は、100均のものやamazonの塩ビ製格安植物などです。但しそのままではいかにも安っぽいので塗装を行います。一様な緑でなく、中心は濃いめに、
先端に行くほど淡く、そして表裏で言えば裏側を少し白っぽくするとそれらしくなる。(上画像は右が無塗装、左が塗装済み)
 塗装を終えたら高耐久ラッカースプレー(艶消しクリアー)で全体をコーティングしておきます。

 

 ベースボードに取り付けているところです。まずは中心的な存在になるものを配置し、脇を固めるように隙間を埋めてゆく。そして最後は根元の部分が見えないように
小型の植物で隠すという流れになります。
 生け花の経験はないですが、そういった知識があればここに生かせると思う。




  がんばって植えたのですが、正面から見えるのはその半分ぐらいになっちゃいました。




 何だかここ数日お天気が良くない。お天気が良くないと気分が晴れないだけでなく、お洗濯やお散歩にも困る。
 あと自分の創作活動というのも、お天気に結構影響されたりする。
 まずはボンドなどの水性の接着剤や塗料が乾かない。乾かないまま作業を続けるというのは、自ら失敗に向かうという愚かな行為なので、先に進めたい気持ちは
あっても完全に乾くまで待つというのが正しい判断です。
 また乾燥までに時間がかかるというのは、塗料が乾くまでの間に空地中の埃を取り込みやすいということなので、そうならないようにカバーをする必要が出てくる。
そうすると更に乾燥しづらくなる・・・。
 また湿度が高いと、特に金属色の吹き付け塗装は光沢がきれいに出ないなどの影響も出てくる。だからこういうときにはエアコンを除湿モードで運転し、吹き付けが
終わったら換気扇を回して空気の入れ替えを行います。やっぱりいろいろ面倒だな・・・。


 「天空の城ラピュタ ロボット兵」のプラモのパッケージには、天空の城がいちめん緑におおわれているシーンを描いています。
 この箱絵に惹かれて購入した人のなかには、この苔に包まれた状況を再現した人も多いと思う。素の状態より、この方がインパクトありますからね。


   15 苔の表現を追加します。
   

 さてロボット兵が苔を蓄えているってことは、当然周囲もそれにふさわしい状況にしてあげないといけません。
 ここから先は温暖で多湿な空間をイメージしながら作業をすすめます。
 まず真っ先に行うことは地面を苔で覆うことです。水分が多く少しでも砂や土のある場所に苔は生えてゆくので、コンクリートの水のたまりやすいところ、タイルの間などに
苔の表現を加えます。
 まずは水で薄めた木工ボンドを再現したい場所に塗り、その上から鉄道模型用のグリーンのパウダーに暗緑色のターフを1:1の割合で混ぜ合わせたものを撒きます。(A)
 ツタのようなものは、ドール用の花冠をばらしたもので、けっこう良い感じに雰囲気を高めてくれる。今回は排水溝から地上を目指して伸びてきたような感じでまとめました。(B)
 こちらのツタはけっこう重宝していたのですが、今回完全に在庫を使い果たしてしまったので、またどこかで入手しないといけないです。



 庭の植物はエントランスを越えて表に出てきてしまったという感じで、手持ちの造花を3種類ほど選んで壁際に配置してみました。(C)
 少し考えたのは7& i の看板です。本来、地面ほどは苔がつきやすくはないはずなのですが、ロボット兵にも苔を生やすのであれば当然こちらにも苔がないと釣り合わない。
そこで少し様子見に苔をつけてみました。(D)



 作業を一巡したあと、更に造花や枯れた木、苔などを追加して、だんだんの緑に包まれてゆく市街地の雰囲気になってきた。(E)

 

 まだまだ足りない感じがしたので、更に植物表現をつかします。





 これでロボット兵を受け入れる体制が出来上がりました。
 イメージとしては近未来の日本、何が起こったのかは分かりませんが、都市そのものが植物に覆われてゆくというシーンです。
 だからこれはすでに「天空の城ラピュタ」というアニメーション作品の範疇になく、自分自身の空想した空間を再現しているということになります。



 16 ロボット兵とシータを配置します。そしてロボット兵にも苔の表現を加えます。
    

 ここでいよいよロボット兵を配置します。可動式の関節には接着剤等を流し込んでポーズを固定、そのうえでエントランスの正面に配置します。
 次にロボット兵の肩や頭などに苔を生やしてゆきます。(上の画像) 状況としては、その場から一歩たりとも動くことなく、長い期間にわたって衛兵の役割を果たし続けた
という感じかな。
 苔の表現には歩道と同様に鉄道模型用のパウダーを3種類ぐらいブレンドしたものを用い、水で薄めた木工ボンドで固定してゆきます。
 こういうことしているのは自分だけでなく、このプラモを購入した人のおそらく半数ぐらいはやっているんじゃないかと想像します。


   17 ロボット兵の後頭部に穴をあけて目に光が入るようにした。
    

 ロボット兵をベースに取り付けた段階で、少し困ったことに気付いた。
 ロボット兵のヘッドは、このあと配置することになるシータを見下ろすような下向きの角度に固定する予定なのですが、そうすると2つの目に全く光が入らず、威圧感や存在感が
全く薄れてしまう。
 そこで後頭部をカットして、ここから2つの目に光が差し込むように改造してみた。(上の画像)
 ヘッド内部をシルバーで塗り、パテで後頭部の形状を整えてみるとこんな感じで目に光が入るようになった。
 この明るさがあるかないかで、見え方は全く違ってくる。このロボット兵は壊れているわけでなく、今も忠実にその任務を果たしているというわけです。




 あとはシータを配置するのみの段階です。
 ここで撮影テストをしてみたら、どうしても白いバックでは迫力が出ない。ライティングとか背景とか、様々な要素が絡んできて、思った通りの画像を得るのは本当に難しい。

 

 そこで撮影用の背景をつくることにした。
 水族館で撮影した画像をもとにして、フレアの入った暗い青緑のA3大のシートをつくる。自分の家にはA3プリンターはないので、ズームプリント(市川ソフトラボラトリー)を
使って分割印刷をする。
 こちらは有料のソフトですが、枚数さえ許すならA1のプリントでもつくることができるので、自分としてはけっこう便利に使わせてもらっています。




 シータを配置して作品は完成かなと思ったのですが、実は最後の最後になってどことなく違和感を感じた。なんで?
 通常、苔の生えやすいところは水分があって、多少なりとも養分得られる有機物の存在する場所です。だから真っ先に苔に覆われるのは歩道やアスファルトの部分で
あって、次に壁、おそらくロボット兵やセブン イレブンの看板は最後ということになる。
 だから逆にロボット兵がこれだけ苔生しているのであれば、ほとんどの部分は緑に包まれていなくてはいけない。
 苔の生え方に説得力がない感じなので、ここから更に全体の苔の量を2倍ぐらいに増やしました。
 空想の世界なら何でもOKというのでなく、少なくともこの空間内でつじつまが合っていなくてはいけない。それが架空世界のリアルさなんだろうと思う。





<完成画像>


 ファインモールドから発売されている「天空の城ラピュタ ロボット兵」を使ったジオラマが完成しました。
 スケールは1/20、ベースサイズは26cm×26cmです。










 劇場アニメの「天空の城ラピュタ」では世界を支配するラピュタ人は、謎の病を避けて地上に降りたとされていますが、それがもし近未来の日本だったらという、自分の
イメージした架空世界を具体化したのがこちらの作品になります。








 ロボット兵はラピュタ人の住むコミュニティのエントランスで永遠に衛兵を務め続ける。たとえそこに誰も住む人がいなくなったとしても・・・。




 背景は水中画像を拡大してプリントアウトしたもの。また自分のイメージに近づけるために、今回は多少アプリで画像調整を行っています。
 今回のこの作品は夏のお盆の時期に開催する自分自身の個展に展示予定です。



2022.05
camera: CASIO EXLIM EX-ZR4100  & Panasonic LUMIX GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm  /  graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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