情景のなかの人形たち

Dolls in the scene 2022




*) こちらの記録はブログ「瞳に四角い鰯雲」に記録してきた4回目の個展の記録に加筆、再編集したものです。


<1年3ヶ月前>

「情景のなかの人形たち」は自分自身の個展として、毎年開催するようになって今年で4回目。そこで自分の作ったドール&フィギュア、そしてそれを
主人公にしたジオラマ、ドールやフィギュアの写真、そういったものをずっと発表してきた。ここ2年は新型コロナのおかげで入場者も少なかったけど、
単なる個人的な趣味から一歩出たような感じで、何か毎回辛いけど楽しい。



 4回目が終わってから何を始めたかというと、展示作品の修復と整理です。大切に扱ったつもりだけど、やはり移動や短時間での準備と撤収作業で細かな
破損が起こっていたりすることがある。
 こういうことを始めるってことは、実質5回目の個展のスタートってことになるのかな。



 合わせてやっているのが梱包方法の見直しです。今年も準備に5時間、撤収に2時間かかったわけで、やっぱりもう少し短くしたい。そのなかでも特に時間の
かかったものは記憶に残っているので、1分でも2分でも短くなるように手を加える。
 あと年々増える展示物の関係で、車に積み込める荷物も限界に近い。できるだけコンパクトに整理できるものは整理する。
 こういうのって、やったことがある人にしか分からないかもしれませんが、どんなによいものを作っても、壊れてしまったら終わりだし、設営に時間がかかりすぎ
てもアウト。作品作りと同等に慎重に事を進める必要があります。



 合わせて展示したお人形さんたちのメンテナンスを行います。
 お散歩によく連れてゆくこの2体は、やっぱりいちばん汚れが目立ちます。お洋服のお洗濯はもちろんのこと、この際ちゃんとボディもきれいにしてあげましょう。



 市販のお人形のメンテナンスはこんな流れで行います。
1 着ているものを脱がせてお洗濯する。そして必要に応じてキーピングしてアイロンをかける。
2 お人形本体はまずは関節部分のチェックをする。種類によって違いはありますが、まずはねじのゆるみを確認するのが最初。オビツのような差し込み式の関節が
緩んでいる場合には、まずは瞬間接着剤を薄く塗り、その後、軽くスポンジヤスリをかけて調整する。(上の画像)
3 ボディの汚れは水で薄めた中性洗剤をティッシュペーパーにとってふき取る。
4 汚れが表面のコーティング層に染み込んでいる場合には、それだけでは落ちないので、目の細かなスポンジやすりで磨きます。
5 全体をメラミンスポンジで磨きます。表面に細かなキズが入ってしまうのですが、これでテカリが抑えられ、次のコーティングが落ちにくくなる。
6 全体につや消しトップコート(UVカット)を吹き付けます。自分の場合には缶スプレーのものは使わず、瓶のものに更に少量の艶消し材を添加したものをエアブラシ
しています。
 ここではこの作業はお人形のメンテナンスということで紹介していますが、5、6の作業は新品のお人形に対してもやっておいたほうが良いと思います。なお一般的
ではないけれど、トップコートの前にウレタンクリアーでコーティングを行っておくと、更に表面保護の効果は増します。



 ということで、また1年お人形さんたちには頑張ってもらいましょう。
 なんとなく当たり前のように次回の準備を始めてしまったけど、実のところ来年も同じようにやって良いものかどうか考えるところがある。直接作品をご覧いただいた
方はこの2年間はとても少なかった。だから来年はあるものはすべてお見せしたいところだけど、作品数が増えて今年は持ってゆけない作品が数点。来年は多分
それがもっと増える。
 おそらくは新型コロナの影響も小さくはなっているとは思うので、これを機に規模拡大っていうのもあるかもしれませんが、そうなると今度は準備と撤収に更に時間が
かかるわけで、これも苦しい。結局は精選しなくっちゃいけないってことだろうな。
 それでも次は5回目という節目になるので、とりあえず何か一区切りとしての企画ができたらいいかなって思って考えをまとめています。



<10ヶ月前前
 ここのところ、自分の創作活動の中心ともいえるのが「情景のなかの人形たち」と題した個展です。夏休みもしくはゴールデンウイークの時期に毎年開催してきました。
 いつもいつもたくさんの方々においでいただき・・・、と書きたいところですが、さすがにここ2年は新型コロナの影響で寂しかった。それでも来年に向けて準備は進めて
います。



 申し込んだ会場は平塚市美術館の市民ギャラリー。利便性や会場費用などを考えると、やはりこちらがベストです。 (過去4回もこちらをお借りしました)
 時期は8月の9日(火)から14日(日)までの夏休みの時期。別に社会貢献というほどのこともないけれど、子供たちにも見てほしいし、何よりこちらも休みを取りやすい
というのもある。
 まだ開催は1年近く先のことなのだけど、公的な機関でしかも希望が集中しやすいということもあって、申し込みはこの時期にしなくっちゃいけない。申し込みは今月の
始めだったのだけど、幸い希望の重複もなかったようで、無事書類が受理されて日時が確定しました。  内容はこればでどおりで、創作球体関節人形、ジオラマ、そして
ドールをモデルにした写真という3本建ての予定です。基本は自分のイメージした空間をドールやフィギュアを主人公にして再現することです。
 昔はドールイベントなどにも頻繁に出ていたけど、「売らなくちゃいけない」というところから解放されて、儲かんないけど「やりたいことをやる」という方向に移行できた
のは、楽しいという点では何倍にも増えた感じです。
 12m四方の空間を自分の思うような空間に仕上げるっていう快感は、おそらくやったものにしか味わえないと思う。
 (イベントのときに与えられる90cm×90cmだけしか知らない人にも、ぜひチャレンジしてほしい、見方が変わります。)



 準備の方もこのブログやメインサイトで紹介している通り、順調にすすんでいるのですが、問題がないわけではない。
 ドールやジオラマの新作やリメイクは、最低一ヶ月に一作品の制作ペースで予定通り。ところが写真の方はというと、やや枚数不足、これまでにないインパクトのある
作品というものが撮れていない。
 誰もそうだと思うけど、もうここ2年ぐらい旅行というものに行っていない。ご近所散歩が悪いわけではもちろんないのですが、やはり新鮮味に欠ける。写真にもそれが
現れる。
 こうやって旅行雑誌など眺めては、もうそろそろ(出かけても)良いのかな? なんて思ったりする。我家の解禁日をいつにするか、目下それが最大のテーマです。
 ちなみにこの「旅行読売」の表紙は最高です。
 切り取ったシーンの時間帯、登場人物、画角と設定、そしてカメラやレンズ、現像、すべてが決まっている。まさに雑誌の表紙に相応しい作品だと思った。
 ちなみにこれはジオラマにはできない、写真という世界でしか成立しない空間だと思う。



<4ヶ月前>
 退院予定の5日目の朝です。
 腫れはまだひかないものの手術した部分の傷みはなくなって、おそらくは退院の許可はそのまま主治医から下りると思います。でもまだ右ひじは固まったままで
60度以上は曲がらないので、制作だけでなく仕事や日常生活にはしばらく支障が残ると思う。



 枕があまり合わず、時間的には睡眠は足りているはずですが、熟睡時間は足りない感じで今日も朝が明けました。
 5時少し過ぎに夜が明けて、今日は6月並みの暑い一日になるらしいです。せっかくなので最後ぐらいはスマホで風景を撮影しておくことにしました。



 短い入院ではありましたが、貴重な時間を無駄にしないように8月の個展のイメージを膨らませました。
 今回は現在の状況下で自分の思うこと、特に「人権」や「平和」をテーマとして取り上げ、これを支えるものとして1/3と1/6スケールの大きなジオラマ作品を
展示のメインに展開してゆくつもりです。
 これが自分流の「現況に対する社会的な行動」です。
 よく「スポーツやアートの世界は政治と区別すべき」という意見を聞くけど、人権が守られないような状況下ではそれも成立しません。だから少なくとも自己
表現が可能な平和な世界を獲得するためには、誰もが意識してそれを実現するための行動をとるべきである自分は考えています。



 最後に148m^2の展示会場の大まかなレイアウトを考えて紙にまとめました。
 おおまかなレイアウトが決まれば、展示する作品の数も決まってきます。
 手元の展示物一覧のインデックス印刷から、展示作品をピックアップしてゆきます。展示1月前からは新作の制作はできないので、残りの制作期間は3ヶ月と
なります。計算上はドール1、ジオラマの大と小を1つずつの合計3を展示に加えることができると思う。その点ももちろん配慮する。
 これまでは制作した作品をできるだけ多く展示しようと考えていましたが、年々搬入と準備にかかる時間が増えてきて、特に個展の初日は、完成した展示を
お見せできる時間が3時間もとれなくなくなっていました。今年は思い切って整理して「何が言いたいのか分かる展示」にしようと思います。
 最後に、今回怪我をしてしまったのは自分でも悔やまれることではあるのだけれど、それも退院まで「5日間という短く先の見えるもの」だったわけで、これで
人生が変わってしまうようなものでもない。同じ病院には「先の見えない闘い」を続けられている方々もたくさんおられました。こういった方々の一刻も早い回復を
お祈りするとともに、時間の使い方がいかに大切なことであるかを自分自身が認識したということで、今回の一連のレポートは終わりにします。
 今日からはまずリハビリを頑張らなくっちゃ。



<3ヶ月前>
 8月に開催予定の個展に向けて、作品制作の方もいよいよ佳境に入ってきました。
 おそらくは現在制作しているドール1点、ジオラマ2点、ドール展示用背景1点までが、今年展示する作品の最後になると思う。



 問題は製作スペースの方で、「ひまわり」を収納する箱をつくりつつ、次のドール展示用背景をつくり始めたので、部屋のなかは大変なことになってきた。4.5畳の
部屋は、ときどき自分の座るスペース以外はすべて物で埋まることがある。
 制作物を一つに絞ればこういうことにはならないのですが、接着剤や塗料の乾くのを待っている時間は無駄だし、ときどき材料がなくて製作がストップすることも
あれば、アイディアに詰まることもある。
 やっぱり3つ以上のものを並行して制作する方が効率は良いです。



 こちらは昨年リメイクした ayana という、粘土でできたオリジナル球体関節人形です。こちらは今年展示する予定で現在調整中です。最近になって2回ほど
外に連れ出して撮影したのですが、ちょっと扱いづらい部分のあることが分かってきた。



 前の画像のように正面から光が当たっていると良いのですが、このように少しでも光線が傾くと瞳の奥に光が届かなくなって魅力が半減してしまう。これは
SDなどの一般的な入れ目タイプのお人形でも時々起こることです。
 普通に着せ替え人形として部屋の中で楽しむのならこのままで良いかもしれませんが、展示したり外で写真に撮ったりするときには無視できなくなります。
 ドールアイの奥の方まで光が届くようにする、その解決方法は4つあります。

1 瞼を薄く削る
 ドールアイが奥まったところにあるのが根本的な原因なので、アイをできるだけ前の方に持ってくる。解決方法としてはこれがベストです。ですが、この
 ドールの場合にはすでに厚さ1mmぐらいまで削っていて限界に近い。
2 アイホールを大きくする
 これは光の入る面積を確保するということなのですが、顔かたちを変えることなるのでおすすめはしません。



3 ドールアイを明るい色のものに変える
 虹彩を明るい色のものにすれば光量不足を補えます。
 今回はピンク色のものに交換してみた。悪くはないのだけど、リアルな感じからはやや遠ざかった感じがします。



4  ドールアイを小さなものに変える
 虹彩部分が手前に出てきて効果は明確です。
 一般的に小さいアイに変えるときりっとしてリアルな感じは出るのですが、大きなアイに比べると、人形らしい優しい感じはどうしても薄れるかな。
 そして今回はこの変更を選択しました。

 最初に入っていたものがややオーバーサイズなことは、うすうすは感じていた。
「グラスアイを選ぶのなら、1サイズ大きなものを選ぶと可愛く見える。」
 お人形で遊ぶ趣味をお持ちなら、どこかで聞いたことがあるかもしれません。確かに部屋の中でお人形を飾り、整った照明を当ててやるなら、それは正しい
と思います。
 でも外で撮影するとか展示するためというのなら、照明などを含めてもう一度全体を見直す必要が出てくるのも事実です。
 今、この ayana を展示するための背景をつくり始めたところです。
 これがまた大きな作品になりそう、何か搬入のときに使う我家の軽自動車にすべてを積み込めるかどうか不安になって来た。展示の限界は我家の軽自動車
の容積の限界です。 



<1ヶ月前>
 さて自分自身の個展「情景のなかの人形たち V」も開催まであと一ヵ月となりました。もちろん今年は昨年以上にスケールアップしてご覧いただけるよう
頑張りたいと思います。
 まだまだ制作途中の作品もありますが、直前になってばたばたすると見落としも多くなる。そこでまだ余裕のあるうちに開催準備を始めようと思います。
 このブログをご覧になっている方の中には、将来的にはこういったことをやってみたいとお考えの方もいるかもしれません。ということで自分の準備の進捗
状況をご紹介しながら、一方で実際に作品発表にあたって参考になると思われる事柄についても触れたいと思います。

< 会場 >
 今回の個展は平塚市美術館の市民ギャラリーで8月9日(火)から14日(日)の間、開催の予定です。何故ここを選んだかというと、自宅から近く、自家用車
での搬入ができるというメリットが大きいからです。
 こういった公営の展示スペースは価格も安くておすすめなのですが、普通は1年から半年前に申し込みをする必要がある。(希望が重複したら抽選)
 また展示のみで販売はできないなどの制約もあります。
 これを読んでいる方で個展の開催をしようと思ったのなら、まずはいくつか下見をしたうえで会場の確保をする。やっぱりこれをやらなくちゃ始まらない。
 ただ一般的にはいきなり個展というのも大変なので、まずはイベントに参加するという形で作品の発表をするのが良いと思います。ドール系ならばドール
ショウやI DOLL、ドルパといったところ、創作人形ならドールワールドフェスティバル、フィギュアならばワンダーフェスティバル、アート一般ならデザイン
フェスタが候補になると思う。
 何度か参加しているうちに、準備・制作、搬入と展示、接客など必要な知識が身についてくるし、仲間もできる。ときには新たな展開が生まれることもあり
ます。
 自分も過去何度となくイベントの方にも参加したのですが、この新型コロナの関係でもう3年間ご無沙汰になってます。リスクは極力避けたいと思って
いるので、また第7波がどうしたこうしたという状況では、まだしばらくおあずけかな。
< 展示するもの >
 今回もこれまでに制作してきた創作人形、オリジナルドール、フィギュアなどをジオラマ仕立てで40作品程度展示します。そのほかにドール写真や旅行
した時の写真などを200枚程度展示する予定です。
 最初の頃はともかく自分の造った創作球体関節人形やオリジナルドールを見ていただくのが第一の目的でした。でもただ並べておくのも芸がないので、
背景などにも少しずつ凝り始めていったという感じです。
 そして2回目ぐらいからは「人形やフィギュアを主人公にして、自分のイメージした空間をつくりあげる」というコンセプトが明確になってきました。今回も
これは継承します。
 何をどう展示するかっていうことは、何を皆さんに伝えたいかってことなわけで、このコンセプトがなければ単なる自分の作品自慢みたいなものになって
しまいます。
 考えたら自分がイベントだけに参加していた頃はその意識が薄かった。最初の頃はブースに並べられるだけ作品を並べ、売れた売れないで一喜一憂
していた。もっともっと人形やドールの世界の可能性について、それが伝わるようにすればよかったと今は思います。たとえ狭くても、そこは自分自身の
創作できる空間なのだから。




< 会場配置 >
 ここから先が実際の準備となります。
 今考えているのは何を選び、どのように配置してゆくかです。ジオラマ仕立ての展示は最初20にも満たなかったのですが、今では小さな隙間埋め的な作品を
含めれば、展示可能な作品数は50を超えました。そうなるとあるものは全て展示という訳にもいかなくなります。
 「ひまわり」「地下空間」「メーヴェ」「オームとナウシカ」など、この1年間の新作はすべて展示する予定です.
 あらためて最近の作品を眺めていたら、世の中の不安な状況を反映したもの、そして平和や環境など、今いちばん考えなきゃいけないことをテーマにしている。
たかが模型と言われちゃいそうですが、自分としてはこういう流れで展示全体をまとめていっても良いかなと思っています。



 もう一つの展示の中心は様々な場面で撮影したドール写真です。よく言えば「ドールやフィギュアを主人公として自分のイメージした空間を再現する。」そのコン
セプトの2次元的な表現なのですが、実際のところは旅行やお散歩でいいなって思ったところでスナップを撮っているというもの。
 上は展示可能な写真の一部ですが、こちらも今年は50枚ぐらいは入れ替える予定です。
 もうこの3年ぐらいは旅行もなしで過ごしてきた。だから撮影した写真も、ご近所をお散歩したときのものが多いです。今年はいっそのことご近所散歩の展示コー
ナーをきちんとつくってしまおうかと思います。
 観光地でも何でもないけれど、けっこう素敵な場所がたくさんある。(これも新型コロナのおかげというのでしょうか)  ここにはご近所シリーズの1/72スケールの
ジオラマをリンクさせる展示になると思う。
 会場配置図などはドールイベントの90cm×90cmの狭いブースでは全く考えなくても良いことなんだけど、さすがに148m^2だとやらざるを得ない。
 ただ置いただけではまとまりがなくなるだけなので、やはりテーマごとにまとめてゆくことを考えるべきでしょう。
 それを過去4回で学びました。



 我家の chico ちゃんです。100cmの小さないわゆるラブドールです。(フェイス部分は自分でプチリメイクしています。)
 個展開催を決めた年に amazon で購入し、ルノワールのイレーヌ・カーン・ダンウェール譲に扮してもらいました。
 たださすがに1/1スケールだと搬入にも手間どる。その関係で昨年の参加は1回お休み、でも看板娘としては抜群に効果があるし、いてもらうと少し和むので、今年は
できれば連れてゆきたいと思う。



<3週間前>
 8月9日から開催予定の自分自身の個展「情景のなかの人形たち」に向けて準備を進めています。
 だいたいの構想がまとまったので、作品のチェックを少しずつ行っています。

< 作品の点検 >
 多くの作品は昨年の個展の時から箱に入ったままなんだけど、経年劣化というものは必ずすすむし、移動の時の車の振動によって壊れることもある。毎年のこと
ながら、暇を見ては少しずつ修復をすすめます。
 さてこういう苦労ができるだけ無いようにするには、作品に使われている素材にも注意しなくてはならない。
 最もやっかいなのは紫外線に弱く、次第に硬化してボロボロになってしまうビニール素材のものです。これを作品に組み込んでしまうと、何年かしてその部分をそっくり
そのまま作り直す必要が出てきます。
 あとドール服やドールブーツなどによく使われているビニルレザーなんてものも10年はもたない。今、自分はこの素材の服などは絶対買わないようにしている。もし
使用せざるを得ないときには手入れ剤(シリコンオイル)を丹念に塗ったり、コーティングしておく必要があります。
 あとは天然素材のなかでも、ドライフラワーのようなものも注意しなくてはならない。
 よく模型雑誌のジオラマ制作記事のなかに、そのへんの原っぱに生えていた草を使うとジオラマがリアルになるという記事があったりするけど、たとえばドライフラワー
がその形を維持できるのは数年と見た方が良いです。あとは少しずつ崩壊してゆく。
 これを防ぐためには必ず着色した後に塗料のクリアー、もしくはつや消しのクリアーを吹き付けて樹脂を素材に染み込ませるようにして表面を保護しておく必要があり
ます。
 あとは塗料の問題もある。色をつけるには染料もしくは顔料を含んだ塗料を使いますが、色あせのことを考えると圧倒的に顔料の方が良いです。そしてできるだけUV
カットのクリアーでコーティングしておきます。
 今回も画像をプリントアウトしたものを展示するつもりですが、この写真についても同様に注意が必要です。
 世の中には純正インクのほかに、安価な互換インクというものが出回っています。その時だけ読むことができればよいような、ごく普通の文書印刷ならば互換インク
でも良いでしょうが、何年かにわたって保存するつもりなら純正インクを使うべきです。そのうえで変色しにくいちゃんとした写真用紙を使います。
 作品というのは永遠のものではないです。よく100均で作品の素材を買いますが、たとえばドール表面を保護するコーティング剤はたとえ100mLで4000円もしたりする
のだけど、こういうところはけちったりしません。




< 作品の保管 >
 作品を置いておく場所は自分の場合にはリビングです。
 作品の保存で注意するべきことはいくつかあるのだけど、やっぱりいちばん避けなければならないのは紫外線です。だから取り出して見るとき以外は専用の
箱の中で保存します。
 あとは湿気や過度の乾燥もダメです。そしてできるだけ高温にならない環境に保ちたい。そういう理由もあって基本的にエアコンがいつも入っているリビングが
最も保存に向いていると考えています。
 上の画像でお人形が乗っかっているところが作品の入っている箱です。これを整然と積み重ねて保存しています。
 実はこの積み重ねがポイントで、我家の軽自動車の荷室にできる限り合わせて積んでいる。だからこの重なりのまま移動すれば、ぴったりと荷室におさまる
という訳です。
 ただ前にもお話したように、作品数はどんどん増えて、今は体積にして30%ぐらいオーバーな状況です。
 そして最近、車を買い替えることになりました。もう8年ぐらい乗っているし、最近の自動車は安全性能も上がってきているというのがその理由です。搬入搬出の
ことを考えれば荷室の大きな車が良いと最初は思ったのですが、実際に購入したのは大型車でもワンボックスでもない、「ちょっと荷室の大きな」軽自動車です。
 まずは荷室が完全にフラットになるところが気に入りました。
 それにたくさん積んだら積んだで、更に個展の設営に時間がかかる。それは厳しい。



もともと納車まで3~4ヶ月、おそらくは9月になると聞いていたのですが、急に納車が早まって来週には届いちゃうみたい。
 ということで、またダンボールの山を積み直さないといけないな。
 今、現在の車のナビの周りにいるお人形もお引越しです。
 さてそれより大きな問題はやはり新型コロナでしょう。
 行動制限はしない」という話だけど、先は見えない。
 まわりを見ても、以前より感染を拡大させないような努力をしていないような気がする。
 政府には「行動制限はしない」と明言するより、今何をすべきかを明言してほしかった。
 何か今年も、ぜひ自分の個展に来てくださいとは言いずらい状況になってきた・・・。



 そして先日、注文してあった自家用車が我が家にやってきた。
 これまで乗っていた車は8年を経て少しばかり見劣りする部分が目立ってきたし、何より燃費が以前に比べて1Lあたりで3kmぐらい低下してきたというのも大きい。
 自分自身では車は財産というよりは実用品かつ消耗品の領域にあります。だから維持費がかからず、そこそこちゃんと走ってくれて、荷物も積めるというものが良い
と思っている。あとはけっこう田舎道を走ったりするので、車体はあまり大きくない方が良い。
 そしてできるなら可愛い方が良い。
 そういう理由もあって、ここのところずっと我家は軽自動車を使っています
 今回買ったのもまたまた軽自動車で、スズキの smile という比較的新しい車種です。
 ポイントになったのは、後席を倒すとほぼ完全に後ろ半分がフラットになること、荷室が大きいこと、電動スライドドアであるといったところです。これは個展の時の荷物
運びには最高ではないかと、すぐに理解できました。
 ただ荷室が大きいのなら、ワンボックスという選択肢もあるのですが、高速走行では安全性がやや劣るし、強風の時には風に流されてヒヤリとするというのもあります。
 個展に持ってゆく作品は、搬入に使う車の荷室のサイズに合わせてリビングに積み重ねてあるという話を前にしたけど、早速、こちらの車の荷室サイズを測ってみた。
(奥行き)×(幅)×(高さ)=120×131×106cm というのは、前の車に比べると面積的にはほぼ同じですが、高さはかなり大きい。計算上はこれまでより2割ほど多めに
荷物が詰めます。
 改めて考えてみると、この8年間の進歩は実に大きいと感じました。
 電動式スライドドア、ハイブリッド、ライトは自動点灯、衝突軽減装置などの安全性能の向上、高速道路などでは車速を一定に守ってくれる機能の追加など、もう目から
ウロコです。
 実際、高速道路などでは両足ともペダルから離すことができるので、何かゲームパッドで運転しているみたい。やってはいけないだろうけど、あぐらをかいて運転できて
しまう。
 知っている人から見れば「何を今さら」なんだろうけど、ここしばらく軽自動車しか運転していなかった自分には驚きでした。
 少し前までは、少しお高い車にしか搭載されていなかった機能が、今では普通の軽自動車にまで下りてきて、しかもお値段は以前と変わらない。もうタマゴ同様、車の
世界も物価の優等生だと思います。
 そして多分、こういった機能が普及価格帯の車に搭載されるようになった今が買い替え時なのかもしれないとも思いました。
 ただ一方で問題なのは、車の取扱説明書の厚さです。3cmもあって、とてもじゃないけど覚えられないし、読む気にもなれません。もうページ数は倍増したんじゃないかな。
 あと希望すれば、軽自動車でも希望すれば白いナンバーがもらえるようになったことも変化の一つです。だから一目見て軽自動車だって分からないこともある。
 ただ軽自動車に引け目を感じているのならともかく、自分の場合には白い車に白いナンバーではつまらなすぎると思って、ここは従来通りの黄色で決めました。
 断然こちらの方が可愛い。
 荷室が大きいので車中泊できるように改装するのも楽しみの一つ。コロナの時代に旅行に出かけるには都合が良いし、災害時の備えにもなる。
 とりあえず、久々に車の買い替えで感動してしまいました。



<2週間前>
 現在、ジオラマ1つと球体関節人形1体の制作を続けながら、並行して個展の準備の方も進めています。
自分自身の個展「情景のなかの人形たち V」の開催まであと2週間ちょと、さすがにというか厳しくなってきました。

<チェックリスト>
 時間の制約もあるなかで、あと2週間に終えなければならない事柄をチェックリストにしました。何をテーマにして、作品をどのように配置してゆくのかのイメージが
まとまったところで、更に今回の展示に必要な項目を具体的に書き出したものです。
 展示する作品が出来上がっていれば良いというものでなく、梱包や搬入の計画も立てなければいけないし、入口に置くパネルや、作品の説明文、展示に必要な
小物類、その他お土産のポストカードなど、様々な準備が必要で、これだけで最低1週間はかかります。
 このあたりのことは小さなドールイベントに出るときも必要です。当日の忘れ物などは致命傷、作品を買っていただいたのに、おつりがなかったとか、領収証を求め
られたりとか、過去にいろいろな配慮不足があったことを耳にしています。



 チェックリストを作成すると、準備の手順と優先度が明確になります。
 今のところ、会場となる平塚市美術館には会場レイアウトの図面を1週間前までに提出しなくてはならないので、こちらは最優先で仕上げました。

<配置図>
 展示する作品と全体のイメージが決まったところで、何を何処に置くかを詳細な配置図にしておく必要もあります。今現在やっているのがこの作業です。
 当日148.5m^2の会場に行ってから、少しずつバランスを見ながら作品を置いてゆくなんて悠長なことはとてもできません。準備人数2人では、おそらくまるまる
2日ぐらいかかってしまう。
 ここはcm刻みで配置図を作り、当日はテーブルを予定された場所にとりあえず置き、その前に予定された作品が梱包された箱を積んでゆく。あとは時間との
勝負になる、初日は9:30の搬入開始から全力でやっても、良くて13:00ぐらいに開場できるかなという感じです。

 ドールイベントなどでは展示スペースが限られているので、実際にその面積内に並べてシミュレーションしてみると良いです。今回はさすがにそういう訳にもゆか
ないので、想像力を働かせて図面上にシミュレーションする。そんな感じです。



詳細な配置図ができると、必要な案内表示や説明文も明確になってくる。
 次の準備はこれかな。 さてさて、こうやって準備をすすめる一方で、新型コロナの感染状況は悪化するばかり。
 つい数週間前までは夏に向かって旅行に対する補助金の話が話題になっていたのが噓のよう。「外出の際はマスクを外しても良い」というCMも流れていたけど、
公共交通機関でマスクを外しておしゃべりしている人もいたりで、拡大解釈されたような気がする。急激な感染拡大が明らかになっても「行動制限はしない」と明言し
続けているのも、影響としては大きい。
 何か「コロナはそれほど怖くない」みたいな雰囲気を上の方で作っちゃったような気がする。
 今や大きなショッピングセンターでは入口でのアルコール消毒を省略して入ってゆく人の方がむしろ多いぐらい。
 東京あたりでは100人に1人が療養中、無症状や濃厚接触者まで考えたら、スーパーでのお買い物も怖いと思う。自分にはなぜ緊急事態宣言が出ないのかが
分かりません。
 やっぱり対応が違っちゃったんじゃないのかな。 自分はそう思います。
 とりあえず「情景のなかの人形たち」は開催の方向で準備を進めていますが、このような状況なので、近日中に何らかの行動制限が示されることもあるかと思い
ます。その内容によっては開催中止となることもあり得るのでご承知おきください。
 何かこの文面も毎年のように書いているな・・・。)



<1週間前>
 昨日は暑かった。仕事は休みだったので、早朝のジョギング以外は、ほぼ1日自室にいて個展の準備をしていたのですが、午後になって西日が入ってくるとエア
コンが効いていない感じだった。
 思えば1年でいちばん暑い季節なんだよね。



 昨日行っていたのは写真のプリントアウトです。印刷は今回新規にA4で40枚ほど、本当はA3でプリントしたいのですが、無茶苦茶お金がかかるので、そこは
枚数で勝負といった感じです。


<画像や説明文のプリントアウト>
 イベントなどでもそうですが、展示を分かりやすく、そしてきれいに演出するためには、画像や解説を美しいプリントが必要不可欠です。そしてこの写真のプリント
アウトというのは、プリンターが勝手にやってくれるものだと思いがちですが、少しばかりの知識がないと見栄えの良いプリントはできません。

1 必要に応じてモニターのキャリブレーションを行う 基本的にすべての画像はモニターを見て確認や調整をします。だからモニターがきちんとした色合いで画像を
出力していないとだめです。今は何もしないでもほぼ無調整でも正しい色合いになっている場合がほとんどですが、古くなってくると調整(キャリブレーション)が必要
になってくることもあります。
 気になるようだったら、別のモニターやスマホなどで同じ画像を見て確認すると良いでしょう。
2 正しくプリンターの調整を行う モニターとは違って、プリンター本隊は必ずと言って良いほど調整が必要になります。小さなサイズの画像を印刷してモニター上
 の画像と比較し、まずは正しい色合いになるまで、繰り返し「プリンターのプロパティ」を開いて調整を行います。
  全体としては「彩度とコントラストを上げる」という調整の流れになることが多いです。これは透過光と反射光の違いによるもので、無調整だとどうしてもプリントの
 方が地味に見えてしまいます。
3 画像をプリント用に補正する コントラストが大きすぎると、プリンター側の補正だけでは足りないことがあります。こういうときにはアプリで画像のトーンコントロール
 を細かく調整し、白トビや黒ツブレを修正します。

 昔は全ての画像でプリント用の画像調整をしていましたが、今ではプリンター側だけでかなり対応できるようになった。結果として2は必須、1,3は必要に応じて
という感じです。



4 画像を大きくしようとすると、フチなし印刷を選択することになります。そのままでも構いませんが、額に収めたり、台紙に張り付けたりする方が見栄えが良いです。
また画像部分に画鋲を刺すだなんて野暮なことをしなくても済みます。
 自分の場合にはB4の台紙に両面テープで貼り付けています。(安くて簡単)



 そのB4の台紙の中央に貼り付けるのって、意外に面倒なので、スチレンボードで枠をつくり、そこにプリントを落とし込むようにしたら作業効率が上がりました。 今
出来上がったプリントを眺めながら構成を考えています。おそらく昨年の1/3ぐらいを入れ替えて、おおむね130枚程度展示することになると思います。



 プリントしていて、いちばん気に入ったのがこれです。
 モデルはTBLeagues45(少しリメイクしています)、小田急線の東海大学前駅あたりから、大山詣りの道を辿ってケーブル乗り場まで歩いた時に撮影したものです。
 古い神社があったり、お接待を受けたり、普通はバスや車で通り過ぎてしまうところを歩いてみたら、いろんな発見がありました・・・。 このプリントアウトの作業で
いちばん注意しなきゃいけないのは、いろんなことが思い出されて作業がストップしてしまうこと。古い本や記念品の整理と同様、心の後片付けも必要になります。



<4日前>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち」開催まであと4日です。
 世の中、集中豪雨や新型コロナBA.5の感染拡大などで、それどころじゃないって人も多い中で、こういう創作活動ができていることにまずは感謝すべきかもしれま
せん。
 制作中だったジオラマ「竹松農民組合精米所」がほぼ完成し、創作人形のジオラマ等が31点、写真128点、その他小作品やパネル等が少々という内容が確定しま
した。作品はまだまだあるのだけど、もうこれ以上は車に積み込めません。



 あらためて会場配置図を微調整しました。ご覧いただいても分からないかもしれませんが、壁面に向かって何をどう配置するかが記入されています。 一つ一つの
作品のイメージは頭の中にあるので、これがあると会場内がどんな感じになるのか、その景色を思い浮かべることができます。昨年はちょっと詰め込み過ぎた感じが
あったけど、今年はテーマごとに整理できて見やすくなると思います。



<解説や案内表示をつくる>
 会場内のイメージが出来上がったので、次に解説や案内表示などをつくります。
 人形やフィギュアを主人公にしたジオラマや、人形のいる風景を撮影したプリントを展示するなんてことをやっている人はほとんどいないと思う。またふだん創作人形
を目にする機会などもほとんどないはずなので、作品の解説は必要だし、入場者の動線を考えながら案内表示をつくる必要もあります。
 レアな趣味であるがゆえに、このあたりはちゃんとやらないと、分かってもらえない。



 今年は怪我をしたりして準備が遅れ、多少の焦りも感じてはいるけれど、けっこう気分的にはワクワクするところもある。
 イベントで与えられる90cm×90cmの世界ではなくて、148.5m^2という広いスペースに、また今年も自分の世界を展開できるという歓びなんだよね。



<3日前>
 自分自身の個展「情景のなかの人形たち V」開催まであと4日、おおむね準備が整って一安心なのですが、ぎりぎりまで作品の完成度を上げるつもりで頑張ってます。



 こちらはときどきこのブログにも出てくる chico ちゃんです。もともとは(今もですが)amazon で売っていた格安のラブドールで、最初に個展を開催したときにはイレーヌ・
カーン・ダンウェール譲に扮してもらい、ルノワールの名作絵画のシーンを再現した。
 作品数が増えてきたこともあって昨年は1回お休みでしたが、今回再登場してもらいます。(画像は一昨年のもの)
 ドレスは市販のものに少し手を加えたもので、それらしく仕上がりましたが、背景の植物表現が少し甘い。



 そこで今回、半日ほどかけて作り直すことにしました。背景として使うのはすべて100均などで売っている造花です。最近は100均で売られているもののレベルも上がり、
侮れない。
 まずはラダー状の白いフレームにつる性の植物をできる限り自然な感じで配置してゆきます。(上の画像)
 そのうえでアイキャッチャーとなるメインの花を中央を外しておく(A)、その両脇の奥にサポートするような果実をつけた植物を配置(B)、ボリュームの足りないところ、
隙間のあるところは、最初のつる性植物やモミジの葉で隠す(C)という感じで作業をすすめます。



 こちらが完成したところです。
 通常の生け花とは上下関係が逆ではありますが、基本的には同じ考えでまとめていると思います。
 ルノワールの絵画では背景の植物ははっきりと描かれていないので、ここはある程度自由につくることが許される場面と考えました。



 あとは本人もそこに置いてみて、バランスを再調整しました。
 背景の完成度はこれで70%から88%ぐらいに上がった感じかな。
 個展開催は来週の火曜日から。そこから先はお休みをとっているのだけど、前日の月曜日はお仕事。
 ということで、大きく動けるのは今からあと1日半です。準備の最終段階として残りの時間は人形の着つけや、メイクなどに時間を費やそうかと思っています。



<2日前>
 人形のイベントとかに興味はないって人も、もしかしたら今日のこのブログの記事は参考になるかもしれません。というのもドールやフィギュアのお手入れの話
だからです。
 さてイベント直前になってお人形のメンテナンスを行い、お着換えするのかというと、ずばりそれは色移り対策です。
 以前、ドールの販売イベントに何度か出店したこともあるのですが、なぜかある時、準備が1週間以上も前に整ってしまって、当日を迎えたことがありました。
 普段は色移りの可能性の低いものを着せていたのですが、その回はたまたま黒で統一したブースをつくり、ドールのOFも黒っぽいものでした・・・。結果はわずか
1週間なのにそのいくつかは色移りして、ボディそのものを捨てることになってしまいました。

<色移りさせない>
 基本それ以来、暗色のものはすぐに脱がす。または白っぽいものを着せてから暗色のものを着せる。事前に古いドールなどで色移りするかどうか試しておく、
などなどの対策を自分はとっています。
 あと参考までに言えば、色移りしやすい人形の素材は可能性の高いお順に、TPEやシリコン、ソフビ、レジン、プラ、粘土という感じかな。幸いにも自分のつくる
粘土製の人形はほとんど色移りしたことがありません。
 ちなみにTPEやシリコンドールのための脱色剤というものも世の中には存在しますが、完璧に色移りを脱色することはできません。(目立たない程度に薄くする
ことはできる) そしてやや高価です。

<お人形のメンテナンス>
 さて明日はお仕事なので、今日のうちに可能な限り準備をしておきます。
 着せるものもあらかた決めているので、まずは人形のお掃除からです。



 人形のお掃除には、自分は基本的にクレンジングクリームを使います。
 人形につく汚れは多くは、手から出る油分と手そのものの汚れです。だから汚れ落としにクレンジングクリームは向いています。
 だから本当なら、普段から手袋をして扱った方が良い) 塗り込んだらしばらくしたところで、濡れた雑巾などで拭き取ります。
 TPEやシリコン素材のものは、このあと必ずベビーパウダーをぱふぱふしておく。きれいなお肌を保つためには必須です。
 このほか汚れ落としには、中性洗剤を溶かしたバケツに投げ込むという方法もないわけではないけど、金属パーツを含んだボディの場合には錆が出る可能性も
あるのでやらない方が良いと思います。



 けっこう微妙なのがレジンやプラの上にメイクを施している場合です。
 表面保護のために、まだ新品なうちにUVカットのつや消しクリアーを吹き付けておくことは常識として、このつや消し塗装自体も汚れを拾いやすく、塗膜に沁み込み
やすい。
 このヘッドの場合には、まずは綿棒でクレンジングクリームを塗り汚れ落としを行い、必要に応じてメラミンスポンジや、目の細かなスポンジやすりを軽くかけるという
感じかな。そのうえで再びUVカットのつや消しクリアーを吹き付けます。
 ちなみにオビツボディなどの既製品の場合には、それを消耗品と考えて今ではつや消しクリアーのコーティングをやめました。その方が圧倒的に汚れを拾いにくい。
 するとどうしてもテカリが出てしまいますが、それは全体をメラミンスポンジや目の細かなスポンジやすりで磨けば、ある程度抑えることができます。



 選んでおいた服に着せ替えてメンテナンスは終了です。
 この服は色移りの可能性はないです。
 ikumi (オリジナルヘッド+TBLeague S24Aボディ 27cm 2019 )



 イベントではヘアースタールもびしっと決めたいところですが、なかなかヘアーはいうことを聞いてくれません。
 そんなときに便利なのが「革・ビニール手入れ剤」です、おそらくはシリコングリスのようなものなのでしょうが、ウイッグオイルなんかより数段、髪型を整えやすいです。
 sae (TBLeagueS35 ヘッドリメイク 29cm 2021 )




 最後はメイクです。先日より何度か登場している chico ちゃんですが、人間用のお化粧品を使ってメイクしました。
 経験上、TPRやシリコンだけでなく、プラでも粘土でも人間用のメイク道具が一番使いやすい。プラカラーあたりだと慎重に息を止めて作業しなくちゃいけないけど、
化粧品なら少しずつ色を重ねてゆくことができます。失敗も少なくなります。
 いつもはこの chico ちゃん、ほぼノーメイクなんだけど、アイラインを整えてルージュを入れ直しただけでがらっと雰囲気が変わりました。
 今年もイレーヌ・カーン・ダンウェール譲に扮してもらうつもりだけど、さすがにメイクだけで彫の深い西洋人系の顔つきにはなりません。
 でもそこは可愛さに免じて許してやってください。



<前日>
 さて自分自身の個展「情景のなかの人形たち V」もいよいよ明日から。
 今日は仕事があったので、やるべきことはすべて昨日までの間に終わらせておきました。それでも少々時間的な余裕があったので、朝のうちに2つばかり出品物を
追加しました。一つは来場記念のポストカードです。
新型コロナの関係で昨年も入場者は少なかったので、昨年バージョンのものがかなりの枚数で残っている。ちょっと前までは印刷するつもりはなかったのだけど、せっ
かくなので新作の1種類だけ今年バージョンのポストカードを用意することにしました。



 会場に来られないという方もいるかもしれないので、前日ではありますが、この場でお披露目します。



 あと追加したのは写真の大きなパネルです。
 市川ソフトラボラトリーのズームプリントというアプリがあるのですが、これは画像を分割してA4プリンターを用いて大きな写真をつくってしまうというものです。
「A2などのプリントなどお金がかかりすぎてできないよ。」という人にはありがたい。
 画質はもちろん大型プリンターにはかないませんが、安価にインパクトのあるプリントができる。まさに貧乏人の味方のようなアプリです。



 最終チェックも終えて、リビングの片隅に整然と作品は積み重なっています。
 ちょっと心配なのは本当にこの荷物が車に積み込めるかどうかです。計算上は大丈夫なんだけど、やっぱり少し不安です。明日の早朝の積み込みがまずは
勝負です。



<1日目>
 いよいよ今日から「情景のなかの人形たち V」が始まります。
 まずは暑くない早朝4時半に起きて我家の軽自動車に作品を積み込みます。
 30分後、ほぼ隙間ない状態で積み込みは完了、正直なところ計算上はすべて積み込むことができるはずだったのですが、やはり少し不安でした。

<設営>
 会場には開館20分前に到着です。



 こちらは積み下ろした荷物です。よくもまあ、軽自動車にこれだけのものを積み込めたなって感じです。
 9:30から設営開始です。
 ここからが勝負の時間帯、まずはテーブルを運び出して配置図通りに並べ、それをテーブルクロス代わりの布団干しシートで覆ってゆく、これだけでおおむね40分。
 その後は配置図に示された場所に大まかに咲く陳の入った箱を置いておき、あとは1つずつ取り出して組み立ててゆきます。ここから先は破損が怖いので、慎重に
作業をすすめます。
 この最中にも時折、お客様がいらっしゃるので作業を止めて応対します。このあたりは設営人数が2人だとけっこう厳しい。
 やっぱり取り出しやすい梱包、段取りというか計画的な設営は絶対に必要です。
 12:30になってジオラマ関係とドールの配置が終わり、お客様の本格的な受け入れを開始します。12:30というのは、昨年に比べると30分早い、このあたりは経験の
積み重ねかな。



 休憩を入れながら、次に案内表示やパネル、写真の展示をすすめます。
 ここからは入場者の応対をしながらの作業になるので、設営は少しペースダウン、結局、一部の展示は明日ということになっちゃいました。



 chico ちゃんもこんな感じで整いました。看板娘復活です。
 初日の入場者は30名ちょっとで、だいたい昨年と同じぐらいです。 でもドールそのものでなく、背景の壁や地面といった部分の仕上げに興味を持たれる方が
少なからずいて、それはちょっと嬉しかった。
 「さすがに目が肥えてらっしゃる」



  帰り道、いちめんの田んぼの向こうに大山が見えます。いつになく印象的な風景。
 明日は設営の続きと、準備の途中で見つけた破損ヶ所の修復が第一です。
 ともかく今日は疲れました。写真撮ってる暇もありませんでした。個展の詳しいレポートは明日からということで、ご勘弁ください。
 今日は帰って適当に晩御飯つくって、ビール飲んで寝ます。 



<2日目>
 「情景のなかの人形たち V」2日目です。とりあえず昨日は途中で終わってしまった設営の続きを行います。
 計画を綿密に行っても、多少の微修正は必要になります。そんな時に有効なのが「隙間埋めの作品」たちです。



 たとえばこんな作品、ピコニーモボディにオリジナルヘッドを組み合わせたものです。ほかには写真を大きく引き伸ばしたパネルなど。(先日ご紹介したズーム
プリントによるもの) 全体のバランスをとりながら、こういうものを配置してゆく、とりあえずこれも午前中に作業は終了。



 夏休みということもあって、親子3代でご来場くださる方も見かけます。こういうのっていいね。
 ただ全体には会場の平塚市美術館はとても静かで、入館者は昨年よりも更に少ない感じです。美術館の方ともお話ししましたが新型コロナと猛暑の影響は少なか
らずある感じです。
 通りを見ても、歩いている人はとても少ない感じだな。
 まあこういうこともある程度予想はしていたことなので、展示の方のご紹介をすすめます。
 今回「情景のなかの人形たち」がこれまでと大きく変わったのは、テーマを明確にしたというか、自分の思っていることを明確にしたという点だと考えています。




「理不尽な出来事」
 まずは今も世界各地で起こりつつある様々な争いや、混乱について考えた4作品です。

 

時計塔のある風景「誰もいなくなった
 時は1940年代、第二次世界大戦中のヨーロッパのとある小都市の広場をイメージしています。
 散乱するビラ、放置された買い物かご。
 ここにいたはずの人々はどこに行ってしまったのか?

 想定としては、対立する国家から航空機が飛来し、直後に上空から大量のビラがまかれたというものです。
 但し実は撒かれたビラなどには統一性が全くない。
 ベンチに取り残された新聞は1941年12月、日本がパールハーバーを空爆し、太平洋戦争が始まった時のもの。
 その下に落ちているのは『白バラ』のモチーフ。『白バラ』って何かというと、ミュンヘン大学の学生たちによる反ナチス抵抗運動のことで、彼らは1942年から43年にかけて6枚のビラ作成し、
戦争を終結させようと国民に呼び掛けたというもの。
 もちろん当時はナチスの存在は絶対的なものだったので、彼らは7枚目のビラを印刷する前にゲシュタポに捕えられ、国家反逆罪でギロチンにかけられてしまう。
 そのほかヒトラーが写っているビラはスターリングラード攻防戦のときに、ソ連軍がまいたドイツ軍兵士に投降を呼びかけるビラ。スターリングラードは最大規模の市街戦となり、でヨーロッパ
での戦いの転機になった。ドイツと枢軸軍の死傷者85万人。ソ連軍の死傷者120万人。この惨状が『白バラ』運動につながるきっかけともされている。
 もう一種類の小さなビラは1940年にドイツ軍がダンケルクで撒いたとされるビラ。第二次世界大戦初期、連合国側はダンケルクに追い詰められたが、多くの兵士はイギリス国内へ撤退に成功し、
再びノルマンディー上陸作戦に参加することになる。

 壁はベルリンの壁を参考にしてつくったもの。印象的なメッセージを書き写したほか、そのほかにも印象的な言葉を追加しています。  いちばん上はアインシュタインの言葉で「神はサイコロを
振らないと私は確信している」
 いちばん下は最近、ホンコンの街角でかかれたもの
 柱の部分はJR鶴見線の「国道駅」の柱を再現したもので、第二次世界大戦末期に米軍機による銃撃の痕跡が残っている。
 ベルリンの壁が崩壊して30年、もろもろの問題は解決していないどころか、拡大さえしている。左上のFREEDOMは実際にベルリンの壁に書かれていた文字です。もちろんその下はバンクシーの
「風船と少女」、風船は愛や希望の象徴と言われているそうです。
 背後には工業プラントの一部として煙突とパイプラインを取り付けてみた。現代世界の問題は国家、民族間の争いだけでなく、地球環境の問題もある。
 決して万全とは言えない世界、そして更にこの先が見通せない状況のなかに自分たちはいる。その事実をイメージとして再現したのがこの作品です。
 だからこれはリアルなジオラマではなく、ある意味メッセージそのものです。





地下空間
 このシーンはあくまでも自分のイメージした空間を比喩的に表現しています。
 2ヶ月にわたってロシア軍に包囲され続けたウクライナのアゾフスターリ製鉄所。
 そのなかでの閉塞感とか深い地下の圧迫感のようなものを、なぜか自分が想像してしまったところから、このイメージが生まれました。ただそれをそのまま
それを表現したらあまりにも救いがなさすぎる。
 はたしてこういう世界に閉じ込められたら絶望感しかなくなってしまうのだろうか?
 それでも人々は生き抜いてゆく理由や目的のようなものを探し続けていたんだろうと思います。それは語れるような夢や希望ではなかったとしてもです。





 そしてふと風の谷のナウシカ劇場版のエンディングで見た腐海の底の風景に結びつきます。
 それは清浄なる地で新たな芽吹き。
 夢や希望はいかなる場面でも持つことができます。





ひまわり
 ウクライナというと往年の名画「ひまわり」の舞台になった国で、自分としては地平線の遥か彼方まで続くひまわり畑が思い出されてしまいます。
 このひまわり畑の上に青い空がひろがっていれば、それはまさにウクライナカラーです。

 
実際、あれほどひどく降りしきり、強く傘をたたき続けた雨も30分とたたずに止んだ。
 そして静寂な時間。
 私たちの上には、ただ空があるだけ。
 そして陽光が大地に差し込んだ。




 今、全国の映画館で往年の名作「ひまわり」の再上映の動きがひろまっているんだそうです。
 こちらは第二次世界大戦のロシア戦線に送り込まれたイタリア兵とその妻を主人公にした映画で、ヘンリーマンシーニの印象的な音楽とともにご存知の方は多いと思います。
 私にとってもそれは同じで、とても壮大で美しく、そして心にずしんとくる話でした。
 黄色いひまわりと青い傘はウクライナ国旗のカラーから  白い壁の落書きはジョン レノン&ヨーコ オノのイマジンの歌詞
 激しい雨が止んで陽光が大地に降り注ぐというストーリーは世界中の願い
 ウクライナでは理不尽な戦いはまだまだ続き、それ以外の様々な地域でも紛争が続くような状況ではありますが、自分自身としてはこういう作品を通して平和を願う気持ちを伝え
たいと考えました。





Portrait d'Irène Cahen d'Anvers
 あまりに有名なルノワールの肖像画です。作品はこれを3D表現したものです。
 ベースになっているのは1mサイズのいわゆるラブドール。ドレスやアクセサリーなどは絵画に近いものを探し、ないものは自作して組み合わせました。
 絵画はおそらくは明るいテラスで描かれたものと想像し、造花を背景に配置してみました。



 こちらの絵がルノワールによって描かれたのは1880年、当時本人は8歳だったそうです。きっと花が咲き出す春、テラスにできた木陰に椅子を置いて描いたんだろうと想像します。
 ユダヤ系のカーン・ダンヴェール家はパリの銀行を経営する裕福な家庭でしたが、結婚後の彼女の人生はそれほど幸せなものではなかったようです。また彼女の娘や孫は
アウシュビッツで命を落としているそうです。
 この絵自体も一時ナチスドイツに接収されていました。
 この絵は最終的にオークションにかけられ、実業家エミール・ゲオルク・ビュールレが落札し現在に至ります。ちなみにこのビュールレ家というのは第二次世界大戦中、武器商人
としてナチスドイツと取引を行い、巨万の富を得ていたとか、ナチスが接収した絵画を大量に購入していたとか、いろいろとあるみたいです。
 こちらの絵、ただ印象派の肖像画として最も美しい1枚というだけでなく、無視できない歴史的な重みが付け加わってしまったということだと思います。
 なぜ過ちを繰り返し続けるのか。
 なぜ理不尽がまかり通るのか。
 今あらためて考えるべき時だと思います。



<3日目>
 「情景のなかの人形たち V」は本日で3日目、昨日は入場者数が50人にも満たなかった。過去には1日で400人なんてこともあったから、これではやっている意味があるのかって
言われちゃいそうです。
 確かに新型コロナや猛暑の影響もあるんだろうな。



 こうなってくると、通りかかった人にギャラリーの存在に気付いてもらって、内部に誘導するようなエントランスを工夫することも必要です。
 入り口にドールフォトの目立つパネルを配置し、今日はぎりぎりまで受け付け台を後方に移動させて、中が少しでも見えるようにしました。本当は受け付け台はいらない、だから
上から吊り下げられたビニールの仕切りはもっといらない。

「未来を生きる」
 今年のテーマの2つ目は近未来の世界、そこから人間の手による環境破壊や異常気象などの問題について考えるというものです。



天空の城ラピュタ ロボット兵
 ファインモールドから発売されているプラモを使って制作したジオラマ、スケールは1/20、ベースサイズは26cm×26cmです。
 劇場アニメの「天空の城ラピュタ」では世界を支配するラピュタ人は、謎の病を避けて地上に降りたとされていますが、それがもし近未来の日本だったらという、自分のイメージした
架空世界を具体化したのがこちらの作品になります。



 
ロボット兵はラピュタ人の住むコミュニティのエントランスで永遠に衛兵を務め続ける。
 たとえそこに誰も住む人がいなくなったとしても。


(こちらの画像は以前ご紹介した背景つきのものです)
 近未来を描いたアニメや映画、小説は多いけど、人類の未来についてはむしろネガティブな内容のものが多いです。
 そして現実にその方向に向かいつつあると危惧する人も多いのではないでしょうか。





腐海の尽きるところ
 ナウシカのフィギュアはプラモをベースにつくっていますが、この作品の見どころは、やはり腐海の植物とよみがえりつつある旧世界の植物が共存するこの空間です。
 劇場アニメ版ではオームの怒りをナウシカが鎮めるシーンでお話が終わっていましたが、その原作となるアニメージュ文庫(全7巻)ではさらにその後の世界も描かれていました。

 旧世界は様々な毒によって大地が侵されていた。腐海の樹々はその毒を取り込み、そして自らはきれいな結晶となって、やがては大地の新たな土となる。
 腐海の最深部ではその浄化がすすみ、再び生命のあふれる世界が再現されつつあるという。(第6巻)


 この作品はそれを参考に、平和が訪れたであろう最終第7巻の少し先の時代をイメージして制作しました。




 
少しずつ空が明らむ夜明け前、ナウシカは腐海の最深部を目指してすすみ始めた。
 そしてほどなくその腐海の尽きるところにたどり着いた。
 夜が明け、朝露に濡れる大地は輝き始めた。


 展示会場は明るくて夜明けのイメージは出ないので、今回は暗くした自室でスポットを当てた画像をパネルにし、これを作品のすぐそばに置きました。

 ジオラマサイズは40cm×40cm、メインのナウシカはバンダイから発売されている1/20スケール、背景は和巧のペーパークラフト、100均で販売されている造花等を利用して作り
あげています。



 毒が消えたことで旧世界の植物も復活を遂げ、一方で腐海の植物は小型化しもはや瘴気を吐き出すようなこともない。浄化された腐海の外れでは新旧の植物が混在しながら、
生命あふれる空間ができつつあるという解釈です。
 大地やそこを流れる水を藍色や青といった色合いに染めているのも意識的です。腐海の木々が毒をその体に取り込んで無害化し、その過程で藍色や青といった色素はいったん
大地に染み込み、そして水によって洗い流されるいうイメージです。
 違うなと言われればそれまで。そういうこともあるかなと言われればそれで良い。自分としては最低限、この空間内でつじつまが合っていればよいかなと思っています。
 宮崎アニメにおけるこの作品のすごいところは、その世界が生態系として見たとき、あるいはもっと根本的に原因と結果の因果関係が破綻していないところだと思います。
 一つの変化が次の変化を及ぼす。
 何の意味もないと一見思われるものでも、自然界では欠くことのできない一つの歯車になっている。





風の谷のナウシカ オームとナウシカ
 ツクダオリジナルのプラモに手を加えて主人公を完成させています。背景はスチレンボードと角材でつくったベースとして、厚紙とスタイロフォームで池と敷石をつくっています。
水は透明エポキシの流し込み。植物は静電気による植毛、WAKOのペーパークラフト、その他雑多な鉄道模型のパウダー類等を用いて作っています。



 月間アニメージュではトルメキアとドルクの戦いに一区切りついたところで、その最終回となりますが、自分としてはその後、再び世界に平和が訪れつつあるシーンを再現したい
と思って制作しました。
 腐海がその勢いを失い、旧世界の遺跡に再び足を踏み入れると、そこに過去に存在していた植物が再び繁茂し始めていた。そこでナウシカはオームの子供に出会うといった
感じです。

 このジオラマ制作の最後の作業は、オームの子供の触手に花一輪を持たせて位置調整すること。
 その最後の最後になって、このジオラマを完成させるのがちょっと惜しい感じがした。もう少し作り続けていたい気持ちになるぐらい、作っていて楽しかった。



 旧世界の遺跡で出会ったオームの子供から、お花のプレゼントをもらうだなんて、このシチュエーションだとありそうな気がしませんか?
 風の谷のナウシカというと、戦いに明け暮れる少女の物語というイメージがあるけれど、やっぱり誰だって心穏やかに暮らしたいはず。だからそれを再現してあげたいなと思った
のが、このジオラマをつくったきっかけかな。
 青いタンクトップに白いワンピースという、一見活動的でない服装なのも、平和な世界が訪れつつある証です。ワンピースを着たナウシカをつくった人って、ほとんどいないと思う。
ちょっと新鮮で、こういうのも良いのではないでしょうか。

 平和な世界が訪れつつある状況を再現したかったと最初に書いたけど、現実世界においては、戦争や争いのない平和な時代って、過去一度も実現したことがないし、またその
見通しもないというのが現実です。
 風の谷のナウシカのテーマは重いです。



 実のところ、会場ではドールやジオラマのほかに、もたくさんのドール写真やこれまでに見た風景などを展示しています。





嵐の前
 これらは早朝の写真です。台風がやってくるという前日の写真です。青空とピンクに染まった雲、しかも時間を経てその色合いが少しずつ変わってゆく、どの瞬間も一期一会。

 実のところ、恐竜のいた中生代は大気の濃度や成分が異なっていて、平均気温40℃で空の色も今とは違って見えていた可能性が高いです。だからもしかしたら、こういう空が
むしろ日常的だったのかも。
 そして今、酷暑や暖冬、豪雨、こういったものを異常気象と呼んだりするけれど、それはむしろ誤りであって、海水面上昇や永久凍土の融解などを含めて、気候の劇的変化の
始まりというべきものであると自分は考えます。

 宮崎アニメでは現実には存在しないけれど、とても説得力のある架空の世界が描かれていている。そこにはきちんとした摂理があり、それがゆえにリアルな空間を想像させます。
世界的な戦争が起こり、あるいは壊滅的な環境破壊によって、現実の世界が破綻してゆくことは、可能性として十分にあり、我々はその瀬戸際にいる、そういう認識を持つべきだと
思います。



<4日目>
「情景のなかの人形たち V」の4日目、台風の接近によって時折雨も降り、入場者は少なくなるかと思ったけど、逆に少しだけ増えました。単純に雨が降って外で遊べなくなったって
ことなのかな?

ご近所散歩
 もともと旅行は好きなのですが、新型コロナの感染拡大もあって、もう3年以上、遠方に旅行に行っていません。かわりに多くなったのがご近所散歩です。今回の個展でもこれに
関連する展示はかなり増えました。




竹松農民組合精米所
 このブログでは初お目見えの作品です。南足柄市の古い通りに沿ってある竹松農民組合精米所周辺の風景です。まずはこの名前が良いです。
 通りを歩くおばあさんがピンクのワンピースを着て人形を抱えた女の子に出会った。何か昔の自分に似ていると思った・・・。そういう感じの作品に仕上げました。

 

 スケールは1/72、ベースの大きさは20cm×25cmです。主に100均で入手した素材と、鉄道模型用の素材、そしてプライザーのホワイトフギュアを改造して配置しています。ミニカーは
ホンウエルのisetta。
 大きさの感覚は、isettaもフィギュアも10円玉に乗ってしまうぐらいです。



 実はこのジオラマ、続編の制作を予定しています。
 後々このblogやHPでご紹介の予定ですのでお楽しみに。

 もちろんこのほか、この1年間のジオラマの新作も展示しています。



第二水源地
 こちらもスケール1/72、神奈川県西部の開成町に実在する風景、たくさんの馬頭観音と桜並木が印象的な場所です。

「お母さん早く!」
こどもが駆けあがってゆく先に満開の桜。






白髭食堂
 このジオラマは春の休日の朝の風景を再現してみました。スケール1/72。
 この食堂のある鶴巻温泉駅は、弘法山ハイキングコースの入口にあって、春や秋には家族連れで賑わうようなところです。このジオラマはそんな休日の朝を再現してみました。





遠藤原
 雪の止んだ翌日、昼からの挙式と披露宴に向けて出発する家族を主人公にして制作してみました。時代はおおむね大正から昭和の初期といったところをイメージしています。
 このころ、地方では嫁入り先で挙式や披露宴が行われることが多く、ときおりこういった風景を見ることができたようです。
 先頭には新婦とその母親、そして嫁入り道具を満載したリヤカーを引く兄、そしてそれを見送る集落の子供といった登場人物を配置してみました。

 
嫁ぎ先に向かう途中、集落の外れにある六地蔵とお稲荷様の前を通る。
 その存在に気付いて歩み寄る新婦。
 次の瞬間、彼女は手を合わせ一礼して立ち去る。


 心によぎるのは新しい生活に喜びと少しの不安といった感じかな。

 日本全国、東京一極集中が続いていて、都心から電車で1時間を超えるところでは軒並み人口が減っています。
 たまたまというか、自分の住んでいるところはその狭間にあり、駅近辺は住宅や商業地で密集しているところですが、少し歩けば田んぼや畑がひろがっていて自然豊かなところです。
 幸運にも今最もバランスがとれているところかもしれません。

 ここから先は関連する画像をいくつかご紹介します。(個展でもプリントを展示しています)



光明寺
 こちらは北条政子も安産祈願に訪れたという古寺。モデルドールはTBLeagueS35。

 加えて鎌倉時代の雰囲気を残す場所も多くあって、お散歩もけっこう楽しい。
 そういったことからこのようなジオラマをつくるようになりました。

 江戸時代までは全国に300の国があって、それぞれの国が独自の文化や歴史を築いてきたわけです。それが明治維新以降、徐々に東京中心の国づくりがすすんでいって、
気づけば毎年10万人の地方都市が5つぐらい消えてなくなっているような状況になっています。





石岡(千葉)
 市岡の中心街に見られる看板建築です。こういった昭和の時代の景色ももはやレトロになりました。





冬の会津田島(福島)
 豪雪地帯です。夏の景色が美しくて移住した人がいたそうですが、冬の厳しさを経験してから判断すればよかったと後悔したんだとか。でも歴史ある街並みは美しいし、立派な酒蔵
もあります。





夏井の千本桜(福島
 この桜は夏井川の堤防約5kmにわたって植林されたもので、毎年この時期にはたくさんの人々が訪れるところです。(近くにはリカちゃんキャッスルもある)

 
こののどかな農道が落ち着くな・・・。

 タンポポやオオイヌノフグリ、土筆、そんなものがたくさん生えています。
 こういった桜の名所というと、桜を引き立たせる菜の花とかスイセンといったものが植えられ、もともとあった雑草のようなものは、春を知らせる小さな可憐な花なども含めて、完全に
草刈り機で切り払われたりすることが多いのですが、ここは違います。
 どうしているのかな? と思って歩いていたら農家のおばあさんが背の高い草を1本、1本抜いていました。
 これはすごい!
 もう大感動してしまいました。

 人がどんどん減っていても、後継者がいなくても、誰に評価されるわけなくても、どこにも頑張っている人はいます。
 応援したい気持ちでいっぱいになりました。



 裏山の景色も美しい。
 天国にいちばん近い場所かもしれないと思いました。



<5日目>
「情景のなかの人形たち ∨」もあと1日を残すのみとなりました。がしかし来場者はとても少ないです。お昼までにわずか10名ほど。台風直撃の予報では仕方ないかな。
 そこでこれまではやってこなかったエントランス前で呼び込みなどもしてみる。その効果もあったのか午後は少し増えました。そしてこれまでになく深いお話が何人かの方とできたので、
そこはかなり満足です。なかには1時間以上も作品を眺めてゆく方もいました。



 お盆休みなので子供たちの入場も多いです。
 こちらのお姉さんはとても責任感の強い子のようで、自分が見たい気持ちを抑えてを妹の面倒をちゃんと見てました。偉いね。
 今年は「理不尽な出来事」「未来を生きる」「お散歩していて気づいたもの」などのテーマごとに展示をまとめたのだけど、それ以外にもあらたな作品やリメイク品なども加わったので、
今日はそれらをご紹介します。

 



マリリンモンロー
 ヘッドは市販品で4年ぐらい前に購入し、リメイクしたものです。購入先や価格は忘れてしまいましたが、今でも入手可能かと思います。ボディはTBLeague のs32A、柔らかく女性らしい
ボディラインがマリリンモンローのヘッドにぴったりです。





BAR LASTWALTZ
 最近完成させた横浜駅西口に実在するBARから、そのイメージをいただいて制作した作品です。
 昨年まではモデルドール nanami のみで展示していましたが、今年は リメイクした nao 君を加えて何か怖いものを見てしまい、お姉さんの後ろに隠れる様子を表現してみました。





秋の空
 モデルドールは ayumi、100均の材料を使ってイロハモミジの垂れる庭先をつくってみました。



 
椅子を持ち出して本を読んでいたら、風に吹かれたイロハモミジの葉が何枚か舞い降りてきた。
 舞い降りてきたイロハモミジの1枚がそのまま栞になる。


 「一瞬を切り取る」「空間を切り取る」
 ジオラマをつくるとき、あるいは写真に撮るときに大切にしているのは、いかにその瞬間や空間を切り取るかという点です。上の作品は、ある意味本の上のイロハモミジが主役であって、
その他は説明に過ぎないのかもしれません。







小さなさな訪問者
 モデルドールはオリジナル球体関節人形 akane 。
 窓を開けて自分の部屋でくつろいでいたら、一匹の蝶が舞い込んできた。
 そんなどこでもあるようなシーンをジオラマで再現してみました。

 こちらもイメージしたこの一瞬を表現したくて、長い時間かけて背景をつくりました。多分、少し開けた窓とオオムラサキがいなければジオラマとして成立しません。
 背後に少しだけ見えるのは白樺の樹。なぜこの組み合わせなのかというと、オオムラサキは白樺の樹のあるような高原に多く生息する蝶だからです。このあたりに抜かりはない。

 この日は台風で部屋に陽光が差し込まない状況でした。
 こういう日って、実は自分のつくるドール鑑賞には実は向きません。グラスアイがキャッチライトとして輝かないからです。
(上の画像はポケットライトで無理やり輝かせている)



 次は写真の方からいくつかご紹介します。



三増合戦場(神奈川県愛川町)
 1569年10月、甲斐の武田信玄と小田原の北条氏康の総勢4万が戦った。この名高い山岳戦は武田軍の勝利に終わり、その戦死者は北条方3,269人、武田方900人と伝えられます。
 とても激しい戦いだったようで、一帯からは多くの刀や槍、鉄砲の弾などが出土し、近くには「首塚」が史跡として残っています。(武田軍が北条方の兵士の首をはねて、それを埋めた場所)
 3千人もの首が埋められているなんて、かなり怖い。
 そして更にその奥には、首を失った胴体だけが埋められている塚もあるというけど、怖すぎていけない。
 「首塚」からの帰り、ふと見たバス停。
 こちらは置き去りにされたスヌーピーがかなり怖い。
 お願いだから持ち主は家に連れて帰ってほしい・・・。







旅立ち
 例によって早朝にお散歩をしていたら、夜明けの空を黒い陰がいくつも通り過ぎてゆくので、何かな?と思って顔を上げたら、それはものすごい数の鳥でした。
 この小さな画像では、その数とかスケールとか分かんないかもしれませんが、100羽ぐらいの群れがきれいなくさび形の編隊になって、しかもその群れがいくつもいくつも通り過ぎて
ゆきました。そしてその集団は数分ほどで北西の空に消えてゆきました。
 これって一期一会、その場に自分がいてカメラを持っていた。
 カメラの腕とか言う前に、そういうシチュエーションに自分がいるってことがポイントです。





川霧
 お散歩するなら絶対に早朝が良いです。圧倒的に光がドラマティック。特に日の出の15分ぐらい前の時間帯は、周囲がまるで魔法がかかったような色彩に染まり、印象深い写真が
撮れます。



 よく田舎に行くと「何にもないところ」なんて言うけど、その言葉は嫌いです。
 間違いなくいろんなものがある。
 ただそれに気付き、それに相応しい時間や空間を切り取ることができるかどうかということなんだと思う。



<6日目(最終日)>
自分自身の個展「情景のなかの人形たち V」もいよいよ本日が最終日です。
 前日の悪天候から一転して、今日は良い天気になりそうです。



 エントランスの状況です。
 この日はこの後、パネルを入れ替え、Nゲージの作品を一つ置いてみるなどの工夫をしてみた。来館者がこの前を通るときに、ちらっと中を覗く、その一瞬が勝負だからです。
 さりとて劇的に入場者が増えるわけでもなく、午後2時を回ってしまいました。このままだと過去5年間で最低の入館者数になりそうです。まあ、この状態も最初からある程度予想はして
いたのですが。新型コロナや酷暑の影響はあるけれど、あらためて自分の知名度の低さを痛感します。

 ところが、もうそろそろ撤収作業に入ろうかと思った頃からなぜか急に賑やかになってきた。
 予定時刻になってからは、目立たないところから撤収作業をすすめます。そしてその一方で作品の解説をするなど、最後の最後で忙しい。
 まあ世の中こんなものか・・・。





風の谷のナウシカ メーヴェ
 昨日、この1年間の新作をご紹介したのですが、漏れがありました。考えたらこれが昨年の個展のと、最初に完成させたジオラマ作品でした。(ずっとあったので旧作と思い込んでいた)
 ツクダオリジナルのプラモを改造し、草原だけの清々しい風景に仕上げました。青空の下で撮影すると、本当に飛行しているような感じの写真になります。



 個人的にはこのアングルが好きです。
 草原自体はスタティックアプリケーターを駆使して仕上げています。



 さて今回逆に全く新作の無かったジャンルは、1/150スケールのNゲージレイアウトを中心としたジオラマと旅の写真でした。
 というのも、もうここ4年ぐらい旅行に出てないからね。写真も撮れないし、そこから閃いたアイディアからジオラマもつくれない。
 でも旧作品の展示のなかから評判の良いものをいくつかピックアップしました。



梅雨明け「人々の集う街角」
 こちらは1/150のジオラマです。サイズは25cm×20cmしかないのですが、2ヶ月半つくり込んだおかげて見どころ満載の作品です。通りを歩く人はもちろん、屋上で洗濯ものを干していたり、
洋品店のウインドウには水着を着たマネキンがいたりと無茶苦茶密度が高いです。



 360°どこから見ても手抜きはありません。裏側にある小さな神社、細い路地の飲み屋さんなど、様々なものを高密度に詰め込んでいます。
 でも何せ主人公が1cmほどのフィギュアなので、普通の目の高さから見ても何もわからない。



 そこでこの作品の上にA4のプリントを展示しました。裏通りには若い夫婦が二人いるでしょって訳です。

 
毎日暑い日が続くようになりました。でもこの時間帯になると少しだけ涼しくこともあって、通りはいちばんの賑わいをみせます。
 学校ももうすぐ夏休みですね。
 この道沿いにある神社は、今でも安産や健康を祈願する人が多く訪れ、夏には小さなお祭りも開かれます。


 このような小さな作品については、肉眼では分かりづらいところもあるので「ぜひスマホで撮影していただいて、拡大してご覧ください。」と解説をしていました。拡大すればそこにも小さな
世界があることが分かります。





最後の冬
 1/150のN-ゲージレイアウトです。でも主人公は1cmのフィギュア。

 
とあるローカル線の小さな駅。しばらく降り続いていた雪も今日は一段落、午後からは晴れる予定です。
 冬の間は自転車が使えないので、今日も母親の運転する軽トラックでこの駅まで送ってもらいました。
 朝の乗降客は3年前から彼女一人。
 そしてあと少しで彼女も卒業し、春から駅は本当に静かな朝を迎えることになります。


 とても寒そうな景色、撮影するにあたってはピンク色のマフラーと待合室のつららはぜひ写したい。
 この作品は別アングルのものがNという鉄道模型雑誌のフォトコンテストで最優秀賞になりましたが、実はこちらの方が自分は好きだったりします。



由利高原鉄道「曲沢駅」
 実在する駅の風景を再現しています。但しそのままだと幅2mに及ぶ作品になってしまうので、全体を縮小しています。
 由利高原鉄道は楽しい。1日乗車券でいろいろ遊べる。お酒も美味しい。

 
羽後本荘発 10:37 のYR3002で曲沢駅にやってきました。まわりはいちめんの田んぼ、周辺にはお店や民家どころか自動販売機すらありません。
 青い空と緑、そして遠くに鳥海山。聞こえるのは揺れてざわめく稲穂の音だけ。
 ホームから見ると360°どの方向を向いても、いちめんの田んぼがひろがる。


 最寄りの集落はここから1kmほどのところにあります。たまたまその集落に住んでいた方がこの作品を見て、 「本当にこの通りです!」と驚いておられたので、間違いなくリアルにできて
いると思います。



 ここから先は旅の写真から何枚かご紹介します。



会津田島
 会津田島駅に保存されているSLの前で記念撮影です。
 会津田島は昔ながらの街並みの残る城下町、美味しいお酒もあってとっても良いところ、浅草から東武鉄道で直接行くこともできます。
 けれど観光客の多くはそれを知らないで会津若松に直行してしまう、そういう少し残念なところでもあります。





小和田駅
 飯田線ではいちばん有名な秘境駅「小和田駅」です。ダム建設とともに周辺にあった30戸の民家が沈み、この駅を利用する近隣の方々はほとんどいなくなったみたいです。最も近い
集落まで1時間、徒歩で林道まで出るまでに1時間と、外界から隔絶されているような駅です。



 以前はこの駅につながる道もあったのですが、橋が落ちてしまってからは完全に隔離されてしまいました。
 駅の下と天竜川沿いに3台のミゼットが今も放置されたままです。





中井侍駅
 小和田駅のお隣の中井侍駅を天竜川の対岸から撮影しました。小さくしか写っていませんが、右下の林に囲まれているのがJR中井侍駅で今、飯田線の車両が到着したところです。
 この風景いいですね。長野、静岡、愛知の3県の境界に近い山深い場所なのですが、ここにもちゃんとした人々の生活があって、そのなかで鉄道がちゃんと働いている感じがします。
この集落の主な産業はお茶です。

 その昔、この集落に一人の女子高生が住んでいて、彼女のためだけに本来は止まるはずのない快速列車が毎日臨時停車していたという伝説があります。そして彼女の卒業とともに
その臨時停車は終了したという。
 その卒業の日には「明日からも頑張ってくださいね」という車内アナウンスが流れたとか、そんなちょっといい話です。

 もちろんJRがそんなことやるはずがないとか、だったらその伝説の真偽を確かめてやろうとか、そんな野暮なことは多分誰だって言いたくないし、聞きたくもないと思う。

 本当に気兼ねなく旅行ができて、本当に楽しい思い出が積み重ねてゆくことができるのは、いったいいつになるのでしょうか。
 いろんな意味でその日が来るのを待ち遠しく思います。



<おわりに>
 個展が無事に終了して、以前は外で打ち上げなどしてましたが、今年もまたなし。
 入場者数は6日間で315名、これって過去最低です。
 これって失敗だったの? いいやそんなことはない。これまでになく内容は充実していたし、反応も良かった。
 これからも知名度をUPしつつ、前進あるのみです。



2022.09
camera: canon Powershot G9X Mk.2 & CASIO EXLIM EX-ZR4100 &Panasonic GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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