東山北から新松田


御殿場線沿線のお散歩旅



2023.06.03
 今回はJR御殿場線の東山北駅からスタートして南足柄市、開成町、松田町の1市3町にまたがって歩く予定です。
 お目当てはきれいなお花と水、そして美味しいお酒かな。結構な距離を歩いたのだけど、とっても楽しい一日でした。



8:00
 暑くなる予報だったので今日のお散歩旅も早めの出発です。
 朝のうちに歩き始めて10時ぐらいには終了の予定です。



 やってきたのはJR御殿場線の東山北駅です。今日はここからスタートして南足柄市、開成町、松田町の1市3町にまたがって歩く予定です。
 神奈川県山北町は静岡県との県境に接していて、名前の通りそのほとんどが山地になっています。そのなかを酒匂川が流れていて、街並みは
その酒匂川に沿ってつくられています。
 相模、駿河、甲斐の三国境の町ということで、古くは武田氏などとの戦に巻き込まれたこともあるところで、小田原北条氏の城址がいくつも残って
いるようなところです。
 また丹奈トンネルがつくられる以前は、東海道線がここを通っていて(現在は御殿場線)、鉄道の町としての名残もあります。





 駅近くで見つけた道祖神、どうしてこういう形で祀られているのかは不明です。




 まだ開店前だけど、ちょっと良い感じのお花屋さんです。
 車で来ていたらきっと立ち寄るだろうなあ。









 東山北から少し南に下りてくると酒匂川に出てくる。



 山北と小田原を結ぶこの道はかなり昔からある道のようで、沿道には点々とお地蔵様や道祖神を見ることができます。

 

 こちらは観音様と水神様。
 特にこの酒匂川周辺は、石仏や水神様などを含めて遺物の密度が高い。ただ風化がかなりすすんでいて、その多くはいったいどのような所以でここに
存在するのか分からないものの方が多いです。





8:40
 新大口橋を渡るとここからは南足柄市になります。
 今回のモデルドールはやはりJ-DOLLなんだけど、オリジナルの衣装から着替えてしまったせいで名称は分からない。(誰か知っている人は教えて下さい)



 おりしも大雨の翌日ということで、酒匂川の水は濁り、ものすごい勢いで下流に向かって流れてゆきます。



 すると橋のたもとに案内板があった、ここは「文命堤」という史跡のようです。
 もともとこのあたりは川の流れる勢いが強く、大雨のごとに濁流が平地を飲み込んでしまうようなところだったということです。江戸時代に富士山が噴火した
ときには、その噴出物によって河床が浅くなって土手が決壊、大被害が出たこともあった。
 「文命堤」とは1609年に小田原藩によってつくられたもので、この川の勢いを失わせるために、わざと流れに角をつくってZ型にして、河床を深くした堤防のこと
のようです。



 ちなみにこの文命堤の一角には速い流れを利用した水力発電所まであります。




 川を渡り切った対岸には「福沢神社」に境内には文命宮祠ほか、様々な石碑やお地蔵様が並ぶ(画像右側)。そして県道に沿ってまた更に石仏や
道祖神などの石の遺物が続く、その数およそ30ぐらいか。
 こちらもすでに読めなくなってかなりの年月の経つものばかりです。
 ここからは推測でしかありませんが、たくさんの人がここで命を落とし、長い期間の努力によって、ようやく治水が完了したということなんだろうね。
そしてその間は神様に祈ることしかできなかったんだろうと思います。
 車で何度か通ったことのある道なんだけど、こういうものの存在には全く気付きませんでした。




 この文命堤から先は桜並木になっている。春はもちろん美しく花が咲き誇るのだろうけど、この少し暑くなった季節も良い。
 川からの涼風が緑の並木を通り抜けて心地良いです。気に入りました。









9:00
 酒匂川を越えると景色が一変し、広大な平野がひろがります。度重なる酒匂川の氾濫によって、小田原に至るまでの約8kmの長さの沖積平野が形成されました。
 北に西丹沢の山々を見ながら東にすすみます。これだけ広大な平地がひろがっているのは、神奈川県内でも数少ないと思います。戦国時代に北条氏が小田原に
本拠を選んだのも、やはりここでとれるお米を確保するのが目的の一つだったに違いないです。

 

 南足柄から開成町にひろがる水田の周辺には、こういった開墾記念碑や水神様、石仏、馬頭観音を多く見ることができます。ただ文命堤周辺で見たものよりは
風化が進んでおらず、読み取れるものも結構多いです。
 文命堤をはじめとする様々な治水工事がすすんだ後に、少しずつこのあたりの開墾がすすめられていったということなのでしょう。
 田植えの終わった水田に緑の山、青い空、白い雲が映っている。こういうのどかな風景を見るのは大好きです。




 豊かな水があってお米がたくさんとれるようなところだから酒蔵もある。
 こちらは何度となくこのブログに登場している「瀬戸酒造」さんです。少量多品種の酒造りをしていて、最近は様々なコンテストで賞を取っている注目の酒蔵です。
 この蔵には水の流れる中庭があって、そこで角打ちを楽しめるというのも嬉しいのですが、残念ながら早朝散歩なのでまだ開業前でした。暑いのを避けて歩いて
いるので、ここは仕方ないところです。

 このあたりはとても湧水の豊富なところで、たとえばこの蔵の脇を流れる川の水も、ものすごく透明度が高いです。だからこの蒸し暑くなった時期には、ごく普通に
ホタルが舞っているらしいです。




 近くにある見どころとしては「あしがり郷 瀬戸屋敷」もおすすめです。瀬戸屋敷は県内有数の寄棟造りの茅葺き民家で築300年、もともとは旧金井島の名主を代々
つとめた瀬戸家の住居だそうです。見学無料でときどきイベントなども開催しています。
 がしかし、残念ながらこちらもオープン前の到着でした。
 あとはこの近くにある「古民家ガーデン紋蔵」という雑貨屋さんも面白い、古き良きものがたくさん置いてあります。
 ということで今回は瀬戸屋敷を背景にしてきれいな花の道を撮影してきました。



 緑の景色に映えるのはハナアオイの花。
 このあたりは春3月の春めき桜にはじまって、このハナアオイや芙蓉、そしてアジサイなど、様々は花に巡り会えるような場所です。

 この開成町っていうのは、東日本では最も面積の小さな街で、しかも都心から電車で1時間以上もかかるところにある。それでも人口減少どころか、もう65年間も
人口が増え続け、最近では小田急線の急行も停車するようになった。
 何かその理由が少し分かったような気がしました。



 

9:30
 今回歩くコースはともかくきれいなお花の咲くところが多いです。
 そして今の季節というと、やはりアジサイではないでしょうか。
 きれいなアジサイ通り。



 田植えの終わった水田に山々が写り込む背景にアジサイが映えます。

  

 ここは開成町の金井島という地区で、東京ドーム3.6個分の面積に約5000株のアジサイが植えられています。
 毎年この時期には「開成町 あじさい祭り」が開催され、期間中はいろんなイベントが開催されたり、名産品のお店も出ます。先ほどご紹介した瀬戸酒造や
瀬戸屋敷もそのメイン会場の一つです。
 車で出かける人が多いとは思うけど、結構な人気があって会場周辺は混雑することが多いです。瀬戸酒造さんでお酒などを楽しむ予定のある方は、
小田急線の「新松田駅」から出ている関本行きのバスを選択するという方法も良いと思います。






 今回見た中ではこの優しい黄緑色のアジサイがとってもきれいでした。
 昔はなかったような気がする、もしかしたら最近になって植えられた種類なのかもしれません。








 やっぱりこのコースは春歩くのが良い。どこに行ってもいろんな花が咲いている。
 この地域の人々は酒匂川の氾濫に苦しみつつ治水工事を完了させ、今では広大な水田地帯がひろがるような豊かな場所に変えた。
 そして更に自分の住むところを美しくしたいと願って、たくさんの花を植え続けている。決して観光地ではないけれど、今ではたくさんの人々がここを訪れて
その景色を楽しんでいる。





10:05
 再び酒匂川に出てきた。この十文字橋を渡るとこの先は松田町です。
 松田町にも河津桜と菜の花で有名な松田山や寄ロウバイ園などがあるのですが、残念ながら今はその時期ではありません。



 十文字橋を渡ってすぐのところにある寒田神社です。すでに西暦400年代には存在していたとされる古社で、古代より足柄峠を越える旅人がここを訪れ、
旅の安全を祈願したというところ。
 そのほか街のいたるところに石仏や道祖神がある。もともと足柄古道の始まるところで、江戸時代までは足柄往還の宿場町でもあった。遠くに富士山を
見ながらレトロな商店街をお散歩というのも良いです。

 ちなみに商店街の軒下にはけっこうな数のツバメが巣をつくっている。
 近隣が穏やかで自然豊かだってことなんだろうと思います。





 JR「松田駅」すぐ裏に時代劇の撮影にも使えそうな板塀が続くところがあります。
 こちらは1825創業の中沢酒造さんです。銘柄としては「松みどり」が良く知られています。  こちらの銘柄に詳しくない人は1杯100円の試飲コーナーで試すのが
良いでしょう。

 

 今回は以前に飲んで感動した「亮」というお酒をもう一度買いました。こちらは河津桜酵母仕込みの純米吟醸酒で、前回飲んだ時よりもさらにフルーティーな
感じに仕上がっていました。おそらくこちらでいただいたお酒のなかでは、これまでのベストだったと思います。
 このお酒は大評判だったようですでに完売、我々が最後の1本をいただいてしまいました。





( J-DOLL 27cm )

 今回のお散歩旅は知らないことに出会えて、すごくきれいで美味しくて、とっても満足な旅でした。





2023.06
camera: Canon Powershot G9X Mk.2 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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