丸子
旧東海道の宿場町
2023.10.06 & 11.11
実家は静岡にあるので月に1回は帰っている。そしてときどき面白そうなところを見つけてはお散歩する。今回の旅の記録もそんな感じで、
旧東海道の宿場町丸子を訪れてみました。
2023.10.06 SAT 天気:晴れ
13:50
実家のある静岡とは毎月のように行き来しているのですが、今回はちょっと途中でお散歩をしてみることにしました。
途中休憩した東名高速の由比PA、駿河湾が一望できる。
江戸時代の旅人もこの景色を見て歩いたに違いない。
やってきたのは静岡市の丸子という地区です。東海道のなかでは江戸から数えて20番目の宿場町として知られ、今でもその風情の残るところです。
こちらは歌川広重の東海道五十三次のなかでも描かれた「丁子屋」さん、話としては16世紀から繁盛が続く、日本最古のレストランだそうです。
名物は麦とろで自然薯をすりおろしたとろろを麦飯にかけて食べる料理です。
昔の風景そのものとは言いませんが、本陣跡や高札場など、あちこちに宿場町の名残を感じる。
それほど大きな宿場町なのでのんびりと歩くのが良いと思います。
行き帰りで景色を変えて丸子川のほとりを歩くのも良いでしょう。行ったときには咲き遅れた彼岸花がまだまだ見頃でした。
ちょっとおしゃれな壁画だったので撮影してみました。
立派な栗が売られていた。赤ちゃんのこぶし大のものが10個ぐらい入っていて200円! 思わず飛びついて買いました。
15:30
再び丁子屋に戻ってきて、その近くに小さな喫茶店を見つけました。
名前は「フェール・フェルマンテ」さん。
グルテンフリーで卵や乳製品は不使用だそうで、たとえばガトーショコラはチョコレート不使用、チーズケーキもチーズ不使用です。2Fは4テーブルのみのカフェ
スペースになっていて、もう完全なる隠れ家状態です。
コーヒーは一言で言えばストロングな味わいで、優しい味わいのスイーツが欲しくなる。そんな感じです。
ここは間違いなくおすすめできるスポット、良いお店を発見しました。
11.11 SAT 天気:晴れ
14:20
日をあらためて再び丸子にやってきました。場所としては少し西側の山間の地区を歩いてみようと思います。
江戸から京都に向かうとき、丸子の宿を出るとその先に宇津ノ谷峠があります。
こちらは峠道の案内図です。赤い印や文字は自分が画像に描き加えたものです。
宇津ノ谷峠は現在2本の太いトンネルで貫かれていて、そこを国道1号線が通っています。画像の
A
がそれで、左の下りトンネルは平成10年完成、右の上り
トンネルは昭和34年の完成です。ちなみに平成のトンネルが完成するまでは上り下りの対面交通でかなりの渋滞ポイントだった。
画像の
●
印は宇津ノ谷峠を挟むようにつくられた2つの道の駅です。
実はこの区間を結ぶ道は他にもあって、
B
は大正時代につくられたトンネル、つまり旧国道1号線で乗用車なら対面交通も可能。更に
C
は明治時代9年に
つくられたトンネルで、こちらは車両1台が通るのがやっとという感じです。そして
D
は旧東海道の峠越えの道です。
2つの道の駅の間の狭い区間に、東海道の歴史とも言える道が5つもあって、今もそこを通ることができるというのは、なかなかにすごいことかもしれません。
きっと「道マニア」がいたら、涙を流すようなところだと思います。
昭和と平成のトンネルは何度も通っているので、今回はそれ以外の3つの道を訪ねてみました。
こちらは大正のトンネルです。よくある古いトンネルなんだけど、照明が印象的で昔のSFドラマ「タイムトンネル」を思い出した。けっこう渋いです。
大正と明治のトンネルの間にあるのがこちらの旧東海道の峠道です。
「何だ普通の山道じゃん」と思ったのですが、「東海道の宇津ノ谷峠越え」と命名された国指定史跡でした。少し歩いたけど、やっぱり普通の山道でした。
こちらは明治のトンネルです。全長203mで一時は廃道になったけど、現在は徒歩でのみ通行可能です。
外見からしてなかなかに歴史を感じます。
なかはじめっとしていて夏でも涼しい。壁は明治時代に焼かれたレンガでできていて、当時としては最先端の技術が投入されたんだろうと思う。
3分ほど歩いて反対側に出ました。誇らしげに「国指定の有形登録文化財」のパネルがある。
日本が最も輝いていたのは明治初期だったのではないかと思うことがある。文化、歴史、技術、あらゆるものが一気に変わってから20年ほどで欧米の列強と肩を
並べる存在になったのだから。
実はこのトンネル、何年か前に訪れたことがあったのだけど、その頃はこういった照明などなく真っ暗でした。あんまりにも暗くて怖かったので、反対側まで
歩かなかったのを覚えています。
今も夜間は消灯されているようなので、怖いのがお好きな方は試して見て下さい。
あと本当に道好きな人だったら、江戸、明治、大正、昭和、平成のルートを歩くってこともあるかもしれません。2つの道の駅の間は2kmないので1日で踏破
することができると思います。
こういうことしてる人は多分いると思う。
15:00
江戸時代に整備された旧東海道、そして大正のトンネル、明治のトンネルから下りてきました。
峠の下には三方を山に囲まれた集落があります。
丸子宿の中央を丸子川が流れ、この地区はその最も上流域にあります。
だから陽ざしの届く時間は短く、水分が多くて集落そのものがしっとりとしている感じです。
集落にある小さな神社は苔に覆われていてとっと良い感じです。
この景色、もうそのまんま時代劇のロケができてしまうのではないかという、そういう佇まいです。
この階段の道はそのまんま旧東海道です。
こちらが旧東海道を振り返ったところ、正面に見えるのが宇津ノ谷峠です。
山間なんだけど廃れることもなく、実に良い感じ。おそらくは江戸時代から、集落の位置関係は変わっていないんだろうと想像します。苔生した石垣がその
歴史を物語っている感じです。
この集落にも古民家風のお蕎麦屋さんとレストラン、それから甘味処がある。
我々は「今昔」という甘味処で休憩、コーヒー味の寒天ゼリー バニラセットなるものをいただきましたが、けっこうなボリュームでお腹がいっぱいになってしまい
ました。
こちらのお店の2Fは模型を製作するスペースを提供しており、本来はこちらが本業かも。
今も残る細い路地、その先には集落の中央を流れる丸子川、おそらく昔はここでお洗濯をしたり野菜を洗ったりしていたんだろうなあ。
その路地は丸子川で途切れるのかと思ったけど、曲がったところに赤い橋があって、こじんまりとしたお寺がありました。こちらは慶龍寺、室町時代から伝わる
「十団子」が有名な曹洞宗の寺院です。
その昔宇津ノ谷峠に出たという鬼を退治するため在原業平が地蔵菩薩に祈願したところ、地蔵菩薩が旅の法師に変身したという。そして法師は鬼を騙して「玉」
に変身させ、それを10のかけらに砕いて退治した。
そこから十の団子を数珠の形にし、魔除けとして旅の御守りにしたという習慣が始まったらしいです。
宇津ノ谷峠はそんなに有名な観光スポットでもなく、観光で訪れる人もそれほど多くはない。でもここは昔の名残を残す静かで良い集落です。
心休まります。
2023.11
camera:Panasonic DMC-GM1 &12-32mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10
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