eye4工房番外編 戦士の見る夢 <壊れたアンドロイドをテーマにしてつくります> 2024年の終わりまでには完成させようと思っていた「戦士の見る夢」というアンドロイドを主役に下情景作品がようやく完成に至ったので、ここにご披露します。 現状、戦場や情報戦のなかでは様々なロボットやAIが活躍していて、さらに多くの無人の兵器が登場すると言われる中、アンドロイドが人間に代わって戦場に 送られるということもあるかもしれない。 スケールは1/6、ベースボードの大きさは48cm×33cmです。 情景のキャプションとしては、 ある長く戦いの続く地域で、戦闘用アンドロイドが実戦投入された。 そして投入後3日、大雨のなかで激しい戦闘が起こる。 その戦いは昼夜問わずに1週間続き、再び静けさを取り戻したときには、この地から人々は姿を消していた。 あたりは瓦礫だけの世界、戦闘は全てを奪っていった。 しばらくして植物だけは少しずつ息を吹き返す。 しかし戦い終わってなお、アンドロイドは真上を見上げたまま、二度と動くことはなかった。 人間同士の戦いで、こういったシーンがあれば、それを表現すること自体、誰もがためらうことに違いない。でも設定がアンドロイドだから、こういう破壊された身体の表現が 許されるのだと思う。 しかしやっぱり痛みや悲しみは人間と変わらない。 <ベースになったフィギュアについて> ベースになったフィギュアについては、このHPにも作品があります。 http://eye4.org/page032.html http://eye4.org/page033.html celum117(レジンキャストほか 28cm 2003)市販されている1/8ターミネーターの骨格を活用して制作、分解可能なパーツ構成、様々なギミック満載。すごーく苦労して つくった作品です。 パーツは分割式で、骨格の上にレジンキャストした皮膚部分を被せています。 すべてを剝ぎ取るとこのような骨格があらわれ、これ自体でポージングが可能になっている。画像からは分かりにくいですがLEDを組み込んであり、光ファイバーを全身に 巡らせているので、各所が輝くようにできています。 ただ繊細な造りであるがゆえに、部分的に破損したまま放置されていました。修復は可能なのですが、今のTPEやシリコン素材の時代に、レジンキャストされた固いパーツで 皮膚部分を構成しているっていうのが、絶対的に時代遅れの感じがある。 一ヶ月前、このボディをどうするか考えていたのですが、個展終了あらためてこのボディを元にして新たな情景制作を始めることにしました。 皮膚パーツは廃棄して骨格のみを残し、あらたにソフビでできたクールガールのヘッドパーツとフットパーツをこれに加えました。この状態をベースにして、 あらためて作品のイメージをまとめてゆきます。 <ベースボードをつくる> レイアウトのサイズは45cm×30cmに確定、このサイズのスチレンボードに起伏をつけるところから作業はスタートです。
まずは使えるパーツを探してスチレンボード上に並べてレイアウトを考えます。このような配置にするってことは、主人公は壊れてしまったアンドロイドに扮してもらうということです。 スチレンボードを使って地面に凹凸をつくります。ちょうどフィギュアのある場所が一段低い感じにします。スチレンボードが白や青、黄色なんだけど、特に理由はないです。切れ端を 捨てずにとってあるので、それを使っただけのことです。 違和感のあった生足は、この段階でブーツに変更です。 このボード上にまずは1枚にはがしたティッシュペーパーを乗せ、上から下地塗料を塗ります。 下地塗料はモデリングペーストに同量の「浴びっこサンド」を混ぜ、これを茶色に着色して水で薄めたものです。そしてこの塗料が乾く前に、もう一度上から浴びっこサンドを撒きます。 まだまだ荒いですが、これでざらっとした地面が、あっという間にできあがります。 フィギュアを再び配置して様子を見ます。今度はミニチュアのピーナッツバターなどを追加してみた。こうやって完成したシーンを思い浮かべながら、少しずつそこに近づけてゆく。 作品づくりのなかでも、この段階がいちばん楽しいかも。
縁をつけるかどうかは作品によって違いますが、今回の作品は絵画的というか、立体的なコラージュ作品に近い。こういう場合にはちゃんとした縁や額を用意して 外界との境界を明確にした方が良かったりします。 地面はまだざらっとした茶色の仕上げなので、変化をつけてゆきます。 用意したのは、下塗りに使った着色したモデリングペーストに細かな砂を混ぜたもの、そしてここにTAMIYAの情景テクスチャーペイント 草カーキを混ぜます。 そしてこれを地面に塗った後、黄色から黄緑色のパウダーやファイバーを3種類ほど混ぜたものを上から撒きます。
次は瓦礫をつくります。気持ちとしてはもともとここに家があって、それが破壊されてしまった様子を再現したいと思っています。 壁はまず左画像のように1cm厚の発泡スチロール板にモデリングペーストを塗って乾燥させます。これを適当に割って断面をグレーに塗れば、割れたコンクリートの壁の破片 になります。モデリングペーストはあえて荒く塗りつけて変化を出しているのですが、もう少し目を惹くものが欲しくてデカールを自作して貼り付けることにしました。 次は錆びて汚れた波板をつくります。(画像中と右) 材料はメール便などで使われるダンボールの封筒です。アクリル塗料に少量のモデリングペーストと砂を混ぜて塗ってゆきます。このとき塗料は透けるぐらいに薄めて使い、 赤茶色ぐらいから初めて、茶色からこげ茶色まで徐々に色を変化させてゆくとリアルになります。 何かここに小屋でもあったのかな、という感じにするため薄板を組み合わせて塀をつくります。こちらもアクリル塗料を少しずつ縫って変化をつけてゆく。 再度、仮配置してみました。 色合いとしては今のところイメージ通りです。 GOD BLESS OUR HOME 我家に神のご加護があらんことを
次に行うのは簡単な植物表現です。 1/6スケールというのは実は植物表現が難しい。大きなサイズの情景になるので、ジオラマ材料として売られている1パック700円ぐらいの草などを使うと、あっという間に 1万円ぐらいかかってしまいます。 左画像は敷物として売られているもので50cm四方で301円でした。(TEMU) これをちぎって貼り付けます。苔の表現としてはおそらくこれがベストでしょう。いっぱい貼り付けても50円分ぐらいしか使いませんでした。 全面が土というのも不自然なので石を何種類か混ぜて使います。こちらは1パック260円。(画像右) こうやって瓦礫、苔、石が散在した地面が形になりました。
このままだと地面とコケ、瓦礫などがばらばらな感じでまとまりがありません。そこでここから「馴染ませる」という作業を行います。 地面と苔や石の境界線を不明確にするために、スタティックアプリケーターを使ってファイバーを撒いてゆきます。やり方としては隙間を埋めたいところに「草原のり」を塗ってから、 スタティックアプリケーターで静電気を発生させながらファイバー+ターフを撒いてゆく。これで境界線が目立たなくなって、更に全体が一体化した感じになります。 次に地面を塗るときに使った下地塗料を石やトタンの上に荒くまばらに塗り、そこに「浴びっこサンド」を振りかけました。あっという間にリアルになります。
割れたコンクリートの壁や錆びたトタン、木材などを乱雑に配置したところですが、やはりアクションフィギュアにも少し手を加えてやらないと背景に馴染みません。まだまだ 新品のようにきれいなままだし、「壊れた」というよりは「パーツが外れた」みたいな感じでしかありません。 そこで「引き裂かれた」感じを出するために、ワイヤーや使えそうなジャンクパーツ類を追加してゆきます。 手首の部分に、これらをそれらしく取り付けて、手がちぎれてしまった感じを表現します。そのうえで瓦礫に施したように、砂を混ぜた塗料をまばらに塗って「浴びっこサンド」を 振りかけます。 こういう感じでパーツ一つ一つに破壊されたあとを追加し、更に汚しを加えます。 兵器類や装備品をさらに追加して、こちらも同様の処置を行います。 イメージとしては湿潤な地域で戦闘が起こり、このアンドロイドがそこに放置されて2週間といった感じです。こういうところはきちんとそのシーンをイメージしておかないと、 作品自体にまとまりがなくなります。 製作しようと考えた空間のなかでは最低限、矛盾があってはなりません。 破壊されたイメージの表現と汚しの作業が終わったところです。きれいなままよりこの方が断然良い、迫力が違います。仮配置してみましたが背景にも良くなじみます。 <フィギュアをメイクする> 現状ではフィギュアの顔の部分には、ほとんど汚し塗装をしていません。むしろ逆に、これからちょっとリメイクして「べっぴんさん」に仕上げようと思っています。
左画像が元の状態です。タカラから発売されていたクールガールシリーズのアクションフィギュアからヘッドパーツだけ取り外して残しておいたものです。 改める点は次の通りです。 A 眉毛が吊り上がった感じなので、目頭を上げて目尻を下げる。 B 瞳の大きさを一回り大きくする。 アクションフィギュアだと、目の幅の40%程度の大きさが瞳の直径になっていることが多いけど、少し大きくしてあげると、少し 子供っぽい感じになって、きつさが和らぎます。 C 唇に赤みを加えて、戦士から女性的なメイクに変更します。 上記AからCまでをPC上でシミュレーションしたのが真中の画像です。 女性らしさを出すという方向性は間違っていないようなので、更にシミュレーションを続けます。 D 瞳孔の大きさは緊張感や危機感を持つと縮小する、逆に可愛いものを見ているときなどは大きくなる。戦士らしくない感じを出すなら瞳孔は大きくした方が良い。 E 頬に赤みの強いチークを加える。赤みを加えると生きているような感じが出てきます。 F 少し暗めのシャドウを入れて立体感を出します。 そのシミュレーション結果が真中の画像です。 戦士というイメージから、普通にお化粧をした優しい女性というイメージに変えました。 あとはシミュレーション結果をもとにして、例によってMr.カラーのGX113を吹き付けながら、人間用のチークやシャドウを使ってメイクしてゆきます。(画像右) あとはお化粧の「芯」を出すイメージでアイラインや眉毛を描きます。 仕上げはGX114のスーパースムースクリアーで定着させます。(上の画像) このままだと全体がつや消しで白っぽい仕上がりなので、部分的に半つや消しクリアーやクリアーで変化をつけます。 更に唇にクリアーレッド、そして瞳にはつまようじでUVレジンを盛って硬化させた。 瞳や唇がキャッチライトすると見栄えがガラッと変わる。構想段階から、この「生きているような表情の演出」がこの作品の一つのポイントだと考えていました。 アクションフィギュアにごく普通の洋服を着せて遊ぼうと思っている方には、今回のヘッドリメイクは少しだけ参考になるかと思います。 あとは背景に馴染ませるように配置してゆく。
フィギュアを固定するにあたっては1週間ぐらいかけてシミュレーションを行い、ベストなポーズと配置を考えました。この配置こそ、このジオラマづくりの最も大切なポイントであるに 違いないと考えた。 フィギュアを配置しつつ、壊れたコンクリートやパイプなどを追加で配置する。 少しだけ主役のフィギュアが「埋もれている」というのは、こういうリアルなジオラマではむしろ絶対に必要です。 合わせてここで誰かが生活していたという「痕跡」を出すため、ミニチュアの食器やペットボトルなどを追加してゆきます。 最近ではこういったものもネット通販で入手できる。たとえばペットボトルは6本で280円だった。(TEMU) 配置されたものがきれいなままでは一体感がないので、少し配置しては汚しを加えます。 例によって下地塗料を要所要所に塗って、これが乾く前に更に砂を撒いてゆきます。さらに必要に応じてスタティックアプリケーターを使ってファイバーも撒いて、自然な感じに 仕上げてゆきます。 この「馴染ませる」という作業こそ、情景に説得力を持たせるには絶対に必要だと思う。 全体の馴染ませが終わったところです。 この情景の想定としては、 ある湿潤な地域で戦闘が起こり、この地に生活していた人は姿を消した。 このアンドロイドはそのときに破壊され、ここに放置されてからすでに2週間が過ぎようとしている。 <植物表現> このまま何もしないで完成と言い切ることもできるけど、更にもうひとひねりして情景に「美しさ」を感じる演出を追加したいと考えました。 戦闘後2週間過ぎたなら、そこに生えていた植物も徐々にそのダメージを回復しているに違いない、そういう想定の下で次にどのような植物を配置するのか 検討を始めました。 実は最初からこれがやりたかった。
情景は戦闘後2週間過ぎた時点というのがポイントで、そこに生えていた植物は徐々にそのダメージを回復しているはず。 そういう想定の下で次はその植物表現を追加します。 自分自身、けっこうな量の植物をストックしています。多くは軟質プラスチックで、100均や最近ではTEMUあたりからも入手しています。 最初の段階としてはメインとなる植物をこのストックのなかから選ぶことです。まずはおおむね高さ数cmのものを30本程度選んでみました。(画像左) しかしそのままでは使えない。使えるようにするには表面処理を施す必要があります。 1 中性洗剤で良く洗って離型剤を落とします。 2 乾燥後、全体に高耐久ラッカースプレー つや消しクリアを吹き付けて下地をつくります。 3 全体に派手目でいかにもプラスチックという色合いなので、Mr.カラーを使って落ち着いたトーンに仕上げます。 4 表面保護のためにMr.カラー GX114 スーパースムースクリアーを吹き付けます。 画像中の2本は同じ植物ですが、左がその処理前、処理後が右側です。完璧に仕上げることは難しいですが、これだけでプラスチック感はかなり和らぎます。 何度か配置をシミュレーションしてみてから実際に植物を配置します。ポイントは一様、均一であることを避け、不等辺三角形を意識することです。 上の画像を見るとまだまだ密度が低い。特に配置した植物の根元あたりに、もう少し植物表現を加えたいところです。 ということでということで脇役の植物(小さな植物)や瓦礫を追加してゆきます。植物の着色について一言加えるなら、どのような色合いに着色する場合でも、塗料にほんのわずかに 白を加えると結果が良いです。 作業が1巡したところです。 この段階で必要に応じて、泥塗料やスタティックアプリケーターを使った「馴染ませる」作業を追加しておきます。 とりあえずこれで最小限の植物表現が終わりました。でもまだまだ植物の密度は自分の構想に比べると低いです。 上から見ると自分のイメージした最低限の表現にはなっているのですが、横や斜めから見るとまだまだ密度が足りない。 そこでこのあと2巡目の作業に入ります。追加するのは1巡目と同様に植物や石、瓦礫といったところです。 レイアウトのポイントになるのは、たとえば植物の配置をするときには、密度が不均一で配置が規則正しくならないこと、相互に不等辺の三角形の位置関係が保たれて いることなどを意識すれ基本的には良いです。でもこういった大きな情景となると、全体的な「流れ」のようなものがないとまとまらなくなる。 この情景作りで自分が意識した点は3つあって、まずは全体に中央が窪んだ感じにすることです。(A) 具体的には木片、コンクリート、トタンなどの瓦礫などによって中央部分に植物のないステージをつくり、そこにアンドロイドを配置する。そして少しずつ瓦礫の隙間から 植物を伸ばしていって、最後は周辺部分に背の高い植物を配置し、アンドロイドを取り囲みます。 アンドロイドや瓦礫は放射状に配置する。(B) アンドロイドは腰の部分で上下に切断されていますが、ここを中心点として胴体や足、そして木片やパイプなどの長めの瓦礫を、二つに一つぐらいの割合で放射状に伸ばします。 (すべてを規則正しく放射状に配置すると、不自然な感じになる) これは何か致命傷を与えるものがアンドロイドの腰部分に衝突して破壊されたというイメージの強調です。 風の通り道をつくる。(C) (A)、(B)のイメージが強すぎると、上下左右が対称でつまらない構図になってしまう。こういうのを写真の世界では日の丸構図と言いますが、これを避けるために植物や瓦礫の バランスを崩しています。 イメージとしては下と左から風が入ってきて中央で合流し、上と右に抜けてゆく感じです。 風の通り道に配置されるものは少なくして、通り道で分割された4つの部分はその形状や面積、配置されるものの種類を変えています。 ひととおりの配置が終わったところで、また砂塗料とスタティックアプリケーターを使った馴染ませの作業を、必要に応じて部分的に行います。 だいたい1週間かけて2巡目の 作業を終えました。 こういう作業というのはエンドレスかもしれない。実際、1m四方の草原に生えている植物の数を数えたら1000を超えていることだってある。本当の意味でのリアルはずっと遠いです。
ここから先は3巡目の作業です。ここでちょっとだけ変化を加える作業をします。 左画像はこちらは1パック269円(TEMU)で購入したドライフラワーです。これで植物表現に変化をつけようという訳です。天然素材のものは経年劣化でボロボロになってしまうので、 薄めたMr.カラーのGX114にどっぷりとつけてから使用します。 これが乾く前に小さな植物の扇端に置いてみると不思議なぐらいに馴染みます。 右画像は最近出始めた造花、以前よりあるファイバーの植物にピンクの紙を丸めたようなものがついています。こちらは20個で618円と、TEMUとしてはやや高かった。 こうやって少しずつ地面が華やいだ感じになってゆく。 こちらはネイルアート用につくられた翼長1cmほどの樹脂の蝶です。 花があれば蝶もいる。 指先に蝶がとまる。 薬指には指輪。 宝石もネイルアート用のもので1000個で93円。最近はネイルアート用の素材で使えそうなものを暇さえあれば探している感じです。 悲劇的であるシーンを花で飾る。 この情景について言えば、それが美しければ美しいほど悲しみは増すように思う。
一つ一つの素材にばらばらな感じがあると作品としての一体感がなくなります。そこで最後に不足分を補ってそれらをつなげ、更に共通した汚れを加えたり、つやや 色の僅かな調整を行います。 隙間のある部分を何ヶ所か見つけたので、植物表現を追加します。(画像左) 画像右は背の高い植物の姿勢を整えているところです。わずかな量のゴム系接着剤を葉の扇端に塗って植物同士を接着し、全体の形を整えます。 石ころの間とか、植物の根元で気になる隙間を見つけたらファイバーを含んだパウダーで埋めます。 ファイバーを立たせるにはスタティックアプリケーター(左)が便利ですが、細かいところなのでKATOのボトルを使います。(がぞプ左) 倒れた壁が白すぎると思ったので、薄茶色のパステルを削り、薄め液を含ませた筆や綿棒にとって、荒く色をつけてゆきます。あとでGX113を吹き付けて固定します。(画像右) 全体のバランスを見ながら泥汚れも追加して全体を馴染ませました。 塗料は着色したモデリングペーストに「あびっこサンド」を混ぜたものです。 作業は9月から少しずつすすめてきたのですが、この間にどのようにこの作品が変わってきたかを再掲載します。 基本的には共通して作品の下部を撮影しています。 9月始め ベースボードを組み上げたところです。 9月後半 地衣類と泥の表現を行い、壊れた家具などを追加したところです。 10月 植物表現の作業が作業が1巡したところです。 11月 植物の密度を増し、花や蝶を追加しました。 結局のところ原始の世界のように何もない大地には、まずは地衣類が生え、次に背の低い植物が育ち、その植物が少しずつ大きくなって花を咲かす。そういう自然界の流れの ようなものを再現するのが、こういう情景表現のポイントなのだと自分は思います。 雨天時に戦闘があって、その後すでに2週間が過ぎた。 植物は息を吹き返して花を咲かせ、そこに蝶が舞い降りる。 しかし戦い終わってなお、アンドロイドは真上を見上げたまま、二度と動くことはなかった。 背景の壁に書かれた文字は、 GOD BLESS OUR HOME (我家に神のご加護があらんことを) それなのに、なんで人間は戦い続けるのだろう? 背景の主要なパーツはTEMUなどで購入した造花類、そしてドールハウス用の家具や小物です。蝶や指輪などはネイルアート用のパーツです。 今回はこういったものを密度高く詰め込んだ感がある。多分1000ほどのパーツ数だと思うけど、それだけ詰めないと情景としての説得力がなくなるように思いました。 最近親族内で不幸があったのですが、そのこともこの作品の発想の原点にあったと思う。 死者を弔うとき、お化粧したり花を添えたりして、最も美しい姿で送り出す習慣が民族を問わずあるように思う。それが送り出す者が最後にしてあげられることだから。 アンドロイドはできるだけ美しく仕上げ、そして最後にほんのわずかな泥汚れを頬に加えました。 起動停止後2週間たってもアンドロイドは埋葬されることはなかった。 もちろん汚れた身体はそのままで、あとは時間とともに朽ちてゆくのを待つしかないのだろうか。 だが思いがけないことに、しばらくして彼女は少しずつ花に囲まれ始めた。 そして今、蝶が舞い降りて、彼女の魂を見送ろうとしている。 あたりまえのような気がしていた民主主義が遠のき、どこの国でも権威主義が台頭してきている現在、最悪の事態は避けたいという思いだけは皆が持たないと、本当に 大きな戦争が起きてしまうのではないかと自分は危惧してます。 2024.12 camera: Panasonic DMC-GX8 + OLMPUS 12mm-50mm / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10 サイトのトップページにとびます |