3Dプリンターを買った
2026.05.02
20年ぶりに3Dプリンターを購入しました。Easy Threed の K10 という機種で、価格はわずか6752円です。少々癖はあるし、説明書も不十分なんだけど、
やり方を知ればそこそこ使える。20年でこ0こまで進化したかって感じです。
このブログでもたびたび触れていますが、最近のフィギュア、それも3Dプリンターでつくられたものは、かなりのスピードで進化しつつあるような気がします。
自分自身の作品は今のところ、1/3と1/6の人形、1/24と1/64のジオラマがメインになりつつあるのですが、さすがに1/64となるとフィギュアを自作するという
訳にはゆきません。

そこで主に Aliexpress や TEMU といった海外通販を利用しているのですが、上のような酔いつぶれた男とごみのセットなどという、とっても素晴らしいものが
あったりして、これがなんと401円で買えてしまったりする。
1/64とは思えない、この素晴らしい造形が、これだけ安価に買えるというのは一昔前なら考えられないことでした。3Dプリンターの精度は間違いなく上がっている。

そして最近になって増えてきたのが、このカラーの3Dプリンターによる製品です。出始めのころには1000円以上していましたが、今では値段も落ち着いて、
左のフィギュアから順に718円、692円、99円(特価品)といった具合で、単色のものと比べても、+200円ぐらいの範囲に収まっています。
しかしながら、そのまま使うことができるかというと、そうでもない。
ご覧のように全体にぼやっとした仕上がりで境界が不明確であること。使用するフィラメントの色数に限りがあるため、全体に単調な色合いになりやすい。また
彩度が低くて透き通った感じがするなどの問題があって、現時点ではレタッチする必要があると思っています。

しかしながら進歩は止まらない、これはおそらく最新式の3Dプリンターで制作されたものだと思う。これだけ色数があって、なおかつ模様もある程度明確です。
もう少しで本当に色塗りが不要になってしまうかも知れないと思いました。
1円玉の上にのっていなければ、1/35に見えるかも知れません。たとえ1/35であったとしても、これだけの模様を描き込める人はどれだけいるんだろうか?
このフィギュアは943円です。
でもこうやって「人間のできること」が、また一つ減ってしまいそうな感じで、自分はちょっと寂しい。

こちらは次の作品作りのために入手したテーブルセット381円、フィギュア以外でも、こういうドールハウス的なものが3Dプリンターで制作されて、たくさん出回っています。
しかしながら、ただ単にプチプチ袋に入れて送られてきたので、ご覧のように足が折れていました。
もちろん返金をお願いしました。そもそもこういうものはハードケースに入れて送るのが常識だと思う。

それにしても、こういうシンプルなパーツがないばかりに、作品の制作がストップしてしまうのは痛い。
でどうしたかというと、単純なものは自分でつくっても良いかと思って、3Dプリンターを購入しました。
TEMUのクーポンとか、そういうものを使って6752円、おそらく一般的なお値段の半額ぐらいでしょう。但しこちらは入門用で、高精度の作品は厳しいらしい。
実は3Dプリンターを購入するのは2回目です。
もう20年ぐらい前になるかと思いますが、この10倍近いお値段で3Dプリンターを購入したことがあります。当時はPCに接続する必要があったので、そのための
ノートPCを買った覚えもあります。
まだまだ3Dプリンターは一般的でなく、いろいろお勉強しなくちゃいけなかった。
その頃はこの3Dプリンターを使って球体関節人形を作ろうと思っていました。粘土だとなかなか乾かないし、表面を整えるのも面倒、もし3Dプリンターでそのまま
形が出てくるなら、volks のスーパードルフィーと何ら変わらないと思ったわけです。
ところが当時の3Dプリンターは精度が低かった。表面は見事なカクカクの階段状の仕上がりで、硬いプラスチックの塊を磨くのは粘土より大変な代物だった。
明らかに調査不足、失敗でした。
この3Dプリンターは底面が45cm×45cmもあって、重さも10kg以上あったと思う。置いておくだけで邪魔になったので、ほとんど使わないまま処分しました。

今回買ったのは EasyThreed の K10 という製品で、組み立て式のもの。10分ほどあれば組み上がりますが、完成時の大きさはわっずか155mm×175mm×210mm、
重さはアダプターなしで900g、机の上に置いても邪魔にならない。
いつからこんなに3Dプリンターは小さくなってしまったんだろうと思いました。

最初にすべきなのはレベリングで、プラットフォームとノズルの間隔を0.1mm(紙1枚分の厚さ)に調整する。少し高いものは自動的にやってくれるのですが、この安い
マシンにそんな機能はない。
これで準備完了で、早速、テストデータを印刷します。もし壊れていたら返品する必要があるので、ここまではやっておかないといけません。
全部プリントするのもフィラメントがもったいないので、5,6層印刷したところでストップしました。マシンに問題はなし、直感的に思ったのはプリントの速度は、やや遅めと
いうこと。そしてプリント範囲は100mm×100mm×100mmで、それほど大きなものはつくれない。
でも手軽さという意味では、昔を知っていた自分からは格段の進歩がある。そんなの当たり前という人もいるだろうけど、PCとの接続も不要で、昔と今では実用性に
雲泥の差がある。こういうものが6752円で買えてしまうこと自体が、大きな進歩なんだろうな。
さていよいよ実践に入ります。おそらくは3Dデータを活用するには3つの方法があると思う。
1 tinkercad などのサイトから自分で3Dデータを作成する。
2 3Dスキャナーでデータを取り込む。
3 Thingiverse などのサイトから3Dデータを譲っていただく。
以前自分が考えていたのは、2番目の人形の各パーツを3Dスキャナーで取り込んでプリントアウトすることでした。1回取り込んでデータ化しておけば、ウエストを絞るとか、
足を長くするとか、そういう変更がいとも簡単にできてしまうと考えたわけ。
ところが現実には、安いマシンではまだまだスムースなプリントなど ほど遠かった。
今回考えているのは1と3で、基本的には3Dデータを譲っていただくつもり。Thingiverse あたりでは250万点ものデータが蓄積されているので、日常的には十分でしょう。
あとはジオラマ作りで、壁とか塀など簡単なもののデータ作成をするつもりです。
ちなみにテストプリントは、GCODE ファイルで表現されたもので、これは3Dスキャナーに直接命令を下すファイルです。ところがこのファイルでは大きさや精密さなどを変更
することはできません。
最も代表的な3Dデータは STLというファイルで、一般的にはこれをUltimaker Curaなどで、大きさや精度その他のパラメーターを指示してから、GCODEに書き換えてTFカードに
保存して印刷を行います。

今回は「瞑想する人」を印刷することにしました。失敗するのも嫌なので、ちゃんと説明書は読んで作業をします。
最初のプリントがこちらです。明らかにおかしい、説明書にある値を入力したんだけど、間違いなくどこか設定がおかしい。
よくよく調べること1時間、説明書には何も書いてないけど、付属のTFカードにはCURA用のパッチが入っていました。 「これじゃ分かるわけない。」
とりあえずは1/24相当の大きさに設定して、STLからGCODEファイルに書き換えます。セットアップで、初期値のプリントスピード0.2mm(1層が0.2mmということ)でまずは
お試し印刷です。

結果はこちら、印刷が荒くて「あちこちからフィラメントの破片が突き出している」、そして何より「顔がない」 他のものはどうなのかと、プリントスピード0.1mmに落として

「スーツケース3個の上に座る女性」をプリントしてみました。
スピードを落としたために全体のなめらかさは上がりました。でも下から積み上げてゆくというプリント方法なので、立体の下面が表現できていない。上の画像で言うと
「スーツケースの下面」「お尻」といったところ。あとはやはり「鼻の下やあごの部分が消えて無くなっている」というのが、見た目にも影響が大きい。
ついでに言うと、この白いフィラメントは「お試し」でプリンターについていたものですが、造形を確認するには白は見にくすぎます。

印刷の下面をきれいに表現するためには、プリントのセットアップで「サポートを生成する」をONにすると効果があるという。そこでその通りONにして、さらに細部が分かり
やすいよう10%ほど拡大してプリントしてみた。
サポートを外す、これがまた繊細な作業で面倒。

そして外してみたら穴が空いていたり形がおかしかったりで、何らかのデータ上の欠損があるとしか思えない。

データの欠損が起きないようにするにはどうするか、ここが問題なので、やはり「サポートを生成する」はOFFにする。そしてフィギュア内部にはこういう十字型の補強が
入っているのですが、小さな物をつくるなら補強は不要かと考えた。そこで「インフィル」を0%にして完全な中空にする。

そして鼻が潰れてしまわないように背中を下にしてプリントしてみた。頭の後ろはおかしいけど、ここはパテでどうにでもなる。
6752円の初心者向け3Dプリンターは、20年前の数万円のものよりは使える。但し精度は低いので、ジオラマの壁や塀を作るレベルだと考えた方が良い。フィギュアなら
1/24が精一杯で、とても1/64スケールのフィギュア制作などはできない。
でも高詳細なプリントは無理だとしても、何かうまく使う方法はないかと考えてみました。

1/64スケール(高さ4cm)の鳥居、こういうものには、ヤスリがけ前提で使えます。
プリントスピード0.1mm、小さなものなのでインフィル0%、オーバーハングありなのでサポートON。

こちらはもっと小さな仏像(2cm)とお地蔵様(1cm)です。石でできたものはすぐに風化してゆくので、多少の歪みや精度の低さは気にならない。
とても小さなものなのでプリントスピードは0.05mmにしてあお向け印刷、インフィル0%、サポートOFF。
ようやくやり方がつかめてきた。

次はK10の限界へのチャレンジです。
プリントしたのは1/24スケール(高さ8cmほど)のマリア像で、上下分割になっています。造形を確認するには白は見にくすぎたので、ライトシルバーのフィラメントを
選びました。これならタミヤパテの色にも近く、あとあとの作業もやりやすい。
プリントスピード0.05mm、インフィル0%、サポートON、なおかつ上体はあお向けプリントです。もうこれ以上は高詳細な設定はできません。おかげでプリント時間は
8時間を越えました。格安の3Dプリンターはつらい。
プリントスピードを半分に落としたけれど、それに反比例して精度が2倍になることはなかった。結果として少し良くなった程度でした。ここも残念なところです。

上体はあお向け印刷なので、サポートを外した跡が有り有りと残る。これを平らにするのは結構大変で、できればサポートはつけない方が、後処理は楽です。

こちらは上体部分のアップです。リューターで磨きを入れたら使えそうなんだけど、目や口の再現性は乏しい。このプリンターとしては、もっとも高詳細な仕上げなのだけど、
結果はこの程度です。手を加えることを条件とすれば、1/24スケールのフィギュアはぎりぎり使える。
現行ではこの6000円台のものから10万円を超えるところまで、個人用の3Dプリンターは様々な種類が出ています。
現時点でもっとも高詳細なのは、光造形の3Dプリンターで、金型で成形されたプラモに匹敵する。1/64はもちろん、最近は1/144スケールのフィギュアもたくさん出てきた。
フィラメントを使う熱溶融のものは、最近になってカラー化されて人気が出てきた。ただ造形自体は1/64が上限で、モールドはややあまく感じます。
「リアル」を追求するなら、光造形のものを自らが着色するのが最も良いでしょう。
やっぱり自分が次に買うなら光造形のものなんだろうけど、硬化とかアルコール洗浄とか、いろいろと面倒なようで、もしかしたら元が取れるほどは使わないような気がします。
当面はというか、少なくとも壊れるまでは、このK10で遊んでいるのが現実的なんだろうな。フィラメントの方が圧倒的に楽、もしかしたらもう少し精度の高い熱溶融の3Dプリンターで
手を打つことがあるかもです。

K10を使いこなす一つのアイデアとして、こんなものもあるかと、マスターボックスのフィギュアからヘッドを移植しました。全体のポーズは3Dプリンターでつくり、繊細な顔や手などは
既存のキットを使う、こういうハイブリッドなら十分いけると確信してます。
近々このフィギュアをベースにしてジオラマをつくり始める予定です。
2026.05
camera: Panasonic DMC-GX8 12mm-50mm / graphic tool: SILKYPIX Developer
Studio Pro.7 + GIMP 3.0
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