eye4工房番外編
cafe
<酔い潰れた男と迷い犬>

晩秋、木枯らしが吹き始める頃、カフェの前で酔い潰れる男が一人。
通りすがりの人たちは誰一人として足を止めないし、気にもしない。


彼を気にかけるのは、一匹の迷い犬だけ。 「おまえも飲むか?」
そう言いかけて男は言葉を止めた。

Cafe
この作品は、影の薄い男の哀しさが伝わるようなものにしたかったのですが、実際ご覧いただいて思うことは、人それぞれに違いない。「情けないやつ」「だらしない」
「こうはなりたくない」あたりが多数意見で、なかには「かわいそう」という人がいるかも知れない。そしてこうなってしまった理由の一つに「精神的な弱さ」をあげる人もいる
でしょう。
こういうジオラマって珍しいとは思うけど、皆さんには次のシーンを想像していただきたい。それがこのジオラマをつくった目的の一つだから。
自分にも、次のシーンは頭の中にあるのだけど、それはまた機会を見てご披露ということにしたいと思います。
あともう一つ、世の中には様々な理由で「頑張れない人」や「切り捨てられてしまう人」が現実に多く存在することは忘れてはいけないと思う。
<cafe をつくる>
とても素敵なフィギュアを見つけてしまいました。酔いつぶれた男とごみがセットになっていて、1/64スケールなのにとっても高詳細、しかもわずか401円でした。

そして自分がイメージしたのは都会の片隅でゴミに埋もれているシーンです。
この小スケールだとフィギュア単独では存在感が小さすぎる。だから少し広範囲な景色を切り取ることで意味のあるジオラマになります。

そして見つけたのがこのキットです。REGOのような、いわゆるブロックの組み立ておもちゃなんだけど、少し手を加えたら結構リアルに仕上がりそう。スケールは
明確にされていませんが、ドアの高さが35mmほどで、スケール的にも1/64として使えそうです。
これを利用すればジオラマが一ヶ月で完成すると確信しました。
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1 説明書に従って、ブロックのおもちゃのcafeを組み
立てます。 |
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胃 |
左画像がその中身です。LEGOの発展系のような製品で、基本的なブロックに特殊な形状のパーツが組み合わされています。詳細な解説書がついていて、つくること
には問題がなさそうです
ただ何百とあるパーツの中から、一つ一つ探し出すのはとても面倒で、解説書2ページ分を組み立てるのに1時間近くかかりました。正確に言えばパーツ探しに40分、
組み立てに10分という感じです。
ただ残りのパーツが少なくなってくると、制作のペースは徐々にあがる。次の2ページは40分、次は30分といった具合です。
このキットって、脳のトレーニングが目的なのではないかと、ふと思いました。
1F部分が完成しました。(左画像) ここまでくると、何百とあるパーツに欠品がないかどうか不安がでてくる。重要なパーツが欠けていたなんてことは勘弁だな。
続いて2F部分も完成、結局不足パーツは基本的にはありませんでした。結果としては大きなパーツや特殊なパーツに問題はなく、画像右の小さなパーツ5つが余りました。


付属していたシールは使っていませんが、3日ほどで完成です。
コーヒーショップの内装は確かにおもちゃっぽいけど、半透明のウインドウを通して内部を見ることになるので問題はなし。これなら使える。
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2 ジオラマとして使用するのに不適切な部分を修正
してゆきます。 |
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形にはなりましたが、さすがに「ブロックのおもちゃ」なので、そのままというわけにはゆきません。Aのように部分的にブロックそのものが表面に浮き出ているところもある。
またジオラマとする場合には、もう少し広範囲な部分、たとえばBのような歩道部分をつくらないとフィギュア自体をおくスペースがない。
内部は中画像のようにブロックのおもちゃそのものです。
ただ建物自体は背景として使う予定なので、細部を表現する必要もない。しかも窓は透明でなく、スモークグラスの表現なので、天井を取り付けて内部を暗くしてしまえば、
内部はシルエットにしかならないので都合が良い(C)。
しかしながらDの観葉植物は、シルエットとしてもおかしいのでここは交換することにします。
手持ちの植物を加工してブロックと入れ替えます。結局は 内部で変更を加えたのはこの部分のみでした。
予定通り天井を追加しました(E)。もともとがブロックなので、ご覧のように隙間が目立つ。そこで全体を3つのブロックに分けてセメントを流し込み、圧力を加えて
一体化させます。そして埋まらなかった隙間はモデリングペーストで埋めて着色します。
中画像では付属していたシールを貼り、高耐久ラッカースプレーつや消しクリアーを吹き付けてトップコートします。シールはそのままだといずれ劣化して剥がれ
落ちる。トップコートは厚めに吹き付けます。
右画像では台座を取り付け、スペースを拡大、歩道とユーティリティーエリアをつけました。これで物語が展開しやすくなります。

追加部分を塗装して軽く汚し塗装を行いました。
これなら、一見してブロックの組み立ておもちゃには見えないでしょう。ここまで1週間ちょっと時間がかかったけど、もしこれを一から作り始めていたら一ヶ月かかると思う。
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3 オランダドライフラワーをベースにして、紅葉した
街路樹をつくります。
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ベースとなる建物と歩道が仕上がりました。背景としては、ここまででが最低限の表現で、あとはシーンを演出する様々なアイテムを追加することになります。
そのためには季節や時間帯、時代や地域などをイメージする必要がある。
自分はここで晩秋の未明、清掃車が動き始めるまだ薄暗い時間帯を再現することにしました。
つくるのは紅葉した街路樹です。まずは枝振りの良いオランダドライフラワーを1本選び、軸にエポキシパテを盛る。オランダドライフラワーの枝は街路樹としては
細すぎるので太くしないといけない。
あと枝の密度が少なめなので、何本か枝を追加で取り付け、タミヤパテで形を整えました。(左画像)
あとは中画像のように幹の部分を茶色く塗り、全体に高耐久ラッカースプレーつや消しクリアーを吹き付けて、表面を保護します。
紅葉として使うのは、濃いオレンジ色のフォーリッジです。落葉が始まっている時期をイメージしているので、ほぐしてまばらに取り付けてゆきます。(右画像)
ほぐしたときに出る細かなスポンジの粒子はとっておいて、これに黄色や赤のパウダーを雑ぜたものをつくります。そして街路樹にスプレー糊を吹き付けて、この
パウダーをまんべんなく振りかけます。
すると全体に色合いの変化が出てリアルな仕上がりになります。

建物自体は「まあまあ見られる」というレベルですが、手前の歩道部分は「ちゃんとリアル」に仕上げます。
歩道部分にもスプレー糊を吹き付けて、残りのパウダーを撒き落ち葉を再現、最後に街路樹を取り付けました。
ジオラマは何も全体をリアルに仕上げる必要はないと自分は思っています。目を引くところ、主役のいるところ中心でかまわない。たとえば写真の世界では、
見せたいもの引き立たせるために、わざと背景をぼかすことは当然のように行われています。
<主役と細かなアイテムを仕上げる>
4 主役のフィギュアを仕上げる。

こちらは主役として使用するフィギュアです。
「明け方の都会の片隅で酔いつぶれている男が一人、通りすがりの人間は誰一人として足を止めないし気にもしない。そういう影の薄い人物の哀愁が漂う
空間を再現したい。」
とするならば、歩道のオレンジや紅葉の色、枯れ葉の色に近い色合いの服が、保護色となってむしろ馴染むのではないかと思いました。

このフィギュアを置く部分を中心に軽く汚し塗装を行ったのだけど、フィギュアを置くだけでは、まだまだ馴染まない。フィギュアと背景をつなぐアイテムが不足して
いるからです。もっと雑然とした雰囲気を演出する必要があると考え、そのアイテムを海外通販で注文、その到着を待って作業を再開することにしました。
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5 ゴミ箱やゴミそのものなど、細かなアイテムを追加
します。 |
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TEMUで200円ちょっとで3Dプリンターで出力されていたゴミ箱と配電盤が売られていたので取り寄せてみた。
左画像のように早速表面処理しますが、積層が荒くて手間がかかりそう。手順としては、左が何もしていない状態、真ん中がタミヤパテを塗ってペーパーがけした状態、
そして塗装までしたのが右の状態になります。
真ん中の画像の左上の配電盤はもっと荒くて、積層の段差を完全に消すことができなかった。下は電源の制御盤とパイプの配管で、光硬化タイプの3Dプリンターで
出力されている。こちらは精度的にも全く問題なし。
精度の悪さを隠すなら汚しに頼るのが世の常です。右画像のようにパステルを削って、Mr.カラーの薄め液を染みこませた筆にとってこする。あとは定着させるために
GX113つや消しクリアーでトップコートします。

最も出来の良くない配電盤には「落書きシール」を貼ってみました。
もう最近の1/64スケールは何でも売っているという感じです。あとはごちゃっとした感じを更に増すためにフェンスなどを追加することにしました。

フィギュアを配置するスペースは白い柱部分の予定で、その手前にこれらを配置しました。
リアルさという意味では、背景の建物より1ランク上になる感じです。

更にアイテムを追加します。
主役の周りはもっと汚れていた方が良いと考え、様々な材料で新聞紙、紙くず・紙袋、缶ジュース等々を作りあげる。

ゴミ箱が倒れて、あたりにゴミが散乱している様を表現しました。
これこそ彼にふさわしいステージだと思う。

2026.08
camera: Panasonic DMC-GX8 + OLYMPUS 12-50mm / graphic tool: GIMP 2.8
+ Ichikawa Daisy Collage 10
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