照明2(光のまわし方)

 ● 照明は室内灯のほかに3つはほしい。

カメラ本体に内蔵されているストロボは人形写真に不向き
 照明は明るさをつくり出すものですが、同時に影も生み出します。これをきちんとコントロールすることで、より立体感のある画像が得られます。
  今回の使用機材:Canon eos kiss Digital X 1010万画素 1/2 CMOS + sigma DC17-70

               なお、難しくて分からない・・・・という方は最後までとばすと、結論が書いてあります。

まずは下の写真を見てください。
 カメラに内蔵されているストロボを用いて、ごく普通に撮影したのが左側の写真A。一方右側の写真Bは20W蛍光灯(蛍光管をスポットランプに組み込んだもの)で撮影したもので
す。
カメラ内蔵ストロボは、はっきり言って人形写真に不向きです。見ていただいて分かるように、ストロボ光によって不自然な強い陰ができています。これは特に接写の場合に起きる
現象で、解決する方法があるのですが、手間がかかり、それなりのノウハウが必要です*)。 また光が1方向のため、右の写真に比べ立体感が足りません。

*)解決策(・・・一応書いておきます)
   ・レンズ交換式カメラでマクロレンズを使用している場合には リング状ストロボが効果的
  ・外部ストロボ使用可能な機種ではバウンス撮影が可能なストロボが使用できる
  ・内蔵ストロボに連動して発光する外部補助ストロボというものがある。これはすべての機種で使用可能。人形写真以外の場面でも結構使えると聞いています。


写真A カメラ内蔵ストロボ使用 写真B 20W蛍光灯×1(左上方)

 実際、右側の写真Bのように室内灯+20Wのスタンドという組み合わせで撮影する人は多いのではないでしょうか。立体感もそこそこあって、これはこれで満足できるかもしれま
せん。ですが写真はもっときれいになります。
 この写真の問題点は次の3点です。
(1)暗い・・・暗い部分でノイズが発生している。
(2)蛍光灯を人形に近づけすぎ・・・光量の不足を何とかしようとして蛍光灯を近づけすぎた。そのため額の部分が白く飛び、一方で足下は暗くなっている。
(3)ストロボほどではないが、背景に不要な影ができている。また人形の顔にも暗くつぶれている部分がある。


撮影には3灯ほしい
 私は下の写真のように、反射板+3灯の光源を基本として撮影しています。その理由と効果について説明します。




・写真Cは写真Bの状況から、背景および側面を囲む反射板を追加したものです。光量が2倍にアップしノイズが減少、またこれによって蛍光灯を人形から離すことができ、額の白と
びや、頬にあった暗くつぶれていた部分がなくなりました。
・写真Dはやや背後に向けて蛍光灯を追加したものです。背景の影が弱まりました。
・写真Eは足下を照らす蛍光灯を追加したものです。足下の光量不足が改善され、明度が一様になりました。

写真C 20W蛍光灯×1(左上方)
   +反射板
写真D 20W蛍光灯×2(左上方、右上方)
   +反射板
写真E 20W蛍光灯×3(左上方、右上方、斜め下方)
   +反射板


まとめ
 人形写真を撮るうえで、特に内蔵ストロボの使用は不向きです。
(1) 照明は別に3灯以上用意し、斜め上方からの光源をメインにして、背景、下方を意識した光源を配置する。
(2) 反射板や市販の撮影スタジオ等を用いてまんべんなく光がまわるようにする。
 さらに光と影をコントロールすることで、人形の気持ちみたいなものも、少しはあらわせるような気がします。皆さんも研究下さいね。


leah (石塑粘土 54cm 2006)





2006.11
camera: Canon Eos Kiss Digital X + Sigma DC17-70/ graphic tool: Ichikawa Daisy Collage