●2007.04.07 天気:くもり
 桜が満開です。4月の初旬は、私としてはお正月を迎える以上に時の変化を感じる季節
です。ここのところ、人形作りにかんする本や資料がたくさん出回るようになって、とてもあ
りがたく思います。一方で自分が苦労した部分をあっさりと解説されてしまって、ちょっと悔
しく感じることも。
 ここ最近の出来事で最もインパクトの大きかったのはU-NOA 2ndの出現でしょうか。気づ
くのが遅くて予約購入できなかったのですが、ぜひ入手したいです。少々高くてもヤフオク
等で手に入れるかどうか、悩むところです。
       

3-3 手足の工作
 今回は手と足をつくります。胴体に比べると難易度は高くなります。
使用する材料はラドールとアルミ線(直径2.0mm)です。
 まずは右図のようなデッサンを描きます。今回は内型はつくらず、直接
造形します。
 今回は手と足の作業を同時進行ですすめます。細かな作業が中心となり ます。一気に仕上げようとせず、時間をかけてすすめましょう。難易度が高
く、指先の器用さも関係します。途中挫折しそうになったら、市販のドール
の手足を流用しても良いかと思います。


A 足の工作
1 デッサンより、やや大きめにラドールをちぎり、おお
 まかに形をつくります。
2 足首の関節に凹部分をぐりぐり押しつけ、凸部分を
 造形します。
3 関節は必要な角度に前後左右に曲げられるよう
 調整することがポイントです。
     ここでしばらく乾燥させます。足の部分は乾燥までに時間がかかります。できるだけ風通しの良いところにおきましょう。

4 紙ヤスリで底の部分を平らにしてゆきます。足裏と
 かかとから足首を結ぶ線が垂直になることを確認。 
5 デッサンをもとに削ってゆきます。削り過ぎたら柔ら
 かく練ったラドールを塗ります。
6 指をつくります。まずは鉛筆で輪郭線を入れてゆき
 ます。 

7 次にカッターナイフで指を一本一本形作ってゆき
 ます。
8 80番ぐらいの紙ヤスリを全体にかけてゆきます。
 
9 爪の部分を造形し、240番の耐水ペーパーをかけ
 ます。つるつるです。






B 手の工作
1 最初に指の長さ+6〜7mmの長さにアルミ線(2.0mm)
 を切ります。
2 1mm厚のラドールを指になる部分に被せます。とり
 あえず2つ折りにして、後ははさみで切ります。
3 ちょっとまだ指に見えませんが、この状態で乾燥さ
 せます。
*)今回はあまり指を曲げていない手をつくろうとしています。もしも指を大きな角度で曲げる場合には、強度は落ちますが、もう少し細いアルミ線のほうが良いでしょう。

4 乾燥後アイスキャンデー状に仕上げます。
5 指を曲げる部分に切り込みを入れます。
6 慎重に折り曲げます。

7 10本の指の調整が終わりました。
8 ラドールをデッサンに合わせて切り取ります。
9 角度を調整しながら4本の指を取り付けます。

10 付け根の部分を造形します。
11 溶いたラドールを塗り、親指を取り付けます。
12 隙間部分にラドールを塗り込んでゆきます。
   ここでいったん乾燥させます。

13 手首部分にラドールを盛り、腕の凹部分に押しつ
 けて手首の関節をつくります。
14 カッターや彫刻刀でおおまかな造形をしたら、80
 番ぐらいの紙ヤスリを全体にかけてゆきます。
15 爪の部分を造形します。

16 手のひらのしわを表現したあと、240番の耐水ペー
 パーをかけます。



今回使用したもの:ラドール(粘土)、アルミ線(2.0mm)
今回の作業のために購入したもの:アルミ線(2.0mm、158円) 
累計  4,126円
今回の作業時間=10.5時間 累計 44.0時間









3-4 ヘッドの工作
 人形の顔を作ります。あとちょっとで完成です、がんば りましょう。
 


1 中心線と、顔を上下に2等分する横線
 を引きます。さらに片側を4等分する印を
 入れます。
2 横線上に目を書き入れます。片側を4等分してみると、1/4の位置が
 目頭、2/4が瞳の中心、3/4が目尻となります。これはあくまでも目安
 ですが・・・。
3 鼻の位置を決めます。顔の下半分を
 更に2等分する線を引きます。これが
 鼻下となります。

4 描かれた線を参考にラドールを盛って
 ゆきます。
5 乾いたら、まずは側面から見て削り、
 輪郭線を出します。
6 次に正面から削りを入れてゆきます。


7 80番ぐらいの紙ヤスリを全体にかけ
 ます。
8 模型工作用のノコギリ(ピラニアソー)
 で斜めに頭部を切断します。
9 ドールアイの入るところを裏側から削り
 ます。

10 目の回りや唇など、細部の工作を行
 います。
11 ときどきドールアイを入れて、具合を
 確かめましょう。

このあと耳をつくります。
12 耳の穴に当たる部分に深さ2mmぐらいの穴を開け
 ます。
13 この穴のまわりに柔らかいラドールを三日月状に
 貼り付けます。
14 耳の縁の部分を形成し、耳たぶをつくってゆきま
 す。

15 小さな粘土を丸めて穴の横に置きます。
16 耳の穴をふさぐ部分をつくり、全体に240番の耐水
 ペーパーをかけます。


今回使用したもの:ラドール(粘土)、ドールアイ(10mm)、のこぎり
今回の作業のために購入したもの:ドールアイ(10mm、中古520円) 
累計  4,646円
今回の作業時間=3.5時間 累計 45.5時間









●2007.04.22 天気:くもり
  U-NOA 2nd・・・買ってしまいました。人形づくりの参考になりますが、
いたい出費です。
 ここのところ落ち着きのない天気が続いています。一方で休日もなか
なかとれないこともあって、ストレスもたまりぎみ。やむなく暇を見つけて
は集中して人形製作に取り組むことに。
 実はあまりよくないんだよね、人形作りに集中するのは。
  つくる→乾かす→研く→観察する
というルーチンを自分のペースですすめないと、思った通りのものができ
ないんですよ。

 隙を見て「忘れられた人形(仮題)」の撮影だけはすすめました→

 
       

3-5 関節部分の製作
 球体関節人形は体の各パーツをゴムで結ぶことで形状を維持して
います。今回は各パーツにゴムの通り道をつくるとともに、手足、首に
ゴムをつなぐパーツを追加してゆきます。
 なお使われている糸は頑丈なものが良く、ネックレス用極太がおす
すめです。


A ヘッド
1 直径2.5mmの穴を適当に開けます。
2 この穴を5mm×1cm程度の大きさに拡大しました。
3 直径2.5mmのアルミ線を図のように加工します。

4 フック(左)をつくります。さきほどのアルミ線と組み
 合わせます。
5 これを先ほどの位置に戻し、上から柔らかく練った
 ラドールで固定してゆきます。
6 裏側です。

B 足首と手首
1 関節の中心にドライバー等で小さな穴をあけます。
2 この穴を基準に直径2.5mmの穴をあけます。
3 ノコギリで縦に切れ目を入れます。

4 切れ目は穴の位置までで入れます。
5 正面図です。
6 更にカッター等で溝の幅を2mmまで拡げます。

このあと耳をつくります。
7 角はかけやすいので面取りをします。
8 穴の下の部分(ピンク色)の溝を更に深くします。
9 針金などで掻き出すようにして溝を深くします。

10 2.4mmのアルミ線を穴に埋め込んで軸とします。
11 先ほど深くした溝の部分に丸くした糸を通します。
12 アルミの軸が隠れるよう、ラドールを盛ります。

13 同様に手首も加工します。まず穴をあけます。
14 溝を掘ります。
15 軸を通し糸をつけます。

C 関節
1 最初に中心にドライバー等で小さな穴をあけます。
2 この穴を基準に直径2.5mmの穴をあけます。
3 穴を直径5mmまで拡げます。


4 面取りをします。
5 凸部分の溝をつくります。まずは基準線をひきます。
6 直径4mmの穴を2つあけます。

7 2つの穴の間にノコギリを入れます。
8 溝を加工します。
9 面を取り、ヤスリで内側を滑らかに仕上げます。



参考)各部の関節

足首


手首


3-6 組み立てと調整
 球体関節人形のほとんどは、体の各パーツをゴムで結ぶことで形状を維持しています。
 右図はゴムの通り道を示したもので、手首と手首を結ぶ赤線、足首から頭、再び足首に戻る青線
の2系統があります。ゴムは100円ショップで売られている細いものでも、束ねれば十分に使用可
能です。
 最初に人形もしくはデッサンから赤線と青線の長さを測って下さい。
 そして次の式に従ってゴムの長さを計算しておきましょう。

赤線の場合:

{ゴムの長さ}={(赤線の長さ)−10cm}×0.7

ちなみに10cmとは左右の手につけた糸の合計の長さです。青線も同様に計算できます。 


1 2.4mmアルミ線でC型の金具をつくります。大きさは
 4mm×2cm程度です。
2 このほかにゴム糸、ゴム引き用の針金を用意しま
 す。
3 手首にゴム糸を結び、その先に二つ折りにした針金
 をつけます。

4 肘から肩へと順にゴムを通します。
5 最後はC型金具を介して手につなげます。
6 次は足です。手と同様、順にゴムを通してゆきます。

7 最後はC型金具を介して手につなげます。
8 ゴム引き用針金を股から差し込みます。
9 ゴムをすくって首から出し、頭のフックにかけます。


10 とりあえず完成ですが、気になるところもちょっと
 出てしまいました。
11 股関節その他5カ所ほど修正しました。



 とりあえずの完成です。
あとはご自分の好みで塗装・メイクに入ってください。
手足、ヘッドをSDやDDと共用される方は同色の塗料を吹き付け塗装すると良いでしょう。

 なお私自身はこれから独自の表面仕上げに入ります。そのためには若干の支出が必要となります。
興味のる方は引き続き製作日記「塗装編」をご覧下さい。




今回使用したもの:ラドール(粘土)、カッターナイフ、はりがね、のこぎり、ドリル
今回の作業のために購入したもの:アルミ線(2.4mm、158円)、
                     糸(ネックレス専用、極太、160円) 、ゴム(100円) 
累計  5,064円
今回の作業時間=3.5時間 累計 49.0時間