撮影カメラは何がいい?(続編・コンパクトカメラの場合)

 ● 可動式液晶モニターはぜひ使いたい!

やっぱりデジタル一眼にはかなわないかな・・・。
Canon Power Shot A640
 最近新しいカメラ(右)Canon Power Shot A640を購入しました。メイン
カメラとしてはレンズ交換式のCanon Eos Kiss Digital Xを使用している
のですが、場面によってはコンパクトカメラも必要かなと思った訳です。
 レンズ交換式カメラ(デジタル一眼)については、扱いに慣れるのに少々
時間が必要だったり機材をそろえてゆくと10万円近くなったりで、購入を
躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。そこで半額で購入できる
一般的なデジタルカメラについて考えてみましょう。




前編2−1「撮影カメラは何がいい?」のまとめから、人形撮影に必要な最低限の条件を抜き出しました。

    基本性能
                      補 足

   最短撮影距離
     (マクロ)
 最短撮影距離は短いほど良い。焦点距離にもよるが、上半身の写真〜バストショットを撮る場合、
1/3スケールの人形なら40cm、1/6スケールの人形なら20cmまで寄れることが条件。
 コンパクトカメラの場合にはマクロ機能があるけど、これは要注意。広角側のみのマクロでなく、
全域連続マクロでないと撮影できない場面がある。
 
絞り・シャッタースピード
    (撮影モード)
 出来る限り明るいレンズを選ぶ。
 絞りとシャッタースピードがマニュアルもしくは、絞り優先モードがあると良い。ないしはシャッター
スピード優先モードがあり、最長1/10秒のシャッターが切れると良い。

 今回購入したCanon Power Shot A640については、解放F値2.8で十分に明るく多彩な撮影モードがあって、上記の必要最低限の条件を満たしています。
そして何より購入した動機の第一は非常に安価だったこと、モデルチェンジ直前のため、それまでの販売値の半額に近い2.5万円でした。
(高機能デジカメなので、もともと少々お高い)
 さてここからが本題です。コンパクトカメラで良い写真が撮影できるのでしょうか。実際にCanon Power Shot A640で撮影してみました。


Canon Power Shot A640 焦点距離f=35mm ISO=100 

    左の写真の中央部

    左の写真の右端(岩)
 Canon Power Shot A640は1/1.8CCD1000万画素で、画素数や画像センサーだけでいえば、最新のデジタル一眼に匹敵する能力が期待されます。
実際に写真を撮ってみると、ぴしっとした感じでとてもいいのです。よく見ると暗い部分にちょっと偽色が出ていたり、端の部分の光量不足はありますが、それなりに良い画質だと思
います。



 次にわざと感度をISO=800にまで上げて撮影します。

Canon Power Shot A640 焦点距離f=35mm ISO=800 

    左の写真の中央部

    左の写真の右端(岩)
 同じカメラとは思えないほどの画質低下、はっきりいって使えないと思います。
 ISO感度は暗い場面での撮影で、シャッタースピートが゙低下しないように上げることが多いのですが、このカメラの場合にはISO400以上では使用しない方が良いでしょう。一般に「暗
いところに弱い」「高いISO感度では画質が著しく低下する」といったことはコンパクトカメラではよく言われることです。もし使用しているのがISO自動の機種ならばISOをできるだけ
200以下に固定すべきです。その場合、暗い場所ではシャッタースピードが低下するので、手ぶれ補正、三脚等の活用が必要になります。





可動式液晶モニターはとっても便利
 コンパクトカメラはレンズ交換式カメラに比べて安価で携帯性・機動性が
高いけど、画質はやや劣るというのが現状かな。でも一部の機種にはレン
ズ交換式カメラにない画期的な?機能があるんです。
 コンパクトカメラのなかでも、いわゆる高機能タイプのものには可動式液
晶モニターを搭載した機種があります。実はこれがとっても便利なんです。
一般的なデジカメよりちょっと大型で、価格も4万円台後半から6万円程度
とお高いですが。(07/09現在)
 

 砂浜に人形を立たせ、こちらは姿勢を低くして撮影します。結果が右の
画像です。まあどうってことのない写真です。

 そこで可動式液晶モニターを開き、砂浜すれすれに近づけ、モニターを
見ながら撮影をしました。(下図参照)
 迫力が出て、ちょっとかっこよくなりました。
 これほどのローアングルは、普通のカメラなら砂に頬をつける覚悟で
なきゃ撮れませんよね。Canon Power Shot A640が欲しくなった理由
がここにあります。


 人形の目線で写真を撮るというのが標準であるとするなら、それは1/6なら地上25cm、1/3なら地上50cmの高さから撮るということになります。
それ自体が結構無理な姿勢で、ましてやローアングル写真なんてとても撮れません。少なくともこの機能のおかげで撮影アングルの自由度はかなり増します。

 右の写真の状況はススキその他、背の高い草のなかで撮影したもので
す。背の高い草なので人形は手に持って撮影しなければなりません。
 ところが左手に人形を持ち、右手でカメラを構えると草原はきちんと写るの
に人形にはピントが合いません。
(逆に人形にピントを合わせると、今度は草原がぼけてしまう)

 両方にピントが合うようにするには、カメラから人形を離す必要がありま
す。そこでカメラのモニターを反転させて(自分撮りモード)、左右に大きく
腕を広げ、人形とカメラの距離を確保しました。
 右の写真ではちゃんと両方にピントが合っています。こんなときにもこ
の機能は役に立ちます。


今回のまとめ
 レンズ交換式カメラと通常のデジタルカメラでは値段が2倍も違うのですから、当然性能の差もあります。
ですが自分の持っているカメラの特徴を知れば、もっときれいにミスなく撮影できます。
 一般にレンズ交換式カメラに比べると通常のデジタルカメラは「暗いところに弱い」といわれます。従ってカメラ選びにおいては前編2−1「撮影カメラは何がいい?」のまとめ
のほかに、次のことがらにも注意したほうが良いでしょう。
@できるだけ明るいレンズ(解放F値2.8以下)を選ぶこと
 また「高いISO感度では画質が著しく低下する」ことが知られていますから、
AISO感度が自動設定でなく固定できるものを選ぶ(そのうえで実際の撮影ではISO感度をできるだけ低くする)
 ISO感度を低く設定すると、暗い場所ではどうしてもシャッタースピードが低下するので、
B手ぶれ補正機能があると良い
 但し手ぶれ補正機能は万能ではありません。シャッタースピードが1/30秒を超える状況では、やはり三脚を使いましょう。そのうえでぜひ、
C可動式液晶モニター機能のあるもの
 を選んでほしいと思います。写真を撮る自由度が増します。

 今いちばん売れているカメラは持ち運びに便利な小型・軽量・スリムな機種かと思いますが、実際のところこれは人形撮影には向きません。
 もしあなたがレンズ交換式デジタルカメラを購入するのはちょっと・・・というなら、多少は大きくても、可愛くなくても、ぜひ可動式液晶モニターを備えている高機能タイプのデジタル
カメラの購入を考えてほしいと思います。 また私のようにレンズ交換式デジタルカメラを持っている人にとっても2台目としていいと思います。
 レンズ交換式デジタルカメラの場合、新機種が出ても旧機種の値段はそれほど下がりませんが、一般的なデジタルカメラは一気に半額近くになります。モデルチェンジの時期は
ねらい目です。但し機能差は覚悟しましょう。Canon Power Shot A640に代わる新機種A650は手ぶれ補正がつき、画像エンジンもアップグレードしました。ただ実売価格は07/09
現在で約5万円だそうです。