球体人形の制作(発展編)
How to make a doll?

 こちらは「球体人形の制作・改良編」です。第2シリーズの塗装講座をお読みになってない方は、まずはそちらで人形制作の概要をご理解下さい。
 このシリーズは前回以降の制作で得たノウハウをまとめたものになっております。

                         3 特殊な塗装


●2008.06.07 天気:晴
 外は梅雨、ちょっと困ったことに長年使ってきた自作スピーカーが    
壊れてしまいました。調べてみるとスピーカーユニットFE203Σの     
一方が内部断線している模様。
 やむなくFE203Σを探しますが、製造中止になってだいぶたって
いるので、良いものは入手できそうもありません。










 このスピーカー、高さ90cm重さは30kgもあり、部屋の中ではけっ   
こうな存在感があります。
 一瞬思いました、「これがなければ部屋が広くなる」
 実際、日常はコンピューターに付属する5.1chシステムで聞いて   
いるし・・・。
 でもこのスピーカー捨てられませんでした。長年の愛着というの   
かな、それとも思い出か・・・。
 そして今日、似たような特性を持ったFE208Σをオークションで  
購入し取り付けてみました。
 鳴らしてみたらとってもマル!!
 このスピーカー、もうきっと一生すてることないだろうな。


                   


5 ボディペイント
 1体で3ヶ月以上かかっていた球体関節人形の制作も、型どりに
よる複製なら1/4程度の労力で済むことが分かり、これで気軽に
実験的な作品もつくれそうです。
 最初の型どり人形はボディペイント作品にしようと思ってます。
人形がいつも肌色である必要はないわけで、何体か実験的な塗装
をした人形を制作してみようと思います。
 以前から試してみたかったのがメタリックな肌です。それもメッキ
したような、ぴかぴかの塗装です。
 右は完成したパーツですが、これをいかに「金属」らしく仕上げて
ゆくか、それにはプラモデルやフィギュアの塗装技術が応用できま
す。
 幸い自分自身、小学生の頃からプラモデルをいじり、タミヤの1/35
サイズの兵隊を改造・塗装してきた経験がありますから、この手の
塗装にはそこそこの知識があります。
 どんな人形になるのか、まずは制作過程をご覧ください。



 さてそこで最近とってもいいものを見つけました。
 模型用塗料を塗る場合、下地塗装としてサーフェーサーをスプレー
します。これは下地の平滑度を増すことと、発色をよくするためです。
模型の世界では写真右のものを塗ります(写真の白のほかにグレー
もあります)。本来、球体関節人形にも下地の保護もかねて使用した
かったのですが、下地の隠ぺい力が強く、本当に真っ白になってし
まって、粘土の暖かみや風合いがなくなってしまうので避けていまし
た。
 ところがこのサーフェーサーの透明なものがあることを知り、今回か
ら使ってみることにしました(写真左)。ただちょっとお高く2500円以上
します。(ちなみに普通のサーフェーサーは500円程度)




1 こちらのパーツは肌色の通常塗装をするパーツで   す。
2 上で紹介したサフレス仕上用・透明サーフェーサー
 を吹き付けます。


3 こまかなヤスリで磨き上げます。できれば2回ぐらい
 やりたいところ。
4 ここから下の3色を用いてベース塗装をします。

5 まずは111キャラクターフレッシュで全体の色の調子
 をととのえ、凹凸を強調します。
6 次に112キャラクターフレッシュで関節部分などの赤
 みを強調し・・・、
7 最後に51フレッシュで影の部分を強調します。





とりあえずの完成です。ヘッド部分はさらにこまかな塗装をしてゆきます。



8 目の縁の部分を112キャラクターフレッシュで強調し
 ました。
9 唇をキャラクターフレッシュ+レッドで描きます。縁の
 部分を少し濃くしてあります。
10 眉毛と二重部分を51フレッシュで描きます。そのあ
 とブラウン系の塗料で眉毛1本1本書き入れます。

11 Mr。スーパークリアーを全体に吹き付けます。
 (ヘッド以外の部分にも)
12 色が落ち着きました。次に下眉毛を描き、まつげを
 とりつけます。
13 唇に粉状のパールホワイトとクリアーを混ぜたもの
 を塗ってつやを出します。

14 アイを取り付けます。今回は頬やシャドーのメイクは
 とりあえずはしていません。
15 頭頂部を取り付けます。


ここから先はメタリック塗装するパーツの説明です。
予定では肩から下の部分は全てぴかぴかの銀色になる予定です。



16 サーフェーサーです。今回は白を使っていますが、
 メタリック塗装の場合はグレー系の方がいいです。
17 こちらのパーツには全面的にサーフェーサーを吹き
 つけます。
18 近づけすぎない、一カ所に止めないのがこつかな。


19 マスキングしてます。上腕は肘部分のみがメタリッ
 ク塗装になる予定です。
20 こんな感じで境界線をマスキングテープで分割して
 ゆきます。 
21 さらに余分な部分に塗料がかかってしまわないよう
 にカバーしてゆきます。

22 マスキングが完了したらサーフェーサーを吹き付け
 てゆきます。
23 乾燥したら目のこまかなペーパーで磨きます。
24 しばらく乾燥させます。もう一度サーフェーサーを
 かけ磨きます。これらの作業は最低2回は必要です。

25 次に全体をグロスブラックで塗ってゆきます。このあ
 とのメタリック塗装を生かすのに必要な工程です。
26 時間をおいて3回程度塗装します。


塗装が終わったら、しっかりと乾燥させます。
この間にほこりなどつかないよう注意しましょう。



27 こちらがアルクラッドのクロームです。超微粒子で
 す。高いです(1500円ぐらいする!)。
28 でも効果は抜群、グロスブラックの上から吹き付け
 るとメッキしたみたいにぴかぴか。
29 これが終わったらトップコートを吹き付けます。


本当はアルクラッドを塗ったら、それで終わりにしたいところです。
トップコートを吹いてしまうとちょと光沢が落ちます。
でも仕方ないです。塗膜がとてもデリケートで、そのままだと手で触ることもできませんので。



乾燥したらマスキングテープをとります。
 



とりあえず今回はここまで! 次回はちょっとした塗装上のアクセントについて解説の予定です。







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●2008.06.15 天気:晴
 週末に天気がよいのはひさしぶり、でも今日はワールド・ドール
フェスティバルなる催しに行ってきました。
 ドルパなどのメジャーなドールイベントにも興味本位で行ったこと
はありますが、あまりにも多くの来場者で疲れてしまいました。で
もこのイベントは創作人形が中心で(ちょっと地味で小規模)、穏や
かな気分で参加できました。 ビスクドールや古いレース素材など
が目につき、ドルパとはえらく違うなあと思いました。
 もともとは、こちらが人形の世界の雰囲気だったのでしょう。そう
考えるとSDの誕生というのはものすごく大きな出来事だったんだ
ろうと思います。完全に一つの世界が出来上がってしまっている。
 「人形遊び」が、従来は個人の楽しみとして孤立していたものだ
ったのに、それを一気に「集団の遊び」として進歩させてしまった。

 ところで自分のめざす人形の世界はどこ? 


                   


6 アクセント
 アルクラッド塗装を終え、メタリックなボディをながめます。それ
なりに美しいですが、ちょっとしたアクセントがほしいなと思い始
めます。
 一番簡単なのはデカドライ(写真下)などのシールで文字や
模様を入れること、ただこれだと色や形が限定されてしまいま
す。
 そこで今回はオリジナルなアクセントを入れる方法について
ご紹介しましょう。





下の画像は人形に描こうとしているアクセントをコンピューターで作成しているところです。
今回は胸と背中に「72」の数字、右上腕に真ん中の模様、左上腕にバーコードを描こうと考えています。



30 プリントアウトした原稿に透明なプラスチックをの
 せ、マスキングテープを貼ります。
31 最初は黒い部分だけを切り抜きます。
32 これをマークしたいところに貼り、上から黒の塗料
 を吹き付けます。

33 塗料が乾いたらマスキングテープを剥がします。
34 右上腕は黒のあと、赤の部分も同様に作業を行い
 ます。
35 こちらも乾燥したらマスキングテープを剥がします。


次はバーコード部分ですが、これはさすがにマスキングテープで処理することはできません。
そこでデカールペーパー(Super Cal)を使います。
これはコンピューターで作画したものを、そのままこの紙の上にインクジェットプリンターで印刷すると、プラモと同じデカールが出来上がるという優れものです。



36 バーコード部分をプリントアウトしました。
37 インクが乾いたら、上から付属のスプレーをかけま
 す。
38 これが乾いたら、デカールマークのぎりぎりまで、
 はさみで余白部分を切り取ります。

39 これを水につけ込みます。たぶん1分ぐらいで、下の
 シートとマーク部分がずれるようになります。
40 このデカールを貼り付ける部分にマークソフターを
 事前に塗ります。
41 デカールを上にのせ、柔らかい布などで水分をとり
 ます。

42 乾燥したらトップコートを塗ります。

ここでどうして最初の「72」の数字と右上腕の模様もデカールペーパーで処理しなかったのか、疑問に思う方もおられるかと思います。
それはこのデカールペーパーの部分はどうしても塗装膜としては弱く、さわると落ちやすいからです。
人形の場合、さわれないのではお話になりませんので、極力塗料を使ったというわけです。


次はヘッドですが、今回の制作は「簡略化」の目的もありますので市販のウイッグを使用しました。
ちょっときめですがSDCサイズのものを使用しています。




ということで、以上で完成です

ここから完成画像にすすみます

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