撮影台
● ドールスタンドつき変形展示台の製作

 デザインフェスタvol37への出展に向けて、いろいろと準備をしているところですが、人形をきれいに見せるためにはその背景も大切になってきます。ごく普通の会議テーブルに
人形を工夫なくのせるだけでは、人の目を引くことはないでしょう。今回はその基礎部分になる展示台をつくってみました。デザインフェスタでは展示用品もレンタルできるのですが、
費用がかさむので、車の利用ができるなら、作ってしまうのも一つの手段です。



展示台

 
 通常の会議机は高さが70cmちょっとです。ですからそこに展示された
ものを見るには、少し屈まなければなりません。
 見学に行ったデザインフェスタでは、少しでも見やすく、少しでも目立つ
ように、展示台を90cm以上に高くしている企画が多く見られました。きっと
カラーボックスみたいなものを組み合わせて作っているんだろうな、と思
いました。

 自分でもつくってみようと、簡単な絵を書きます。Aは長さ180cmの板、
Bは展示台の土台になる高さ90cmの箱です。こちらの箱は搬入の際に
人形や様々な物品を入れて運ぶこともできるので輸送箱としても便利か
と思います。
 
 
 Aは180×45の板1枚でも良いのですが、あえて180×25の板2枚の組
み合わせにしました。
 右の1が標準の状態ですが、2枚に分割することでL字型の展示2や、
壁を使った直線的な展示3にも変形できるからです。


 構想が練上がったので、素材探しです。安くて加工しやすい、それが第一条件です。
何回かDIYショップをまわって、ひととおりの素材を集めました。全部で1万円ちょっとでした。
レンタルよりちょっと高いですが、2回出展すれば元は十分にとれます。

 用意した素材はファルカタ集成材というもので、合版の一種です。
とても柔らかく、素人にも加工しやすいです。また182cm×25cm、厚さ
13mmで1000円ちょっとと、簡単に入手できる木材のなかでは、最も安い
部類に入ると思います。
 ただ強度はあまりないので、重量物を入れたり屋外での使用目的には
向きません。
 
 
 まずはファルカタ集成材をどう組み合わせるか、簡単な図面を引きま
す。もともとの材料をいかに使い切るか考えます。使い切るということ
は、カットする部分を減らすということで、手間を減らしたり精度をあげ
たりすることになります。
 なおテーブルの長さを178cmにしたのは、イベント企画の180cmに最初
から合わせてしまうと、横に何か貼り付けるなどの工夫が後でできなくな
ってしまうと思ったからです。


 我が家は狭いので、1Fの居間に材料をひろげます。のこぎりやらカンナを準備してると、
「あとでちゃんと掃除しておいてね」ととなりから声が聞こえます。
「言われなくても、ちゃんとわかってますよ。」

1 設計図をたよりに、ファルカタ集成材のカット部分に
 印をつけてゆきます。
2 ファルカタ集成材は柔らかいので、6mm厚のも
 のはカッターナイフでも切れます。
3 厚いものはのこぎりで切りますが、小さいもの
 でも十分です。

4 修正はカンナで行います。これまでの作業はDIY
 ショップにカットをお願いしたら、もっと簡単です。
5 背板になる6mm厚の板はボンドで接着して1枚に
 します。ガムテープで仮止めしました。
*)実はこのあとガムテープをはがしたら、ファルカタ
 材の表面がぼろぼろになってしまいました。


 組立に入ります。その最中、再びとなりから
「何つくってるの」の声が・・・。
「人形の展示台・・・。2つの箱をつくって、それを長い板でつなぐのさ。」
「ふーん、カラーボックスと長い板じゃだめなの? もしかして1000円ちょっとの
カラーボックスのほうが、簡単・確実で、しかも安くて綺麗で頑丈ってことない?」
「・・・。」

6 側板に背板をつけます。ガムテープの反省から
 仮止めは養生テープにしました。
7 直角を保つため、壁などに押し付けて固定しま
 す。
8 組立前に仮組みをして、ぴったりとゆかなけれ
 ば、粗めのサンドペーパーで修正します。

9 ボンドが乾くのを1日待ち、次に底板をボンドで固定
 します。
10 次の日、天板を固定します。手間はかかりますが、
 ボンドの乾燥を待って次に進んだほうが良いです。
11 最後にもう一方の側板を固定します。隙間などを
 みつけたら薄い木片にボンドをつけて押し込みます。

 やっとできあがったカラーボックス・・・、じゃなくて
展示台の土台部分です。

12 底板の4角にクッション材を貼り付けます。滑り止
 めになります。
13 土台の天板と長いテーブル板に穴を開けます。 14 これを4mmのチョウネジで結びつけて、土台と
 テーブルを結びつけます。

 こちらが展示台の完成状態。白木のきれいな仕上
がりです。彩色するかどうかは、また後で考えます。
 ここから上に付けられた長い板にひと工夫します。





スタンド

 
 ドールスタンドは高いです。人様にお見せできるようながっちりとしたも
のは4000円ぐらいします。手元に1/3ドール用のちゃんとしたものは1個
しかありません。6体持ち込むと更に2万円の出費です。
 そこでこの長い天板そのものにドールスタンドの機能を持たせてしまい
ましょう。

 しくみそのものは簡単で、オニメナットとハンガーボルトでアルミパイプ
を天板にたたせてしまうというものです。
 


 こまかな製作過程は次のとおりです。オオニメナットとハンガーボルトは
ちょっと大きなDIYショップで入手することができます。それぞれ4個セット
で400円ぐらいだったと思います。

15 テーブルに穴をあけ、接着剤を塗った内径6mmの
 オニメナットを打ち込みます。
16 直径10mm、長さ50cmのアルミパイプを必要数用意
 します。

17 今回アルミの内径にハンガーボルトが合わなかったの
  でハンガーボルトに針金を巻きつけました。
18 アルミパイプとハンガーボルトの両方に接着剤を
 塗ってから両者を接着します。
*)こんな感じでまとまります。これでテーブルにアル
 ミパイプが立つようになります。

19 こちらはカーテンレールの固定金具です。ばらし
 て大きい方を使います。
20 クッションテープをこの金具に貼り付けます。 21 これをアルミパイプに固定します。輪ゴムでつけて
 ますが、実用上はこれでも問題ないです。

*) 自分の制作した人形には、首にネオジムマグ
 ネットがついているので、この仕組みで人形を固定
 することができます。
 
*) アルミパイプの長さを変え、針金を右図のよう
 に加工してやれば、一般的な人形も固定できるは
 ずです。


 こんな感じで同時に9体が展示できるドールスタンド完成です。展示台から
独立させることもできます。費用は全部で4000円ぐらい、とっても安いでしょ。

 

 費用はしめて1万円ちょっと、制作時間は5〜6時間。問題点はカラーボックスみたいな土台部分
を普段どこに置くかですが、衣類の整理箱として押し入れの中に入れておけば問題ないでしょう。
 このあとは背景やら小物の展示スペースの工夫をしようかと思ってます。





背景

 
 ごちゃごちゃしたブースのなかをお見せするのも何なんで、人形の背景
になるものを作ることにしました。イメージは地中海風のの白い壁です。
 

22 1/6ドール用の背景です。材料のスチレンボード(5mm厚)を切り、L字型に組み合わせます。
 風化した感じを出すために、ベージュ系の塗料を吹きつけたり、グレーで雨だれを表現します。

23 こちらは1/3ドール用の背景。スチレンボードを組み合わせて幅3cmの溝を
 持つ壁を何枚か作ります。
24 この溝に合わせて、3cm幅の角材をL字型に加工
 します。 
   

25 こちらは壁から突き出したヒサシになる部分
 です。手持ちの木材を組み合わせました。
26 この3種類を組み合わせたところです。接着はしません。
 会場でメンディングテープで固定しました。

27 イベント当日、造花で飾り付けます。今回用いた造花
 はネット上で500円から800円程度です。
28 ひさしの部分にはたっぷりと造花を絡みつ
 けてみました。
29 こちらが全体像。地中海の雰囲気が出ているかな? 
 180cmの展示スペースって意外に狭いです。