足尾



2015.07.18
 今回は銅山で有名な栃木県の足尾町(現在は日光市)を訪れました。
近代日本の発展をささえたといわれる地域の現在は、いったいどのよう
な感じでしょう。

7.18
(土)
6:30
 3連休ということで、日程に余裕があります。
 そこで今回は関越道を通り、足尾を経由して那須に
向かおうと思います。
 途中、立ち寄った寄居PAでいただいたネギラーメン
はネギがものすごい大盛りで大感動。
 
     
 

 
   
 コースとしては、北関東道を伊勢佐木ICで降り、国
道122号線で日光方面に向かうことになります。
 一般的に日光を訪れる場合、宇都宮、沼田、足尾
のいずれかを経由するコースを選択することになりま
すが、そのなかでは足尾経由がいちばん不便かもし
れません。
 わたらせ渓谷鉄道が日光まで延びていれば、また
話も違うとは思いますが、現状では足尾経由で日光
に向かう、または日光を訪れた人が足尾まで足をの
ばすことは少ないように思います。



 こちらは、わたらせ渓谷鉄道「本宿駅」、渓谷の底に
ある無人駅です。

 線路をはさんだ反対側には渡良瀬川、まわりに民家
はありません。
 ここを誰が利用するのかな、と思ったのですが、民家
は渓谷を少し上がったところにあるようです。近くには
分譲地の看板もありました。
 
 列車の撮影をしようと思ったのですが、時刻的なタイ
ミングが悪かったので(1~2時間に1本程度)、道を先
にすすめることにしました。
 途中、道の駅があったので例によって野菜などを買
いました。
   
 ここは「水沼駅」、このあたりではいちばん大きな駅
で温泉もあります。ここで列車を待って撮影しました。
 わたらせ渓谷鉄道のそもそもの始まりは、銅鉱石の
運搬と精錬に必要な硫酸といったものを輸送する目的
で敷設されたものです。
 ハイシーズンにはトロッコ列車も運行されているとい
うことですが、この時間帯、無人の駅舎に人影はほと
んどありませんでした。
ちなみに「わたらせ渓谷鉄道をもっと利用しましょう。」
というポスターが貼ってありました。
経営の方も大変な
んだろうなあ。
     

     
         *)オリジナルヘッド+オビツSBHボディのオリジナルドール nano です。
           ワンピースはヤフオクで御世話になりました arisutedyisu0511様の作品です。




 少しすすんだところに木造の校舎がありました。
 移転して使われなくなった校舎のようですが、残されたも
のから察するに、少なくともここ10年ほど前までは使われ
ていた感じです。
 子供のいた時期が想像できる不思議な臨場感がありま
す。

 
     
       
   
   

     



   こちらは草木ダム。
 足尾銅山からの鉱毒流出の防止、治水、電力供給
などを目的につくられた利根川水系のダムの一つだ
ということです。
 ちなみにダム本体の上は道路になっていて通行する
ことができます。
 
 
     



9:30
 「足尾観光」という看板を左にはいると、足尾の旧市街
に入ることができます。
 ここは磐裂神社、808年創建の古い歴史があるらしい
です。その名前がいかにも鉱山の寺って感じです。
       
   
 

   
 そしてここから町のなかに入ってゆくのですが、もう
使われていないバス停とか民家とか商店街があって、
ほかでは見られない風景に思わず何回もシャッターを
切ってしまいました。
 ただ難しいのは、この地域が無人ということでなく、こ
こに住んでおられる方もおられるわけで、その方々には
自分たちがどのように見えるのかを意識しなければな
りません。カメラを持ってうろつく人間を見て、決して良
い気分にはならないだろうと推測します。
 
   


 この建物こは「生協中才売店」という看板が残って
ました。スーパーマーケットのような存在だったのか
も。
  
       
     

      



 この上流側に足尾の中心的な企業、古河鉱業の
跡地があります。
 画像は国鉄の時代まで使われていた陸橋らしいで
す。銅の鉱石や硫酸などの輸送に使われていたよう
ですが、ここから先、工場敷地内には入れません。

 開発と鉱毒の影響で、山は荒れていると聞いていま
したが、植林が続けられているようで、かなり景観が
戻りつつあるように見えました。
       
 一面の緑の屋根は社宅かな?
 それから巨大な円筒形の建物は、鉱石を溶かす
のに使うコークスの貯蔵庫?
       
   
       
 旧国道をすすむと巨大なコンクリートの建造物が
ありました。ここは変電所跡だと思われます。
 銅の精錬には大電力が必要で、ここから先ほどの
工場の方にたくさんの高圧線が延びています。
       
 こちらはそのとなりにある溶接工場跡。
 赤レンガの建物は朽ちて崩れ落ちています。
 何というか・・・迫力があります。
       

     



 足尾銅山の歴史を知るために、ここ足尾銅山観光
に入館してみました。(入場料820円)
 銅山そのものは江戸期に開発され、採掘された銅
は銅銭の鋳造などに利用されていたようです。
     
 トロッコで坑道に向かいます。
       
   
       
 坑道内では採掘の様子が江戸期から近代に至る
まで再現されています。目があったら怖いぐらいに
人形がリアルです。
       
     
       
 そのほか坑道内には、当時の食堂や神社まで再現
されていました。

 実際の労働条件は、明治以降も過酷なものだった
ようです。
 特に鉱毒事件以降、その防止費用などが負担とな
ったため、会社は鉱山労働者の賃金は低く抑え続け、
1907年には坑内で暴動が発生し軍隊まで出動する
騒ぎになったそうです。
 

   
 こちらは坑道の外にある展示スペース。
 銅鉱の採掘や精錬についての解説があります。

 江戸期までは銅銭をつくるための目的でしたが、
明治以降は産業機械や兵器製造などのために大量
銅が必要になりました。
 足尾の銅が近代日本の産業革命を支えたのは
間違いのない事実だと思います。
       
       



 こちらは足尾駅です。他のわたらせ渓谷鉄道の駅
に比べるとちょっとおしゃれな感じです。

 話は元に戻るけど、材料や労働力を運ぶ交通手段
としての鉄道、ダムや電力開発など、銅の採掘という
一点でみんなつながっています。
 だから、その1つがなくなるとすべてが変わります。
       
   
     



 足尾の町の外れに古河掛水倶楽部があります。
(入場400円)
 こちらは足尾の迎賓館とも言われる建物で、旧邸
は1899年に完成、現在も古河機械金属(株)の福利
厚生施設として利用されているそうです。
 ここではほかに重役宅、所長宅、電話資料館など
が見学できます。
   
 重役宅はすごーくひろくって、建物だけで100坪以上。
迎賓館は日光や軽井沢あたりの高級ホテルと同等で、
宿泊室は調度品を含めて贅を尽くしているって感じです。
(なかの撮影はできないのでごめんなさい)
 そのほかにプールバーあったり、テニスコートがあった
りで、ここだけは別世界です。
 うーん不謹慎かもしれませんが、これ見ちゃったら暴動
を起こしたくなるのも分かる・・・。

       
 

 



 足尾銅山観光の資料館(入場無料)で案内役の方
が言っておられましが、足尾銅山の最盛期、その華
やかさ、豊かさは繁栄を極めた東京、横浜に劣らな
かったということです。

 ここには明らかな光と影があります。
 足尾は世界遺産登録を目指していると聞いていま
すが、
いったいそのどこの部分にスポットを当てようと
しているのかが気になります。
 個人的には光も影も残すことに価値があると思うの
ですが、いかがでしょう?

 なんか真面目な社会見学になってしまったのですが、
等サイトは決して社会派ではないので、次はお気軽な
場所に出かけることにしたいです。

       

     



2015.07

camera:Canon Power shot S100 / graphic tool: Digtal Photo Pro. + Ichikawa Daisy Collage 10