eye4工房番外編

人々の集う街角



2017.06.06
 今回は地方都市の密集した風景を再現しようと思っています。25cm×20cmの狭いスペースに、いろんな
ものを詰め込んで、密度の高いごちゃごちゃした感じを再現したいなと思います。



 上の画像は途中経過です。使用したのはsankeiの神社と駄菓子屋、katoのストラクチュアなど。でも密度
を高くして仕上げるってことはとてもお金がかかるってことで、今回は小さいながらも1万円以上の費用がか
かってしまいそうです。再現したいのは大人や子どもが集う、憩いのスペースです。



1 建築物の組み立て
 中心になるのは sankeiの小さな神社です。ペーパークラフトなのですが、これがまたとっても細かい。ただ
きっちりとレーザーカットされているので、工作の得意な人なら半日で仕上がると思います。

   1 レーザーカットされたベースからパーツを切り出して組み立ててゆきます。
    接着にはスーパーフィックスを使いました。
     

2 途中経過です。細かな部分は瞬間接着剤を使用
 すると効率よく作業をすすめることができます。
3 仕上がったところで、全体につや消しクリアーを
 吹き付けて調子を整えます。
 

4 いちばん細かな作業がここです。デザインナイフ
 で切り出した絵馬は短辺が0.5mmほど。
5 本殿以外の細かなパーツを完成させます。必要
 に応じてブラウンの塗料で墨入れすると良いです。 
 





 これが完成したところ。小さな神社だけど、それなりにすべての建造物がそろっています。
けっこう良い感じに仕上がりました。
 次はこどもたちの集う場所をつくります。



     6  次は同じく sankei の駄菓子屋さんを組み立てます。まずはベースから
      必要なパーツを切り出します。
    

7 接着剤の乾燥の関係から、説明図の順序を入れ
 替えて作業するのは効率を上げるポイントです。
8 屋根を残して母屋がおおむね完成。この段階で
 照明を組み込む穴を開けます。
  9 お菓子の陳列棚、アイスを入れる冷凍庫などを組んで
 取り付けます。


     10 屋根と看板を取り付けてとりあえずの完成。問題がなければ最後につや消し
      クリアーを吹き付けます。
    

11 壁面があっさりとしているので、配電盤とエアコン
 の室外機を取り付けてみました。
12 店の裏側には、真鍮線を取り付けて洗濯物を干
 してみました。
 






 手持ちのストラクチュアをいろいろと引っ張り出して、再度全体のレイアウトを考え直し
ました。
 次はおかあさん、お姉さんのためのお店をつくります。

13 看板建築の店舗です。照明を組み込むのでいっ
 たんばらばらにします。下の台は不要です。
14 照明を組み込むために天井に1.5cm×3cmほど
 の穴を開けました。
  15 光が透けて見えそうなので、屋根裏にアルミホイ
 ルを貼ります。

16 組み立て直して看板と軒を取り付けます。屋号
 は金色で装飾します。
17 裏側には例によってエアコンの室外機と配電盤
 を追加、郵便受けなどをそれらしく塗り分けます。
 

18 取り外した台に替わって、同じサイズのフロアを
 厚紙から切り出します。
19 展示スペースをつくり、フィギュアを塗装して配置
 します。夏ちょっと前の雰囲気です。
  20 本体と組み合わせて完成! せっかく一生懸命
 つくったけど、中があんまり見えなくなっちゃった。

 次はラーメン屋さんです。こちらは tomix のキットで、何種類の店舗から完成品を
選ぶことができます。

21 とりあえず素直に組み立てたところです。あっさり
 しているので、あちこち手を加える必要があります。
22 LED照明を組み込んだときに、透けてしまわな
 いよう、アルミホイルを貼ります。
  23 2Fのスペースにリビングをつくってみました。
 テーブルにキッチンは手作りです。

24 裏側の子ども部屋です。机とイス、ベッドなどを
 配置しました。
25 本体に組み込んでみます。がんばったけど中は
 あんまり見えなくなっちゃいました。
 

26 店舗部分のフロアを厚紙で切り出し、テーブルや
 イスを配置します。
27 例によってエアコンの室外機、配電盤、換気扇
 などを追加します。
 





 ということでラーメン屋さんの完成です。
 次はお父さんたちのために焼き鳥屋さんと小料理店をつくります。ベースになるのは
KATOの機関区施設セットです。これを加工してそれらしく仕上げます。

 

28 床と屋根を外し、飾り窓のための穴を開けます。
 今回も高さをそろえるため床パーツは使いません。
29 0.5mm厚のプラ板を加工して飾り窓を組み込んで
 ゆきます。
  30 右側は紅白の梅の樹を意識してつくったんだけど
 分かりますかね。

31 もう一方は焼鳥屋さん、背後のLEDが光ると文字
 が浮かび上がる仕組みです。
32 照明が透けて見えるのを防ぐため、こちらにも
 アルミを貼ります。
  33 エアコンの室外機、換気扇などをそれらしく配置
 します。

    34 のれんを下げると、お父さんたちの憩いの場は完成です。
    



 使用するストラクチュアはこれですべて完成しました。とりあえず並べてみて細かなレイアウト
を練り直します。
















2 地面の造形
 今回はジオラマのベースを完成させます。今回のジオラマは200mm×248mmというA4に満たない小さな
ものですが、建物6棟に加えて様々なアイテムを追加して高密度の空間を完成させる予定です。

34 18mm×6mmの角材をフレームとして5mm厚の
 スチレンボードを貼り付けてベースをつくります。
 

   35 このベース上で建物を配置してみて、基本的なレイアウトを決定します。配置は直接ベース上に
    鉛筆で書き込んでゆきます。
    

36 これをもとに型紙をつくりました。必要に応じて
 コピーをとります。
37 型紙をもとに高低差の必要な部分を厚紙で表現
 します。今それを切り出しているところです。
  38 ベースに貼り付けたところです。歪みが出るの
 で、 1枚貼るごとに重しをしておきます。

39 あらためて型紙から建物の配置や照明の位置
 などを書き込みました。
40 次は色塗りです。道路をダーククレーに塗り、
 マスキングしたところです。
  41 次は歩道、コンクリート、土と順にマスキングと
 塗装を繰り返してゆきます。

42 すべての基本塗装を終えて、マスキングテープを
 剥がしたところです。
43 つやを整えるのと、表面保護を目的として、全体
 に軽くつや消しスプレーを吹き付けます。
 

44 道路の質感を出すためにタミヤのテクスチュア
 ペイント(グレー)を塗っているところです。
45 土になる部分にはブラウンを塗ってゆきます。
 必要に応じて凹凸もつけます。
 



 ベースの塗装が完成したところです。テクスチャペイントはとても簡単に色合いだけでなく
その質感を表現してくれるので、とても重宝しています。





46 神社の境内を表現します。まずは石畳をPCで
 表現しプリンターに出力します。
47 貼り付けるとこんな感じになります。水に弱いの
 つや消しスプレーで保護しておきます。
  48 全体にサンドカラーを吹き付けて、埃っぽさを
 演出します。

 次に照明関係の配線をします。今回は夕暮れ時の路地裏を表現しようと思っているので
この作業は綿密に行いたいところです。

49 街灯はそのまま使えますが、室内照明は高さに
 合わせて切ったプラ棒の先端にLEDをつけます。
50 裏側の配線をしているところです。並列に接続し
 ハンダで処理します。
  51 点灯テストをしているところです。必要に応じて
 建物も配置して明るさなどを確認します。

52 大丈夫なら、トラブル防止のため、クリアファイル
 を適当な大きさに切ったもので裏側をカバーします。
53 自分の場合、壁にかけてジオラマを保存している
 ので、この段階でフックなどを取り付けます。
 

54 境内の砂利を表現します。まずはバラストをまん
 べんなくまきます。
55 霧吹きで全体を湿らせたあと、水で薄めたボンド
 をスポイトでしみこませます。
 



 建物を完全に固定し、ボンドが乾けばとりあえず一区切り。表通りとその裏側がこんな感じで
まとまりました。





 このあと、樹を何本か植えてフィギュアを並べてゆけば普通にジオラマとして完成するのでしょうが、
今回はここから更に時間をかけて作品として完成させたいと思います。











3 フィギュアやそのた雑多なものの配置
 とりあえずストラクチュアはベースに固定したものの、このままじゃ作品としての厚みに乏しいので、
細部を個々に見直してゆきます。



 まずはいちばん殺風景というか、閑散としているのがラーメンやさん周辺です。ここにまずは手を
加えることにします。

56 1mmのプラ棒と0.5mm厚のプラ板を使ってガレー
 ジの屋根をつくってみました。
57 これを店の横に取り付けた後、その横に1mm厚
 のプラ板で塀をつくってみました。
  58 軽自動車と自転車をレイアウトすれば、ガレージ
 のできあがりです。

59 まだこれでも寂しいので、屋上をつくることにしま
 した。プラ板などで縁の高さを増します。
60 厚紙とプラ板で屋上への出入り口をつくります。
 ドアノブもあとで追加しました。
  61 このままでは屋上の意味があんまりないので、
 洗濯物を追加してみました。

62 店の前に看板と小さなプランターをとりつけます。
 プランターは自作です。
63 お店の内部も手を加えます。店長とお客さんを
 追加、ラーメンもプラ棒からつくりました。
 



 次は裏通りの小料理屋、焼き鳥屋の裏のスペースに手を加えます。
これじゃあんまりにも殺風景というものです。



64 物置と裏口を追加します。こちらはさんけいの
 ペーパークラフトの余りからつくってます。
65 物置の前には小さな野菜畑をつくります。ライケ
 ンやターフをそれらしくレイアウトしています。
  66 裏口だけだとまだちょっとさみしいので、洗濯物と
 犬小屋を追加しました。

67 0.3mmの真鍮線を加工して下のようなフレームを
 つくりました。
68 これにフォーリッジを絡ませた後、黄色いパウダ
 ーをまくと、なんとなくウリ科の植物らしくなります。
  69 お隣の庭にこれを立て、あとはミカンのような感じ
 の樹を植えると、ありがちな庭の完成です。





 次は最も大きなスペースのひろがる境内です。緑いっぱいにしたいな。



 ターフをベースに各種パウダー類を混ぜて背の低い草を、ミニネイチャーシリーズで
ちょっと大きめの草花を表現しようと思います。

 

70 スポイトで薄めたボンドを垂らした後に、準備した
 草のもとをまいてゆきます。
71 神社裏はフォーリッジクラスターを使って、ちょっと
 うっそうとした感じに仕上げます。
 

    72  花はミニネーチャーシリーズのものを使用しました。あとは大きな木を立てて庭も
      完成です。
    

73 ベンチと電話ボックスを追加。神社は緊急避難場
 所に指定されることも多いので配置してみました。
 



 次は裏道を挟んで向かいの飲み屋さん、玄関先の飾り付けをしようかと思います。



74 プラ棒とプラ板で鉢やプランターをいくつか作っ
 てみました。
75 ターフやフォーリッジ、ミニネーチャーなどで、
 花をつくり、組み合わせてみました。
 

76 これを店先にレイアウトします。  



     77 駄菓子屋さんの横の壁のデコレートです。あちこちから取り込んだおもちゃメーカー
      のロゴを縮小してプリントアウトし、貼り付けてみました。
     

     78 洋品店の店先には夏のセールをPRする立て看板などを置いてみました。

     

79 ちょっとこちらの建物に一工夫します。タミヤの墨
 入れ塗料をざっと全体に塗ります。
80 これが乾ききる前にふき取ってゆくと、メリハリの
 きいた壁面に仕上がります。
  81 ラーメン屋さんの壁面にはこれを垂らすように塗り、
 雨だれを表現します。

82 建物自体は仕上がったので、エアスプレーで全体
 に埃や泥などの表現を加えてゆきます。
 



    83 今回セレクトした1:150のフィギュア、KATO製が8割、残りはTOMIXのもの。ただ細部に気になるところは
      多いので、ほとんどすべてのものに手を加えます。

     

 フィギュアについて言えば、間違いなく昔作られたものの方が上質です。正直なところ、最近の製品はそのままえない
ものもあって、なんとかならないかなと思うこともしばしば。
 1つ1つは身長5mmから12mmほどの大きさしかなく、修正にはそれなりの技術と手間がかかります。ですがここはぜひ
頑張りたいところです。ジオラマの主人公はやはりヒトだと思います。



     84 表通りに帰宅する高校生などを配置、屋上には洗濯物を取り込むおかあさん。

     

     駄菓子屋にやってきた兄弟、境内のベンチには初老の紳士。
      

     仕事帰りの若者二人が飲み屋さんに入ってゆく。
      

     犬小屋に頭をつっこんでいる犬。物置にはスクーター。
      

 とりあえず200mm×248mmというA4に満たない小さな空間に、詰められるだけ詰め込んで
みました。(でもまだ詰め込める・・・、もうきりがない)



 いろんなものを詰め込んだため、小さなジオラマだけど費用的には1万円を軽く超える制作費
がかかっています。まあ、しばらくはこのタイプのものはつくれないかな?







 では今回もこのシーンを再現するにあたって、設定したストーリーをお伝えして終わりにしたいと思います。
イメージは昭和40年代の地方都市、駅に近い商店街とその裏通り。季節は初夏です。


7月18日(火)
17:30
 毎日暑い日が続くようになりました。でもこの時間帯になると少しだけ涼しくこともあって、通りはいちばんの
賑わいをみせます。学校ももうすぐ夏休みですね。







 商店街から西に続く細い道は、もう誰も気に留めるような道ではありかせんが、鎌倉時代からある古道だと
いう話です。





 この道沿いにある神社は、今でも安産や健康を祈願する人が多く訪れます。
 夏には小さなお祭りも開かれます。







19:00
 表通りが暗くなる頃、今度はこちらの裏通りの明るさと賑わいをみせはじめます。





 夜も更けてゆきます。
 日をあらためる頃、ここに物音もしない沈黙の空間が広がりはじめます。

 このジオラマを制作するにあたっては、昭和40年代、地方都市、夏の始まり・・・みたいなイメージを
再現しようと思っていました。衰退してゆく地方都市も多くなって、なかなかこういった風景も見られな
くなっちゃったね。






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