eye4工房番外編

宮川橋梁



2017.08.09
 夏に高山から富山まで旅行に出かけたのですが、そのとき印象に残っている風景の一つがこちらの高山本線にかかる
宮川第10橋梁です。





 経年変化で色あせた鉄橋部分や、黒くくすんた脚注部分が歴史の重みを感じます。この橋梁が静かな水面に浮かんだ様は
なかなかに印象的でした。
 ただこのまま1/150のスケールでつくると川幅だけで1mぐらいになっちゃうので、なんとかこの雰囲気を残しながら全体を50cm
×25cmに縮小して表現したいと思っています。



1 基本工作
 今回活躍してもらうのは、KATOのカーブ鉄橋セットです。もともとは飯田線あたりのレイアウト制作のためのもののようですが、
雰囲気がかなり近いので利用します。というか、これなしでは制作できないと思います。
 ありがたいことに点検用の足場まで含めて、すべてがセットになっています。





     1 スチレンボードと18mm×6mmの角材を組み合わせたものをベースにします。大きさは496mm×200mmです。
    

    2 レイアウトを考えています。ここで問題点に気づきます、このセットの保線用の通路は画像のように下側について
     いるのですが、実際には上。これを修正するのは困難なので、そのまま使用します。
    

    3 レイアウトを確定し、最初に7mm厚のスチレンボードで川を再現したところです。
    

4 スタイロフォームで鉄橋の両端をサポートする
 土台をつくります。
5 鉄橋部分が長すぎるので、保線用の通路の一部
 を切り取りました。
  6 スチレンボードで土手をつくります。壁の部分しかつく
 っていないのは軽量化のためです。

    7 反対側は崖になっています。こちらもスチレンボードの積層で再現します。
    

    8 隙間がいっぱいあるのですが、この上にマスキングテープをぺたぺたと貼り、隙間を埋めます。
    

9 KATOのプラスタークロスを10cm四方ぐらいに
 切り分けます。
10 これを斜面や崖の上に置いて水を拭きます。
 しばらくすると石膏分が固まります。
 

    11 反対側の崖も同じように処理します。固まる過程で表面の凹凸の調整をします。
    



 とりあえずベース部分が完成したところです。プラスタークロスの石膏分がかなり落ちてしまっていて、ガーゼの
編み目が出てしまっています。これはあとで修正することにしましょう。





12 厚紙を切り抜いて、木工ボンドで固定し、道路を
 表現します。
13 地面と道路の段差が目立つところは、プルミエ
 (粘土)で埋めてゆきます。
 

14 凹凸表現の足りないところや、地面の形状再現
 にもプルミエを使います。
15 最後にモデリングペーストを塗って、下地の出て
 いるところを消し、表面強度を高めます。、
 



 下地処理が完了したところです。全部が白っぽくて分かりづらいですが・・・。







16 川の色を調整します。青と緑を半々で混食し、黒
 を混ぜで彩度を調整します。
17 今回は筆でぺたぺたと塗ります。別に何のテク
 ニックもいらないところ。
  18 土手部分は石垣になっているので、木工ボンドで
 これを表現します。乾けば丸石に見える!

19 グレーと黒を混食して石垣や路面、コンクリート
 を表現します。
20 コンクリート、路面のアスファルト、石垣の順で
 黒の割合を増やしました。
  21 土もリキテックスで表現します。グレーと茶を
 ベースに少量の緑を加えて塗りました。



 ということで基本工作が終わりました。なんとなく全体のイメージはつかめるかな?





 このあとストラクチュアや草木を加えて完成させます。
 もう秋も深まりつつある時期なので、季節感を出して紅葉の風景に仕上げられたらいいなと思っています。
完成まであと3週間ぐらいといったところでしょうか。






2 塗装と仕上げ
 ここまでで基本工作は終わったのですが、自分の製作したレイアウトに秋の季節のものがないこと、それからここのところ、
たくさん紅葉を見て楽しんできたこともあって、秋の風景に仕上げてみようかと思いつきました。

 

 ちなみにグーグルでこのあたりのストリートビューを見てみたら、ちょうど晩秋の風景で列車も走っていました。この画像を
参考にしながらプランを練ります。
 とりあえず左側には紅葉した樹木をたくさん植えて華やかに、右側はどちらかというと枯れた草木の多い、ちょっと寂しげな
感じのコントラストに仕上げようと思います。



1 まずは右側、石積みの壁面にちょっと明るめの
 塗料でドライブラシをかけます。 
2 歩道と車道を仕切るコンクリートを2mm角のプラ棒
 から切り出します。
3 細かいことですが2mm×4mmに切った厚紙を連ね
 て貼って側溝を表現します。 

4 マスキングテープで道路に描かれたラインを再現
 し、マットホワイトで描いてゆきます。
5 カトーのガードレールや手すりを取り付けます。
 写真とは違うものですが、そこは目をつぶります。
6 カーブをしらせる警告表示や反射板などをつくっ
 て取り付けました。



 グーグルのストリートビューを見ると、橋梁の下を通過する直前に「高荷車注意」と記された鉄のゲートが設置されている
ことが分かります。ここは目立つところでもあるので、きっちりとつくりたいと思います。

7 プラ棒やプラ板などを組み合わせてH型鋼をつく
 り、更にこれをつなげてゲートにします 
8 黄と黒の警告塗装をしたあと、レイアウトに接着し
 ました。

9 金網を切り、その上から細いプラ棒を万能ボンドで
 接着します。
10 このフェンスにメタルプラーマーを塗り、乾いたら、
 今度はグレーで塗装します。
11 「高荷車注意」の文字をポストカードにプリント
 アウトして貼りました。 



 これを取り付けたら急にリアル感が急に増した感じです。




    12 思うところがあって、川岸を少し横に広げてみました。
    


    13 いったん橋梁をばらばらの状態に戻して塗装を行います。
    

14 タンや赤褐色をベースにして赤さびに近い色を
 つくり、レールに吹き付けます。
15 乾燥したら、ヘラなどでレールについた塗料を
 落とします。 


16 本体部分はまずは艶消しグリーンをベースに
 調色した塗料を塗ります。
17 ベースカラーに黒や茶を混ぜ、この暗めの塗料
 を陰の部分にスプレーして立体感を出します
 

18 全体に艶消しクリアーを吹き付けて、乾燥させ
 ます。 
19 黄色やグレーなどのパステルをカッターで削り、
 筆や綿棒にとります。
20 経年劣化したと思われるような場所にパステル
 をこすりつけてゆきます。

21 橋脚は艶消しグレーをベースに暗めの色を吹
 いて濃淡をつけます。
22 このうち1本に水位を示す目盛りを貼り付けます。
 こちらもプリンターで出力しました。
23 橋梁本体同様、パステルで汚してゆきます。いち
 ばん左側が完成した橋脚。

24 橋梁の端を固定するコンクリートの台座をスチレ
 ンボードで表現しました。
25 アクセントとして倒木を追加。まあ、こんなことも
 あっておかしくないはずです。
26 川岸に生える背の高い草を植えこみます。葦とか
 そんなイメージです。

27 このあと透明樹脂を流し込むため、レイアウトの
 前後に養生テープを貼りました。
28 水の表現はカトーのリアリスティックウオーター
 を使います。緑で少し色をつけました。
29 1回の流し込みで1mmぐらいの層をつくります。
 乾きにくいので、これを3回行いました。 

 完全に乾くのに3日ぐらい必要でした。リアリスティックウオーターは今回初めて使ったのですが、ともかく乾燥が遅い。
量が多くて透明度が高いのは良いのですが、少量ならUVレジンの方が圧倒的に簡単だね。
 あと問題なのが粘性が高く表面張力が大きいので縁の部分が平らにならないことです。

    30 表面張力でできた凸部分をカッターナイフで削り、ペーパーがけをします。最後はクリアーを吹いて仕上げます。
    

    31 橋脚と倒木の凸部分は削ることができないので、塗装してごまかすことにしました。
     これは今後の課題だなあ・・・。
     



32 タン、茶、枯れ草色のパウダーやターフなどを4
 種類混ぜました。
33 これをまく場所に、まずは薄めた木工ボンドをた
 っぷりと塗ります。
34 上からぱらぱらと混色したパウダーをまきます。
 乾燥したら横にして軽くたたいて、余分を落とします。





35 今度は黄緑から濃緑色までのパウダーやターフを
 3種類混ぜます。
36 同様に薄めた木工ボンドを塗ったあと、このパウ
 ダーをまきます。こちらはむらがあった方が自然。
37 変化をつけるために、密集した草むらの市販品を
 部分的に貼り付けます。 





38 次は低木や背の高い草の表現です。こちらはコー
 ターフをベースにします。まずは枯れた色です。
39 こちらはグリーン系のコースターフを混合。この
 2種類を使い分けることにします。


    40 こんな感じで日当たりの良いところはグリーン系、日当たりの悪いところや北側には茶系の
     コースターフを木工ボンドで接着します
    




    41 植え込む樹を選別してます。紅葉の風景ということですが、赤、オレンジ、黄色の全部だとまとまりが
     なくなりそうなので、赤を2本、黄色っぽいものを少々という割合にしました。
    

42 目を引く赤2本の紅葉をまずは配置、バランスを
 みて黄色いものも取り付けます。 
43 この隙間にグリーン系の樹を取り付けます。密度
 は高い方がリアルです。



    44 黄色がもうちょっと派手でもいいかな、と思ったので、オレンジ系のコースターフを追加してみました。
     




45 直径30mmのコルククッションを切断し、レイアウト
 の裏側に取り付けています。
46 ダークグレーの塗料(リキテックス)で周囲を塗っ
 てゆきます。


    47 フィギュア2体と軽自動車1台を追加します。これを取り付けたくて川岸の面積をひろげたんですね。
    



 ということで、完成した作品の全体像です。もちろん車両は高山本線のNゲージです。









 



こちらがもともとの宮川第10橋梁あたりの風景です。
撮影日2017.08.20 8:30





 飛騨高山から富山に抜ける途中、思わず車を止めて見入ってしまった風景でした。
 今年の夏は大雨が続き、宮川を流れる水も満々としていて、まるで大河のよう。鏡のような水面にこの橋梁の
姿が映り、重厚感と思いがけない静けさを感じました。





 こちらではお見せできませんが、グーグルのストリートビューにはこの橋梁の秋の風景が載ってますので、興味があったら見てみて下さい。
スケールは違いますが同じような雰囲気に仕上がっているのが分かると思います。
 この先、ドールワールドリミテッドの準備で忙しいので、年末ぐらいから別の作品をつくろうと思います。もちろん今度は雪景色になると思います。





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