古殿



2018.04.20
 先週末、福島県にある古殿町に行ってきました。そのいちばんの目的はお花見です。こちらには「越代のサクラ」と呼ばれる樹齢400年の
ヤマザクラがあり、毎年この季節には多くの方々が遠方からも訪れるそうです。



04.20(金)
8:50
 常磐道をいわき勿来ICで降りて古殿町を目指します。早朝5時に出発して4時間、古殿はまだ山二つ向こう。やっぱり遠いなあ。



 こちらは県道71号線に沿って流れる鮫川。コンクリートの野暮ったい護岸もなく、なんとも素敵な河川敷です。ここでしばしの休憩です。







9:20
 のどかな風景を眺めながら北西方向にすすみます。





 こちらは鮫川の中流域。新緑が本当にまぶしい。

 

 鮫川を流れる水が澄んでいて、とってもきれい。
 集落もぽつりぽつりとある。だけどもう人の住んでいない家も多く、何度か見かけた小学校や中学校はすでに廃校になっている。今は
もう、きっともっと大きな学校にバスで通っているんだろうなあ。
 ちなみに鮫川に沿って走る県道14号線は、元々はいわきと白河を結ぶ御斎所街道という古道です。だから途中には宿場町もあって、
それなりに昔は賑わっていたのだと思います。



10:05
 常磐道を降りて1時間半、峠を2つほど越えて古殿町にやってきました。「越代のサクラ」という案内表示があったので、さっそくそちらに
向かいます。





 下大久田のモミ。数本の巨大なモミの樹が天に突き出している感じです。詳細な解説はありませんでした。



10:20
 今回の旅の最大の目的地に着きました。こちらが「越代のサクラ」です。



 樹齢400年、樹高20mのヤマザクラです。昔から銘木として知られており、訪れる人も多いそうです。今回はたまたま平日の朝に
訪ねることができたので、こんなふうにサクラだけ写すことができました。
 うーん、今日が快晴で良かった。背景は青空がいちばんです。
 迫力ある容姿をしばらく眺めていたら首が疲れてきた。





 観光案内図を見ると、古殿にはこの越代のサクラのほかにもサクラの古木や並木があるみたいなので、少し巡ってみることに
しました。







 たくさんの種類のサクラを見ることができるので、それがまた楽しい。





 こちらは町中を目指して移動する最中に見かけた集落です。
 まさにサクラの里といった感じです。





 空き家の前のサクラがとってもきれい。ただ小枝がからみあっていて、ちょっと窮屈な感じになっちゃっています。
 剪定してあげたい。





11:20
 古殿の町に着きました。おなかが空いたので、まずは道の駅でお昼にします。

 

 こちらでいただいたお蕎麦が冷たくさらされていてとっても美味しい。最初に口にした瞬間、まずは水の良さを感じました。



  こちらは道の駅の入口にあったチェーンソーアートです。ものすごくリアルに仕上がっていてすごい。



 これらはチェーンソーアートの世界チャンピオンである城所ケイジさんの作品で、町の各所に展示されています。(上は町役場)
東日本大震災の後、被災地巡礼プロジェクトの一環として古殿を訪れ、交流が始まったということです。
 でもどうやったらこんな細かな細工ができるのかな? チェーンソーってそんな小回りが利くのでしょうか、驚きの仕上がりです。





 そのまま町中をお散歩。川に沿って桜並木が続いています。
 ただこちらは(多分ソメイヨシノ)もう見ごろは終わって、すでに新芽が芽吹いていました。



 ただその花びらが川を流れてゆく様は、それなりに趣があります。



 こちらの八重桜はまだこれからってところです。いろんなサクラがあるので長い期間楽しめて良いですね。



 

 今度は古殿の町中散策です。周辺地域に比べれば目立ちませんが、ここでも人の住まなくなった家が多いです。
 大都市周辺以外では10年で1割人口が減るっていうのは、むしろありがちなこと。でもここではなんと10年で人口が3割も減っているという
事実があります。

 

 町を見下ろす小高い丘の上に古い稲荷神社があるのですが、平坦に整地された場所が階段状に続くので、おそらくは城跡ではないかと
想像しました。(あとで調べたら駒ヶ城というお城で、中世に竹貫氏が築いたもの)



 

 古殿は御在所街道の宿場街としての歴史があり、それをうかがい知ることのできる建物を今も見ることができます。
 でも古殿って鉄道路線が敷かれているわけでもないし、高速道路のICからも遠く、おそらくは白河やいわきからだとバス路線で1時間以上
かかってしまうのではないでしょうか。やっぱり観光で町を売り出すなんてこともなかなか難しいんだろうな。



 



 今回、桜の次に楽しみにしていたところ、豊国酒造さんです。



 こちらは江戸時代(天保年間)に創業した老舗の酒蔵で、お隣の石川町でたまたま買った一歩己(いぶき)というお酒が素晴らしかったので興味を
持ちました。基本的には昔ながらの酒造りをしておられるようですが、それにとどまらず積極的に新しい製品にチャレンジしているみたいです。

 

 今回は3種類購入。とりあえずもう一度飲んでみたかった一歩己の封を切りましたが、今回もとても良い。端麗辛口なんだろうけど、はじけるような
フレッシュさがあって、とてもさわやかな印象です。(うーん、表現が難しい)
 おかみさんが「なんでこんなところにまでやってきたの?」みたいなことをおっしゃるので、「ぜひもう一度こちらのお酒を飲んでみたかったんですよ。
この季節は桜見物もできるし、今しかないでしょ。」と言ったらとても嬉しそうでした。
 大丈夫、サクラとお酒で片道5時間かけてやってくる価値は十分あります。



 今度は路地を入って裏通りを歩きます。これがまた楽しい。



 自然のもの、人の植えたもの、人の放置したもの、どこからか飛んできたもの、そんなものがいろいろとまじりあって一斉に花をつけている様は
なかなかきれい。









13:10
 最後に訪れたのがこちら古殿八幡神社です。



 源頼義、義家父子が前九年合戦で苦戦してこの地に一時撤退しますが、その後、立て直して戦に勝利。その際、京都の男山八幡に戦勝祈願した
関係から、この地に八幡神社を創建したそうです。(1064年)

 

 こちらでは毎年10月の第2日曜とその前日に笠懸と流鏑馬が奉納されされます。(800年続く、現在は県の無形文化財)
 笠懸と流鏑馬を盛んにしたのは、源頼朝から社領地を譲り受けた竹貫の領主だったそうです。その竹貫の領主は引退すると伝統的にこちらの神社
の神職についてきたそうで、それが今も続いているそうです。



 この杉がまたすごい。30m以上の高さはあるかな。ぜんぜん画面に入りきらない。



 こういった場所にやってくると、地元の方は「よくこんな何にもないところに・・・。」とおっしゃるのですが、何にもないことはないです。
古殿にも桜、お酒、お蕎麦と水、お城と宿場町、田んぼと畑、深い山・・・、いろんなものがあります。ただこちらを訪れるならきっと春が
よいと思います。何といっても町全体が春の花に囲まれている感じが素敵でした。



2018.04
camera:Panasonic LUMIX GX8 + G VARIO 12mm-32mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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