きれいにプリントアウトする

プリンターの設定と拡大プリント



2018.06.19

 個展の準備は必要最低限のことは完了し、装飾などの2巡目の作業に入っています。そのなかの最も大きなものは写真のプリントといってよいでしょう。
 今回の個展ではたくさんの写真も展示する予定なのですが、きれいにプリントアウトするのに大苦戦しました。ここできれいなプリントを制作する方法に
ついてちょっと整理してみたいと思います。



 個展なのでちゃんとした写真を飾りたい。また将来のことを考えて保存性の高いものにしたい。そういう思いもあって、まずは最高画質のA4フォト専用紙
(1枚60円ぐらい)と純正インク(1本850円×6色、これを2セット)を用意しました。プリンターはEPSONのEP705AというA4プリントが可能な普及機です。
 WEBやSNSに画像をUPするなら基本無料ですが、これを本気でプリントアウトしようとするとお金がものすごーくかかります。計算上A4一枚で100円以上
かかる計算です。
 中井精也氏の鉄道写真展に感銘を受け、ちょっと本気になって写真プリントに取り組む気持ちになった自分です。





 オリジナル球体関節人形の aimi の画像です。これを例にとって作業過程を説明します。





 最初にプリントアウトした結果がこんな感じです。全体に青みがかかっていて彩度も低いです。
 ということでまずはプリンターの調整を行います。年賀状印刷の時もまあこんなものなので、これは想定内。





 
コントロールパネル>ハードウエアとサウンド>デバイスとプリンターへとすすみむとこの画面になります。ここで右クリックで印刷するプリンターを指定し、
印刷設定を開きます。(開き方は別の方法もあるので、あくまでもこれは一例)



 
色補正をユーザー設定にします。そして設定ボタンを押すと次の画面になります。



 手動設定でパラメーターを変化させ、テストプリントを繰り返して調整してゆきます。7〜8回これを行って、自分なりに調整完了と判断したのが
上の状況です。かなり基本設定と離れているのがお分かりかと思います。
 これはメーカーや機種によっても違うでしょうし、紙やインクを変えても変わります。(その意味で互換インクは混ぜない方が良い)
あと見た目の違いというのであれば、モニターのキャリブレーションも行っておいた方が良いということになります。




 ただ色の再現は近いものになってきたけれど、今一つ自分なりに満足なプリントにはならない。どういうことかというと、モニターでベストな画像は
必ずしもプリントしたときにベストなものではないということなのです。
 そういえば「透過光と反射光では感じ方が違う。」みたいなことをどこかで聞いたことがあります。



 ということで、今度は元画像の方をプリント用に再修正してゆきます。基本的に彩度を上げる一方で完全に黒ツブレしない程度に暗部の明度を
落とすという作業です。で、上がそのプリント用の画像です。

 そうこうしているうちにインク切れ、購入してあった純正インクと交換します。するとまた色がおかしい? どういうことかというと、年賀状印刷をした
ときに使った互換インクが4本ほど入ったままになっていて、純正インクに変えると色の出方が変わるんですね。
 ということでこの4本のインクを交換するたびにまた微調整を行います。

 あとはアスペクト比の問題があります。現在メインで使っているカメラ( Panasonic GX8 )は 3:4 のアスペクトで一般的な紙とほぼ同じ比率ですが、
Canon の機種は 2:3 の比率なので端っこに見せたいものが写っている場合には、そこが残るようにトリミングしておく必要があります。  



 実はこういった木漏れ日みたいなプリントがけっこう難しい。これをプリントで再現するって、微妙なトーンカーブの調整が必要です。

 コツみたいなものが分かってきたところで、昔のDOLL画像で気に入ったものも引っ張り出してきてはプリントします。10年以上前に
コンデジで撮影した画像のなかにも良いものがあったのですが、こちらはもっと手間がかかる。
 画素数だけで言えば300万画素程度でもA4にプリントアウトできるのですが、当時のカメラは諧調が乏しく、白トビや黒ツブレしている
ものも多いです。 修正できるものは修正して見られる画像にします。





 こちらは生産中止になって久しいJ-DOLL、懐かしいなあ。
 小さなお人形だけどファッショナブルだし、入れ目でウイッグ仕様と手間がかかっています。今つくっている1:6のDOLLはこんなものをつくってみたい
と思ったのがその始まり。
 ほかにもレアなもの、海外から直接購入したものなどたくさんあります。自分はけっこうなDOLLコレクターなんです。





 韓国 iplehouse の amy。以前はネット販売もありましたが、こちらもすでに絶版。10年前、これだけ可愛い娘はどこにもいなかった。





 これは Ashton-Drake社の 1:4 球体関節人形です。同社は赤ちゃんのお人形では有名みたいですが、こちらのシリーズは日本での扱いはなく、
アメリカから送ってもらいました。

なんてことやってると作業が進まなくなる!
古い本を捨てようと思ってめくっていたら、ついつい読み込んでしまう状態です。



 プリントが全部A4の同じサイズだと変化がないので、分割して大きなポスター印刷をしてみることにしました。そういう機能がプリンターにあることは
知っていたけど、やってみるのはこれが初めてです。



 最新DOLLの akane です。この画像を最終的に80cm×55cmまで拡大します。これはA4用紙9枚分より少し小さいサイズです。





 前ほど同様、コントロールパネルから入って印刷設定を行います。
四辺フチなしにチェックを入れてはみ出し量設定を行います。



 
より少ないを選択し、OKをクリック。Canonのプリンターも可能だと思いますが、設定方法は異なると思います。とりあえず印刷される部分が
最大になるようにします。機種によってはフチなし印刷を指定すると、割付ポスター印刷ができないこともあるみたいです。こればっかりは機能
の問題なのでどうしようもないです。(自分の場合もEP−M570Tという機種はダメでした)



 次に
ポスターを選択し設定を開きます。



 ここで
3×3を選択、フチなしポスター印刷にチェックを入れます。これでフォトなどで表示した画像の分割拡大印刷ができるようになります。
設定は名前をつけて保存しておくと良いでしょう。

 さて、こんなめんどくさいことをしなくても、世の中にはA2ノビまで印刷できるプリンターが10万円台から存在します。だったらちょっと頑張って
買ってみようか、なんて一瞬思ったのですが、インク1色が1.6万円もするんじゃ、やっぱり買えません。

 つぎはぎで印刷するのなら用紙も高いものでなくて良いかな? そう思って普通のスーパーファイン紙に「ややきれい」という程度の画質で
今回は印刷しました。こういうことを大量に行うなら、インクも純正でなく互換のものでも良いかも知れません。





  分割プリントした用紙には微細な余白があるので、長方形を保つように慎重にカッターでを切り落とします。

 

 A4の用紙9枚というと、余白を切り落とした段階で 888mm×627mm の面をおおうサイズになります。そういうこともあって今回は 800mm×550mm
厚さ 3mm のスチレンボードを選んでここに貼ることにしました。
 少々トリミングすることになりますので、まずは大まかに9枚のプリントをスチレンボードの上にレイアウトしてゆきます。
 位置が決まったらスティックノリで貼り付けます。液体ノリはしわしわになるので、粘着力はやや落ちますが固形ノリの方が良いと思います。100均で
見つけたのは3角柱のノリで、これは角までぬれてけっこう便利でした。

 

 一連の作業に慣れは必要で最初の2回は失敗、プリントからやりなおしましたした。コツとしては中央から、ないしは目のあるところからやり始めて周辺を
それに合わせてゆく。ノリをつけるなら紙でなく、スチレンボードにたっぷり。あとは経験、そんなところです。
 きちんと埋まらなかった
隙間には、パステルを削ってプラカラー溶剤で溶き、それを細筆で塗ってゆきます。



 あとははみ出した部分を切り取って、1つ完成。遠目には継ぎ目も目立たず、とりあえずは満足の仕上がりです。
 問題はここまで拡大するとお人形本体のアラが見えてしまうことかな? そう思ってよーく A1 に近いサイズの巨大な写真を眺めてみたのですが、
おかしなところは一つもなかったです。良かった、最新作はたぶんこれまででベストな作品であることに確信を持てました。この akane 自体も個展
の会場に持ってゆきます。





2018.06
camera:Canon PowerShot G7X / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10

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