秋田内陸線から五能線
2018.08.17~8.19
夏の短い休みを利用して秋田・青森方面にお出かけしました。秋田の北部、能代から先の白神山地や、ここを通る五能線にはまだ乗ったことがない
というのが選んだ理由です。あとおいしい郷土料理とかお酒なんかも楽しみです。
08.17(金)
11:20
夏の短い休みを利用しての旅行です。効率よく時間を使うために前日は那須に宿泊し、早朝5:00には出発しましたが、それでもスタート地点の田沢湖に
着いたのは、もう少しでお昼という時間でした。

田沢湖で小休止することにします。
湖畔にある御座石神社に、まずは旅の安全を願ってお参りです。

御座石神社という名は、秋田藩主・佐竹義隆が田沢湖を訪れた際、湖畔にあった石に腰かけて休んだことに由来しています。祀っている主祭神は龍神に
姿を変えた辰子(龍湖姫神)だそうです。御利益は美貌成就・不老長寿。美人はより美人に、そうでない人もそれなりに美しくなるみたい。

今回の旅のおおまかなコースはこんなところです。
まずはこの田沢湖を北上、秋田県最後の秘境と言われる阿仁地区を経由して能代へ、そこから海岸線を移動して青森県内に入るという予定です。どうなるか
分かりませんが、前日に今晩泊まる能代の宿だけは確保しておきました。
五能線沿線は観光客が増えているみたいで、宿の確保はぎりぎりになっちゃいました。
12:20
国道105号線に並行して秋田内陸線が走っています。日中は2時間に1本という路線なので、ちょこっと乗って戻ってくるというのも厳しいです。

左通駅の手前にちょっと良い感じの場所があり、通過時刻も手頃だったので、待ち受けて撮影してみました。山の中のローカル線なので、のんびりやってくるかと
思ったらものすごく速かった。あっという間に通り過ぎて行きました。
秋田内陸縦貫鉄道をなめてはいけません。

下りの車両も割合すぐにやってくるみたいなので、駅に移動して撮影することにします。

今度の車両は紫。秋田内陸線はカラフルでビビッド。そして速い。
▲ 上の画像をクリックすると出発の風景を動画でご覧いただけます。

国道105号線と秋田内陸線はときおり交差しながら更に北へ。更に山奥へ。
13:00
マタギの里で知られる阿仁地区の入口にある道の駅です。あたりに飲食店などないので、ここで昼食にします。

入口付近には木彫がずらり。
名産品はやはりクマやシカの肉です。

昼食でマタタビラーメンなるものもいただきました。
話によればマタタビは中枢神経に作用する成分が含まれていて、疲労回復や強精にも効果があるとか・・・。うーん、効果は良く分かんない。
元気になったような気もする。

県道を奥にすすんでゆくとマタギ資料館があります。マタギの文化歴史、現在のマタギの生活などの資料が展示されています。
14:15
ここは阿仁のいちばん奥まった集落にある阿仁マタギ駅です。

秋田内陸縦貫鉄道はJRから2つの地方路線を引き継いで営業を開始し、そののちにこの2つの区間を結ぶ、新たな線路をこの地区に敷設して現在に至ります。
でももともと沿線人口は少ないし、人口の減少もすすんでいて営業は苦しいみたいです。でも田んぼアートとか、観光列車を走らせたりして頑張っています。
ここ阿仁マタギ駅にはいろんな案山子が飾ってありました。


nano (オリジナルヘッド+オビツSBHボディ 2014 27cm)

打当川の急流の真上に鉄橋がかかっていて、このあたりでいちばんの撮影スポットらしいです。
でも樹が覆い茂っていてほんのちょっとしか車両が写っていません。

国道と並行して走っているので、同じ車両を移動しながら撮影することも可能です。

北秋田の手前で秋田内陸線と離れ、宿の予約を入れてある能代方面に向かいます。
16:50
宿に入るまでにはまだ時間があるので、市内を散策することに。

これは駅前の十字路、いちばん賑わっていているはずの場所ですが・・・。

なんか開いているお店は10軒に1軒ぐらいしかない感じです。
失礼ですが、ここまで寂れた場所を初めて見ました。

ここも駅徒歩1分の場所。
何かの工場だったか、それとも倉庫?


すごい・・。 延々と商店街は続いているのだけど、開いているお店はほとんどない。
通りには車がひっきりなしだけど、もし車が通っていなかったら、「ある日突然人がいなくなった」というSF空間そのもののように思えました。
人口減少がすすんでいるという話は聞いていたけど、まさかここまでとは・・・。

左はバスケットミュージアム、閉まったお店のシャッターにもバスケットボールの絵があります。
地元能代工業高校は高校バスケットの世界では常にトップレベル、全国制覇58回という強豪校です。全日本レベルの卒業生は多数。
いちばん有名なのNBA初の日本人プレーヤー田臥勇太(現栃木ブレックス)かな。

駅のホームにもバスケットゴールがあったりします。
あと「天空の不夜城」という七夕のお祭りも近年有名みたい。

17:45
駅前から中心街の柳町へ。

ここはよくある地方の商店街、飲食店も何軒かあります。
ちょっと安心しました。さっきまで晩ごはん食べるとこなくて、コンビニでお買い物? みたいな感じだったので。
でも通りにも公園にも人は少ないです。もともと能代は米代川の上流から送られてくる木材の加工で賑わった町、それが今、
木材だけではどうにもならなくなったということかな?

能代の街を飾る壁画、いいね。

能代はバスケットの街ということで、こんなお菓子もありました。

こちらは旧料亭金勇。天然秋田杉をふんだんに使用した木都能代を代表する建物だそうです。(昭和12年建築)
見学することもできますが、残念ながらすでに時間外でした。

18:15
この柳町の入り口にある満月というお店に入りました。

比内鶏、馬刺、鯨、何か秋田らしいおいしい食べ物がいっぱいで、とっても幸せでした。
ここのお店は間違いなくおすすめです。
08.18(土)
6:00
今日は五能線に沿って移動します。
すでに6:00にはホテルを出発。朝は空気が澄んでいて写真を撮るには良い時間帯だからね。のんびりなんかしてらんないです。

いちめんの田んぼの中のまっすぐな道、そして道の西側には防雪のフェンス、日本海側の穀倉地帯ではよく見る風景です。
今日は日差しこそ真夏のように強いのですが、風は乾燥していてとても強い。どことなく夏と秋が同居しているようなお天気です。

秋田と青森の県境あたりです。左手は世界遺産の白神山地。
7:20
こちらは白神山地のなかにある十二湖です。


深い森の中に神秘的な深い緑に染まった湖が点々と続きます。
ここを訪れる人は多いようですが、朝早いのでほぼ独占状態でした。


こちらは海岸に戻る途中で立ち寄った日本キャニオンと呼ばれる場所です。
9:24
今日のルートでは基本的にJR五能線と並行して走ることになります。

福浦を超えたあたりから続く海岸線はとてもきれい。それに加えてこの日は本当に撮影向きのお天気でした。
白い波と雲、そして蒼い空と海、明快なコントラストがいいね。
今回撮影した鉄道写真では、これがベストショットです。
9:50
このあたりは荒々しい地形や奇岩などが点在する海岸なのですが、こちらはその一つの大岩海岸です。
先端まで行くと360°の絶景を望むことができるのですが、観光客はなぜか少ないです。迫力のある風景といったら、このあと行った千畳敷海岸より上です。



10:30
深浦の道の駅に立ち寄りました。

イカ焼きやお弁当がおいしそうだったので、まだお昼には早いけど買っちゃいました。

あたりを見渡すと港の向こうに灯台があって、なんとか歩いてゆけるみたい。(鳥居崎灯台)

絶景のなかでお昼ご飯は最高!
ほかに誰もいない。ここはっきり言って穴場です。
11:30
ついにやってきました、こちらが有名な千畳敷です。


このあたりは地殻変動の激しいところで、海底の何度かの隆起と波の浸食によってこのような地形ができたんだそうです。延々と磯だまりのある風景が続きます。
生命を育んだ原始の地球ってこんな感じなのかも。

実は国道を挟んだ向かい側に五能線の「千畳敷駅」があります。時刻表を調べるとちょうどよいタイミングでここに戻ってこれそうです。
12:30
まずは五能線に乗って3つほど秋田県側に戻ります。


途中、変化に富んだ海岸線の風景を楽しみながら「驫木駅」までやってきました。(片道210円)
ここから眺める風景はなかなかのもの。ちなみにこの驫木駅は夕日の眺められる絶景の駅として有名みたいで、鉄道ファンも何人か撮影に訪れていました。

折り返しの車両がやってくるまでの30分間、駅のまわりをうろうろしたり、写真を撮ったりしてのんびりと過ごしました。駅舎には駅ノートもあったし、
なぜかぬいぐるみもありました。
いいねここ。最近、次の鉄道模型のレイアウトを考えつつあったのですが、この駅を再現してみようかなと思います。

▲ こちらをクリックすると「千畳敷」に戻る風景を動画でご覧いただけます。
15:45
昨晩のうちに弘前市内の宿の予約を入れておきました。

順調に来たので弘前市内もお散歩することにします。弘前に来たのは20年ぶりぐらいかな?
でも以前より閑散とした感じがあるかな? あとホテルでいただいた近隣のお食事処マップを見たら半分近くに「閉店マーク」がついていて
ちょっと不安に、ここも景気悪いのかな?

弘前のシンボルといえばやはり弘前城でしょう。
ただ現在、弘前城は修復中。本丸を取り囲む石垣をいったん取り崩し、そして再び組みなおすという、とても手間のかかる作業をしています。

この石垣の上にあった天守閣も本来の位置から北西側に移動。このときの移動には建物をレールの上に乗せてそのまま少しずつ移動させる
曳家という工法が用いられたそうです。本丸のなかは資料館になっていて、この曳家作業のビデオを見ることができます。すごい技です。
後方に見えるのは岩木山。

城跡は広い公園になっていて、テニスコートもあります。でも人はほとんどいません。

気づいたら、とてつもなく空が蒼い。
千歳に向かう飛行機と鳥、そして月。

ちょっとずつ秋が近づいている。

こちらは旧弘前市立図書館。八角形の2つの塔がおしゃれ、メルヘンだね。

こちらの裏側には弘前市内に存在する歴史的建造物のミニチュアがあります。

日本基督教団弘前教会。

旧弘前無尽社屋ビル。弘前では2番目に古い鉄筋コンクリート製のたビルです。

青森で最初の銀行となった旧第五十九銀行の本店(現青森銀行記念館)。
以前、弘前を訪れたときには、まず津軽三味線のライブをやっているお店に行って、そのあと駅前の仙台牛タンのお店でたらふく飲んで食べたことを覚えています。
津軽三味線のお店は今も元気に営業中、一方の駅前の仙台牛タンの店は消えてなくなってました。そのお店は「仙台牛タン」の看板ではあったけど、お刺身などの
海産物が絶品で、入手困難で今ではとても有名な地酒が何種類もありました。ぜひもう一度と思っていたのにとても残念です。
やっぱり、以前に比べると弘前はちょっと元気がなくなってしまったような気がする。駅前にあった建物は少なくなって、更地になっているところも目に付くし。
もちろん頑張っているお店はまだまだいっぱいあるんだけどね。
18:00
今宵は弥三郎という郷土料理のお店に入りました。

何を頼んだらよいのかよく分かんなかったので、1700円のセットメニューをオーダーしました。お刺身から始まって全部で5品、とてもおいしくボリュームもあって満足できます。
こちらのお店に入って正解でした。

08.19(日)
5:40
今日は最終日、隣の黒石へ早朝の出発です。

このホテル、けっこう良かった。二人で6750円というのは破格のお値段、サービス面も文句なし。
6:15
翌日は黒石市内へ。 黒石は弘前藩の支藩だったところで、陣屋の置かれた場所を中心として城下町がつくられました。


画像は「こまち」という雪除けの軒の連なる通りです。江戸時代の風景がそのまま今に伝えられています。

通りには重要文化財の建物や古い酒蔵などの歴史的建造物もたくさんあります。

こちらは消防団の建物です。建物もすごいけど、なかに入っている消防車もレトロで必見。


ポスターを見たら、ちょうど「黒石よされ」というお祭り(流し踊りで有名)の最中だったようです。

それじゃあ、朝早い時間帯ではどこも開いていないか・・・。と思ったら、もう8時には農産物の直売が始まりました。
気の良いおじちゃん、おばちゃんばかりで、お話できて良かったです。

もう一つ早朝から開店していた酒屋さんで地酒も入手、これでおみやげも完璧。

ということで、今回の秋田・青森の旅は終了です。
東京の一極集中とか、地方の衰退とかいうけれど、それは確かに少しずつすすんでいるかもしれない。
でも最後におばちゃんたちの笑顔を見ることができて良かったな。それが率直な感想です。
2018.09
camera:Panasonic LUMIX GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool:
GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10
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