ドールのメンテナンス 3 修復と再塗装



 個展が終わってから一ヶ月が過ぎようとしているけど、まだまだ作品の手直しが続いていて、新作の製作開始はもうちょっと先になりそう。
いろいろと人形で遊んでいると、どうしても人形自体に傷みが出てきたり汚れたりで、やっぱり時々手を加えてあげなければいけなくなる。
 ということで今回は汚れたり傷んでしまったドールやフィギュアの修復や再塗装について整理してみました。



 こちらは散歩や旅行によく連れてゆく人形ですが、こちらも前の手直しから2年が過ぎて、さすがに塗装の落ちや傷みも目立ってきた。



1 汚れを落とす



 まずは徹底的に汚れ落としをします。順番としては、水で薄めた台所用洗剤を吹き付け、しばらく待ってからティッシュペーパーで拭う。
それでも落ちなければメラミンスポンジで磨く、更にひどい場合にはスポンジやすりで磨く。ここまでやれば大抵の汚れは落ちます。
 もちろんメラミンスポンジやスポンジやすりを使えば表面のコーティングや塗装は多少落ちてしまいますが、再塗装すれば良いだけのことです。



2 キズや欠けたところを修復する

 

 大きなキズやカケのある場合には瞬間接着パテを使います。これは瞬間接着剤のようなものに白色のパウダーを混ぜて使うもので、完成後は
薄い透明度のあるピンク色に仕上がって、軽い力で切削もできる。今回はアイホールの縁に欠けた部分を発見したのでこれを使いました。
 こういった場合に使うパテとしてはこれがベストでしょう。素材もプラスチックから金属、粘土、何でもOKです。
 強度もあるので、力の加わる球体関節人形の関節部分もこれで修復しています。修復後に壊れたってことはこれまでありません。



3 再塗装



  修復が終わったら塗料の落ちかかった部分を再塗装します。
 今回はMr.カラーを薄め液で極めて薄く溶き、エアブラシを用いて少しずつ吹き付ける。濃いのはダメです、もろに修復したって感じが出ちゃうから。
あとは眉毛や睫毛、唇は細筆で手直しします。
 エアブラシはこういう作業では絶対に必要です。それほど高いものでもないので1台は備えておきたいところです。
 また細筆ってけっこう傷みやすいので、消耗品と割り切ったほうが良いです。だから高いものを1本というのでなく、数百円程度のものを何本か買って
おいて、状態が悪くなったら次のものに変えるという考えの方が良いと思います。



4 コーティング

 

 このままだと塗料がすぐに落ちてしまうので、次にコーティングを行います。自分の場合には、前にも触れたつや消しウレタンを使いますが、一般の方には
難しいと思うので、ここは塗装膜の強いアサヒペンの高耐久ラッカースプレー(つや消しクリアー)あたりを使うのが良いかと思います。
 注意事項としては、種類によっては再塗装した部分が、このコーティング剤によっておかされてしまうことがあるので、一気に厚みを出そうとせず。最初は
少しずつ吹き付ける方が良いです。



5 メイク

 

 最終的な調整は人間用の化粧品を使うのが良いです。少しずつ具合を見ながら、麺棒でチークやシャドウを置いてゆきます。流れとしては1つの色をおいたら、
軽くMr.カラーのつや消しクリアーを軽く吹き付け、更に色を重ねてゆくという感じです。
 使っているのは、スーパークリアーⅢ UVカットというものですが、若干つやが残っている感じなので、自分の場合には更にここに、Mr.カラーのフラットベースを
少量加えています。


 もし特にメイクは必要ないって場合でも、つや消しクリアーにはUVカットの働きがあるので、ここは吹き付けておいた方が良いと思います。
 あとつや消しクリアーは缶タイプのものと、ボトルに入ったものの2種類があるけど、小さなものの塗装には圧倒的にボトルタイプを吹き付ける方が無駄もなく、
やりやすいと思います。


 

 つや消し仕上げになっているので、唇にクリアーを入れる。
 あとこのドールは入れ目タイプなので、最後に睫毛をつけ、アイをパテで固定すれば、修復は完了です。




nano ( オリジナルヘッド+オビツSBHボディ 26cm 2018 )




 これでまた新しいお人形のようにきれいになりました。
 これからまだまだ活躍してもらうつもりです。この娘とは長年のお付き合いで、もう相棒みたいなものです。



2020.09
camera: CASIO EXLIM EX-ZR4100 &Canon Powershot G7X & Panasonic GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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