秋のお散歩旅 2

小田原(根府川)



2020.11.15
 さて今回のお散歩旅はJR東海道線の根府川駅周辺を巡ります。
 根府川を知らない人は多いと思いますが、小田原の南の外れにあって、おおざっぱに言うと伊豆半島のつけねあたり。その先には
湯河原や熱海といった温泉、観光地が続くので、はっきり言ってあんまり目立たないところです。



11:15  SUN 天気:晴れ
8:00
 JR東海道線の根府川駅に到着。
 土日は早朝行動が原則です。この時間帯なら全く混んでいない、そしてお昼には撤収する。これが今の時代のお散歩旅では大切です。



 駅は相模湾に面していて眺望は良好です。ただこういうところだから強風が吹き荒れると、このあたりで東海道線は不通になったり、遅延
したりするのでも有名。



 

 最初の目的地は寺山神社、駅から歩いて3分ぐらいのところにあります。
 こちらの神社の創建は不詳、でもとっても古そうです。



 毎年7月にこちらで奉納される鹿島踊りは、航海の安全、村落防衛、五穀豊穣などを祈祷する伝統芸能として有名。そもそもこの根府川は
「根府川石」で知られる石の産地で、その採掘と搬出のために多く人が集り、繁栄したという歴史があるそうです。





 神社から坂を少し下ってゆくと、岩泉寺というお寺があって、目の前がぱっと開ける。鉄橋にJR貨物が通りかかるところだったので、そのタイミング
で撮影してみた。



 なんかすごいな、画になる鉄橋だなと思って下ってきた。下から見上げたらすごい迫力です。



 後で知ったのですが、この鉄橋はけっこう有名な撮影スポットで、神奈川の橋100選にも選ばれているそうです。





 その鉄橋の下にあるのが「白糸川の釈迦如来」です。
 江戸時代のはじめに起こった地震では、家屋の倒壊や津波によってたくさんの方が亡くなられ、その供養のためにこの岩場に釈迦如来像が
彫られたそうです。
 実は先ほどの岩泉寺はもともとはこちらにあって、釈迦如来像の彫られた岩もその境内にあったのですが、その後に起こった洪水のため、
お寺そのものは今ある高台に移り、釈迦如来像だけここに残ることになったということらしいです。



 更にその後、関東大震災ではこの上にかかっていた鉄橋が落ち、山津波も起こって、岩に彫られた釈迦如来像自体も埋もれてしまったそうです。
 今では、埋もれてしまった釈迦如来像に達する穴が掘られ、こうして地下空間の中で再び拝見できるようになったのですが、もともとの如来像は、
人の目の高さよりも上にあったということだから、少なくとも3mもの厚さの土砂が押し寄せたことになる。すごい。



 こちらのお釈迦様はいろんなものを見てきたんだね・・・。
 何か、入った瞬間に空気が違う感じがしました。



8:40
 海岸線から上って再び県道に出てきます。ここから江の浦まで行って戻ってくるつもりです。



 途中、根府川関所跡もあったりするけど、説明書きがあるだけで、あとは何も残っていなかった。その傍らには2mぐらいありそうな巨大な岩が
転がっていた。この岩は関東大震災のときに発生した山津波で、上の方から落ちてきたものだそうです。そういうこともあって、この谷合には関所
どころか、昔のものは何も残っていないんだろうと思う。





 これは関所跡入口のバス停、横にある小さな説明は以前ここに敷かれていたという、「豆相人車鉄道」の説明です。
 昔はここには小さな人力の鉄道が通っており、ちょうどここに、その「根府川駅」があったそうな。でもとてもアップダウンが厳しかったので、場所に
よってはお客が降りて車両を押していたとか・・・。





 県道を南下します。相模湾を望む絶景ポイントが続きます。
 ここは県道740号線の白糸橋を渡ったあたりです。さっきの鉄橋も見えるので鉄道の撮影ポイントでもあると思う。ただここを歩いている最中に車両は
1両たりとも走らなかった。




 「新畑バス停」あたりです。下にあるのは江の浦という小さな港です。
 このちょっと先に「天正庵跡」という史跡があるのですが、ここも説明文のみで残っているものは何もない。こういうところだから人が何かしてあげないと、
地震や台風で何もかもなくなっちゃうのかもしれません。
 ちなみに天正庵とは豊臣秀吉が小田原攻略のときに、千利休に命じて作らせた茶室だそうです。そこまでして、お茶したいかって感じです。





 ところどころにこういった昔ながらの集落があったりして良い感じです。
 ただスピードを上げたバイクが多くて危ないし、騒音もうるさい。集落のなかの細く曲がった道で、制限速度は30km/hなんだけど、どうみてもその多くは倍のスピードで
伊豆方面に向かっている。
 今回のお散歩旅はここが最大の問題点でした。



9:30
 とても静かな大美和神社でしばしの休憩。

 

 こちらは江戸初期の創建で、集落の鎮守様。あとここでも鹿島踊りが奉納されているということです。



  ここが今回のお散歩旅の最高地点であとは徐々に下ってゆく。





 こちらは江の浦測候所、とってもビジュアルな測候所で予約すれば見学もできるそうです。この日も入場を待つ人多数。自分たちは行きあたりばったり
なので、予約なし、入れない。
 撮影スポットとしてはかなり良さそうなので、次の機会にはぜひ訪れたいです。



 測候所の前の紅葉です。とってもきれい。





 測候所を折り返し地点として、今度は江の浦港に向かって下りてゆく。ここはその途中で見ることのできる風景です。今回のお散歩旅ではここからの
景観がベストかな。これはここまで歩いてきたご褒美です。
 鉄道写真のスポットとしても知られているところだと思うのですが、googleによれば次の電車の通貨まで20分もあるので、今回はそのまま通過しました。
鉄道ファンにはもったいないって言われそう。



 

 県道と下の国道の間はいちめんのミカン畑がひろがります。たびたび災害の起こるような急斜面を開拓したっていうのがすごいね。そして階段状に整地し、
土が流れ落ちないようにしているのは、一つ一つ積み上げられた石です。石の産地だってことは分かるけど、ここまでするのにどれだけ時間がかかったんだろ。
 人と自然との闘いというか、いかにしてこの急斜面で生き抜いてきたのか、それを考えずにいられません。

 このお散歩旅は石にまつわる話が多いね。石に始まって、石におわるみたいな。まるでブラタモリみたいな感じだ。



10:20
 江の浦港に到着です。

 

 すごく小さな港なんだけど、ダイビングショップや釣具店、食堂、海水浴場とひととおりそろっている。あとは釣り人が多くて、けっこう密です。きっとよく釣れる場所と
して有名なんだと思う。




 ここから海岸に沿って国道135号線を元の根府川に向かって歩きます。さっきまでの県道よりは広いですが、歩道部分は狭くて迂回する道もない。歩くのには
ちょっと辛いな。




 そう思っていたらここにもご褒美がありました。こちらはヒメツルソバの群落、ここなんか崖の上から10m四方はありそうな感じです。
 ここだけでなくあちこちにこういった群落がある。



 どうでもいいけど、本来はこういうときにクラスター(群落)という言葉を使うんだけど、今は悪い意味でしか使われないね。もうこっちの方は危機的な状況だね、年末年始の
帰省も怪しいと思う。



 

 今回のお土産は干物とミカン、帰り道の途中、再び戻ってきた鉄橋のあたりで買いました。もちろんとっても美味しかったです。







2020.11
camera:Panasonic GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm/ graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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