TBLeague S35



新しいTBLeagueのアクションフィギュア

 自分自身、すでに人形はたくさん持っているし、自分でもけっこうな数をつくってきた。それでも、世の中の流れに取り残されてしまわないよう、
ときどき市販のお人形を買うことがあります。それがきっかけで、創作意欲が刺激されるってこともある。
 今1/6のリアル系ドールといえば、やはりTBLeagueボディが一番でしょう。シームレスのドールは他にもあるけど、ボディライン、肌の質感、
関節の出来、お値段、展開の幅広さなどを考えれば、総合的に見て敵うものはないと思います。




 TBLeagueが現在のように高い評価を受けるようになったのは、S07Cボディが発売されたあたりかな。
(左側、当時はTBLeagueでなく、PHICENと言っていた)
 ただ欠点がなかった訳ではなく、付属のヘッドがあまり可愛くなくって、別に市販のヘッドを買っていた人も多かった。自分もKT005というヘッドに交換しています。
(KT005もまた評価の高いヘッドで、10年以上経た今も発売されている)
 今回購入したのは、S35という小顔ヘッド付きのモデルです。(右側)
 こちらの肌の色はサンタンですが、このほかに金髪のペール(白肌)モデルもある。ただアジア系のフェイスには断然、黒髪+サンタンの方が似合っていたので、
ここは迷わず選んだ。
 最初の印象は〇。ただ付属する水着は実用性に乏しい、この点はマイナスです。
 そもそもTBLeagueは軍装したアクションフィギュアを得意にしていていたけど、ここにきて1/6のスタンダードな洋服でも似合うようなボディも発売するようになってきた。
以前の筋肉質のボディに着せられるような服ほ、高価な専用のものだけだったので、これはとってもありがたいこと。





 このような流れは、ちょっと前に発売されたS24AとS26Aボディあたりから始まる。 (左側はS24Aボディ、s26Aボディはこれよりやや細身で足が長い)
 だいたいS26Aボディなら、たとえばmomoko用につくられたものの2/3、S24Aボディでも1/3ぐらいが、着用できる感じかな。服選びについていえば、
肩幅と太もものあたりに余裕があるということが条件で、スリムで伸縮性のないパンツスタイルがいちばん厳しい。
 比較で言えば、ご覧の通りS35はs24Aボディより肩幅もなく、むしろスリムなぐらいなので、かなりの割合で市販の1/6の洋服が着せられそうです。
特にスカートとの組み合わせなら問題はほとんどなさそう。





 TBLeagueボディの足首には2種類のタイプがあって、このS35は右側のシームレスタイプです。この方がもちろん見栄えは良いのですが、立たせたときに
やや安定感がややない。(左側は分割タイプ)
 あと両方に言えることは、足の大きさが一般的な1/6ドールよりも大きくて、安価な市販の靴は入らず、こちらも専用品が必要になることです。
 そこで自分は左のような、足首が分割できるようなボディを主に購入して、そのうえでフットパーツを削って対応していた。
 服は良いとして、こちらはどうしよう? まさか切るってこともできなし・・・。





 ということで、同時に購入したのがS32Aボディ。(左側)  ぱっと見が、S35のフットパーツ分割、ヘッドなしモデルに見えた。しかも両方同時に購入すると
5%オフだったので、3分で決断して購入ボタンをクリックしました。 (S35の単品購入はAmazonで¥8,300、S32Aは¥6,211、11/24現在)
 そう、つまり状況によってヘッドを付け替えて遊ぼうと思ったわけです。





 でもこれは失敗。首ジョイントのサイズが違う。S32AボディはTBLeagueの標準タイプ、これに対してS35はs24A、s26Aと同様の小さなタイプ、これはたとえばオビツ
の植毛ヘッドあたりに対応するもの。
 考えたら付属する小顔のヘッドもオビツヘッドとサイズ的によく似ている。
 ということでS32Aの方はしばらく置いといて、これに似合うヘッドなりを見つけたら取り付けることにします。





 ハンドパーツもS24やS26と同じ小さなタイプです。
 S35がどういう流れのなかで生まれたものなのかが、やっとわかってきた。でも分かりにくいからここは整理してほしいな、たとえば首ジョイントが小さいものについては、
従来のSシリーズでなく、別なアルファベットを使った、たとえばTシリーズとか・・・、そうしないと混乱する。





 とりあえず裸のままでもかわいそうなので、全身にベビーパウダーをたっぷりとまぶした後、momoko用の服を着せてみた。ちょっときつかったけどパンツも入った。
 シリコンやTPEでできているドールやフィギュアにとっては、ベビーパウダーは必需品です。衣服の着せ替えのときに摩擦を小さくする、色移りや汚れに対する保護など、
これなしでは考えられないぐらいです。





 但しもともとはロングパンツだったけど、丈としてはサブリナパンツになっちゃったね。
 靴はほんのちょっとだけ持っているTBLeagueボディ用のものです。



 すごい、従来より一回り小さなヘッドだけど、ものすごくリアルです。
 でもこれで満足しちゃいけない、まだまだ可愛くなりそうな気がします。ちょっと創作意欲がわいてきた。

 でそのためにどうするかというと、いろんなシチュエーションでの撮影です。人間の目って結構怪しいところがあって、客観的に見ることができないことがある。
そこでいったんカメラのレンズを通して見る。そうすると肉眼では確認できなかった部分も見えてくる。





撮影してシミュレーションする

 お天気の良い日を見計らって、S35をお散歩に持って行った。
 室内とは違って、自然の光の中ではよりコントラストが上がって、凹凸が強調されたり、肌の透明感のようなものがはっきりわかる。あとは瞳への光の入り方、
影のでき方、なんてのもチェックポイントになる。

 

 こうやってみると、1/3スケールのドールに見劣りしない完成度のヘッドだけど、実際には幅が2cmちょっとの、小顔な1/6スケールのヘッドです。
面積的でいうと1円玉を少し大きくした程度しかない。
 気づいたけど、瞳がちゃんとキャッチライトとしている、瞳の塗装にも工夫があるかもしれない。もしかしたら最後にUVレジンとかを盛っているのかも。
 全体として東洋人的な特徴も良く出ている。いままでとは出来が違うな。
 長い脚と小顔のヘッドのバランスもいい。
 自分としては、これまで 07C + KT005 の組み合わせが一番のお好みだったけど、これもそれに匹敵する出来だと思います。





 TBLeagueボディ についていえば、やはりこのサンタン(日焼け肌)よりペール(白肌)の方が人気があるのですが、こうやって外で撮影してみると、
日焼け肌というより、むしろナチュラルな感じです。
 市販ドールの白肌についていえば、どちらかというと白すぎる傾向にあって、たとえばこれをカメラで撮影したとき、カメラは肌に露出を合わせるので、
背景が暗くなってしまう。あるいは背景に明るさを合わせると、肌が白トビしてしまうなんてことが起こる。
 こちらの写真は露出補正なし、だから屋外の明るい場所の撮影にはサンタンの方が向いている。

 持ち帰ったRAW画像を現像してみて、やっぱり完成度の高いアクションフィギュアだなと思った。東洋人をモデルにしたヘッドとしては、とても良い出来のヘッドだし、
小顔なこのヘッドと足の長いボディとの組み合わせもいい。
 ということで造形的には完全にOK、肌の基本色もこのままでいい。あとは少しだけメイクをして、もう少し美人さんにしたい。



 こちらはUP画像、そこそこ美人で、細部まできちんと仕上げられている。普通にはこのままで良いかもしれない。
 ただ今のままだと少し幼い感じ、小学校高学年から中学生ぐらいに見えないこともないので、ここはあと3~5歳ぐらい上のきりっとした感じのお姉さんに
しようと思う。



 まず最初に思ったのは眉毛の位置と傾きです。右側を基準として左側の眉毛がコンマ数ミリ内側に入っているので、ここはバランスをとる。あとは左右とももう少し外側に
フラットに伸ばしたい。(1)
 東洋系の顔なのでやむを得ないのですが、平坦な感じの顔つきを少しでも修正したいので、目頭側をやや暗めのチークを入れて立体感を出したい。(2)
 二重にすれば目が大きく見えるのでしょうが、この小顔ヘッドで二重に修正するのは困難です。ここは無難に瞼の目尻側にシャドウを入れます。(3)
 頬の上部にチークを入れて赤みを増す。(4)
 まず思ったのはそんなところです。

  
                    (1)                                        (2)                                         (3)



                    (4)

 上のイメージに沿って、メイクした状況をシミュレーションしてみました。作業はすべてGIMPで行っています。
(1)の眉毛の移動と傾きの調整は、
   <自由選択>で範囲指定、<にじみ>で少しずつ眉毛を移動
  という操作で行っています。
(2)から(4)のチークやシャドウを入れる操作は、
   <自由選択>で範囲指定、<境界をぼかす>100pic程度、最後にくトーンカーブ>を用いています。
   (このとき<トーンカーブ>で色合いを変えるときには強調したい色だけを選択する)

 何か、あまり変わってないなーって思った人もいるかもしれないけれど、眉毛やアイラインの引き方が0.3mm違うだけで、結果は全然違う。



 

  シミュレーションの結果に満足したら、チークやシャドウを入れてゆきます。広い面積にのせてゆくときには化粧用のチップ、狭ければ子供用の綿棒、
微細な部分は模型店で売っている塗装用のとがった綿棒、これらを使い分けます。
 基本は淡い色合いからです。この場合、薄く陰影をつけるのが最初、次に頬にチークを入れて、最後がシャドウかな。
 ポイントは1回で片付けようと思わず、全体のバランスを取りながら、薄く少しずつ色をつけるということです。やりすぎたと思ったら、細めのスポンジやすりで
軽く磨いて、色を落とす。
 作業が終わったら、アイのマスキングを行い、つや消しスーパークリアーを吹き付けます。




 乾燥したところで、眉毛を移動させます。デザインナイフで形を整えるように塗装を削り、延長したいところにはMr.カラーのレッドブラウンを塗ります。
何か気に入らないことがあれば、ここもスポンジやすりで磨いてやり直し。
 ポイントはともかく調子のよい筆を選ぶこと、塗料は一番伸びの良い濃度に薄めること、あとほんのちょっとリターダーを混ぜるとやりやすいかも。








 とりあず無難に仕上がりました。但しこれがベストかどうかまだ分からない。  これでしばらくして何かひらめくものがあれば修正します。
そうやって少しずつ完成度は高まってゆく。ドールやフィギュアは成長します。



2020.11
camera: CASIO EXLIM EX-ZR4100 &Panasonic GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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