秋のお散歩旅 3

小田原(根府川~小田原)



2020.11.23
 お散歩旅は今回も小田原、根府川から早川まで歩く予定です。距離は10km以上、途中にはけっこうなアップダウンもあるので、
4時間近くはかかると思う。お散歩旅としてはかなりハードです。


11.23 MON 天気:晴れ
9:15
 祝日ということなので、8時台の電車は空いている。小田原から熱海行きに乗ったけどガラガラの状態でした。



 今日も快晴、こちらJR根府川駅に到着したのが朝9時ごろだから、終了は午後1時ごろということになる。
 前もって散歩コースを確認したけど、あるのはミカン畑、古戦場、あとは眺望の良いところが点々とありそうです。





 海上に遠く見えているのは伊豆の東海岸と真鶴半島です。
 前回はこの根府川から南に向かって、ぐるりと反時計回りに移動して戻ってきたけど、今回は背後の山を上り、海岸線に沿って
まずは北上する予定です。



 進行方向には相模湾と小田原、湘南方面が望めます。





 まずは海岸を離れて山に入る。この道は山肌を開拓するときにつくられた古い道のようで、ミカン畑が延々と続き、ところどころに
民家があるって感じです。のどかで車の通ることはほとんどない。


nano & sayaka (オリジナルヘッド+オビツSBHボディ 26cm 2018 )





 眺望の良いところは何か所かあるのですが、ここは歩き始めて1時間、米神漁港を下に見る場所です。相模湾と小田原、
それから新幹線と東海道線の両方を望むことができる。鉄道ファンには知られている場所らしく、カメラを構える方が3名ほど。
 確かに良い場所だな。





 少しでも傾斜がゆるいようなところは切り開かれ、石垣を使って整地されてミカン畑になっている。



 歩いているのは山中をうねるように続く細く長い道なのですが、それを支えているのはこの石垣です。もしこういう石材がなければ道もできないし、
ミカン畑もできない、このあたりが開拓できたのは、根府川や早川が古くから知られる石の産地だったからこそということになる・・・。
 でもこの石材を山の上にまで運び込んだってことが、やっぱりすごい。ご覧になっている方は、ふーんぐらいかもしれませんが、実際に歩いてみると、
莫大ともいえるその量に驚くと思う。本当に気が遠くなるような作業を何十年も、もしかしたら何百年も続けてきたんだろうって想像します。人間の力はすごい。



10:15
 散歩道はいったん海岸線に下りてきます。



 ここは米神漁港、釣り人多数。たくさんお魚が釣れるので有名らしいです。



10:45
 漁港を後にしてしばらく歩くと、いきなり古戦場が現れる。(石橋山古戦場)
 1180年、源頼朝は相模の国の平定を目指して挙兵するが、平家方の大場景親にそれを阻まれる。そのとき源頼朝が布陣したのが
ここ石橋山と伝えられています。

 

 上の画像は頼朝に先陣を命ぜられ、大奮闘するも戦死した佐奈田与一義忠を祀った文三堂と、彼が討ち死にした場所。
 そもそもこの戦いは頼朝軍300騎に対して大場軍3000騎、圧倒的に不利だった。頼朝は命からがら逃げ延びることになります。

 

 こちらは佐奈田霊社、その名の通り佐奈田与一を祀っているところです。
 石橋山の戦いに敗れた頼朝はその後に勢力を盛り返し、ついには鎌倉幕府を開くに至ります。奥州平定の後、ここを再び訪れた頼朝は、
最初の戦いで窮地を救ってくれたともいえる佐奈田与一の墓の前で涙し、彼を祀る霊社をこの地に建立したということらしいです。
 それで霊社という名前なのですが、こういう特殊な事情もあって、明治政府による神仏分離政策から距離を置いたということなんだと思います。
 うーん勉強になった。でもこんな急な斜面で戦いがあっただなんて、ちょっと信じらんないな。





 ここまで歩き始めて2時間、歩いた距離6km、ペースは悪くないけど、まだまだ上りが続きます。
 紅葉がきれい、でもやっぱり、ちょっときついな。

 

 この道を上りきったところに次の目的地、石垣山があります。このあたりが本日最大の難所になります。



 石橋の古戦場から上り続けること30分、やっと稜線に出てきた。
 紅葉した山並みから相模湾が見える。



11:45
 やってきたのは豊臣秀吉が小田原攻略のために築いた石垣山城です。



 すでに天守閣はないけど、石垣や堀などは保存されていて、当時のお城の状況はだいたい把握できる。
 小田原攻略を目的として急きょつくられたお城なんだけど、つくりは決して使い捨てのお城じゃない。



 一晩のうちに築いたように見せかけたので、通称、一夜城とも呼ばれますが、実際に築城にかかった期間は3ヶ月だったといいます。
 でもすごいよ、本格的な天守を持った城をたった3ヶ月でつくるんだから。やっぱり戦いは財力だね、と頷いてしまいます。



 なるほど、ここから小田原の街や、小田原城の天守閣も一望できる。突然こんなところに城を築かれたら、北条氏も脅威を感じたに違いない。
あとこの城の石垣を組んだのは穴太宗で、近くには石切り場もあったというから、まさに小田原を攻略するには絶好の場所だったんだ。

 こんな感じで根府川と小田原の間って、石に関係する事物がものすごく多いです。石尽くしというか、石なしに語れないというか。ブラタモリで
やってもらってもいいぐらいです。



 ちなみにここまでのお散歩は、すれ違う人も全くないような道だったのですが、ここはれっきとした観光地で、ここまで車でやってくる人多数です。
傍らのレストランは評判の良いレストランで行列もできていた。
 ちょうどお昼時なので、このあたりで休憩とも思っていたけど、その列を見て断念。直売所で買った干柿とアルプスの天然水がお昼ご飯になりました。



 

 石垣山城から早川方面に下ります。
 風景は延々とミカン畑。もちろん畑は石垣で囲まれています。途中の無人販売所でミカンと柚子を買いました。ここのミカンと柚子はとっても美味しい、おすすめです。



12:50
 早川港の近くまで降りてきた。



 こちらは1024年に創建されたという真福寺です。境内には県の天然記念物になっているタブノキと12世紀の作と伝えられる観音菩薩があります。
(ご開帳は50年に一度)



 

 早川港に到着です。予定ではここで新鮮なお魚を買って旅は終了の予定だったのですが、以前行ったことのある鮮魚売り場は縮小され、
あちこちにおしゃれなお店や、海鮮丼などを売りにする食堂ができて賑わっていた。どちらかというと江の島や茅ヶ崎あたりに近い感じに変わっていた。
 お昼時で、けっこう密な状態に思えたので、自分たちは遠慮しました。



 ここから小田原駅まで2kmほどなので、この際、小田原まで歩いてお魚を買って帰ることにします。


 

 早川港から酒匂川を越えると、そこはもう広大な小田原城の城壁の中になります。
 当時、一帯は広大な城郭都市を形成していて、市内で発掘された遺構は400か所に及ぶということです。



13:45
 小田原城に到着、堀に映る紅葉が良い感じです。





 でも休日ということもあって人でいっぱい・・・。
 なんで遊びに行くっていうと、みんな人の多く集まるところに行くのかな?  人のいないところでも、良いところはいっぱいあるのにな。
ただしそれを楽しむためには、ほんのちょっとの努力と想像力が必要であることは間違いないけど。



14:10
 小田原駅に到着。ちなみにたずねてみる予定だったお魚屋さんはお休みでした。ちょっと残念。



 旅の終了は14時、疲れたってこともあるけど、ここは寄り道せずに帰ります。この状況下、 比較的電車が空いているうちに帰るっていうのも大切だから。
 秋のお散歩旅はまだまだ続きます。次はとっても長い距離を計画中です。



2020.11
camera: Canon Powershot G7X / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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