ドール&フィギュアの撮影
GIMPの色相・彩度を使いこなす
2021.12.28
今回は写真をレタッチしてきれいにする、あるいは目を引く画像にするというテーマで話をすすめます。
画像処理のアプリケーションのなかでも、明暗やシャープ、彩度などはその使用頻度が高いと思います。スマホだと簡単にこれらを一発で
調整できるアプリもあるけど、ちゃんとしたカメラとPCでこの作業を行うとより効果的です。(もちろんやり方を知らないとダメだけど)
以前にもご紹介したGIMPというフリーの画像処理アプリケーションを使って説明しますが、使い方を覚えるとつまんない写真が劇的に良くなります。
今回メインで使う機能は「色相・彩度」です。簡単にいくつかのシーンでのその使い方を解説をしてゆきたいと思います。
<1>
これが元になる画像です。特別何も手を加えていません。
基本的には人形と背景を分けて処理するため、まずは範囲指定を行います。
具体的には、
1 まずはドール部分を 選択>自由選択 して境界を 300pic程度ぼかす。(上の画像)
分かりやすくするためモノトーンにしてあります。これ以降はドール部分だけが変化します。
2 色>色相・彩度 で彩度を10%ほど上げ、同時に輝度を30%ほど上げる。
次に背景部分だけを変化左折ため、
3 選択>領域 の反転を行い、色>色相・彩度 から輝度を20%ほど上げ、同時に彩度を30%上げる。(上の画像)
<2>
ありがちな失敗写真です。日陰にある被写体を明るい背景で撮影してしまうと、こういう感じになってしまう。でもある程度修正はできる。
具体的には、
1 まずはドール部分を 選択>自由選択 して境界を 300pic程度ぼかす。
2 色>色相・彩度 で彩度を10%ほど上げ、同時に輝度を30%ほど上げる。
3 日陰は青みがかかるので、色>色温度 から暖色系の調整をする。
4 選択>領域 の反転を行い、色>色相・彩度 から輝度を30%ほど下げる。(上の画像)
これだけで普通に見られるような写真にはなります。(手を加えればもっと良くなる)
彩度や明度はそれ単独で行うこともできるけど、ほとんどの場合には両方をいじることになるので、この方が効率的です。
<3>
カメラは人物や人形があると、その顔の明るさを意識して絞りやシャッタースピードを調整しています。だから色白の人や人形を撮影すると、
こんな風に背景が暗くなってしまうことがある。
こちらの操作はもっと簡単で、
1 まずはドール部分を 選択>自由選択 して境界を 300pic程度ぼかす。
2 選択>領域 の反転を行い、色>色相・彩度 から輝度を20%上げ、彩度を10%ほど上げた。
こうすると背景がより分かりやすくなって、良い雰囲気になる。
<4>
左が元の画像です。ドール部分を選択し、彩度と輝度を上げてみた。そして最後にアンシャープマスクで輪郭を際立たせると
ドールが浮かび上がるような感じにまとまります。
<5>
こちらも日陰で撮影した画像です。
ドール部分は前の画像同様、彩度と輝度を上げて浮かび上がらせ、逆に背景の方は輝度を下げて暗くする。
日陰の場合には、どうしても画像が青っぽくなるので、もう一度ドール部分を選択して色温度を下げます。
<6>
ここからは応用編です。こちらが元画像になります。
1 手前に写っているバッグが邪魔なので、ツール>描画ツール>スタンプで描画 から周囲の画像を張り付ける。
2 ドール部分を 選択>自由選択 して境界を 300pic程度ぼかす。
3 選択>領域 の反転を行い、色>色相・彩度 から彩度を10%ほど上げた。
4 選択範囲を反転し、背景の彩度を30%上げ、輝度は10%下げる。(上の画像)
5 フィルター>強調>アンシャープマスク で背景の輪郭を radius 0.600、amount 10 ほど強調しました。
6 更に 色>トーンカーブ で背景のトーンを更に落とします。(上の画像)
最初に比べると、かなりドラマティックな画像になりました。
<7>
お寺の前で撮影しました。背景にピントはあっています。(画像A)
同じ位置関係で、人形の方にピントを合わせました。(画像B)
まずは画像Aを取り込んで、彩度と輝度を好みの色合いに調整します。
次に画像Bを画像Aの上にドロップします。そのうえでこちらも彩度と輝度を調整します。
1 画像Bで人形部分を範囲指定します。(自由選択が良い)
2 次に選択部分を反転します
3 レイヤー>透明部分>アルファチャンネルの追加 を行い、編集>消去 で画像部分の背景を消します。(上の画像)
4 画像A、画像Bの色合いをあらためて調整し、納得できたところで レイヤー>下のレイヤーと統合 を行います。
これだけ艶やかな色合いになると、プリントアウトして飾っておくのも良いかもしれないと思いました。
GIMPってフリーなんだけど、これだけのことができるので、自分としてはとってもありがたいアプリケーションです。これからも多分
ずっとお世話になると思う。
モデルドール :ayana
オリジナル球体関節人形 52cm 2009 mod.2021
主材料はラドール、その他ウイッグ、グラスアイなど。塗装はリキテックス、Mr.カラーなどで着色した後に高耐久ラッカー及び
ウレタンでコーティング。
2021.12
camera: Panasonic LUMIX GX8 + M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm / graphic tool:
S ILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 2.10 + Ichikawa Daisy Collage 10
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