秦野

名水の里として知られる街を一周してきました



2022.10.30
 今回は名水の里として知られる秦野市の市街地を一周してきました。古くは交易の街として発展してきたところですが、小田急線の開通以降は、
その景色もかなり変わってしまったようです。



10.30 SUN 天気:晴れ
9:10
 今日は神奈川県の中西部にある秦野を訪れました。
 丹沢大山国定公園の麓で、東京からは小田急線で1時間ほどという、ある意味バランスのとれた街です。



 人口は16万人ほど、駅前はこんな感じでよくある地方都市といった感じです。



 さて今回のお散歩旅は名水を巡る旅です。
 市内のあちこちから湧水があふれるという水の豊かな所なので、縄文以前から人々が住みつき、稲作も盛んに行われていた。ちなみにこの「秦野盆地湧水群」は
環境庁の「日本名水百選」にも選ばれています。
 土地としての特徴は市街地の真ん中を流れる水無川が広大な扇状地をつくり、その扇端部分から水があふれ出す。更には南北を断層に囲まれているので、その
丘陵地帯からも地下水が染み出すといった感じです。
 今回は名水で知られるところをぐるりと回って周辺を一周する予定です。





 駅から歩いて5分ぐらいのところにある「弘法の清水」です。
 その昔、弘法大師が杖を突きさしたところ、その場から水があふれ出したという言い伝えがあります。年間を通して水温は16℃前後、水量は100t/日。もちろん
飲料可です。軟水で美味しい。



 

 すぐ近くにある寿徳寺、創建は1800年と伝えられる。
 赤い本堂と山門が青い空に映える。今回はまだちょっと早かったけど、立派な銀杏の樹が色づくころは見応えがあると思う。
 この山門下にもこんこんと水の湧き出すところがあって、セリが自生してます。









9:30
 住宅地の真ん中に忽然と現れる今泉名水桜公園です。中央の池は湧き出した湧水が集まったもの。
 名前の通りの桜の名所ですが、水面に映る今の時期の紅葉もきれいです。



 

 こちらは今泉神社、古くからある村の鎮守様といった感じです。
 ほかにも道端には様々な神様がいて、このあたりが歴史ある地区だということが分かります。







 

 住宅地の真ん中にある小藤川遊水地です。小藤川の源流となるところ。梅雨時にはホタルが舞うので有名です。
 以前このあたりは、いちめんに田んぼがひろがっていたという。ただ今では宅地化がすすみ、そんな風景だったとは想像もつかないです。
 左の画像はは庭先のカキを食べに来たメジロ。



10:00
 ここから断層壁の上段の丘陵地帯に向かいます。



 こちらは丘陵地帯の入口にある白笹稲荷神社です。創建等は不詳ですが、伏見稲荷を祭って1774年に再建されたという。お稲荷さんとしてはかなり立派で、
関東三大稲荷の一つ。毎年2月には、五穀豊穣を祈って祭りが行われ、各地から大勢の参拝者が訪れるという。
 このすぐそばにも一貫田湧水が流れています。

 名水の里ということで、市としては観光的に売り出したいという意向もあるみたいだけど、このまんまでもいいんじゃないのかな。市街地や住宅地にぽつんと
オアシス的に存在する遊水地っていうのは、何かほっとする休憩地点だと思う。






 白笹稲荷神社の近くには美味しい落花生屋さんがあって、11月になると地元の豆を炒って売り出します。
 まるまると太った良い豆を仕入れて、まずは仕入れた豆を天日干し、そして窯で炒る。ここにごまかしはない。
 国外産のものに比べれば少々お高いけれど、香りや食感、そして少し甘みを感じる味が絶品です。ですが本物であるがゆえに、販売期間は限られています。
 お店の名前は「相原鋭治商店」ですが知る人ぞ知るというお店です。看板もなければPRもしてない、googleマップにさえ載っていない。唯一の目印はこの印象的な
お店の風貌です。


 

 ここから丘陵地帯を上ってゆくと、いちめんに畑が続くようなところに出ます。今回は行きませんでしたが震生湖という地元の方々の憩いの場があり、このあたり
からは丹沢の山々が一望できます。







10:25
 丘陵地帯を下って「出雲大社相模分詞」を訪れました。
 こちらは明治21年の建立された神社で歴史は比較的新しいのですが、四季折々のイベントが催され、訪れる人も多いです。
 周辺には深い森もあって、そこからは「ゆずりの水」と名付けられた湧水もある。



 手水舎がきれいな花で彩られていて、ちょっと感激でした。





 ここから市街地に向かって歩きます。おそらくはこのあたりも昔は田んぼだったに違いない。
名もない神社の鳥居越しに丹沢や大山が望めます。

 平安・鎌倉時代以前より、秦野はいわゆる矢倉沢往還の宿場町だったところです。(東海道の脇往還、畿内と関東を結ぶ古道)
 今も表通りから1本入ると、昔ながらの道がいくつも残っている。


 

 このあたりが旧市街地の中心だったと思われるあたりです。
 景色はかなり違っているとは思うけど、たとえば右画像の奥に見えるのはお豆腐屋さんの老舗、少し離れたところには酒蔵もあります。どことなく
風情を感じる場所です。




 1593年に創建された天徳寺です。街中にあってひときわ目を惹く建物です。



 近年の開発でものすごく景色は変わってしまったんだろうと思いますが、想像力を働かせるながら歩くのは楽しい。




 肉の「ナカムラ」、間口が大きくないので、小さな肉屋さんなのかなって思ったけど、入ってみてびっくりだった。

 

 店舗は細長く奥につながっていて、30m以上先に裏口がある。その裏口にはクラッシックなバイクが3台。
 表からは分からなかったけど、典型的な町家づくりです。
 こちらでメンチカツを購入、お昼ご飯になりました。


11:30
 再び駅前に戻ってきた。



 「まほろば大橋」の上の時計塔は街の今のシンボル。
 12月になるとこの橋と時計塔がライトアップされて、とってもきれいなんだそうです。



 秦野は新宿から小田急線で1時間ちょっとということで、以前なら駅近くなら都心や横浜への通勤圏、さらにはたくさんの工場ができたことで開発が進み、周辺からは
田や畑はほとんど姿を消してしまった。
 秦野は、おそらくは1950年代以降に劇的にその姿を変えてしまった場所のように思います。
 それが経済の衰退や東京への一極集中が起こって、今は人口が逆に減っている。
(この10年ちょっとで1万人ほど減少、一方で今は都心から30分から40分のところの高層化がものすごい勢いですすんでいるのが現実)
 この「空洞化」が治まる兆しは、まだしばらくは見えてこないように思う。



2022.10
camera: Canon Powershot G9X Mk.2 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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