蓑毛から秦野
2022.11.11
今回のお散歩旅は秦野の蓑毛地区を訪れた後、小田急線の「秦野駅」まで歩くという、山下りの旅です。秋満喫の1日でした。
きっとまた春になったら行くだろうなあ。
11.11 SAT 天気:晴れ
8:25
お天気の良い日を見計らって、丹沢大山国定公園の入口にある蓑毛に向かいます。基本、蓑毛より先に集落はない、丹沢の南麓にあっては最も奥にある集落です。
基本は小田急線の秦野駅からバスで25分、その終点で降りたらそこが蓑毛の集落です。
この日はお天気が良いこともあって登山客でバスは満員状態。紅葉シーズンを迎えて入山者はピークだったに違いないです。
ただ自分たちは「山登りはしない」。どういうことかというと、この蓑毛の集落を散策したら今度は秦野駅まで下ってゆく予定です。つまりは「山下りする」という計画です。
8:55
皆さんが丹沢の山を目指して登り始めるのを見送ると散策を開始です。
こういうことしているのは我々とあと一組ぐらい、だからとっても静かでのどか。
蓑毛というのはとても長い歴史のある集落です。そしてその中心的な存在である大日堂は、東大寺大仏造営に尽力した行基によって、742年に建てられたと伝えられています。
相模の国分寺はもともと海老名の国分にありましたが、平安時代になって山岳仏教に推移すると大山信仰とも結びついて、この蓑毛に移ってきたと考えられています。(878年)
室町初頭にはこの大日堂に道場が設けられ、300人を超える修行僧がここに集まったと言われています。
その後は一時衰退する時期もありましたが、江戸時代になると揖斐氏によって再建がすすめられました。
現在この地区に残る歴史的な建造物群はその当時のものです。蓑毛大日堂のほか、不動堂、地蔵堂、仁王門が国登録有形文化財に登録されています。
江戸時代に荒れ果てていた大日堂を修復したと伝えられる光西上人の墓、即身成仏されたそうです。
一番奥にある御嶽神社です。こちらは大正期の創建とされています。
ただ相模国風土記稿には、大日堂の境内に熊野明神を合祀した蔵王社の記載があるのに、現在は存在しておらず、それがゆえにこの御嶽神社が、もともとは大日堂と
不可分だったはずの蔵王社で、それが大正期に建て替えられ名前を変えたのではないかと考える人もいるようです。自分も明治維新の神仏分離の影響もあって、その
可能性は高いと思う。
一つ一つの建物がそれぞれに迫力ある景観を持っている。
歴史の重みを感じさせると言ってしまえば簡単なんだけど、このあたりは空気そのものが違う感じです。
高峰顕日によって鎌倉時代後期(1288年)に開山された薬音寺というお寺が以前ここにありました。
その後一時荒廃したと伝えられますが、この地を領地としていた旗本・揖斐与右衛門が身内の迎接院宝蓮信女の菩提を弔うため薬音寺を再興、そして現在の宝蓮寺に
改名されたと伝えられます。また同時に大日堂全体の建物群が宝蓮寺の預かりとなったそうです。
こちらのお寺のモミジは見事、一見の価値ありです。
9:25
こちらはとっておきの休憩ポイントです。大日堂の脇にあるここ「山くじらコーヒー」はおすすめです。
メニューのトップにあるのは、マイルドな「山ブレンド」とキレとコクのある「くじらブレンド」。いずれも400円と嬉しいお値段。
庭先でいただくコーヒーは最高、癒されます。
自分は来るたびに訪れます。
ぐるりと集落を一周するのも楽しいです。だいたい1時間弱ぐらい。
こちらは普通の田舎道なのだけど、江戸時代には多くの大山詣の人々が訪れ、さぞや賑やかだったに違いないです。 やはり昔は独特の宗教都市のような趣があったのかな?
集落の西の端を流れる金目川周辺の景色は、おそらくもう数百年単位で変わっていないような気がする。
あちこちにお地蔵様や仏様がいる。
秋は紅葉がきれい、春は桜と菜の花。そういうお約束通りの田舎の風景です。
でももちろんその風景は、何もしなくても保っていられるわけではない。きっと多くの人ががんばって守り続けているに違いありません。
蓑毛の集落から秦野方面に下ります。バスで上がってきたときには良く分からなかったけど、けっこうな急坂でバスの燃費も良くなかったに違いない。まあどうでも
良いことかもしれませんが。
下ってゆく最中にもいろいろなものを見かけたので、次はそのいくつかをレポートします。
まずは県道沿いに大きな淡墨桜があって、そのシーズンには見学者がたくさん訪れるところがある。今はそのシーズンではないのでそのまま通り過ぎます。
10:00
その少し先、蓑毛の入口あたりに緑水庵という移築された古民家があります。今回もこちらでまたしばしの休憩です。 (入館無料 国登録有形文化財)
今は金属の板張りだけど、昔は茅葺だったんだろうと思う。そこがちょっと惜しい。
ここにはマップやパンフレットもあるので、詳しくない人はこちらを起点にして行動するのも良いと思います。
駐車場もあって、まわりには自然観察できる森もあります。むしろここは蓑毛散策の起点かな。
「落ち着くねえ・・・。」
ちなみにジブリの宮崎駿氏も訪れたことがあるようで、トトロが描かれたサイン入りの色紙が飾られていました。
観葉植物の無人販売所って珍しいかも。
10:20
忽然と県道のど真ん中に出現する巨大な鳥居です。ちゃんと歩けるので、中央分離帯というよりは道路を左右に分ける中洲のような感じです。
この道は江戸時代には大山詣りの道でもあったわけで、それでこのようなものが建てられたということです。(1859年)
道のりはまだ3kmあるけれど、ここから先は大山の神域です。
パーフェクトな紅葉。
今年見た中では1番です。
周辺の紅葉も良い感じです。
紅葉を見たところを右折して田原方面に向かいます。
ちょっと坂を登ったら、第2東名を見下ろす絶景ポイントに出た。
11:20
田原には「田原ふるさと公園」があって新鮮なお野菜やお蕎麦が楽しめます。
また近くに「源実朝公の首塚」やゆかりの「金剛寺」もあります。
(このあたりの解説はまた別の機会にご紹介します)
見事な紅葉・・・と思って近づいたら全部、カキの実だった。
カキの実の紅葉すごい!
11:50
こちらは葛葉渓谷に架けられた吊り橋です。
人口17万人の秦野中心街にこういう緑地帯がある。(秦野駅から1kmほど)
ちなみにこういうところだから、駅から500mほどのところにある巨大なショッピングセンターにイノシシが現れて走り回ったというニュースが翌日流れていました。
nano(オリジナルヘッド+オビツSBHボディ 26cm 2018 )
旅はまだまだ続くよ。
2022.11
camera: Canon Powershot G9X Mk.2 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio
pro 7 + GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10
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