pearl



<久しぶりに購入した大きいお人形>

人形やフィギュアは数えられないほど持っているし、自分でもたくさんつくってきた。
 それでも世の中では、毎日のように様々な魅力的なお人形やフィギュアが登場していて、ときどき欲しいなって思う娘に出会うことがある。



 今回の出会いは Pearl という名前の球体関節人形(BJD)です。
 可愛い顔なんだけど、ものすごくお尻が大きくて、胸や太腿もたっぷり。見た瞬間に、よくこういうバランスでまとまったなと思いました。こういうコンセプトって、
下手をすると下品な感じになっちゃうのだけど、本当ぎりぎりのところまで攻めている感じです。
 見た瞬間にインパクトを感じて、次の数秒間で購入を決めていました。
 正式名称は shuga fairy 1/4 スケール BJDドール Pearl で身長は41cm。お値段は Aliexpress からの購入で19000円ちょっとでした。(メイク付きフルセット)



 1週間後に品物は到着、箱にはハイヒール足とメラミンスポンジがおまけで入っていました。
 メーカーとしてはこのドールを大々的に売り出しているらしく、Aliexpress だけでなく日本の amazon でもかなり多くのお店がこのドールを扱っています。ちなみに
日本での販売価格は19600円ぐらいからでした。(amazon)

 こういうものを中国から購入するとリキャスト(模造品)の可能性があったりするのだけど、他のメーカーでこのような人形を見たことがないし、amazon でも販売して
いるから大丈夫なのかな?
 ちなみにメーカーの shuga fairy も以前はリキャスト品も売っていたメーカーみたいなのですが、今はオリジナルドールを出しているようで、その他の内部事情などは
分かりません。

 もう3Dスキャナーと3Dプリンターがあればこういうお人形はすぐにできてしまうし、簡単にボディラインの変更もできる。もう何が本物なのか、一部アイディアを流用した
ものなのか、完全に模造品なのか良く分からなくなってきているのが実態です。



 さてお人形本体を観察してみての感想です。
 可愛いとは思うのですが、肌の色が薄いピンク色で、外で撮影すると白トビしそうだな。最近は黄変しにくくなっているとは言うものの、やはり紫外線対策はしておいた方が
良さそう。あとはメイクが顔のみなので、ボディのメイクもしておきたいところです。

 購入して早々、すぐに手を加えたくなるのは、身についてしまった習性かもしれません。
 しかしながらこういうお人形のフルセットが19000円で購入できちゃう世の中になったのはすごいかも。中途半端な手作り人形がどんどん隅っこに追いやられて絶滅危惧種
になってしまうのは、むしろ当然のことと考えるべきでしょう。
 それでも自分は人形作りをやめるつもりはありませんが、悲しいけど世の中の流れからはかなり離れてしまっているんだろうな。





<ボディメイクと紫外線対策>
 1年に何体か人形やフィギュアは購入しているのですが、最近になって手に入れたものは1/6スケールが中心で、こういった大きい人形を購入したのは、実に 11年ぶりの
ことでした。この人形について言えば造形の完成度が高く、ポージングの自由度も大きい。
 今の人形の世界には以前のような勢いはないけど、球体関節人形自体はとても良く考えてつくられているようですね。

 でも自分の目から見ると、手を加えたいところがないわけではない。
A 肌の色が薄いピンク色で少しつやがあって、晴れた屋外で撮影すると、すぐに白トビしそうな感じ。
B 最近は黄変しにくくなっているとは言うものの、やはり紫外線対策はしておいた方が良さそう。
C あとはメイクが顔のみなので、ボディのメイクもしておきたいところです。



 作業に使うのは、通常のMr.カラーのほかにこの3種類。
 右はアサヒペンの「高耐久ラッカースプレー つや消しクリアー」です。塗膜が強くて保護効果がある。真ん中は紫外線をカットする働きのあるMr.カラーGX113つや消しクリアー、
左は塗膜に強く、しっとりとした感じにつやの消えるGX114つや消しスーパースムースクリアーです。
 ボディは全くメイクが施されていないので、バストトップや爪などに薄くMr.カラーで色付けをします。関節部分も本来は軽く色付けをしたいのですが、こすれあわされてすぐに
落ちてしまうのでやらない方が無難です。
 もしやるのであれば、車の塗装にも使われる2液混合タイプのウレタンクリアーを上からコーティング処理するのが良いでしょう。但しこの塗料は高価で取り扱いも難しいです。



 立体感を出すため、くぼんだ所に微かにクリアーレッド+クリアーオレンジを1:1で混ぜたものを吹き付けます。
 次に紫外線をカットする働きのあるMr.カラーGX113つや消しクリアーを全体に吹き付けます。これで素材の黄変を多少なりとも軽減できるはずです。
 次に顔を除く全身に高耐久ラッカースプレー つや消しクリアーを吹き付けて透明層をつくり下層を保護します。但しこの塗料の場合、塗膜は強いのですが完全なつや消しでなく、
上の画像のように半つや消し状態に仕上がります。



 更につやを消すためには、程よいつや消しに仕上がるGX114つや消しスーパースムースクリアーを吹き付けるのが良いです。また簡単にはメラミンスポンジや細めのスポンジやすりで
こすってやるという方法もあります。



 ボディメイクが終わってお洋服を再び着せました。
 全体にほのかに赤みを帯びて、しっとりしたつや消しで仕上がっています。あからさまな変化ではないけれど、このぐらいの仕上げが自分としてはお好みです。





<プチリメイクします>
 次は顔のメイクをやり直そうと思います。



 このドールの場合、フルセットで購入すると最初から顔には眉毛が描かれ、赤に近いピンクで最小限のメイクがしてあります。ここはピンクだけが目立っている感じなのでトーンを落とし、
更には立体感のある感じにメイクをしようと思います。
 顔はデリケートなので高耐久ラッカーは使わず、GX113とGX114で仕上げます。目の部分を小さな紙きれで覆いながら、まずはGX113を吹き付けます。
 そのあとで茶系の人間用のチークで頬や顎の下などに色をおいてゆきます。薄めの眉毛も少し濃いめに描き直す。シャドウで目の輪郭を強調、まずはこんなところです。
 次に細い黒のマジックで目尻からアイラインを延長し、目尻の吊り上がった感じを修正します。



 すべての作業が終わったらGX114を吹き付けて完了です。これで少しだけ立体感が加わり、輪郭も強調されたように思います。また全体の明度を落としてつやを消した関係で、多少とも
撮影時の白トビに効果はあるはずです。
 最初の段階はこんなところ。 あとまた気づいたら手を加えます。そうして少しずつ人形は成長してゆく。



 このあといろいろな角度から眺めたり、いろいろな光の中で撮影してみたりしたのですが、やはりグラスアイが少し奥まったところにある感じなので、正面を外した角度から観察すると、
少し違和感を感じることがある。



 そこでグラスアイをいったん取り外して、瞼の裏側から睫毛を外し、瞼の下側に取り付け直して少しでもグラスアイが前に出るようにする。そのうえで見る角度によって白目の面積が
変わらぬよう、1サイズ大きな12mmのグラスアイを取り付けました。
(最初についていた直系10mmのグラスアイは瞼との間にやや大きな隙間が空いていた)
 これは効果抜群で見栄えがガラッと変わって可愛くなる。



 そして再び観察と撮影。
 このお人形の場合、ときおりすごく悲しそうな表情に見えることがある。それはそれで悪いことではないけれど、自分としてはニュートラルな表情が好みで、時々は笑顔を感じるような
表情に仕上げたい。



 眼や口はパーツとして考えたとき、その扇端部分の描き方で表情が変わって見える。
 目頭側にオレンジを追加してほんの僅かだけ引き下げ(A)、逆に下がり気味だった目尻にはシャドウを追加してぼかし(B)、悲し気な表場を和らげる。口の両側にはほんの少しのチークを
上に向かって入れて、微笑みを感じられるように調整をしました。(C)



 それでもなお和らいだ表情に足りないような感じがしたので、上の画像のように下瞼の外側を0.5mmほど削り、そのうえで下瞼の内側にピンクの塗料を差して、少し目が垂れた感じに
仕上げました。



 ニュートラルな表情で優しい感じがする。それでいて見方によっては微笑んでいるようにも、悲しげにも見えるというのが、自分の理想とするところです。
 様々なシチュエーションのなかで撮影するには、そういうお人形がこそが最も向いているというのが自分の考えです。






 ほんのちょっといじっただけで表情や見え方が変わってしまうのがドールの難しいところ。
 先が見えないようであれば、写真に撮ってPC上でアプリでシミュレーションすることをおすすめします。シミュレーション自体は慣れれば15分もかからないと思うのですが、
そのためにはアプリを使いこなす知識と技量は必要です。そこはお勉強するしかないです。




2023.11
camera: Panasonic DMC-LX7  /  graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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