eye4工房番外編

それは神ではない、ましてや悪魔でもない、すべては人の中にある



<ペーパークラフトをつかったジオラマ>

 個展に向けて新しいジオラマが完成しました。V2ロケットのペーパークラフトと1/24スケールフィギュアから自分のイメージした空間を再現しています。
 アイディアは往年の名作「猿の惑星」の第2話です。
















<ペーパークラフトキットの製作>
 メインとなるのはペーパークラフトキットで、ドイツが第2次世界大戦で実用化に成功したV1ならびにV2のロケット弾です。
 特にV2はフォンブラウン博士が設計を手掛けたもので、戦後の宇宙開発の原点になったと言われるもの。もっとも平和利用だけでなく、悲しいことに現在でも
多くの戦場で用いられるロケット弾の原型ともなっている。



 キットはご覧のように厚紙に印刷されたものをカットして組み立ててゆくというものです。スケールは1/24、完成すると高さ58cmになる。このキットはV1もセットになっていますが、
こちらの方は現在のところ利用計画なしです。
 お値段はこの2機セットが Amazonで1358円、ペーパークラフトではあるけれど、思わず安いと思って飛びついた。


 

 これに組み合わせる予定のフィギュアがこちらです。
 YUFAN MODEL「three goddesses」 という3体セットの女神様、YUFAN MODEL は中国のフィギュアメーカーで、3Dプリンターを駆使して、神話物、戦士、神、有名な
ヒーロー、ヒロインなどを1/10から1/48スケールで生産しています。
 自分としては夏の個展に向けて、V2と3体の女神を組み合わせて、あるメッセージ性の高い作品をつくりたいと思っています。
 それでこのキットのお値段がいくらだと思います? 自分は Aliexpress からの購入でしたが、なんと1415円でした。それも各1体ではなく3体セットでのお値段です。
政治的には中国といろいろあるんだけど、経済的にはもうしばらくお付き合いを続けないとやってけないな。

1 ペーパークラフトの台紙をカッターと鋏で切り抜い
 てゆきます。

 まずはペーパークラフトのV2からです。ペーパークラフトには2種類あって、すでにレーザーカットされていて直ぐに使えるものと、このように自ら切り離さなければ
ならないものがある。もちろんこちらの方が安価です。
 基本曲線は鋏で、直線はカッターと定規で処理します。ここはどちらも切れ味の良いものを使います。ペーパークラフトは「切断面」が命です。ここがぼろぼろだと
間違いなく見栄えは良くない。
 画像右のように小さな穴を開けるような場面ではカッターで部品を抑え、カッティングマットの方を動かしてゆくと正確に切れます。



 このペーパークラフトに欠点があるとすればこの説明書です。どこにどのパーツを使うのか、そのすべてが書かれていないし、裏面の解説に日本語はない。  




 ということでまずは先端部分だけを慎重につくってみることにしました。
 ペーパークラフトのポイントの2つ目は段差をつくらないことです。段差をつくるとインクののっていない白い切断面が出てしまうことになる。矢印のように裏から
紙を当ててのりしろをつくってから接着します。
 よくよく見たらこのことは説明書にもあったし、そのためのパーツもありました。

2 接着剤を使い分けながら、パーツの形をととのえ
 てゆきます。乾くまで動かさないのが基本です。

 使用する接着剤は2種類が必要です。左のような部分では厚みを持たせたくないので酢酸ビニルのボンド、右のように接着面が小さいところではコム系接着剤が良いです。



 きれいな先端は紙のパーツでは絶対つくることは出来ないので、紙粘土を円錐形に整えて先端部分に取り付けることにしました。
 これでとりあえずロケットの扇端部分だけはできあがりました。キットの特徴や制作手順は理解できたのでここからはスピードを上げます。




 でも穴からパーツを覗くと、紙自体がそれほど厚くないので、淡色で印刷されている部分が透けてしまっている。ここは少しでも重厚感を出したいところなので、
裏側から黒の塗料を吹き付けて透過光を遮断しました。
 ほんの僅かですが、外側から見ると「紙っぽさ」がなくなります。


 

 作業は3段目、4段目と進む。そして一番下のパーツを組み合わせる段階で作業は中断です。ノズル部分の処理が分からない。Aの穴にBびパーツを埋め込むのですが、
どう見てもサイズが合わない。
  このペーパークラフトの最大の欠点はやはり説明書で、どこにどのパーツを使うのか、そのすべてが書かれていない。おおまかな説明だけで、あとは自分で想像して
やってくださいってことでしょうか。
 自分の解釈の結果が右側です、多分99%正解でしょう。



 なんとか6つのパーツがそろったところです。


3  紙だけでつくるのは強度的に難しいので、必要に
 応じて木材で補強します。

 翼部分ですがこちらもすべて紙を組み合わせてつくります。「かくかく」とした仕上がりになるのは間違いないし、強度も不足しそうです。 「すべて紙でつくる」ということに意味は
ないので、前縁部分は薄板に変更し、全体も薄板で補強することにしました。
 あとはこの翼部分に取り付けるいくつかのパーツもあったのですが、取り付けることでかえってリアルさに欠けることになるので省略します。
 このキットを「精密なV2として完成させる」ことに今回あまり意味はない。どちらかというと兵器としての存在感が大きいことの方が重要だと考えました。




 組み上げたところです。完成すると1/4ドールよりも大きい。
 2機セットで1358円なので、値段を考慮すれば大きさは合格です。でもキットの精密さという意味では、なかなか手ごわいです。中級以上の腕前が要求されます。




このまま完成としたいところですが、よくよく見ると、あちこちに隙間があったり、紙パーツの切断面が白く残っていたり、予想外の凹みを生じていたりします。


4 形を整え、隙間を埋めて、クリアーラッカーで全体
 を補強します。

 上の画像のように、しわや目立った凹みは目立たないところからステンレス線を差し込んで持ち上げ、クリアーラッカーを吹き付けて固めてしまう。吹き付けたら乾くまで
2~3分じっとしている、面倒でもこれしかない。
 このキットの場合、ペーパーにあまり強度がないので、強度を増すために全体にクリアーラッカーを吹き付けてみました。これで紙独特の「毛羽立ち」も抑えられます。
 そのうえで瞬間接着パテでわずかな隙間を埋めると更に強度が増します。

 自分はけっこうペーパークラフトを利用してきたのですが、制作のポイントは何かと聞かれたら、おそらくは切断面の処理と答えると思います。きれいに正確にカットする
のはもちろん、切断面は紙素材の白色そのものが出るので、ここは印刷色と同じ色で塗らなくてはいけない。




  ここで問題発生です。おそらくこの迷彩は第二次世界大戦中のドイツ空軍が用いたRLM65、82.、83だと思うのだけど、Mr.カラーの色合いとはかなり違いがあり、調色が
必要だった。更にご覧のように「色ムラ」があって、収拾がつかない。

5 下地を生かしながら、RLM65、82.、83で全体を
 塗装してゆきます。

 このままでは「印刷そのもの」なので全体塗装をします。まずはRLM65をこのペーパークラフトの中間的な色合いに調合して吹き付け塗装をする。このとき下地が完全に
見えなくなるというのでなく、印刷の色を50%ぐらい残すつもりで仕上げました。そのほかの2色についても同様な処理をします。(画像中)
 しかしこのままでは「軽い感じ」が残ったままで、見るからにペーパークラフトです。
 重厚感を求めて更に塗装を続けます。調合は半艶消しクリアー50%、チャコールグレー45%、シルバー5%の塗料を無茶苦茶薄く作って、少しずつ吹き付ける。(画像右)
これで重厚感や金属感が出てきて、一見して「紙」には見えなくなります。くすんだシリアルナンバーなどはフラットホワイトで描きなおします。



 問題点はまだまだいっぱいあるけど、とりあえずこのロケットの制作はおしまいです。


<ジオラマベースをつくる>
 その昔「猿の惑星」という映画が大ヒットしました。人類が戦争を繰り返すうちに人類の文明は衰退し、代わりに猿たちがこの地球を支配するというSFものです。
 傾いた自由の女神がエンディングという、インパクトのあった第1話は世界的に大ヒットする。でもその後は期待に応えられることはなく、続編は作られてもあまりヒット
しなかった記憶があります。
 その第2話のエンディング、それでも最後は武力をもって世界を人類の手に戻さんとする人類が描かれていました。彼らが崇拝するのは核弾頭を搭載するロケットだった。
 今回はそれに近い空間を表現したいと考えています。



 最初考えたのは青森の浄土ヶ浜の風景で、北風と荒い波に浸食された切り立った地形をイメージしたものです。これでも悪くないのだけど、何か宗教感がほしいと思いました。



 一週間後にひらめいたのは細いコーンが立ち並ぶ風景です。壊れた神殿の支柱にも見えるし、ロケットの形状に近くて馴染んでいる。そしてパイプオルガンの立ち並ぶ
教会の景色に通じるものがる。
 ちなみに、こういうところでしめ縄や十字架で神聖感を出そうとするのは、ジオラマ的にストレートすぎてよろしくないです。

6 軽量粘土で細長いコーンをつくります。

 まずは高さ3cmから6cmぐらいのコーンを作りました。材料は人形作りに使われるプルミエという粘土です。軽量で強度が高いです。



 続いては10cmから20cmぐらいの高さのコーンです。これらは最初に作ったコーンを内型にしています。無垢の材料でつくると材料がたくさん必要になるし、作品が重く
なっちゃうからね。



 14個つくったところで仮配置してみました。けっこうイメージに近いものが出来そうです。もう少しこのコーンをちゃんとした形に整えて、数も増やしたほうが良さそうです。
 こちらはまだ無塗装の状態なんだけど、ここから少し神聖な感じのある空間に仕上げてゆこうと思う。


7 角材とスチレンボードからベースをつくります。起伏は 紙粘土でつけます 8 完全に乾燥したところで、最初につくったコーンを
 配置してゆきます。

 スチレンボードと角材でベースボードを作り始めました。基本サイズは40cm×30cm、ただ今回はちゃんとした「縁」をつけるつもりです。縁はあってもなくても良いように
思っている人もいるかもしれませんが、あるのとないのでは作品のイメージも変わってくることがあります。
 自分の場合、多くは縁をつけませんが、非日常的な空間や閉鎖された空間の場合にはつけることが多いかな。
 つけることで外界とのつながりを遮断する効果がある。絵画の多くは、そいの作品内で話は完結しているので、普通は額縁をつける。でもブロンズ像などの立体造形は
ひろがりのある空間を意識して制作されることが多いので、縁をつけるのは稀です。一方でこういう「情景」は中間的なものなので、その都度考えるようにしています。

 起伏をつけるのに粘土を買ってきました。100均なのでもちろん1つ110円、通常の粘土の1/6の重さで手につかないのが特徴だという。軽量なのは良いとして、ゴムのような
感じで、伸びにくく他の素材となじみにくいです。
 結局、水で薄めた木工ボンドを吹き付けながら作業をすすめ、最後はプルミエで全体の形状を整えました。この粘土はこういう作品づくりには向かないかも。

 

 とりあえずすべてのコーンを張り付けたところで、PCを用いてシミュレーションしてみます。
異次元空間なんだけど自然な感じが出るようにしました。こちらは実物でなく、PCで作成したイメージです。暗いイメージで青緑色の濃淡のある左側空間がいちばん
イメージに近い。
 それだけだと、やや単調な感じがするので、右側のようにメタリックな茶色を追加するとV2に似た迷彩になって、良い感じです。
 ということでこれをモデルにして塗装作業を始めることにいます。



9 モデリングペーストに「浴びっこサンド」を混ぜた塗料
 をつくって、ベースに塗ってゆきます。
10 この塗料が乾く前に鉄道模型用のバラストや細
 かな砂を撒いて、ざらつきを出します。

 まずは下地塗装です。色合いとしては紺色なのですが、そのままだとピュアすぎる色合いなので、ここに少量の茶色を混ぜて、少し濁らせます。この紺色は次に
緑や茶系の塗料を重ねたときに、色の深みや重厚感となってあらわれます。




11 RLM65、82.、83に近い色合いで本塗装を開始し
 ます。
12 V2ロケットを置いてみて、色調整を行います。

 第二次世界大戦中のドイツ空軍が用いた迷彩塗装の一つがRLM65、82.、83の3色迷彩で、先に仕上げたV2ロケットもこの迷彩方法に従っている。違和感なくなじむ
塗装ということで、この3色に近い色でベースを塗ります。
 暗い紺色の上に薄めた塗料を塗ったので、ロケット本体に比べて背景はまだまだ暗いです。一方でV2ロケットはやや塗装として軽い感じがある。
 調整としてはやったことは2つで、ベースボードは更に色を塗って明るくし、V2ロケットの方には黒鉄色を薄く塗って重みを増した。これで明暗のバランスはとれました。

 色調整は5種類あって、色相(色合い)と彩度そして明度の調整は一般的だけど、ジオラマの特徴として、あと反射率(メタリック塗装)とつや調整というのがある。
(6種類目として透明度というのもあるかも)
 ベースボードの明度を上げるというのは誰もが気付くものと思いますが、ロケットを黒くすると完全に景色と同化してしまうので、今回は暗くする一方で反射率を上げて主役
としての存在感を保つことにしました。
 これで馴染んでいなかった2つが、同じ場所にあっても違和感なく感じるようになりました。



 ここから先は、より印象的な作品にするための試行錯誤を行いたい場面なので、実際の作品には手を付けずに、この画像をもとにしてPCでシミュレーションします。
 いくつかあったプランの中で採用したのはこちらです。(こちらは上の画像をもとにしたPCによるシミュレーションです)
 地面部分の明度を下げて、宇宙空間のような不安定感を出し、そのうえでコーンの先端及びRLM83で塗装したところにカッパーを加えて輝きを出す。



 このプランに基づいて作品を再調整します。
 こういうことしている人はあまり多くはないと思うので、今回の記事も皆さんの参考になるという確信はないです。でも2次元の世界とは違って、反射率やつや、そして
透明感というリアルな世界での調整という面白さはあります。
 でもそのうちこれもきっちりと解析されてしまって、AIが簡単に結果を表現するようになっちゃうんだろうな。


 

 使用予定のフィギュア3体セットのうちの一つを完成させて、展示台に乗せました。
 最初の計画では、あと2体仕上げて脇に沿えて終わるつもりでいたけれど、撮影してみたら何かちょっと背景とフィギュアがつながらない。

 作業をいったん中断して、演出を検討します。
 そもそもこの作品のアイディアは往年のSF映画の名作「猿の惑星」の第2話に出てくる核弾頭を搭載したロケット弾がヒントになっています。ところが猿の惑星を知らない、
あるいはそのイメージが薄れている人は、上の画像を見て何と思うのか。
 きっと「なんでこんなところにロケットがあって、なんでコスプレお姉さんがその前にいるの? わけわかんない。」ということになります。
 アイディアがようやく形になってきたところで、やっとその事実に気づいた。


   13 ロケット関連の様々な演出を追加します。

 

 基本的にこういう架空の世界を表現するときには、その作品内だけで話が完結していなければならないし、かつまた矛盾があってはいけないというのが難しいところです。
 しばし考えてつくったのがこちらの階段です。
 まずは人とロケットを近づける。いわば祭壇のようなものをイメージしてつくってみました。
 V2に宇宙開発と武器という二面性があるように、この祭壇にも宗教的な役割のほかにV2の制御というもう一つの能力を持たせることにしました。下に転がっているのは
ジャンクパーツの箱から拾ってきたPCとスタンドで、制御のためのコントロールセンターに見立てるつもりです。(画像左)
 塗装は半艶消しのチャコールグレー、コントロールセンターは黒、モニター画面はUVレジンを使って透明感を出します。

 

 ロケットを打ち上げるためには燃料や電気的な設備も必要なはずなので、ジャンクパーツからいろんなものを拾ってきて、簡単な発射台を仕立てます。
 こちらは同じグレーでもメタルカラーを部分的に添加して反射率を調整しています。
 また円盤型のものは黒鉄色を塗った後、3回ほどクリアーを吹き付けて透明感とつやを与えています。

 前にも書いたけど、着色は色合い、明度、彩度の3つが基本ではあるけれど、ジオラマの場合には質感(つややざらつき)、反射率(金属感)、そして透明度のさらに
3種類が加わる。


 

  ロケットを外して上から撮影しました。 全体は長方形、ここに斜めに配管する。この方が配管がずっと外に伸びているような感じがして、広がりが出ます。コントロール
センターにつながる階段は、あえて配管の方向とはしないで傾けてみた。これも整いすぎるとつまらなくなることを意識してのことです。
 あとケットとのつながりが足りない感じがしたので、左画像のような竹パイプと竹ひごで配管を追加しています。



 コントロールセンターの拡大写真です。 「こういうのって、実際にありそう」そう思わせるものができたら良いと思います。



 こちらが全体画像です。修正する前より2ランクぐらい良くなった感じです。
 あとはフィギュアを置けば完成なのですが(多分)、当初使用予定だった2体は使わないことにしました。それは今回の作品のテーマをもっと明確にするあらたなフィギュア
が見つかったからです。





<フィギュアの製作>
 とりあえずロケットは良い感じにまとまった。
 自分としては最終的に人間の持つ狂気を表現したいわけで、そういう意味では登場するキャラクターは世界を見下ろすかのごとくに立ち振る舞う感じであった方が良い。
 途中でそのことに気付いたので、残りの2体は製作せず別のキャラクターを探しました。



 こちらは JiaLingBao が制作した shadowheart というフィギュアです。(Temuで1496円だったのですが、今見たら1017円に値下がりしてました、やられた!)
 厳つい表情であたりを見下ろし、階段に一歩踏み出したポーズがそのまま背景に合う。見た瞬間にこれだと思いました。
 基本はゲーム空間なのキャラクターのようですが、ゲーム空間内と同じ仕上げをしなければ、1つのフィギュアとして自分の作品のなかに取り込むことは出来るでしょう。
3Dプリンターでつくられている製品なので、キャストされたものより精度が高く、モールドも明確です。そのまま組むのなら手を加える必要はないです。
 3Dプリンターでつくられているのですが、念のためにパーツは中性洗剤で洗って乾かします。

14 多少の修正を加えながら組み立てを行い、塗装
 のために真鍮線を取り付けます。

 若干修正したのは膝の傾きで、階段の段差の幅に合わせました。やり方としては膝と足首の部分を切断してそこに0.8mm径の真鍮線を通して角度を調整、隙間をパテで
うめるというものです。
 また全体に前のめりの感じなのでかかとを中心にパテを盛りました。
 手を加えたのはこの2点のみで、あとはストレート、実にパーツの合いも良くてストレスがありません。

15 顔の塗装を行います。Mr.カラーで基本塗装を
 行って、あとは化粧品で整えます。

 塗装は例によって肌の部分からです。
 まずは白のサーフェーサーを吹き付け、上からMr.カラーのNo.111キャラクターフレッシュで塗装します。
 その後にMr.カラーGX113つや消しスーパークリアーを吹き付け下地を整えます。GX113はUVカットの効果があるので、自分は下地処理の最後に使うことにしています。

 メイクは例によって人間用のチークやシャドウを使います。太さの違う綿棒を3種類ほど用意して少しずつ作業をすすめます。一度ではあまり色が乗らないので、GX113の
吹き付けと綿棒による色乗せを交互に行って整えてゆきます。
 今回は凹凸や影を強調したいので、まずは暗くしたいところにブラウン系のチークを入れました。
 次に軽く頬や上瞼に紫に近いチークやシャドウを入れる。

 このままだと塗装がぼやっとしている感じなので、上瞼を基準として虹彩や眉毛、唇などをMr.カラーで描いてゆく。イメージとしてはメイクに「芯」を入れてゆく感じです。
 画像右はこれらの作業が1巡したばかりの状態で、ここで撮影をしてその結果をモニターで確認、あとは納得のゆくまで、2巡目3巡目と作業を繰り返す感じかな。
   
16 黒やメタリックカラーを基本色として、ボディを塗装
 します。

 次はコスチュームを描きます。
 基本は暗色でまとめることでしょう。自分はこういうときに素材が何であるかを考えながら色や質感を選びます。
A 基本的なコスチュームの色として、今回はつやありの黒鉄色を選んだ
B プロテクター類はメタルブラック
C ゴム系と考えられるところは、完全つや消しのブラックグレー
D 革や紐といった素材の部分は艶消しの黒
 といった感じです。
 あとはポイントポイントにゴールドやレッドをアクセントとして入れ、最後にGX114つや消しスーパースムースクリアーを吹き付けて仕上げます。
 このフィギュアについて言えば、モールドもはっきりしていて、とても塗り分けしやすかったです。




 いよいよこちらを背景に取り付けて完成! といきたかったのですが、どうにも階段の段差が予想と違ってやや大きすぎる。
 やむなく階段をいったん外して、ステップの間隔を狭めた(ステップの数を増やした)



   17 更に追加の修正を行います。

 さて今度こそ完成! といきたかったのですが、いざフィギュアを配置してみると、どことなく色調、特に明度のバランスが悪い。
 主役を黒の基調でまとめたので、背景が明るすぎるという問題が出てきた。あと座り姿の脇役が浮いている感じがする。

 

 そしてフィギュアを2体載せたら、その重みでコントロールセンターが少し揺れる。このまま個展のときに車に乗っけて移動させると壊れるかもしれない。
 こういう作品は初めてなので、いろいろ考えて制作はしているのですが、やっぱり見落としが多かった。

 見たことのない空間を想像してつくるって難しいです。
 今日は完成と思っていたのですが、まだまだ最終調整をしなくちゃいけないみたいです。

 

 そして更に困ったことに、部屋でつまづいて、作品が粉々になってしまった。
 こんなことになるなら早めに保存箱をつくっておくべきだったと反省しますが、もう遅い。翌日から3日間は復旧作業になりました。個展前なのでとっても痛い、でも修復跡は
結果としてがほとんど残りませんでした。これは幸運だったかも。

 復旧作業の傍らで作品を収める箱もつくります。こんなことになるなら、もっと早くつくっておくべきでした。
 保管のため、運搬のために保存箱は必須です。保存箱は何でも良い訳ではない、作品の大きさに合わせてぴったりのものをつくります。ぴったりサイズであれば、作品が
箱の中で動くことはない。材料は主にスーパーからもらってきたダンボール箱です。
 基本、作品は上から出し入れするので、ふたは上につけます。ただ今回の作品は高さがあるので上から出し入れするのは難しいです。そこで横にふたというか扉をつける
のですが、こういう作りだと強度に問題が出てきます。
 そこで扉自体にスチレンボードの枠をつくり、一方で箱本体の受けの方にはふたがぴったり収まるような木枠をとりつけます。
 復旧は完了し、箱も完成しました。





<完成画像>






 V2というペーパークラフトキットをメインにした1/24スケールのジオラマが完成しました。
 V2はドイツが第2次世界大戦で実用化に成功したロケット弾で、フォンブラウン博士が設計を手掛け、戦後の宇宙開発の原点になったと言われるもの。
 もっとも平和利用だけでなく、悲しいことに現在でも多くの戦場で用いられるロケット弾の原型ともなっています。






 制作中にも書いたけど、この作品を思いついたのは、往年の名作「猿の惑星」の第2話がヒントになっています。
 この猿の惑星という映画は戦争を繰り返すうちに人類の文明は衰退し、代わりに猿たちがこの地球を支配するというものです。そして傾いた自由の女神がエンディングという、
インパクトのあった第1話は世界的に大ヒットする。
 第2話では、武力をもって世界を人類の手に取り戻さんとする地底人たちが描かれていました。彼らが崇拝するのは核弾頭を搭載するロケットだった。そしてその地下空間にも
猿たちが攻め込んできて、最後に人類は核弾頭を起動させてしまう。



 細長いコーンの林立する背景、そして簡易な発射台とそのコントロールセンターは100%自分のイメージした架空の世界です。
 もちろんそのため背景の方もほぼ完全な手作りで、角材や粘土、ジャンクパーツ、あるいは市販のジオラマ用のストラクチュアなどを材料としています。
 フィギュアはもともとは JiaLingBao が制作した shadowheart という3Dプリンターでつくられたキットですフィギュアです。基本はゲーム空間なのキャラクターのようですが、
ゲーム空間内と同じ仕上げはしていません。

  この作品づくりは、自分がとても危険な現在の世界状況を危惧しているところからスタートしています。ウクライナやパレスチナのガザ地区での出来事は自分としても衝撃的
でした。たくさんの人が死んでゆくこと自体が異常ですが、それを平然とやってのける指導者がいること、またそういった人たちは当然非難されなくてはいけないのに、むしろ
その味方に回ってしまっている指導者がいること自体も異常です。
「強いものが兵器を背にして人々を見下ろす」 ここに正義などない。失うものはあっても、何も得られるものはない。その歴史の繰り返しが未だに続いているという現状を、この
作品で表現したかった。



 彼女が手にしているのは「人々の運命」 そして向かう先はロケットの操作盤
 ここには狂気に支配された人間がいる

 作品のタイトルは「これは神ではない ましてや悪魔でもない それはすべて人のなかにある」
 分かりにくい作品だと思うので、タイトルで説明することにしました。

 こういう抽象的、比喩的な作品というのはやはり難しい。この記事を書きながら、長々とした説明が必要なところに、まだまだ作品の弱さがあるなって思ってます。
でも現時点ではこれで精一杯です。もしかしたら近い将来、良いアイディアが生まれたらリメイクする可能性はあると思います。



2024.07
camera: Panasonic DMC-GX8  M.ZUIKO DIGITAL 12mm-50mm  /  graphic tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10



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