eye4工房番外編
三陸鉄道「恋し浜駅」
<久々にNゲージのレイアウトをつくる>
昨年秋に三陸の南部を巡る旅をしてきました。
震災遺構なども見学して、今さらながら津波の恐ろしさを体感してきました。大人の修学旅行といった感じで、なかなかにインパクトのある旅でした。
その最終日、復興のシンボルとも言われる三陸鉄道に少しだけ乗ってきました。区間は「恋し浜駅」と「盛駅」の間の往復です。



なかなかに風光明媚な駅で遠くに三陸の海を臨むことができます。行った時にはあいにくの雲天でしたが、晴れていたらもっと奇麗だったに違いないと思いました。

そしてこの海岸にも津波は押し寄せ、駅のすぐ眼下まで到達したのだという。


以前より三陸の旅で見てきたもののいくつかをジオラマにしようと思っていたのですが、その第1弾としてこの駅を選びました。自分にとっては久々の鉄道模型の
レイアウトになります。

<制作プラン>

駅の特徴として土手のかなり高いところにホームはある。まずはこの迫力ある地形を表現したいところ。

ホームはとても長く、ざっと見て70mぐらいはあると思う、バランスから考えて少し短く表現したい。それでも1/150スケールで50cmほどの長さは必要と考えます。
あと盛駅方面に向かって緩やかに右カーブしていますが、これを表現するのは難しいのでストレートな表現に直します。
いろいろ考えながら少しずつ頭の中でイメージを固めてゆきます。
もともとここに1985年に駅ができた時には「小石浜駅」だったそうですが、地域住民の方が駅誕生を祝って詠んだ短歌に「恋し浜」という表現があり、ブランドホタテ
「恋し浜」にもちなんで改名されたそうです。
小さな駅舎内には小さな神社もあって、恋愛祈願の「ホタテの貝殻」が吊るされている。絵馬のかわりというわけだね。
そしてホームには「幸せの鐘」が吊り下げられています。話によれば恋愛のパワースポットとして、この「恋し浜駅」は人気上昇中なんだそうです。

この駅の特徴であるおしゃれな駅名表示、神社のある駅舎、幸せの鐘、ピンク色の郵便ポストや自動販売機など、結構見どころたくさんの作品になりそうです。
プランは固まったので、さて作り始めますか。
<ベースボードの製作>
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1 角材を組み立てて、5mm厚の七連ボードでベースの
骨格をつくります。 |
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*) 起伏は薄いスチレンペーパーを三角形にカットして
多面体でつくります。 |
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駅の特徴として盛り土のかなり高いところにホームはある。もともと小石浜はリアス式海岸の谷合の小さな漁港で、その谷の一部を埋め立てて駅にしたのだと思われます。
ジオラマにするにはまずこの迫力ある地形を表現するのがポイントです。
9mm厚の角材を組み合わせて、50cm×20cmの長方形のフレームをつくります。これがジオラマベースのフレームになります。
赤い道具は確実に直角を出すための道具で100均で売っていた、すごい。(左)
フレームができたら5mm厚のスチレンボードでジオラマの骨格をつくります。(中)
側面は2mm厚のスチレンペーパーを三角形にして埋める、一つ一つカット&トライです。手間はかかるけどそんなに難しくない。(右)
スチレンペーパーだけだと確かに頼りないけど、隙間やへこみをモデリングペーストで埋めてゆくと、思いっきり強度が増します。これで大丈夫かと言われるかもしれないけど、
間違いなく丈夫です。
頑丈な素材で作るのが作品を壊さない基本だと思う。でも軽量であることも作品が壊れないポイントでもある。
たとえばこの形状を全て粘土で作って1mの高さから落とせば必ず壊れる。でもスチレンボードが主材料ならおそらく何の問題もない。
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2 モデリングペーストで接着面の補強を行い、粘土で
起伏を整えます。 |
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*) 建物の市を直接書き込んでいるところです。 |
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今のところジオラマはスチレンペーパーをカットしてつないだパネルむき出しの状態です。パネルは平板なので滑らかにしなくてはならない。そこでパネルの継ぎ目や起伏を
つくりたいところに、まずはジェッソを塗り、そのあと粘土を盛って地形を整えてゆきます。
次にイメージした通りのレイアウトが可能かどうか、駅舎やホーム、階段等を描きこんでみる。駅舎は幅3.6mと小さいけれど、ホームは50m以上の長さがある。そのまま1/150に
縮小すると75cmの長さになる。それはサイズ的にとても無理、だいたいホームのフェンスを1mm間隔で作ることを考えたら、制作する気持ちも失せてしまう。
そこで表現するホームの長さは1/3程度にして、あとはカットすることにしました。こういう割り切りは大切です。
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3 基本的な塗装を行います。そのままでは塗りにくい
ので、まずはティッシュペーパーで下地を整えます。 |
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4 あとは浴びっこサンドやパウダー類を併用して、
基本的な塗装を行います。 |
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基本的な塗装を行います。
まずはティッシュペーパーを1枚に剥いでジオラマの上に置き、ここにモデリングぺ-ストに少量の木工ボンドを混ぜたものをつくり茶色に着色したものを上から塗る。
乾く前に上から撒くのは「浴びっこサンド」もしくは「枯れた色のターフ+ファイバー」です。
線路に近いところは「浴びっこサンド」、草の繁茂するところは「フォーリッジ+ファイバー」で処理しました。とっても簡単だけどけっこう奇麗に仕上がります。
素材として異なるのは路面なんだけど、ここもシンプルに仕上げる。グレーに着色したモデリングペーストに「浴びっこサンド」を混ぜて塗る。乾いたところで紙やすり
がけをしてやれば、簡単に車の通った跡の残る道になります。

山野を走るNゲージのレイアウトを作るのは、やり方さえ覚えればけっこう簡単です。でもここから先、一つの駅をリアルに作るのは難しい。 次は恋し浜駅本体の制作に入ります。
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5 市販のバラストを用いて線路を仕上げます。塗装も行いますが、ちゃんと車両が走れるように仕上げます。 |
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まずはこちらは線路に沿ってバラスト(敷石)を撒きます。市販品を少しずつ置いては筆で平らにならしてゆきます。(左)
使ったバラストは2種類で中央部分には茶色のもの、線路から離れたところはベージュのものです。線路に近いところはレールの錆の色が付きやすいので、こういう
使い分けをします。
作業が終わったら台所洗剤をほんの少量混ぜた水で全体に霧吹きします。これをしておかないと、この後に使うボンドがしみ込んでゆきません。そしてCの作業が
終わったら、すぐに水で薄めたボンドをスポイトでしみ込ませます。(中)
1日置いてボンドが乾いたら全体にMr.カラーのレッドブラウンを、線路を含めた全体に吹き付ける。そして 乾いたところでカッターナイフの背の部分で、線路の上面の
部分だけ塗料を掻き落とせば、リアルな線路の完成です。(右)

こちらは実際の恋し浜駅の風景です。
50mほどある長いホームは小高い盛り土の上にあって、これまた長い階段で上ってゆく。
単線でシンプルな駅の構造なのだけど、これを1/150というスケールで正確につくるのはかなり難しい。また仮にできたとしても、かなり長い時間かかるわけで、それは
苦行以外の何物でもないです。
だからポイントになるのは駅の特徴を失わないようにして、いかに構造を簡略化したり、細部を省略できるのかということだと思います。
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6 ホームや階段は構造を簡略化して、板目紙や角材、
スチレンペーパーなどでつくります。 |
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難しいのはホームにつながる階段部分です。途中4か所に踊り場あって折れ曲がっているので、そのままでは正確につくることが難しい。だからその数を減らして
ちょっとだけ単純化させてもらいました。
ステップは2mm厚のスチレンペーパーを台形に切り取って一つ一つ貼り付けます。
面倒だけどこれは省略できません、省略したらもはやそれは階段でなく、滑り台になっちゃう。

よれよれですが、何とかホームと階段が出来上がりました。でもまだまだ苦難は続きます。
次に追加するのは長く細かな「手すり」です。これがこのジオラマの律速段階になるだろうな。
ホームと階段に取り付けられている落下防止のための手すりは、幅1m、縦棒一つ一つの間隔は15cmぐらい。これをNゲージの1/150に合わせると幅は6.7mm、
縦棒の間隔は1mmということになる。
作りやすさを優先しても幅1cm、間隔2mm程度にしておかないと、「何かどこかおかしい」ということになります。既製品を探しましたが、これだけ細かな手すりは
ありませんでした。
7 罫線の入ったカッティングシートの上で、階段の
手すりをつくります。

手すりの製作開始です。0.3mm厚のプラ板を、カッターで幅0.8mm、長さ5cmにカットしておおまかにフレームをつくります。そして縦棒を伸ばしランナーからつくって、
流し込み接着剤で取り付けてゆく。すべては100均で売っている升目入りのカッティングシートの上で行います。おそらくは階段部分の手すりをつくるには、これ以外の
方法はないように思う。

結構ぼろぼろなんだけど、なんとか形になったというところでしょうか。
100%正確に作るつもりはないのだけど、現実に存在する駅なので、その雰囲気を失わせるような省略の仕方はできません。おそらくこの「手すり」をつくる自信がなければ、
このジオラマには手を出さなかったと思います。
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8 待合室、トイレ、駐輪場を板目紙やスチレンペーパー
からつくります。 |
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次はこの建物をつくります。こちらも1/150というスケールで正確につくるのはかなり難しい。
主材料は板目紙です。まずは画像からサイズを割り出して、壁の下書きをする。
今回はここで少し細工をします。日本の建材は180cm(1間)を基本としていて、1/150に換算すると1.2cmになります。ですが今回はこれをほんの少し大きめにつくることに
しました。
というのも今回使用する車両が少し大きめにできていて、そのままだと釣り合いがとれないからです。
Nゲージというのは一般には1/150スケールとされていますが、実際にはレール間隔を9mmにそろえるために、この1/150を外れて大きくなったり、小さくなったりする。
今回のTOMIXの車両はちょっと大きめだと、自分は感じ取りました。
切れ味の良いデザインナイフでスパッと切る。断面は注意深く直角が出るようにします。
組み立てはクラフトボンドで行い、段差を埋めるにはモデリングペーストを使います。駐輪場の屋根はダンボールの梱包材です。

荒くつくってみて、この状態でジオラマに置いてみる。実際の画像と比較しても「恋し浜駅」の正面の景色に見えます。
少し大きめにつくったのは正解で、車両とのバランスも良い。 まずはほっと一安心です。さてここから建物の細かな部分をつくり込んで塗装をします。
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9 Mr.カラーを使って塗装します。オレンジ色の誘導ブロックは紙テープで表現します。 |
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次は構造物の色付けと、さらに細かな作り込みを行います。
ホームや階段はんな感じです。グリーン系の塗装を施していますが海が近いせいもあって、かなり錆が出ている。何度となく塗り直された痕跡もある。
錆の表現や汚し塗装は最後に行うものとして、まずは忠実にこの色合いで塗り分けます。
ホームはコンクリートの流し込みなので、つや消しグレーの明度を変えながら3回ほど塗って、あえてムラのある仕上げを行いました。画像で張り付けているのは、
オレンジ色に塗った紙で「視覚障碍者用の誘導ブロック」を表現しているつもりです。
このブロックの実物の大きさは30cm四方なので、1/150だと2mm四方になる。これを1枚1枚張り付けてゆくのは正気の沙汰ではないので、こういう仕上げをしています。
ちなみにこのブロックって、調べたら10枚セットで26000円もする。(楽天市場) 大切に扱いましょう。

こちらは実物のトイレです。追加で瓦屋根の表現は無理としても出窓部分や周辺だけはきちんと仕上げたい。

ホーム上の待合室です。アルミサッシの向こうに見えるのは神棚で、その周りに飾られているのは願い事の書かれたホタテ貝です。この中の状況を表現するのは
難しいので、とりあえずこちらもこの出入口と窓だけは表現しようと思います。
1/150でどこまで表現するかは、その手間と効果の程度によって変わってくる。どんなに面倒で小さくても不可欠なののならつくる。まずはその見極めが大切だと思う。
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10 実際の画像を参考にして、待合室やトイレの細部
をつくりこんでゆきます。 |
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待合室の特徴的な窓枠は「省略できないもの」と判断しました。
0.2mm厚の透明プラ板に着色して細かく割いた紙を張り付けてゆきます。でも出来は正直あまり良くないです。窓などは1辺が0.5cmしかなかったりするので、このぐらいが限界かな。
これを建物の裏側から貼り付けるとこんな感じ(画像いちばん左)、荒さはあるけれど充分に雰囲気は出ていると思います。
トイレの方は雨どいの排水パイプを1mm径のプラ棒でつくり、梁は厚紙でつくりました。こういうとき自分はサンケイのペーパークラフトの残り部分(枠の部分)をとっておいて使います。
厚くて頑丈なので捨てるのはもったいないです。

<植物表現をする>
まだまだ駅そのものに手を加えなければいけないところもあるのだけど、ここは一旦区切りをつけて作業は植物表現に移ります。細かな作り込みをしてしまうと
「破損」というい手痛い目に遭う可能性は高いですから。

9月に訪れたときには草刈りをした直後ではないようで、結構雑草が繁茂していました。
ジオラマをリアルに仕上げる工夫の一つにシチュエーションを明確にするというのがあります。季節や天気、時間帯、風の有無、暑さ寒さ、そういったものが感じ取れると、
共感できるような作品になります。
今回は暑い夏の景色にしようかと思う。

材料はやはり鉄道模型や小スケールのジオラマ素材です。
草木といっても1/150スケールで葉っぱを一枚一枚再現することはできないので、ここもスポンジ素材のものなります。こういうものはKATOやTOMIXといったメーカーが製造、
あるいは輸入しているのだけど、メーカーによってその呼び名が違うので、とりあえずKATOの製品名で説明します。
1 ターフは着色したスポンジを細かくしたもので、今回は長さ5mmのファイバーを混ぜて基本的な草はらを表現します。
2 それより少し大きめの粒子のものがあって、これをコースターフと言います。大きさが1~3mmぐらいで、1/150スケールだと草丈50cmの草の塊を再現できます。
3 変化をつけるためにGreenLineの白い花をつけた草を使います。
これらの各製品には何色かあるので、適当なものを組み合わせて使うことになります。単色はダメで最低限3色ぐらいは使った方が良いです。
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11 まずはスタティックアプリケーターを使って、ターフ
やファイバーを撒いて下草を表現します。 |
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まずはターフ+ファイバーをスタティックアプリケーターに入れて「草はら糊」を塗ったベースボードに振りかける。(左)
あっけないほど簡単に草はらが出来上がります。決してきれいに均一にする必要はありません。あえてムラを作ります、そのほうがリアルです。(中)
ここでやや背の高い草を表現するためにコースターフを3色ぐらい混ぜて上から貼り付けます。(右)
12 最後にGreen Lineの白い花をつけた草を貼り
付けます。


鬱蒼とした夏の景色ではなく、まだまだ春ですよみたいな感じかな。もっともっと宿物を繁茂させて、暑い鬱蒼とした景色に仕上げたい。
1/150スケールでこういった雑木や背の高い雑草を行減するのは不可能です。だから自然と市販品を使って、それに似た雰囲気を再現することになります。

ありがたいことに世界中のメーカーがこういうストラクチュアを作っていて、自分も利用させていただいています。
使用するのはTOMIXの欅、KATOから出ている千草、ウッドランドのフォーリッジクラスターです。
13 TOMIXのケヤキを組み立てます。枝ぶりを整え、
細かくちぎってふんわりと仕上げます。

欅は芯になるプラスチックの幹の部分と緑色のフォーリッジクラスターによるキットです。幹の部分は変形するので、できるだけ立体感のある形に変えて、ゴム系接着剤で
フォーリッジクラスターを貼り付けてゆきます。
こつとしてはフォーリッジクラスターはできるだけ細かくちぎって、少しずつ位置を変えながら貼り付けてゆくことです。いきなり大きな塊を貼り付けてもリアルでも何でもない。
14 フォーリッジクラスターや千草などで大きめの雑草や雑木を表現します。

次は暗緑色のフォーリッジクラスターとKATOの千草で少し大きめの雑草などを表現します。5割ほど作業が終了したのが上の画像です。
こういうものってリアルに作るのはほぼ不可能なのだけど、それらしくつくるにもコツがあります。
ともかくやってはいけないのは「一様」「規則的」という2つで、ある意味これを避ければよい感じに仕上がります。
ではどうするか、まずは地形を見ながらムラをつくる。たとえば日当たりの良い斜面は密度を高く、窪んだ所は閑散とという感じ(A)、そのうえで一つ一つを等間隔に
しないで不当辺の三角形を意識しながらクラスターを配置するということかな。(B)

画像の上ではそんなに悪くないのですが、ちょっと変化に乏しい感じがしたので、素材を追加です。
右画像の左はフォーリッジクラスターを最初から砕いている感じのもので20gが268円。右は白い花をつけた背の高い草を表現したもので12cm×12cmのサイズが
501円です。かなり安い。
どちらも中国の通販サイトTEMUから購入しました。
海外の通販サイトは安いのでたまに利用するのですが、やっぱり「え!」みたいなものがないわけではない。大量に購入するのはやめて、まずは試しに購入しましょう。
それが自分からの助言です。

雑木を追加してかなりもふもふした感じになってきました。
このスケールで「そっくり」と言われることはまずないので、通常は「よく雰囲気が出ている」で満足すべきでしょう。昨年9月に見た風景にかなり近づいてきた。雑木の色合いは
実際にはもう少しくすんでいた感じです。ただジオラマとして仕上げるときには少しだけ派手な感じに仕上げた方が見栄えが良い。1/150というスケールで地味な色合いにして
しまうと、作品として本当に目立たないものになってしまうからです。
<細部をつくり込んでゆく>

こちらは実際のトイレです。外に水場があったり、男女の案内ボードもあるのですが、こういったところはまだ表現ができていません。
1/150というスケールだととてもすべてを再現することはできないので、何を省略して何を正確に再現するかという判断が最も大切かもしれません。
ここではやはり男女の案内ボードは省略できないでしょう。あるのとないのでは印象が大きく違う。
15 実際の画像を加工してパネルやポスター等々を製作ます。

トイレには男女の案内ボードと水場を追加、駐輪場は後方にポスターを追加、待合室は配管などを追加して、それぞれの特徴を出してみました。
こういうものを再現するとき、自分は実物の写真を利用します。

たとえばこちらはホームにあった横断幕です。正面から撮影していないのでこのままプリントアウトしても使うことはできません。(左)
自分の場合にはGIMPというフリーの画像処理アプリを使って、使える画像に変換します。GIMPの起動後、ツール>変形ツール>遠近法 という処理を行って、横断幕を長方形に
近づけました。(右)

このほかにも使いたいと思う画像があれば、画像の拡大・縮小を使って、1/150だと1mが1cmぐらいになるように縮小して、上のような1枚のシートにまとめます。

あとはこれをプリントアウトすれば、実物そっくりに出来上がるのですが、絶対にぴったりという訳にはゆかないので、これを基準にして10%ぐらい縮小したものと、
逆に10%ぐらい拡大したものもプリントアウトすると良いと思います。
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16 電柱やミラー、ガードレールその他、細々としたもの
を追加します。 |
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あとはやはり省略できないと判断した小物類を追加します。こういうところは実際にここを利用している人の目に、いったい何が印象深く見えていたかを想像するのが
大切だと思います。
左はホームにあったバックミラーで、運転士がホームの状況を把握するためのものです。プラ棒、プラバン、伸ばしランナーなどで工作します。
中はつまようじや真鍮線などでつくった電柱で、「こいしはま」の文字も実物の画像をもとにプリントアウトしたものです。ちなみに退色・変色の可能性を考えて、こういう
ときには必ず純正インクを使ってプリントアウトします。下手なインクを使うと2~3年で印刷が消えます。そのあとGX113のUVカット艶消しクリアーの吹き付けを行うのも、
もはや自分としては常識になっています。
あとはもっと細かいですが、右画像にあるように駐車場の花壇とホームのプランターは再現したほうが良いと思いました。
プラバンで形を整え、そのなかに mini Naturシリーズの花壇を植え込みます。その下に映っているのはガードレールで、プラバンを細くカットしたものと、伸ばしランナー
で作ってみました。

これらを配置して様子を見ます。

1/150というのは現実にはこういうサイズです。
一般的なNゲージのレイアウトであればこれで完成なのですが、自分の場合には「きれいなレイアウトの上でNゲージを走らせる 」というのが目的ではありません。
今回は昨年見た「恋し浜駅」の印象をできるだけ正確に表現したいと考えています。
とは言っても、1/150という小すけーるだと100%完璧にという訳にはゆきませんが。
17 パステルを削って、これを塗り、汚し塗装を行います。
作業後はつや消しクリアーを吹いて定着させます。

汚しの主役になるのはパステルです。これをカッターナイフで少量削って、Mr.カラーの薄め液を染み込ませた筆にとって、必要な箇所に少しずつ色をおいてゆく。

たとえばチャコールグレー、茶、赤、黄色などのパステルを調合して、階段やホームに塗れば簡単に赤錆の表現ができます。(A) 海岸線の駅なので思いのほか錆は
多かったです。
このときもしも雨上がりの湿ったシーンを再現したければ、赤や黄色は使わず、茶色から黒のパステルを中心に調合して、最後にクリアーを塗るなどの工夫もできます。

建物とアスファルトの境界線には土がたまりやすいので、細かな草が生えます。これは緑のジオラマパウダーを3色混合して再現しました。(B)
また路面や駐車スペースは一様なニュートラルグレーのままなので、チャコールグレーと黒のパステルを薄く塗ってシミのようなものを表現すると、単調な感じが
なくなります。(C)
画像では花壇の周辺や斜面の近くは土が流れ出ているので、茶系のパステルを調合してそれを表現します。(D)

こちらはホームの待合室です。前出のB、C、Dに該当する部分のほかにも、いくつか手を加えています。
かなり汚れの付きやすい素材でできているようで、壁には雨だれが目立っていました。(E)
また低いところは湿り気が多く汚れも付きやすいので、これも再現します。(F)
さて全体の汚しが終わったところで、Mr.カラーのタンにフラットベースを添加して、これを多めの薄め液で溶いて吹き付けます。(G) 目的は3つあって、1つはパステルを
定着させること、2つめにつやを整えること、そして3つめに全体として「埃っぽさ」を出して建物等を背景に馴染ませてゆくって感じです。

いろいろやり方はあるとは思いますが、ご紹介した方法は比較的失敗のないものとしてご紹介しておきます。
あとは実際の見た目、画像、そして最終的には想像力を働かせるのがポイントだと思う。
さて汚しが終わったところで最後に細かな部分の制作と取り付けを行います。
破損の可能性を考えたら、やはりこの工程は最後に持って行った方が良いでしょう。

上の画像の左側にあるのは「幸せの鐘」と呼ばれていて、大切な人へ想いを込めて鳴らすもの。鐘の周りを飾るパネルはバラや天使などをモチーフにした透かし彫りに
なっているもので、細かさを考えると1/150スケールで正確につくることなど完全に無理です。
でもつくらなかったら、やっぱり少し寂しい。正確さはなくてもこれだけは何とか表現したいと思う。作るつくらないは必要性、重要性で判断します。
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18 駅名表示や「幸せの鐘」など、この駅に特徴的な
ものをつくります。 |
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この幸せの鐘のほかにも、トイレ横のピンク色の郵便ポスト、そして手前にあるピンクの自動販売機、こういったところも欠かせないところだと思います。
材料としては画像を縮小してプリントアウトしたものが主材料で、あとは0.3㎜径の真鍮線、スチレンペーパー、エポキシパテ、そんなものから「恋し浜駅」を特徴づける
小物類をつくりあげました。
完成画像の左上から順に「幸せの鐘」、郵便ポスト、横断幕、駅名表示、近隣案内、時刻表、ゴミ捨て注意の看板、花壇の案内、自動販売機です。

問題だった「幸せの鐘」ですが、鐘のまわりに装飾としてバラや天使などをモチーフにした透かし彫りのパネルがついていた。
そのまま正確につくることは不可能なので、写真を加工して表裏を印刷して貼り合わせて、模様入りのパネルとして完成させました。

この駅を訪れてこの鐘をバックにして記念写真を撮った人は多いと思う。やっぱりここになかったら少し寂しい。
ほかのものも含めて、完璧な仕上がりとまでは言いませんが、何とか雰囲気は出ているのではないかと思います。

こちらは階段からトイレの方角を撮影したものです。

こちらは今回の作品です。自動販売機、花壇、そしてピンクの郵便ポストです。

そして人選をします。ストックしているのはNゲージやHOゲージ用のフィギュアが小さなダンボール1箱分で、実際にかなりの数あります。
何日か前から、この駅でのシーンをどのように表現しようか、これらのフィギュアを眺めながら考えていました。
最初は夏休みに海水浴に来たお父さんと娘みたいなイメージだったのですが、残念ながらこの駅から見える海岸に海水浴場はない。
次はお祭りに出かける親子だったのですが、和服のフィギュアの出来が良くなくて使えない。自分で手を加えるにも限界があって、さすがに顔や手の造形をつくりかえるのは
無理です。

そして2週間、やっとそのイメージがまとまりました。
旅行者の男女、そして駐車スペースに置く軽自動車と自転車、これらを追加します。
19 フィギュアを加工して再塗装します。

フィギュアはそのまま使用しておらず、若干姿勢等をいじって塗装し直しています。
最初、フィギュアの目の高さと柵の高さが同じだったので、胴体を切断して延長し、フィギュアの身長を1.5mmぐらい高くしました。また女性のお尻を大きくして体を右に
傾ける一方、男性の左手は女性の肩に置くように調整しました。
そして二人が旅行者であることが分かるように、ストックしてあったプライザーのキットからザックを取り出して左右に置いてみました。
<完成画像>
昨年秋に三陸の南部を巡る旅をした帰り道、三陸鉄道の「恋し浜駅」を訪れました。
太平洋に面した眺望の良いこの駅の風景を1/150スケールのジオラマ(Nゲージのレイアウト)にしました。


ジオラマのサイズは幅50cm、奥行き20cm、高さ17cmです。画像に写っているものの中で、三陸鉄道の車両と軽自動車、あとはレール以外のものはすべて手作りです。

三陸鉄道リアス線の「恋し浜駅」は始発駅の「盛駅」から2つ目の駅で、目の前には太平洋のひらける見通しの良い場所です。もともと1985年に駅ができあがったときには
「小石浜」という駅名だったそうですが、地域住民の方が駅誕生を祝って詠んだ短歌のなかに「恋し浜」という表現があったそうです。
その後2008年に立ち上げた同地区のブランドホタテ「恋し浜」にちなんで、2009年に駅名を「恋し浜」と変更したたという話です。

現在では待合室には小さな祠があって、願い事を書いたホタテ貝が吊り下げられている、そういう恋愛スポットになっています。

駅としての特徴は、やはりこの長い階段でしょう。長いので休憩をとる踊り場が4つもあります。
この4つの踊り場を忠実に再現するのはかなり難しいと最初に思った。でもストレートにすると大きくイメージを損なうので、その数を半分にして再現しました。
結果、あんまりきれいに仕上がりはしなかったけど、形にはなったと思う。

郵便ポストや手前の自動販売機はピンク色に仕上げられています。
ここは省略してはいけないポイントなので、花壇を含めてエポキシパテやスチレンペーパー、そして実物の縮小プリントなどから再現しました。

三陸鉄道リアス線、盛発釜石行が今「恋し浜駅」を出発した
そういうシーンを再現したつもりです。
ご存知の方は多いと思いますが、実はこの車両、三陸鉄道のなかでは震災関連の特別なラッピングがなされています。
東日本大震災は2011年3月11日14時46分頃に発生、この三陸鉄道の36形105番はこの時ちょうどトンネル内を走行していたために、運よく被災から逃れることができた車両で、
「奇跡の車両」とも呼ばれました。
その後、ネスレ日本株式会社の支援もあって「キット、ずっとプロジェクト」が始まり、一時は復旧困難と思われていた三陸鉄道も運転再開に至ります。
そしてその運転再開日、「奇跡の車両」はこのサクラをモチーフにしたラッピングで再デビューすることになります。
そういう意味で人気の車両なのだけど、プロジェクト自体はもう10年も前のものです。これを現在のシーンとして使うことに矛盾はあります。個人的な思い入れかもしれませんが、
やはり皆が復興のシンボルとして見ていたこの車両の方を使ってみたかった。 (実は通常車両も、ちゃんと手元にある)

この駅で降りたのは二人
二人が旅行者であることが分かるように、ストックしてあったプライザーのキットからザックを取り出して左右に置いてみました。状況からして、この二人は
三陸鉄道リアス線の始発駅である「盛」から、1日フリー切符などを買ってこの車両に乗り込み、この「恋し浜」で途中下車したんだなってことが分かります。
右手に白いパネルがあります。こちらは「幸せの鐘」と呼ばれるものです。
「幸せの鐘」は大切な人へ想いを込めて鳴らすもの。そしてその装飾としてバラや天使などをモチーフにした透かし彫りのパネルがある。細かな透かし彫りで
あるがゆえに、1/150スケールで正確につくることなど完全に無理です。
そこで写真を加工して表裏を印刷して貼り合わせて、模様入りのパネルとして完成させました。
フィギュアはそのまま使用しておらず、若干姿勢等をいじって塗装し直しています。
最初、フィギュアの目の高さと柵の高さが同じだったので、胴体を切断して延長し、フィギュアの身長を1.5mmぐらい高くしました。また女性のお尻を大きくして
体を右に傾ける一方、男性の左手は女性の肩に置くように調整しました。

二人は何を目的にこの駅で途中下車したのか?
そしていったい何を語らっているのか?
ここから先は見る人が想像して良いと思います。
2022.08
camera: CASIO EXLIM EX-ZR4100 & Panasonic GX9 & ZUIKO 12mm-50mm / graphic
tool: GIMP 2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10
サイトのトップページにとびます

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