eye4工房番外編
サザンビーチちがさき
<少しだけ有名なところをジオラマにしてみた>
新しいジオラマが完成しました。Cのモニュメントで有名な茅ヶ崎のサザンビーチの風景です。
分のつくるジオラマの系統はいくつかあって、そのうちの一つが、1/64スケールよりも小さなリアルなご近所シリーズです。
但しそのほとんどが神奈川県の中西部の田舎の景色なので、個展で展示しても「見たことがある!」と喜んでいただける方はほとんどいません。たまたま近所に
住まわれている方が来られても、こんな景色など見たことないと言われてしまいます。
どうも自分の思っている「ちょっと良いところ」は思った以上にマイナーな世界だったらしい。

そればっかりでもまずいなって思って、日本のサーフィン発祥の地である湘南海岸をジオラマにしてみることにしました。
そして選んだ場所は、言わずと知れたサザンビーチちがさきです。海岸に降りてゆくところにはこの「C」のモニュメントがあるので、これさえあれば誰が何といおうと
「湘南の海」です。


完成した作品はこちらです。海岸とバイク、主役のサーファーが一人という実にシンプルなジオラマです。
おかげで完成までは一ヶ月ほどと、自分としてはけっこう早い仕上がりでした。

ジオラマサイズは27cm×18cmと小さいのですが、1/64という小スケールなので写真を撮ると奥行きをが出る。
この広がりのある空間を1/35や1/24スケールでやるだなんてことは現実的でない。多分このスケールだから成立するのだと思います。


フィギュアは市販のものに手を加えたものです。
サーファーの彼女はTEMUで569円、スクーターの方はAliexpressで347円。1/64スケールなので身長は28mmしかないけど、3Dプリンターで制作されたこのフィギュアは
一昔前の1/35に匹敵するような精密感があります。


1/72スケールのフィギュアやHOゲージのフィギュアは以前からあったのだけど、とてもアップに耐えられるような商品ではなかった。ここから先、少量生産の3D
プリンターによる商品にはかなりの可能性があるように思う。
もちろん小さいがゆえにうまく仕上げるのは難しいのだけど。
<基本的な構想>
1 まずはそのイメージをスケッチにします。

朝早くスクーターでやってきて、サーフボードを抱え、砂浜に降り立つ。ただこれだけなんだけど、実に湘南らしいと思う。
表現はできないですが、正面にまだ低い太陽が見えて、少し眩しそうにしている感じかな。
実はこのシチュエーションというのがとっても大切で、それをイメージすることで、矛盾の無い作品ができあがります。
正面に見える眩しい海が背景、中景に砂浜を歩くサーフボードを持った彼女、そして前景には彼女の乗ってきたスクーターということで、そのバランスも良さそう。

次はこれを立体化させるために、平面図をつくります。
手前から駐輪場、砂浜、海、遠近感を出すためには縦長の配置の方が良い。バランスとしては砂浜をできる限り大きくとることで、ひろがりを感じさせる空間を作ります。
もちろん海の方が実際には圧倒的に大きいのですが、海であることが分かればそれでよい。「海はひろい」という感覚が人間にはあるので、それが助けになります。
そして全体を少し傾ける、あまりに単純な構成だと、安定しすぎてつまらない。ほんの少しバランスを崩すのが良いでしょう。同じ理由で波の寄せる海岸線も少し湾曲させます。
あとはスクーターと彼女の位置を決めます。
最初のイメージは背後からのものだったので、今度は見る方向を変えながら修正を加えます。一方向から見てまとまっているだけではCGや絵画と同じです。
次は海側から見たときを想像します。彼女のすすむ方向の延長線上にスクーターを置くと整いすぎるので少し左にずらす。
横から見たときをイメージします。馬蹄形のステップが3段ほどあるのですが、彼女のいる位置は一番下の段、もしくはすぐその先ぐらいが良いだろうと思った。さあ、これから
やるぞみたいな感じがする。
2 フィギュアとスクーターの微修正を行います。

そして登場させる予定のフィギュアとバイクがこちらです。
サーファーの彼女はTEMUで569円、スクーターの方はAliexpressで347円。身長は28mm、大きさからするとお高めの印象はありますが、3Dプリンターで制作されたものは
ものすごく精密にできていて、少量生産、やむを得ないかな。
フィギュアの問題点としては左のふくらはぎにプリント不十分のところがあること、それからハイヒールを履いていることかな。砂浜でハイヒールはあり得ないし、スクーターに
乗るのも不適切です。

それから彼女がスクーターに乗ってきたとしたら、ボードのキャリアがないといけない。なぜこのスクーターを選んだのかというと、スペアタイヤが背後に取り付けられているためで、
ボードをここに縛り付けるということができるからです。
以上の点を修正しました。ハイヒールはマリンシューズに、そしてスクーターのタイヤには簡易なキャリアをつくって取り付けることにしました。

<ビーチをつくる>
今回のモデルになったのは、言わずと知れたサザンビーチ、3つ目のアイテムとしてこのモニュメントをこれからつくる予定です。遠方に小さく見えるのは烏帽子岩、でもさすがに
ここまでは再現できない。
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3 Cのモニュメントを板やスチレンボードからつくり
ます。 |
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「C」の形をしたこのモニュメントをつくります。
大きさは直径にして3.6mほどあって、けっこう大きい。人がここを通ると、ちょうどCの中心あたりが目の高さになります。
作り方はいろいろあるだろうけど、やはり簡便な方法が良い。
薄い合板にサークルカッターを入れて、まずはドーナッツ状に切り出します。そしてその上にスチレンボードを乗せて切り出し、厚みをつけます。
最初の画像からは分かりづらいですが、陸地に向かって SOUTHERN BEACH と CHIGASAKI の文字が記されています。画像を加工してこの文字を明確にし、
縮小して「C」に貼り付けたら、とりあえずモニュメントらしきものができあがります。
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4 ヒノキの薄板とスチレンボードから、ベースボードを
つくります。 |
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ベースボードの組み立てに入ります。ヒノキの薄板を加工して、まずは長方形の枠組みをつくります。
地形は海に向かって砂浜は下がってゆくので、薄板には事前に傾斜をつけておく必要があります。100均で購入した直角を出す道具に挟み込んで、4辺を正しく接着します。
このときコーナー部分には角材を接着して強度を出すと良い。
この上に5mm厚のスチレンボードを張り付けたら、ベースボードの基礎工作は完了です。
ここまでは、ほぼすべて100均で手に入る材料で、材料費は実質100円分ぐらい。またとても軽量ではあるけれど、強度的には十分です。
5 立体化させるために作図した平面図をもとにして、2mm厚のスチレンボードを重ね、
駐輪場や「C」の基礎部分をつくってゆきます。

3つの主要パーツを仮配置しました。
「C」はもうちょっと、左側の方が良さそうだね。作業としては、このあと砂浜やコンクリート部分を質感を出しながら塗装してゆく工程に入ってゆきます。
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6 半円形のステージや、緩やかなスロープなどを再現
します。 |
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モニュメントの土台部分は砂浜に降りる階段になっているので、これを2mm厚のスチレンペーパーで表現します。半円形部分のカットはOLFAのサークルカッターを使うのが
良いでしょう。
階段は実際には6段以上あるみたいですが、かなりの部分が砂に埋もれていることもあり、今回は上の3段分のみ再現しました。
階段を中心にして、全体がなだらかなスロープになっているので、これを粘土で表現します。但し粘土はそのままではスチレンペーパーに馴染まないので、粘土を盛る場所には
事前にジェッソを塗っておきます。
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7 ビーチの基本的な塗装を行います。表現しずらい
ところはプリンターを利用します。 |
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砂浜を再現する塗料をまずはつくります。ライトグレーに着色したモデリングペーストに、同じ量の「浴びっこサンド」を混ぜます。これに少量の茶とイエローを混ぜて色を調整し、
筆で塗ることができる程度に水を加えます。
階段近くは人の往来があって、荒れた感じになっているので、この塗料を上からたたくように塗って表現します。
1回では下地が透けるので、おおむね3回程度繰り返します。
海岸線に近いところは、波にさらわれて平坦になっている。だからこちらは筆を横にして沖に向かって掃くように塗ります。そのあと、更に指でなでて平坦化します。

これはステージ上のレンガ模様を出力したものです。
ここでいったんサーファーとC、そしてスクーターを置いてみる。
実際よりかなり縮小されているけど、バランスは悪くない。
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8 波の表現を行います。メインで利用するのはネイル
アート用の波です。 |
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波を描くのは結構手間がかかるので、今回もまたネイルアート用の波シールを使います。まずはこのシールを張るところにUVレジンを塗って硬化させ、平坦になったところで
このシールを張り付けます。

このままだと波シールとUVレジンの間に段差ができてしまうので、KATOのさざ波を上から塗って段差を埋めます。(A)
波シールは平坦なものなので、波が立っているような感じを出すために、波の扇端部分にモデリングペーストを置いて立体感を出します。(B)
波の進む先には水で薄めたさざ波をうすく塗って、前の波が砂に染み込んだような感じをつくります。(C)

上からみた画像です。ところどころにフラットホワイトを塗って、白波が海に消えてゆく感じを出してみました。(D)
この海と波をつくる工程はほぼ半日で作業が完了しました。
模型作りも最近はいろいろ便利なものが出てきて、簡単になってきたと思う。今回は簡単なジオラマではあるけれど、こういうものでも10年前だったら、おそらくつくることは
できなかったでしょう。

この「C」のモニュメントは誰もが記念撮影をするという有名なスポットです。
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9 次は小物類の仕上げに入ります。モニュメントや
案内板などを仕上げてゆきます。 |
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リアルに仕上げるためにもう一工夫します。最初に高耐久スプレーつや消しクリアーを吹き付けて表面を平滑ににします。そのあと全体に薄く黒鉄色を吹き付けます。
(文字が消えてはいけない)
そして再び高耐久ラッカースプレーを吹き付けます。
これで簡単に金属の質感を出すことができます。要するに平坦化して反射率を上げる工夫をすればよいということです。もちろんデカールを作って貼るという選択も
あるのですが、こちらの方が簡単だし、デカールの余白も残らない。
あんまりアップでお見せしたくはないけど(点数つけるなら58点)、モニュメントとそのストッパー、案内板などが仕上がりました。
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10 防砂柵ほかモニュメント周辺の小物類を追加し、
汚し塗装を行います。 |
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防砂柵はデザインナイフで紙に細かな切れ込みを入れ、それを広げながら0.3mm厚のプラ板を細く切ったもので固定してみました。
あとは細かなところを修正してゆきます。サーファーがやってきているのに、波があまりにおとなしすぎる感じがしたので、モデリングペーストを更に盛って、少し荒れた感じを出します。
砂浜や後方のステージ部分も少し汚して荒れた感じを出します。

具体的にはまずは一旦全体にMr.カラーのGX113つや消しクリアーを吹き付けます。
(ステージのレンガ部分はプリンターで仕上げているので、これをしないと印刷が水分でにじむ)
水性アクリルのチャコールグレーを水で薄めて、水平部分には滲ませるように、垂直部分には垂れるように塗ります。これでコンクリート部分の汚れが表現できます。
砂浜を表現するのに使った下地塗料を水で薄め、ステージ部分の溝や影になる部分に少量塗って、これが乾く前に「浴びっこサンド」撒きます。

こうして、ちょっとだけリアルなCモニュメントのステージが出来上がる。

光を向こう正面からあててみて、砂の表現が少し違うなということに気づいた。
白波や波が砂に染み込んでゆく様は表現できているけど、手前の砂そのものの部分に変化がなくて物足りない。

早速、砂を撒き直した。
こちらは夏の朝をイメージした作品で、実際に太陽は相模湾を前にして、左前方から逆光に近い状態で上ってくはず。
海はもちろん、砂に含まれる細かな石英の粒子が太陽光を反射して輝く。多分こんな感じです。

こまかなところではコンクリートの継ぎ目に、緑のパウダーで僅かな植物表現を加えました。
このあたりは細かな修正ですが、作品の完成度を高めるには、こういう点にいかに多く気づくことができるかがポイントです。
<フィギュアの制作>
11 スクーターとサーフビードをつくります。
スクーターのカラーリングは特に何かモデルがあったわけではない。
スペアタイヤがついているというのが特徴で、ここにサーフボードのキャリアを自作して取り付けてみました。

キットに付属していたサーフボードは下です。少し小さすぎるのと、反りすぎているのが問題で、結局上のようにプリンターで派手な画像を印刷してプラ板に貼り付けたものを
使用することにしました。
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12 フィギュアの制作をします。ランナーの取り付け跡
を磨いて、ますは人間用の化粧品で色のせします。 |
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フィギュアの方です。
顔が3mm×2mmぐらいの大きさしかないので拡大鏡は必須です。ルーペ固定式のものもありますが、自由度から言うと圧倒的にヘッドルーペが向いています。
作業は机の端に両手首を押し付けるようにして行い、手振れを起こさないようにするのがコツです。
Mr.カラーのGX113つや消しクリアーを使ってつやを整え、細部に手を加えてゆく。
ルーペは使っているけど、キャップの庇や左手が邪魔でうまく顔が塗れない。筆を100均で購入した1本110円のネイルアート用の極細筆に交換し、撮影画像を眺めながら
メイクをやりなおしました。筆は良い状態の期間は短いので、ともかく細いものをこまめに交換する、それしかないです。

もうこのあたりが限界です。
あとは最後の仕上げにかかります。
<完成画像>
海岸とバイク、主役のサーファーが一人という実にシンプルなジオラマで、大きさは27cm×い18cmのA4に満たないサイズです。
一見してとても地味なので、個展などで展示しても、何もしなければ注目されることもなく、ほとんどの人が作品の前を通り過ぎて行ってしまうでしょう。

身長28mmのフィギュアやスクーターなども、ちゃんと細かくつくり込んでいるのですが、これだけ小さいとさすがに分かってもらえない。作品展の際にはスマホで
いったん撮影していただいてから、それをご自身で拡大してご覧いただくしかないでしょう。
小スケールで出来の良いフィギュアがたくさん出てきているのは嬉しいけど、やはりこの手間がネックになる。
こういう作品は何回かつくってきたけれど、今回の作品は初めて明確に「撮影すべき作品」と位置付ました。つまり情景の完成が作品の完成でなく、撮影して初めて
作品として完成する。

そして天気が回復した日、この作品を持ってご近所の公園で撮影してきました。
一応言っとくとここから先の5枚の画像は「このジオラマを撮影したもの」です。


茅ヶ崎サザンビーチ
今日は波が良いという情報を仕入れ、朝食もそこそこにスクーターをとばして茅ヶ崎海岸までやってきた。
自分以外にまだ人影はない。

沖合の状況をしばし眺める。
まだ海はいたって穏やかで、パワフルなブレイクはもう少し待たなくてはいけないようです。

南東の空を上りつつある太陽がまぶしい。
キャプションとしてはこんなところでしょうか。
基本的にはジオラマを左手に持って、空を背景にして右手で撮影しています。空の下で撮影すると、こういうジオラマはいきなり存在感が増します。
ここでポイントになるのがカメラ選びです。
まず全くダメなのがフルサイズを代表するセンサーサイズの大きなカメラで、おそらくはフィギュア以外は完全にぼけてしまって、リアルな画像にならない。それを使うぐらい
ならスマホの方がずっと結果は良いです。
自分のおすすめはセンサーが1/2.3型のコンパクトなデジカメで、できるなら絞り優先モードかマニュアルモードで撮影できるものが良い。
ちなみに今回の撮影で使っているのは Panasonic の DMC-TZ60 という10年ぐらい前のカメラで、基本はオートフォーカス マクロの絞り優先モードで撮影しています。
ジオラマ撮影するのであれば、こういうカメラを1台持っていても損はない。但し新品だと6万円ぐらいはするので、程度の良い2万円ぐらいの中古品を探すのもアリだと思う。

実際にCのモニュメントを正面から見ると、ずっと先に三角形の岩場が見えますが、これが有名な烏帽子岩です。
ちょっと画像を合成して、ジオラマ画像に烏帽子岩を作品に取り込んでみました。
GIMPを使った簡単な作業で、AIにお願いするほどのこともない。 ということで、これをもって本当に作品は完成しました。

こちらの情景を展示する際には、その近くに完成写真のパネルを何枚か置くことになりそうです。
2025.05
camera: Panasonic DMC-GX9 + ZUIKO DIZITAL 12mm-50mm / graphic tool: GIMP
2.8 + Ichikawa Daisy Collage 10
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