life

ずっと一緒に歩いてゆく



<人の一生を情景にしてみた>

 4つのシーンを合体させた、ちょっと手間のかかった1/64スケールのジオラマが完成しました。
 ヒトの一生を絵本を眺めるような感じで再現するという、これまでにないちょっと実験的な作品です。



 ジオラマサイズは52cm×20cm、真ん中に1本の道が通っていて、その周囲に様々なものが配置されているという構成です。
 作品としては全部で4つのシーンから構成されていて、見る順番は左から右です。



 一番左は、田舎道を男の子と女の子が仲良く歩いてゆくという、最初のシーンです。
 作品のイメージは手持ちのフィギュアを一つ一つを眺めながらスケッチするところからスタートしました。



 いつしか二人は愛し合うようになって、ある日テラスのある庭で、彼女は彼からプロポーズを受けます。



 二人は結婚して小さな家に住み、しばらくして子供たちも生まれた。
 写真にして拡大すると大きく見えますが、実際には1/64スケールなので、身長は大人で28mmほど、子供だと10mmから14mmぐらいしかなく、いかにフィギュアが
精巧にできているかが分かると思う。もちろんその分、塗り分けは大変です。

 まだまだマイナーな存在の1/64フィギュアではあるけれど、表情まで再現できるものとしては最小スケールです。しかも多種多様なジャンルのものが、様々なポーズで
販売されているのが最大の魅力です。



 4つめ、最後のシーンは子供たちが独立していったあとを再現しています。
 花の咲く田舎道を、また昔のように二人で歩いて行く。



 振り返ると、これまで二人で歩んできた人生が後方に見える。この作品のタイトルは「ずっと一緒に歩いてゆく」です。

 前々からこういう作品を一度はつくってみたいと思っていました。
 こういうものは、なかなかジオラマの主流にはなれないと思うけど、新しい表現やジャンルを切り開いてゆくことには意味があると思う。





<基本的な構想>
 今、自分がいちばん注目しているのは、この1/64というスケールです。こちらはミニカーのメジャーなスケールの一つで、そこから派生したフィギュアの世界に
勢いがある。鉄道模型のHOゲージ(1/87)だと、Preiser あたりの型抜きされた着色フィギュアが多く出回っていますが、こちらは主に中国発で、3Dプリンターで
つくられた無塗装のものがメインになります。



 特徴としては老若男女問わず、ポーズも様々、自分は面白そうだなって思ったものを現在までに20個ほど購入して、まだまだこれから増える予定です。お値段は
激安のAliexpressやTEMUで購入しても、1つが200円台から700円台なので、少し高い感じはあるかもしれません。
 上の画像はストックしてあるキットのうちの2つです。幼児だから身長は1cmちょっとしかない。でも指がちゃんと5本あるし、真中のおもちゃの自動車には直径2mm
しかないハンドルがきちんとプリントアウトされている。赤ちゃんの靴裏のモールドも刻まれていて、ものすごい高精度です。

 多くは1つのモデルに対して1/18から1/72まで様々なスケールの製品が存在しています。だからデータ自体は1/18あたりを想定してつくられていて、それを縮小する
形で他のスケールのものがプリントアウトされているのだろうと思います。


 さて今回制作を開始するのは1/64スケールとしては3つめの作品になります。
 構想としては4つのシーンを1つの作品の中に入れる。だから登場人物も多くて、全部で10人になります。全部で4つのシーンを入れるということで、ベースもちょっと
大きくなって、45cm×15cmを想定しています。もしこの作品を1/35スケールでやろうと思ったら、82cm×27cmの大きさになって1年がかりの作品になるでしょう。

 あとこちらについてはリアルさを追求して「すごいね」と言ってもらおうとは、全く思っていない。どちらかというと「こういう世界もいいね」と、みんなに頷いてもらえる
作品にしたい。自分としては新しい試みです。



 実は作業を行っているテーブルは最近になって入手したもので、作業効率がかなり上がりました。高さ28cmのいわゆる座卓ですが、上面の2/3に傾斜をつけることができて、
書き物したり、撮影するのにはかなり都合が良い。袖の部分にはカップを置くこともできる。(TEMUで1473円)

 ちなみに座卓でなく、普通に机で作業をしている人の方が多いと思うけど、自分は使い分けています。
 主に机は塗装作業、細かな工作は座卓です。理由は簡単で、机の上で工作をすると、たまに小さなものを落とすこともある。どこかに飛んで行ってしまって、また作り直した
という経験が何度もある。座卓だとそれほど遠くまで飛んで行ってしまうことはないので、たいがいすぐに見つかる。
 あとは2つあれば作業場所の面積が増えるというのも、単純にメリットでしょう。

   1 作品のイメージをスケッチします。
    

 使用予定のフィギュア2体です。子供なので身長は2cmほどです。でも表情があるし、視線がどの方向なのかも理解できます。おそらく1/64は細かな表情を表現することのできる
最小スケールでしょう。
 二人で仲良く田舎の道を歩いてゆくイメージをスケッチした。絵が下手で申し訳ない。
 要はこうやって形にすることで、次に必要になるものをリストアップできれば良いということ。この場合なら、やっぱり小さな花がたくさんある景色がやっぱり良い、ストックしたものの
なかに使えそうな花があるかどうかチェックします。

     

 これなんか、誰が見てもどういうシーンなのか分かるでしょう。
 男性が背中に花束を隠しながら彼女を引き寄せる、そして・・・。これ以上語るのは野暮というもの。こういうシーンに相応しい場所はいくつかある。
 自分は白い洋風建築のある美しい庭を待ち合わせ場所に選ぶことにします。

    

 3つめのシーンです。使用するフィギュアは上の2セット4体、いずれも Aliexpress で購入したもので、左が658円、右が591円でした。身長は28mm、子供は14mm、それでも笑顔
であることが分かるぐらい高詳細の仕上がりです。恐るべし3Dスキャナーと3Dプリンターの威力。
 こちらの4体はアイルランドの片田舎にありそうな小さな家を背景にして、仲の良い家族を演出する予定です。

    

 4つ目はこの2体、TEMUで891円でした。上の4体に比べると、それほど出来は良くないのだけど、お値段は高めです。
 3Dプリンターで制作されたフィギュアは、けっこうな勢いでひろまりつつあるのだけど、品質やお値段に必ずしも一貫性があるわけではない。1/24スケールのフィギュアが、
ときには1/64のものより安いこともあるし、2000円近いお値段の1/64のフィギュアもあったりする。いわば売り手の言い値で決まる感じです。
 だから複数の販売元があるときには、冷静になって時間をかけて調べた方が良いし、製造販売を一貫して行っているところは、試しに1つ買ってみて、それが良ければ継続して
そのお店を訪ねるのが良いでしょう。

 この2体で、熟年のカップルが花の咲く公園を散歩しているシーンを再現する予定です。


   2 イメージからベースボードの設計図をつくる。
   

 4つのスケッチをもとにして、方眼紙上で配置を決めてゆきます。最初は45cm×15cmを想定していましたが、ちょっと窮屈なので、もう少し大きくした方が良さそうです。
 方眼紙を用意して配置を考えるなんてことはあまりしないけど、今回についてはちゃんとした設計図がないと、破綻してしまう予感がした。





<アーチや家の製作>
 設計図が出来上がったところで、フィギュア以外の構造物づくりにとりかかります。

   3 2つめのシーンにある白いフェンスやアーチを作ります。
    

 背後に白いアーチのある美しい公園で、つる薔薇などをこのアーチやフェンスにからませたら、きっと印象的なものになる。ということでつる薔薇を絡ませるガーデンアーチを
作りはじめました。高さは6cmほどで、ケント紙を3枚組み合わせて形作ります。フェンスの方も3Dプリンターで制作されたもの、16枚セットで281円でした。(TEMU)
 一世一代のシーンなので、フィギュアは目立たせてあげないといけない。

 結果は良い感じで仕上がっていると思う。
 なんかこのまま1/64スケールの世界が拡大してゆくと、お金とスペースさえあれば、割かし簡単に東武ワールドスクウェアみたいなものができちゃうかもしれない。

4 市販のドールハウスキットなどを利用しながら、家を
 スチレンペーパーからつくります。
 壁はモデリングペーストを、筆でたたくようにして
仕上げます。
 使うかどうかはともかくとして、LEDなども組み込んで
みました。

 ここから先は今日は3つ目のシーンにとりかかります。予定ではアイルランドの片田舎にありそうな家を背景にして、4体をレイアウトするつもりです。
 しかし以前にスケッチしたような二階建てにすると全体が大きくなりすぎそうな感じです。そこで設計変更、最低限の面積で家をつくることにします。実際の家のレイアウトを
検討したら、12畳6坪ぐらいだったら何とか1DKの家が成立する。これは1/64だと7.5cm四方に該当します。

 まずは2mm厚のスチレンペーパーで壁をつくりますが、それだけだと強度的に不十分なので、板目紙を表面に貼って補強することにしました。あとはドアや窓になるところを
デザインナイフでカットします。窓枠は市販の1/64のドールハウスキットのものを流用します。窓枠だけでも素材として流用できるのはありがたい、窓枠を作ろうと思ったら、
それだけで1日かかってしまいます。



 パーツを組み合わせて、壁や屋根をつくったところです。玄関に軒をつけたり、屋根の煙突を取り付けたりしたら、より家らしく見えるようになった。
 フィギュアはこんな感じでレイアウトするつもりです。家族で仲良くお出かけするって感じです。

    5 ベースボードを組み立てます。
    

 予定された建造物2つが出来上がりました。
 この段階で再度レイアウトを検討します。当初45cm×15cmを想定していましたが、これではやや手狭で50cm×20cmに拡大することにしました。そして4つのシーンを1本の
道で結ぶと、明確な一つの流れが出来上がる

  まずは角材を組んで50cm×20cmの枠組みを作ります。そしてこの枠の4角を補強して、上に100均で買った1cm厚のスチレンボードを張り付ければ、ベースボードの基本形は
できあがりです。
 まだこの上にはほとんど何も乗っていないけど、自分の頭のなかには完成形の70%がイメージとして出来上がっています。おそらくこの作品は、これまでにない画期的なものになる。
でもそれが理解してもらえるものになるかどうかは、残りの30%のなかにあるような気がします。





<地面を作る>
 今ベースボードの上に乗っかっているのはほんの僅か、半円形のステージと、小さな家、そしてベースボードを横断する道を厚紙で表現しているのみです。次は質感を整えながら
地面部分を作り上げてゆこうと思います

6 発泡スチロールを元にして、質感を整えながら岩
 をつくります。

 全体がとてもあっさりしているので、バランスを考えながらいくつかのアイテムを追加します。
 このままだと地形的な変化がないので、岩を道の脇に置くことにします。発泡スチロールを適当な形に切って、その上に1枚に剥いだティッシュペーパーを乗せ、上から水で
溶いた木工ボンドを染み込ませます。そしてこれが乾く前に上から「浴びっこサンド」を撒きます。
 乾いたところで、次は少量の木工ボンドを混ぜ、水で薄めたアクリル塗料を用意します。これを筆塗して再び浴びっこサンドを撒きます。アクリル塗料は一様に塗らず、また
少しずつ色を変えてゆく。これを4回ほど繰り返すと、上のように誰が何といおうと岩にしか見えないものが出来上がります。

   7 道路と地面を着色します。
   

 まずは道路を着色します。予定では砂利の混じった未舗装の道にする予定です。
 モデリングペーストを茶系に着色して、ここに同量の「浴びっこサンド」を混ぜた「泥塗料」を作ります。そしてこれを道の部分に塗って、すぐにまた浴びっこサンドを撒きます。
 あっという間に砂利の混じった未舗装路が出来上がる。小スケールだと浴びっこサンドのような細かな砂が良いけど、1/35や1/24スケールならば、少し粒子の大きな砂が
良いでしょう。
 また道以外の部分は泥塗料をそのまま塗るだけでOKです。

 上の画像は地面の最初の段階の塗装が終わったところです。
 道の脇に岩を置いた。(A) まだ変化に乏しい感じがしたので、道の反対側には溝を切って小川にすることにしました。(B)
 今回はあえてベースの端まで塗っていません。これは余白を生かして、少しファンタジックな感じで仕上げる予定だからです。あえて言うなら「絵本を開いたときの印象」で
仕上げたいと思ってます。

 端っこの処理はなかなか難しい。まずは外の空間とつながりを保つかどうかを考え、次に枠そのものの色や仕上げを考えます。絵画で言えば額縁になるわけで、選び方で
見え方も変わってきます。

   

 奥の方も変化を持たせようとアイテムを追加しました。
 家の入口には簡単な門を追加しました。(C) 裏手には井戸(D)、そして道が二又になっているところには道標を立てました。(E)



 またちょっと完成に近づいた。いつもだと、ここでリアル感を出すために汚し塗装を加えたりするのだけど、今回は絵本のような空間を再現するつもりなので、行いません。





<植物の表現>
 ここから植物表現の工程にはいってゆきます。

   8 まずは主だった植物を配置します。
   

 原っぱといっても一様な空間ではありえないので、まずは目を引く色合いの花や大きな植物を配置してゆきます。
 Aは「POPONDETTAの花畑」という商品で、適当にちぎって背の高さを整えながら配置しています。イメージとしてはタンポポなどのキク科の植物あたりです。
 Bは小川に沿って植えた放射状の植物で、多くのメーカーから発売されているもの。

 ポイントとしては、もちろん「自然に配置する」ということですが、それではあまりに抽象的なので、自分としては「等間隔にならない」「間隔がある場合には不当辺三角形を
意識する」(たとえば薄紫の部分)、というこの2点を徹底することにしています。
 あとは観察力で、たとえば「水の多いところは植物が育ちやすい」、だから小川には背の高い草を置いてみたというわけです。

   

 人の手によって植えられたものは2種類です。
 Cはファイバーの扇端に白いパウダーをまぶしたものでイメージはデイジー、Dは同じくピンクのパウダーをまぶしたもので、こちらもキク科の植物をイメージしています。
こちらはいずれも市販品です。(TEMUで400円から600円ぐらい)
 人工的に植えられたものなので、こちらを配置するのであれば、たとえば等間隔であったり規則的であったりすればよい。今回はステージや家を中心に半円状につなげて
みました。

9 草の表現を行う準備をします。UVレジンを小川に
 流し込む。
 建物や塀の際の部分など、スタティックアプリケーター
の入りにくいところにパウダーを撒きます。

 長めのファイバーや背の高い草表現を行うとき、草の根元が見えると見栄えが良くないということには注意すべきです。また壁のすぐそばの部分にもファイバーは
入りにくい。そこでこういったところには背の低い草表現を行います。
 具体的には明るめのパウダーとターフ、そして短かなファイバーを混ぜ、少量の水で薄めた木工ボンドを塗った後に静電気を起こしながら振りかける。
 ここで使っているのはKATOの「繁茂・深雪ボトル」、効果はそれほどでないけれど。小スペースならば使いやすい。

 

 主だった植物を配置し終えたところです。ちょっとだけ華やいだ。

   10 スタティックアプリケーターを用いて草表現を行います。
   

 人の手の加わっていないところは背の高い草が延びる。従って撒いてゆくパウダー類の配分も変わってゆきます。徐々に細かなパウダーやファイバーの配分を減らして、
長めのファイバーを加える。長めのファイバーは立ちにくいので「木工いボンド」から、粘性の高い「草はらのり」に変更、また「繁茂・深雪ボトル」からスタティックアプリケーター
に変更して静電気の発生量を増します。

   

 白いステージには赤いバラを模した市販のテクスチュアを絡ませ(219円、TEMU)、半円形のベースにはところどころライトグリーンのターフを撒きます。
 最近は鉄道模型やジオラマ用に様々なテクスチュアが開発されていて、少しばかりリアルでないことに目をつぶれば、かなり制作効率が上がってきているように思う。

  

 小さな家の壁と屋根にツタ表現を追加します。
 地面からツタを模したテクスチュア(219円、TEMU)を上に向かって伸ばし、その周りにグリーンのターフに少量のとアーミーグリーンのターフを混ぜたものを貼り付けてゆきます。
1回では密度が低すぎるので、それを3回繰り返したのが上の画像の状況です。
 ちょっとファンタジックで可愛い家ができたかなって感じです。



 さて庭や家の草表現が終わったところで再び周囲の原っぱに手を加えます。このままでもジオラマとして成立はするのだろうけど、自分としてはまだ「自然さ」に欠ける部分が
あるように見えます。



 こちらは2日かけて境界を不明確にして、全体を馴染ませたところです。
 具体的には「背の高い草表現」を行ったところに「背の低い草表現」のテクスチュアを撒き、「花畑」と「背の低い草表現」を行ったところにはファイバーを含まないターフ+
パウダーを撒いて、境界線を不明確にしつつ密度を高めました。
 意識としては、水彩画の塗り重ねにによる混色に近い。これで全体に自然でスムースなつながりが生まれます。



 この景色はもちろん実在はしないのだけど、これに近い景色をアイルランドあたりで見たことがあります。
 アイルランドは人口の90%以上は首都のダブリン近郊に集まっていて、先進的なヨーロッパの大都市と変わらない生活をしているように、その時は見えました。
 一方で地方に行くと華やかさは全く感じられない。荒々しいけど美しい景色がひろがり、そこに本当に小さな家が点在していた。主たる産業はピートを掘ること、
そして海が近ければ漁に出ること。一日の終わりには集落に一軒だけあるパブに集まって、サッカーの放送を見たり楽器の演奏を楽しむ。

 決して豊かではないけれど、そこはとても居心地の良いところでした。
 そしてどの家にもお手入れされた庭があって、美しい花で飾られていた。このジオラマを作っていて、急にその景色が浮かんできた。





<微修正します>

 ここから先、フィギュアを仮配置しながら、見栄えの良くないところを整えてゆきます。



 2つ目のシーンです。白いアーチの前でプロポーズ、人生で一番ドキドキの一瞬かな。
 つる薔薇などをこのアーチやフェンスにからませて背景を作ったのだけど、素通しで密度が足りない。ここはこの後、テーブルとスツール(白でペイント)、背後に
樹木(緑でペイント)などを追加して、二人だけの世界をつくってあげようと思う。



 3番目のシーンは家の前で家族がそろった状態をイメージしてます。
 大きさの関係で家が2階建てから、小さな平屋に変わったけど、イメージはほぼ同じ。庭の花や植物は更にボリュームを増してみました。ただ草原のなかに家が一軒だけと
いうのは寂しすぎる。そこでこのあと樹木にまわりに何本か配置してみることにしました。(黄緑色のペイント)
 こうやって樹木に囲まれると「一家が様々なものに守られている」という感じが出てくる。

11 市販の植物をリアルなものに作り替えて、植物を
 追加してゆきます。

 市販されている小スケールの樹木には、リアルなものはほとんどないといって良いでしょう。Amazonあたりで10本500円ぐらいで売られているようなものを、何とか見られる
レベルのものに仕上げてゆきます。
 まずは幹の部分をそれらしく塗って仕上げます。葉のつき方が不自然そのものなので、まずはフォーリッジクラスターなどで隙間を埋めます。そのあと糊スプレーをふき
つけて、ターフなどの細かなスポンジ素材で変化をつけます。
 また地面の部分の密度が少し足りないので、家の周りや木の根元あたりに、2色のフォーリッジクラスターで背の低い雑木の表現を追加することにします。

12 家やステージなどに物干し竿やスツールなどの
 小物類を追加してゆきます。

 家のまわりには物干しの支柱、薪、そして井戸に置く汲み桶などを追加します。これでほんのちょっと生活感のようなものが出る。
 手前の白いステージにはテーブルやスツールを用意して置いてみることにします。

 

 少しだけ賑やかな感じになった。よく絵本に出てくるような家の完成です。
 こうやってみると、かなり作業効率が効率が悪いよう見えますが、全くその通りです。(笑)

 しっかりと質感を出しながら地面を作ったのが最初です。でもここに至って、地面がそのまま残っているのは、道や家の周りぐらいで、あとはほとんど見えなくなってしまった。
そのあとの背の低い草表現も次第に隠れていって、花や樹木、そしてステージや家がのっかって上書きしてゆく。
 でもその一連の作業こそが、完成したときの作品の重みや深さにつながると自分は考えています。このあたりは絵画や版画と全く同じです。
 登場する人物は全部で10人、少しずつ成長しながらこの道を歩いてゆきます。





<フィギュアの製作>
 6坪ほどの小さな家とかわいい庭も整いました。ベースについてはほぼ完成ということで、ようやくフィギュアの制作の方に入ります。

   13 人間用の化粧品を活用しながら、フィギュアを製作してゆきます。
   

 まずは0.5mmの洋銀線に取り付けて作業開始です。
 塗装については主に人間用のチークなどを使います。塗装は肌から始めるのが自分流です。

     

 Mr.カラーのNo.111を基本色として塗った後、人間用のチークを使い、模型用の細めの綿棒を使い色をつけてゆきます。1回ではうっすらと色がのるだけなので、何度となく
GX113 を吹き付けて色を重ねてゆきます。
 思ったような色合いになったところで、最後に極細筆にMr.カラーをとって目や唇に最小限の色のせをします。決して描こうとは思わず、チークによる淡い色合いを補う程度で
済ませるのが自然で良いと思う。
 あとはこうやって画像にとって確認し、微修正をして整えてゆきます。
 衣類の塗装はつや消しが基本なのだけど、ジーンズ素材など生地が荒いところは、後でGX113につや消し添加剤「粗めラフ」などを添加して塗って変化をつけると良いと
思います。

    

 2つめのステージの二人も、同様に肌の仕上げからスタートです。
 3Dプリンターでつくられた1/64スケールのフィギュアは緻密で繊細な仕上がりになっていて良いのですが、ともかく複雑な形状のものを一体成形されているのが困りものです。
従って拡大鏡は必須です。ルーペ固定式のものもありますが、自由度から言うと圧倒的にヘッドルーペが向いています。作業は机の端に両手首を押し付けるようにして行い、
手振れを起こさないようにするのがコツです。
 また調子の良い極細筆を使うのが絶対条件で、自分はネイルアート用のもの(3本200円ぐらい)を使い捨てるぐらいのつもりで使っています。
 身長は28mmと25mmしかないけれど、ちゃんと二人の世界ができあがっています。

   

、このフィギュアについて言えば、出来はあまり良くない。男性の方はともかくとして、女性の方はモールドが甘く、口はほとんど表現できていません。3Dプリンターの
フィギュアについてはこれまで肯定的なコメントをしてきたのだけど、なかにはこういうものもあるんだなって感じです。モールドが甘いのでその分、しっかりと塗らないと
いけない。
 イメージは初老の夫婦、微修正を繰り返して整えてゆきます。なんとか頑張って、年齢相応に仕上げたつもりです。

    

 こちらはきっちりとしたモールドで、筆による色のせは最小限で済みそう。こっちはあっさりと1日で完成です。
 あとはベースボードに、すべてのフィギュアを配置すれば完成です。

 3Dプリンターのフィギュアについて少しだけ自分の気づいたことを付け加えておきたいと思います。
 3Dプリンターのフィギュアは、PC上で様々なサイズにプリントアウトできるのが特徴で、そのため同じポーズのものが1/12ぐらいから1/144ぐらいまで、多い場合には
8種類ぐらいのサイズで売られていたりする。
 この場合には1/12が基本スケールとなっているので、これを縮小してプリントアウトした1/64なら、モールドに大きな問題はないと考えて良いと思う。
 なかには1/64スケールのみという場合もある。これが要注意で、今回の初老の夫婦のようにデータ量が足りず、モールドが甘くなることもある。

 2つめには製品を紹介しているサイトには、フィギュアの実物または3Dデータを画像にしたもの、あるいはその両方を紹介しているものがある。データの詳細さは3Dデータの
方が実物よりわかりやすいので、そちらを重視した方が良いと思う。
 あとこういうフィギュアは、すぐに生産中止になってしまったりするので、画像データは購入時点で保存しておいた方が良い。さもないと着色見本や組み立て方法など、二度と
手に入らなくなることがあります。





<完成画像>



 舞台はアイルランドのとある地方都市の郊外、貧しくも平和で美しいところ



 ふたりは幼なじみ



 いつしか愛し合うようになり、結ばれる。



 二人は白くて小さな家を見つけ、しばらくして子供が生まれた。



 その子供たちも巣立って、また二人の生活に戻る。



 そしてこれからもずっと一緒に歩いて行く。



2025.08

camera: Panasonic DMC-GX8 M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0


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