MOZU ミニチュア展
2023.08.11
福島県の須賀川市で開催中の「MOZU ミニチュア展」に行ってきました。リアルとミニチュアの対比がおもしろい。視点が新しくて、さすがにNHKの
朝のニュースで紹介されるだけある。地方での開催だけど、結構にぎわっていました。

今、福島県の須賀川で「MOZU ミニチュア展」が開催されています。MOZUさんの名前はNHKのニュースでも取り上げられたことがあるので、ご存じの方は多いかもしれません。
須賀川には一ヶ月ほど前に訪れたのだけど、今回はこのミニチュア展を見るためにもう一度訪れてみた。
MOZU ミニチュア展
7.18~8.31
須賀川市文化センター 小ホール
(入場1300円)

こびとの玄関
さてどんな作品があるかというと、たとえばエントランスにある最初の作品がこれです。フロアギリギリのところに小さな扉があって、その向こうにこびとの
住む家の玄関がある。
その横にはリアル(1/1スケール)な同じ玄関が対比的に置かれていたりします。

こちらは缶詰、6個あるうちの1つが開けられています。
覗き込むと、小さな書斎があって、本がぎっちりと詰め込まれています。
スケールとしては1/64から1/72といったところでしょうか。

こびとの非常階段
電灯のスイッチの下に階段があって、こびとの部屋につながっている。
MOZUさんの作品の特徴としては、リアルサイズなものとミニチュアを同じ空間内に置いて、あたかも本当に「こびと」がいるようにみせているところなんだろうな。
室内もきっちりと作り込まれていて、このあたりは精密なドールハウスといったところです。
基本的には画像をプリンターで縮小して出力し、それを組み立てて作品化することが多いようにお見受けする。あとはライティングが上手。

空き缶の横で輝いているのは、ミニチュアの自動販売機です、小さくてよくわからないので、拡大写真が展示してありました。

こびとのバスルーム
一見してはふつうのバスルームなんだけど、タイル一枚分がこびとのスペースになっていて、そこに小さなバスルームがある。

こびとの駅
「冷蔵庫前駅」という駅名がすばらしい。

壁に仕組まれた、こびとのためのお店もあった。
従来の精密なドールハウスの世界とは違って、1/1のリアルな空間を同居させることで、これだけ面白くなる。
自分もちょっとやってみようかと思いつつ、それに無理があることに気づいた。
たとえば「リアルなドア1枚をつくって、その下の部分にミニチュアの同じドアをつくる。」、これは自分がすぐに思いついたアイディアなのですが、そうするとそのドア1枚で
180cm×90cm、厚さ20cm程度の保管場所を確保しないといけない。こんなものいくつも作っていたら、すぐに我が家に収まりきらなくなってしまうでしょう。アマチュアには
ちょっとハードルが高いみたいです。

MOZUさんのジオラマが最初に評判を呼んだのが、高校1年生のときに制作した「自分の部屋」のミニチュアだそうで、Twitter上で拡散して、この世界に入るきっかけ
ともなったそうである。
リアルとミニチュアを対比的に扱う作品が多いなかで、こういった純粋なミニチュア作品も展示されてました。スケールとしては1/24ぐらいだと思いますが、かなり完成度
は高い。

こちらはゴミ置き場、確かな表現力や観察力をお持ちに違いない。
ふと情景師アラーキーのことを思い出して、もしかしたら意識してるのかなと思った。

こちらは誰もいない教室、廊下側の一番後ろの人は欠席しているらしい。机の上に散乱するノートや教科書、雰囲気を察するに美術や理科の実験といった実技科目で、
別の部屋でこのクラスの授業は展開されていると自分は見ました。机の上に置かれたものや、椅子の傾き具合から、その子一人一人や人間関係などを想像させてくれます。
自分としては今回展示された作品のなかでは一番好きです。この教室だけが再現されているけど、その外側まで意識させてくれるような、見えない空間の広がりがある。
自分の制作する作品も、そのうちの半分ぐらいは、これに近い感覚です。
常々思うのですが、ジオラマというのはそれ単独では弱いものがある。現実に存在するものを縮小したというだけでは「上手ですね」で終わってしまって記憶に残らない。
そこから何か訴えるものや、外界とのつながりが見いだせないと、単なる縮小された世界という意味しか持ちません。
作品を撮影して二次元の画像という状況になると更に厳しくて、スケール自体が意味を持たなくなる。 「1/100スケールで精密につくりました」と言っても、それを10倍に
拡大したら、1/10スケールと同等の大きさになる。もし画像しかそこになければ、当然1/10として評価されることになるでしょう。ここは残酷です。
自分は小さくつくることだけに、それほど大きな意味はないと考えています。
だからジオラマやミニチュアはその空間のなかだけですべてが完結してはいけない。
最初にご紹介した「リアルな空間と縮小された空間を対比的に扱った作品」はミニチュアだけを孤立させない工夫の一つだし、今日のこの3つの作品は、何らかの共感や
メッセージで見るものとつながっている。言い方は難しいのだけど外界と何かでつながることが、絶対に必要だと自分は考えます。

こちらはリアルに作られた電柱です。おそらくは1/12スケールぐらいで、単独では何の意味も持たない。
これを手に持ち、リアルな電線と結びつける。写真になって初めて価値の生まれる作品。
自分もたまにやるけど、ミニチュアを外に持ち出して撮影すると、思わぬ効果が生まれるものです。

こびとの美術館
1/48ぐらいに縮小してつくった美術館内に、リアルなルービックキューブを置いた作品です。珍しくフィギュアが置かれていますが、これはフィギュアがないと美術館に
見えないからだと思います。
ジオラマのなかにフィギュアを置くというのは、自分のように人形やフィギュアから入った人間には何の抵抗もないのですが、精密なドールハウスを作る人にとっては、
かなり勇気が必要なことのようです。
ミニチュアを精密に作れば作るほど、それにあわせてリアルなフィギュアをつくらないといけない。さもないとフィギュアが全体の精密感を台無しにしてしまう。

こちらは自らの制作スペースのようです。よく整理されてるなって思いました。
自分よりずっときれい。

こちらは記念撮影のスペースです。拡大して作られたデスクトップで、来訪者自身がミニチュアになってしまうというもの。なるほど、こういうやり方もあるのかって思いました。

こちらの展覧会、自分にとってはかなりインスパイアされるものがありました。そして自分の考えている方向性が間違っていないとも思いました。ものつくりに興味のある人には
勉強になると思います。
2023.08
camera: Panasonic DMC-TZ60 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0
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