島田市博物館企画展 「戦争を忘れない」




2025.08.14
 お盆に静岡に帰省したときの話です。
 昔は35℃なんて日は、1年に何日もなかったけど、最近は当たり前のことになってしまった。夏休みだからといって、気軽に外で遊ぶことは考えずに、ショッピング
センターや美術館、博物館などエアコンの効いているところを巡る。今年の夏もそうだった。
 少し広めのショッピングセンターなら、軽くウオーキングできるしね。



 さてやってきたのは島田市博物館です。常設展のほかに今回は「戦争を忘れない」という企画展を行っていました。
 今年の8月、戦後80年を迎えて戦争体験者も減り、戦争の記憶を引き継ぐ必要性の高まるなかで企画されたという、とても真面目な特別展です。(入館500円、館内撮影可)



 展示としては、兵士募集のポスターや戦地に赴く兵士への寄せ書きに始まり、その後の空襲から終戦に至るまでの間の様々な史料が展示されています。
 また9月21日までの会期中は、戦争体験者のお話を伺うなどの特別講座や歴史教室なども開かれるということです。

 

 多くの兵士が召集され、戦地に送り込まれた。
 国の経済・産業は軍事が最優先され、人的資源も総動員されるようになった。



 そこには男女や年齢の区別なく、国のためにすべての精力を注ぎ込むことが求められ、反対することは許されなかった。
 太平洋戦争は日本によるパールハーバーで幕を開け、当初は連戦連勝の勢いがあったものの、ミッドウエー海戦を境目に戦況は変わりました。



 こちらはサイパン島で戦死した旧金谷町出身の兵士の遺品です。
 当時、サイパン島は日本の委任統治領だったところで、すでに約2万人の日本人が生活していました。

 1944年6月、アメリカ軍はこのサイパン島に上陸、日本軍は4万3千の守備隊で迎え撃つも全滅、捕虜になってはいけないと指示されていた市民たちも追い詰められて
自決する事態となりました。

 玉砕とは、名誉や大義のため「玉が美しく砕け散る」ように潔く死ぬことだそうですが、そんなものあるわけがない。



 そしてこのサイパン島のあるマリアナ諸島にはアメリカの戦略爆撃機の基地が建設された。
 この後、ここから飛来したB29爆撃機は日本本土の爆撃を続け、日本は焦土と化した。日本は木造の建物が多いため、アメリカ軍はガソリンを含むゼリー状の
着火剤が充填された焼夷弾を多用し、結果として広範囲の火災が発生して一晩で街一つが消失してしまうことも珍しくなかった。
 上の画像はその焼夷弾の破片です。



 こちらは焼夷弾で命を落とした女性の慰霊塔です。

 

 この頃になると灯火管制が行われるようになり、このような特別な電球が使用されることになった。
 上から側面までが黒く塗られ、光は下方のわずかな部分からしか漏れてこない。



 博物館のある島田市は軍事的にも重要な場所であったという。
 今は静岡空港のある牧之原には特攻隊の訓練施設がおかれ、日々訓練が繰り返されていた。



 郊外には海軍の実験施設が建設され、いわゆるZ装置の研究がなされていた。これは強力な電磁波を発生させて爆撃機に照射して破壊するものだった
(強力な電子レンジみたいなイメージで良いと思う)。 しかしながら装置は完成せず、終戦を迎えることになる。



 こちらは島田市の中心部に投下された「パンプキン爆弾」の実物大の画像です。
 パンプキン爆弾は長崎に投下された原爆「ファットマン」と同じ大きさ重さの模擬爆弾でした。アメリカ軍はこれを使い、原爆投下のための実戦訓練を行っていたわけです。
 当初は富山に投下予定だったのですが、雲で視界が開けず、帰り道に島田に投下されることになった。



 上の画像はB29の侵入経路と、投下直後の様子を記録したもので、アメリカ国立公文書館から入手したもの。
 パンプキン爆弾は火薬量が通常弾よりもずっと多かったため、現場は目を覆うような惨状であったという。
 ときは1945年7月26日、なんかすごく生々しい感じ。



 これはそのパンプキン爆弾の破片です。



 そして原爆はその11日後に広島、14日後には長崎で投下される。
 上の絵は戦後、長崎の被爆者の方が原爆投下直後の様子を描いたものだそうです。



 この企画展は子供たちのためだけのものではないな、と思った。
 後世にどのような世界を残すべきなのか、大人たちがちゃんと考えなくちゃいけない。そのためのきっかけにもなると思う。
 願わくはこういう展示が世界で行われるようになったら、世の中少しは平和になるんじゃないかなって思いました。



2023.08

camera: Panasonic DMC-TZ60 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0


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